1 / 87
第1話. 何でそうなった?
しおりを挟む「アリア、貴様との婚約を破棄しエリスと婚約することをここに宣言する!」
ルーレン王国では王子の婚約式が行われようとしていた。城では着飾った貴族たちが王族が現れるのを今か今かと待ち構えていた最中、何の前触れもなく第一王子ゲイルが声を上げたのだ。
「………」
名前を呼ばれたのはアリア。この国を支える公爵家の令嬢だ。
「婚約破棄?何をおっしゃっているのかわかりません……」
首を傾げながらも顔色を変えずにそれを否定する。
だが、ゲイル王子のこの行動に内心焦りにも似た感情が沸き上がっていた。
会場にはこの国の貴族だけでなく隣国の大臣たちも招かれているというのに……。
婚約破棄騒動を起こすなんて正気の沙汰とは思えなかった。
しかも、王子の隣には見慣れぬ令嬢が肩を抱かれてアリアを睨みつけている……。
「ええーいっ!白を切るつもりかっ!」
ここでため息をつきたいところだが、そうすれば益々収集がつかなくなる。
賓客がいる中できればそれは回避したいところだが…。
ゲイル王子はそんなことにも気づかず醜態をさらしていく。
「貴様、学園でエリスをいじめたであろう?」
「……は?……いじめ?この私が?」
突拍子もないことを言われてアリアは驚きそして呆れる。
なぜ私が見知らぬ令嬢をいじめなければならないのか理解に苦しむという顔だ。
「ご冗談を……?」
バカバカしいと思いながら、ついうっかり声に出してしまったようで、それが気に障ったようだ。
「貴様!バカにしているのかっ!」
「バカにしているのは殿下では?」
「何だと?」
「私はその方と初めてお会いしたのですが?」
「はっ?」
「う、嘘です!騙されないでください!」
慌てて取り繕うエリス嬢にイラッとして睨みつけると、マズイと思ったのかゲイル王子の後に隠れる。
その行動が益々許せななくて、イラつく。
久しぶりに祖国に戻ったと思えばなぜこんな茶番に付き合わされなければならないのか?
婚約破棄!いじめ!冗談ではない!
睨み合いが続く中アリアの苛立ちのボルテージはゆっくりですが確実に上がっていった。
この睨み合いを少し離れているところから見ていたオレは動揺していた。
普段は食せない料理に目が行ってふらふらしていたためこの騒動に気がつくのが遅れたのだ。
「一体何がどうなってんだ?」
訳が分からすうろうろしていると、貴族たちの話が耳に入って来た。
「アリア様が婚約者だったとは驚きですわね?」
「ええ、でも婚約破棄されるとは……」
「でも、確かアリア様にはほかに婚約者がおられませんでしか?」
「そうなんですの?」
「なら、どうしてこのような騒ぎに?」
「それにあのエリス様って確か最近男爵の爵位をさずかった家ではありませんでしたか?」
「ええ、そう聞いておりますわ」
「しかし殿下もなぜこの場で婚約破棄などを?」
「これではあまりにもアリア様がかわいそうではないですか?」
「婚約披露パーティーが台無しですわね?」
「本当に…あ、でも陛下はご存知なのかしら?」
はあ?
何でこんな騒ぎになっている?
姉上に婚約破棄などありえないだろう!
姉上の傍に行かなくてはと食べかけの料理を置いて駆けつけようとするが、注目の的になってるため野次馬が集まって中々近寄れない。
焦るオレに追い打ちをかけたのはエリス譲の金切り声だった。
「私を階段から突き落としたでしょう―――っ!!」
そのエリスの声はごった返した会場全体によく響いた。
「殿下と仲良くしていたのが気に入らなかったのでしょう?嫉妬するなんて見苦しいですね」
これでもかと得意げに言葉を告げるエリスに姉上の目つきが変わった。
あ、あれはキレる寸前だ。
「ふん、全くだ!」
ゲイル王子もそれに同調する。
だああああ―――っ!!何てバカはことをおおおおっ!!!!
