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愚かな国王4

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あれからすぐに王宮に連れてこられてサラ王女と対面したのはいいが、まさか昏睡の呪いだとは思わなかった。持っているスキルで解呪できてよかった。しかし陛下の後姿を見ていると随分疲れているように見える。やっぱり国王って激務なんだなとそれはどこの国でも変わらないんだなと改めて思った。今頃あいつはオレがいないことに気付いているだろうか?いや、もしかしたら気づいていないのかもしれない。

オレはあいつのあの不機嫌な顔を見たくなくてあそこを飛び出した。何もかも捨ててどこかでひっそりと生きてもいいかなと・・そう思っていたけど・・・押し切られて結婚したはずなのに、悔しいが未練タラタラなのはオレのほうだったらしい。

「はあ~・・・これからどうするかな」

ついうっかりと声を出して呟いてしまったら、陛下が振り返って目が合った。

「何だ、何か困っておるのか?」

「あ、あ・・ハイ。実はまだ宿を決めていなくて・・」

そうなのだ。国境を越えてギルドに行って王宮にってなったから、まだ何も決めていない。戻ったら早く宿を決めないと、高級な宿はすぐに埋ってしまうらしいと聞いたから。

「うむ、そうか。ならそれも含めて話をするとしよう・・」

「えっ?」

聞き間違いだろうか、何か宿を紹介でもしてくれるような感じだったけど・・・?
いや、まさかな・・。


案内された部屋は会議室のようだった。たぶん、防音の魔法がかけてあるんだろう。ドアが閉まると外の音が遮断だれたのがわかった。

陛下が座るのを見てから「失礼します」と言って腰掛けた。
座面の硬さがちょうどよくて、背中もいい。いい腕の職人がいるようだ。羨ましい・。

「さて、仮面の男よ。この度は王女を助けてくれて礼をいう。ありがとう。」

頭を下げられ慌てたのはオレだ。国王が頭を下げるなんていけないことだ。


「へ、陛下お止めください。国王が頭をさげるなど・・」
「いや、貴殿はサラの恩人だ。これぐらいなんてことはない・・」
「しかし・・・」

おーい!陛下が良くてもオレは困るんだよっ!

「わかりました。陛下の感謝をお受けします」

仕方なくオレも軽く頭を下げて陛下の気持ちを受け取るしかなかった。


「それで褒美だが、金貨1000枚でいいだろうか?」
「――はっ!せ、1000枚ですかっ!」

解呪も鑑定もオレには大したことじゃない。だから1000枚なんて多すぎる。

「ん、不服か?なら2000枚でどうだ?」
「えっ・・ちょっと待ってください。それは多すぎです」

金銭感覚がないのか?

そう思ったのと同時にあの荒れ果てた土地を思い出す。

「陛下のお気持ちは大変嬉しいのですが・・」
「うむ、なら1000枚で決まりだな」

いや、だから多いんだって・・・なんて言えないしなあ~困った国王だ。
チラッと宰相を見れば顔が引きつってる。これは、宰相はわかってるんだな。じゃあ、後で返しておくか。

「・・ありがとうございます。」

よかった。これで帰れる。だけど少し気になることがある。あの呪いを誰がかけたのかってことだ。

「うむ、貴殿も欲がないのう・・」
「いえ、お褒めの言葉ありがとうございます。ところで王女のあのような呪いをかけた人物に心当たりはありますか?」

「―――っ!」


オレが言ったその言葉に国王も宰相も大きく反応を見せたことに、しまった!と思ったが遅かった。


「それは・・」
「・・・陛下っ!」
「よい、どうせわかることだ」
「しかし・・」

国王は先ほどよりももっと深刻な顔で答えた。

「あれに呪いをかけたのは第一王女のリリアだ」

「―――っ!」


その名前を聞いて、オレの視界がぐにゃりと歪んだような気がした―――・・
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