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子育てって難しい2
しおりを挟む「レイル、これをリオスに・・・」
アランから渡されたのはミルクが入った哺乳瓶だ。
「ああ、」
口元に持っていくと匂いでわかるのか小さな口を開けてゴクゴクと飲んでいく。その勢いが凄まじい。
赤子ってこんなに勢いよく飲むものなのか?
ルナを見ればゆっくりと飲んでいる。
やっぱり男と女は違うものなんだと、妙に納得しているとリオスの哺乳瓶はカラになっていた。
「早い、もうないぞ」
「え、マジで・・じゃあお代わりはそこにあるから」
両手が使えないので、行儀が悪いがアゴでテーブルを指すともう一本用意されていた。
「リオスはよく飲むな・・」
「ああ、ルナはそうでもないんだけど、やっぱり男の子だからか、双子なのによく寝てよく飲んで・・手はかかるけど、楽しいぞ・・」
「そうか?」
「ああ・・大変だけどこうして世話ができるのも今だけだしな」
「・・・乳母が決まれば、お前も安心して公務ができるだろう?」
「うん、それはいいんだけど・・でも何か寂しいかな?」
「寂しい・・?」
「ああ・・もう少し一緒に居たかったかも・・」
そう言いながら寂しそうに笑みを浮かべるアランにレイルは複雑な気持ちになりながらリオスにミルクをあげて、げっぷをさせたのだった。
そして、乳母に選ばれたのは何とアランの母上だった。
「何で、母上が?」
「アランちゃん、子供たちは私に任せて安心して公務に励んでちょうだい」
「お前が、寂しいというから義母上に頼んだ」
「レイル・・」
先日の会話からオレのためにしてくれたんだと嬉しくなった。確かに母上が見てくれるなら安心して公務に励むことができる。でも、ここまで頼ってもいいのかと考えてしまう。
だって、オレは王妃で母上は公爵夫人。自身の仕事だって忙しいはずだ。姉上も今妊娠中だし・・
「アリアなら侍女たちがいるから大丈夫よ。」
「でも・・」
「アランちゃん、いえ王妃殿下。王子と王女のお世話は私にお任せください。乳母として誠心誠意尽くします」
頭をさげ、膝を折る。母上からそんなことをされ戸惑うも自分の方が身分は上。何とも言えない気持ちになるが母上はいつもの笑顔を見せられて甘えることにした。
「わかった。ラス公爵夫人、二人のとこを任せる」
「御意!」
こうして、乳母は母上、教育係は姉上に決まったんだけど、これってホントにそれでいいんだろうか?
オレ、甘えてばっかりだな・・
嬉しいのと何か心苦しい気持ちが重なって、何とも言えない気持ちになったのだった。
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