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国の行く末
しおりを挟むアリアとリリス王女が顔見知りだと知った頃。
国王は親書を手にして真青になっていた。
「へ、陛下。親書には何と?」
額から汗をダラダラ流し口はわなわなと震えているのを見て、ただ事ではないと判断した宰相は陛下から親書を拝借して中身に目を通して驚愕する。
親書にはこう記されていた。
『我が国にそちらの第一王女が滞在している。親善大使ということで手厚くもてなしていたが、つい先日、国王である余に魅了をかけようとして失敗した。さて、これはどういうことか説明せよ。なければ、戦争を仕掛けたとみなしそちらに攻め込む。 レイル国王』
「こ、これは・・一大事ではありませんかっ!」
「・・・・・」
「親善大使とはどういうことでしょうか?」
「・・・・・」
「もしかして、あの未完成の親書を利用したのでは?」
「・・・・・・」
「それに、あちらの国王に魅了を使おうとしたということは、何て愚かなことを」
「・・・・・はあ~・・あやつめやってくれよった」
「陛下、今すぐにでもレイル国王に謝罪をしたほうが」
「わかっておる・・・」
「では出立の準備に急いでかかります」
「ああ、頼む」
陛下はよろよろと立ち上がりソファーに腰から身を落とした。
牢番の魅了が解けた時点で捜索はしていたが、まさかレイル国王のところにいるとは。しかも魅了をかけようとしたなんて、なんて愚かなことを。やはり宰相の言う通り魔力を封じるべきだったか・・・。
初めての我が子を溺愛したのが間違いだった。しかも禁術の魅了持ちだと気づいたときには、愛情が深くなって手にかけることが出来なかった。
だがもうこれ以上、庇うことはできないし、魅了持ちを隠していた余にも責任が問われるだろう。
魅了持ちの王女を差し出して隣国を乗っ取ろうとした愚王と罵られるかもしれない。
いや、レイル国王はきっとそう思っているに違いない。
「はあ~・・どうしたものか?」
賠償金は覚悟しておくべきだな。
この国を守るためには何が一番なのか頭を悩ませる国王だった。
そして、そうとは知らずルートは焦っていた。
帰って姉上を止めるべきか、いやそうなれば王宮を出たのがバレる?
いやもうバレているか・・じゃあレイルに?
レイルの顔が浮かんで、胸が痛くなった。それを振り払い、違う方法を考える。
それじゃあ国王にリリア王女が隣国にいるって言うのか?いや、それだと何でオレが知っているのか聞かれるよな。まさか正体明かすわけにもいかないし・・。
「う~ん、どうすれば」
王子たちがいるのを忘れてつい口に出る。
「何を考えておる?」
その声にはっと我に返ると、王子が隣に座ってオレの顔を覗き込んでいた。
「わっ!お、王子!」
あれ、さっきまで向かい側にいたはずなのに。
「何か心配ごとか?」
「・・・・」
目じりを下げて本気で心配してくれているのがわかる。まだ幼い分人を疑うということを知らないのかもしれないが、肩書ではなくて個人として見てくれることが嬉しかった。
王子とは友達になれるかもしれない。サラ王女だってそうだ。きっと自分のせいでオレが監禁されていると知って罪悪感を持っているんだろう。それを利用するつもりはないが、彼女とも友達になりたいと思った。
「ええ、少し気になることがありまして」
「何だ?言ってみろ。力になれるかもしれぬ」
「でも・・・」
さすがに、これは話せないよな。
「そうです。ルート様は私たちの恩人。できることがあればおっしゃってください」
くぅうう!嬉しいことを言ってくれるじゃないか。じゃあ言っちゃうか?
「ううんっ!では言います。」
「はい、どうぞ」
「私と、友達になってくれませんか?」
思い切ってハッキリ言ってみたら、二人ともポカンとしている。
あれ、これは失敗したか?もしかしてダメなやつか?
「だ、ダメ・・ですか?」
今のオレは得体のしれない人間だ。王族と友達だなんて間違いだったか?
「えっと・・ルート様は私たちと友達になりたいと。そうおっしゃいますの?」
「ええ、ダメですか、やっぱり・・そうですよね。すみません」
しょげていると王子が顔を赤くして立ち上がる。
「いいぞ。友達になっても」
「え、本当ですか?」
「ああ、オレも友達になりたい。」
嬉しそうに笑みを浮かべながらそう言ってもらえてオレの頬も自然と緩む。
すると、サラ王女も。
「私もぜひ、ルート様と友達になりたいですわ」
「ありがとうございます。嬉しいです」
こうして、オレたちは友達になったのだった。
うんうん、よかった。これでこの国は何とかなりそうだ。問題はリリア王女のことだよな。
どうやって、居場所を知らせるかだ。
問題の壁に突き当たり頭を悩ませているルートだが、それはあっさりと解決されることとなる。
「陛下っ!レイル国王から親書が届きましたっ!」
そう、例の『親書という名の脅迫状』―――が、国王の元に届けられたのだった。
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