バキッ!―――
それは姉上が持っていた扇がへし折れる音だった。
「いい加減にしれくれませんかっ!いくら殿下でもこれ以上私を侮辱するのは許しませんよ…」
この言葉でオレはもう取り返しがつかないことを察したのだった。
155
あなたにおすすめの小説
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
【本編完結】処刑台の元婚約者は無実でした~聖女に騙された元王太子が幸せになるまで~
TOY
BL
【本編完結・後日譚更新中】
公開処刑のその日、王太子メルドは元婚約者で“稀代の悪女”とされたレイチェルの最期を見届けようとしていた。
しかし「最後のお別れの挨拶」で現婚約者候補の“聖女”アリアの裏の顔を、偶然にも暴いてしまい……!?
王位継承権、婚約、信頼、すべてを失った王子のもとに残ったのは、幼馴染であり護衛騎士のケイ。
これは、聖女に騙され全てを失った王子と、その護衛騎士のちょっとズレた恋の物語。
※別で投稿している作品、
『物語によくいる「ざまぁされる王子」に転生したら』の全年齢版です。
設定と後半の展開が少し変わっています。
※後日譚を追加しました。
後日譚① レイチェル視点→メルド視点
後日譚② 王弟→王→ケイ視点
後日譚③ メルド視点
時間を戻した後に~妹に全てを奪われたので諦めて無表情伯爵に嫁ぎました~
なりた
BL
悪女リリア・エルレルトには秘密がある。
一つは男であること。
そして、ある一定の未来を知っていること。
エルレルト家の人形として生きてきたアルバートは義妹リリアの策略によって火炙りの刑に処された。
意識を失い目を開けると自称魔女(男)に膝枕されていて…?
魔女はアルバートに『時間を戻す』提案をし、彼はそれを受け入れるが…。
なんと目覚めたのは断罪される2か月前!?
引くに引けない時期に戻されたことを嘆くも、あの忌まわしきイベントを回避するために奔走する。
でも回避した先は変態おじ伯爵と婚姻⁉
まぁどうせ出ていくからいっか!
北方の堅物伯爵×行動力の塊系主人公(途中まで女性)
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
陛下の前で婚約破棄!………でも実は……(笑)
ミクリ21
BL
陛下を祝う誕生パーティーにて。
僕の婚約者のセレンが、僕に婚約破棄だと言い出した。
隣には、婚約者の僕ではなく元平民少女のアイルがいる。
僕を断罪するセレンに、僕は涙を流す。
でも、実はこれには訳がある。
知らないのは、アイルだけ………。
さぁ、楽しい楽しい劇の始まりさ〜♪
悪役令嬢と呼ばれた侯爵家三男は、隣国皇子に愛される
木月月
BL
貴族学園に通う主人公、シリル。ある日、ローズピンクな髪が特徴的な令嬢にいきなりぶつかられ「悪役令嬢」と指を指されたが、シリルはれっきとした男。令嬢ではないため無視していたら、学園のエントランスの踊り場の階段から突き落とされる。骨折や打撲を覚悟してたシリルを抱き抱え助けたのは、隣国からの留学生で同じクラスに居る第2皇子殿下、ルシアン。シリルの家の侯爵家にホームステイしている友人でもある。シリルを突き落とした令嬢は「その人、悪役令嬢です!離れて殿下!」と叫び、ルシアンはシリルを「護るべきものだから、守った」といい始めーー
※この話は小説家になろうにも掲載しています。
婚約破棄を傍観していた令息は、部外者なのにキーパーソンでした
Cleyera
BL
貴族学院の交流の場である大広間で、一人の女子生徒を囲む四人の男子生徒たち
その中に第一王子が含まれていることが周囲を不安にさせ、王子の婚約者である令嬢は「その娼婦を側に置くことをおやめ下さい!」と訴える……ところを見ていた傍観者の話
:注意:
作者は素人です
傍観者視点の話
人(?)×人
安心安全の全年齢!だよ(´∀`*)
僕はただの平民なのに、やたら敵視されています
カシナシ
BL
僕はド田舎出身の定食屋の息子。貴族の学園に特待生枠で通っている。ちょっと光属性の魔法が使えるだけの平凡で善良な平民だ。
平民の肩身は狭いけれど、だんだん周りにも馴染んできた所。
真面目に勉強をしているだけなのに、何故か公爵令嬢に目をつけられてしまったようでーー?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる