人違いの婚約破棄って・・バカなのか?

相沢京

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2-4.鬼姫降臨!

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「いやぁあああああーーっ!来ないでぇええ――――っ!!」



 雷をギリギリのところで落としていく腕はさすがだと感心していたら後に隠れていた年配の紳士に声をかけられた。


「…アリア様の弟のアラン様だよね?」

「はい、アランですが…」

「ねえ、あれ止めないでいいのかい?」


 年配の紳士が指差すのは、もちろんこの惨状の中心にいる姉上のことだ。


「あ――こうなってしまっては私でも止められません」


 作り笑いを浮かべながらそう答えると、悲壮な顔つきになってしまった。


「そ、そうかい…」

「私たちはいつまでこうしていればいいんだい?もうすぐ陛下もいらっしゃるだろうし……」



 そう言えばそうだ。陛下がいらっしゃったらさぞかし驚かれることだろう。

 そして、原因は何か絶対に聞かれる。

 その時、王子は何と答えるんだろうか、すごく気になる。


 ニヤニヤしていると顔のすぐ傍にグラスが通り過ぎ、派手な音をたてて床に落ちて粉々に砕け散った。


 ヒュン―――!


 パリン―――っ!


「―――なっ!」


 投げたのはエリスだ。姉上に向けて投げたのがオレの傍をかすめたらしい。


「何で、当たらないのよっ!」


 外れたのが悔しかったのかもう一度投げてきた。ただしそれは姉上を狙ったのではなく標的はオレだった。

 今度はまともに当たりそうだったので慌ててよけた。



「何で逃げるのよっ!」

「え、いや、普通逃げるだろうっ」

 チラッと後を見れば困惑している紳士の顔が視界に入った。
オレの後には紳士だけでなく他にも令嬢や令息がいる。グラスに当たればケガだけでは済まないかもしれない。

 これ以上彼らを巻き込むわけにはいかないな…。


「シールド……」


 狙いを外れたそれは貴族たちの方へと飛んでいったが見えない壁に当たって見事に割れた。


「な、何よあれ?」


 事情を呑み込めないエリスは何度も何度もグラスを投げつけた。


 ヒュン―――!


 パリン―――!


 だが、それはオレにも貴族たちにもあたることなく無駄に砕け落ちるだけだった。


 シールド張っているのに気づいてないのか?


 傍にあったグラスを投げつくすと近くのテーブルから投げようと手に取る。


「何でよ、何で当たらないのよ!」


 必死に投げてくるが当たらないことに苛立っているのか顔が令嬢とは思えないほど歪んでいる。

 ブツブツと何か呟いているがグラスが割れる音にかき消され何をいっているのか聞き取れなかった。


「さっき、何やら悪だくみをしているようだったな」

 別の紳士がそう口にする。


「そういえば…人質がどうとか?」

「まさか、アラン様を?」

 
「何て命知らずな…」


 えっマジで?

 正気か?オレを人質にして姉上を脅すつもりなのか?


「何でよっ!これじゃあゲイル様に…」


ズル―――ガリ―――ギギギ―――…

 必死にグラスを投げていたせいでエリスは背後から近づく不気味な音に気付くのが遅れた。


「な、なに…?」


 背後から覆いかぶさる威圧感に、喉をゴクリと鳴らしながら恐る恐る後を振り向くと、そこには焦げてチリチリな頭。煌びやかだったはずの衣装が見る影もなくボロボロ。そして口元は切れて血が流れ顔は腫れあがり白目をむいて気を失っている情けないゲイル王子の姿があった。

 しかも姉上がが引きずっていたせいで、エリスが投げたグラスの破片で所々血だらけだった。


「ひっ!―――」


 恐怖で追い詰められたエリスは膝がガクガクして力が入らず更に腰が抜けてその場にへなへなと座り込んでしまった。

 唇はわなわなと震え声がでない。近づいてくる姉上に首を左右に振って拒否するがそんなもの通用するはずもなく……。



「さあ、証拠を出しなさいっ」



と、追い打ちをかけた―――ら……





「いやぁあああああ―――――っっ!!!」




 エリスは絶叫した後、ふーっと後にパタンと倒れて動かなくなったのだった。





『あぁーあ・・・』




 さて、これで完全に婚約破棄ってこと……でいいのかな?









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