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番外編**疑惑
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本編は完結しましたが、リクエストを頂いたので投稿します。
今一度、お付き合いくださいませ・・
*****************************
「アラン様・・・大丈夫ですか?」
そう声をかけてくれたのは側近のランスだ。彼は宰相の甥にあたる人物だが実に優秀だった。おかげで公務も書類の仕事もスムーズに行うことが出来ている。
多少、心配症なにが気になるが・・。
「ああ、大丈夫だ」
「でも・・・いえ。なら少し休憩しませんか?気分がすっきりするお茶をお入れしますので・・」
「うん、頼む」
ドアに消えていったランスを見送ると、背筋を伸ばす運動をしてイスから離れる。
レイルと結婚して王妃になって一年が過ぎようとしていた。
夫婦仲は良好で申し分ないのだが、最近気になることがある。
親善大使で訪れている隣国の王女の一行だ。
何でも、この訪問は王女自らが望んだようで意気揚々と訪れた。
それはいい。いいんだけどレイルに対する態度が露骨なのだ。
本来の目的を忘れて、レイルに媚を売るあの態度。
しかも、オレを見る目が蔑むようなあの目が気に入らない。
人の旦那に手を出して何を考えているのやら。
それにレイルも満更ではないようなあのニヤけたあの顔。
「クソッ!腹が立つ」
移動中に庭園で2人がいるのを見かけたことがあった。
傍には王女の護衛やメイドが微笑みながら内緒話をしていたのが聞こえてきた時にはレイルを殴りたくなった。
「見て、リリア様のあの嬉しそうなこと」
「ええ、やはりリリア様にはレイル陛下がお似合いだわ」
「そうよね。陛下も満更でもないご様子。」
「正妃としてお迎えにならないかしら」
「でも、陛下にはアラン様がいらっしゃるわ」
「そうだけど、アラン様は男性。お子は望めない以上女性の妃は必要よ」
「私もそう思うわ。アラン様を側室にしてリリア様を正妃に迎えるべきよ」
「リリア様もレイル様のことお好きですものね」
「・・そうリリア様の願いを叶えるにはアラン様には引いてもらわなくちゃ」
「そうそう・・邪魔よね」
こいつらは何をしに来ているのか忘れているみたいだ。
隣国で正妃の陰口をたたくなんて教育がなっていない。
場合によっては戦争ってこともあり得るというのに・・。
レイルと並んでいる王女を見ていると、確かにお似合いかもいれない。
オレには令嬢のような豊満な胸もないし丸いお尻もない。
そんなの欲しいとは思わないが、それを武器にしてレイルに迫る王女が憎らしかった。
「オレが女なら良かったのかな・・」
今一度、お付き合いくださいませ・・
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「アラン様・・・大丈夫ですか?」
そう声をかけてくれたのは側近のランスだ。彼は宰相の甥にあたる人物だが実に優秀だった。おかげで公務も書類の仕事もスムーズに行うことが出来ている。
多少、心配症なにが気になるが・・。
「ああ、大丈夫だ」
「でも・・・いえ。なら少し休憩しませんか?気分がすっきりするお茶をお入れしますので・・」
「うん、頼む」
ドアに消えていったランスを見送ると、背筋を伸ばす運動をしてイスから離れる。
レイルと結婚して王妃になって一年が過ぎようとしていた。
夫婦仲は良好で申し分ないのだが、最近気になることがある。
親善大使で訪れている隣国の王女の一行だ。
何でも、この訪問は王女自らが望んだようで意気揚々と訪れた。
それはいい。いいんだけどレイルに対する態度が露骨なのだ。
本来の目的を忘れて、レイルに媚を売るあの態度。
しかも、オレを見る目が蔑むようなあの目が気に入らない。
人の旦那に手を出して何を考えているのやら。
それにレイルも満更ではないようなあのニヤけたあの顔。
「クソッ!腹が立つ」
移動中に庭園で2人がいるのを見かけたことがあった。
傍には王女の護衛やメイドが微笑みながら内緒話をしていたのが聞こえてきた時にはレイルを殴りたくなった。
「見て、リリア様のあの嬉しそうなこと」
「ええ、やはりリリア様にはレイル陛下がお似合いだわ」
「そうよね。陛下も満更でもないご様子。」
「正妃としてお迎えにならないかしら」
「でも、陛下にはアラン様がいらっしゃるわ」
「そうだけど、アラン様は男性。お子は望めない以上女性の妃は必要よ」
「私もそう思うわ。アラン様を側室にしてリリア様を正妃に迎えるべきよ」
「リリア様もレイル様のことお好きですものね」
「・・そうリリア様の願いを叶えるにはアラン様には引いてもらわなくちゃ」
「そうそう・・邪魔よね」
こいつらは何をしに来ているのか忘れているみたいだ。
隣国で正妃の陰口をたたくなんて教育がなっていない。
場合によっては戦争ってこともあり得るというのに・・。
レイルと並んでいる王女を見ていると、確かにお似合いかもいれない。
オレには令嬢のような豊満な胸もないし丸いお尻もない。
そんなの欲しいとは思わないが、それを武器にしてレイルに迫る王女が憎らしかった。
「オレが女なら良かったのかな・・」
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