人違いの婚約破棄って・・バカなのか?

相沢京

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第1話. 何でそうなった?

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「アリア、貴様との婚約を破棄しエリスと婚約することをここに宣言する!」







 ルーレン王国では王子の婚約式が行われようとしていた。城では着飾った貴族たちが王族が現れるのを今か今かと待ち構えていた最中、何の前触れもなく第一王子ゲイルが声を上げたのだ。



「………」



 名前を呼ばれたのはアリア。この国を支える公爵家の令嬢だ。


「婚約破棄?何をおっしゃっているのかわかりません……」


 首を傾げながらも顔色を変えずにそれを否定する。
 だが、ゲイル王子のこの行動に内心焦りにも似た感情が沸き上がっていた。

 会場にはこの国の貴族だけでなく隣国の大臣たちも招かれているというのに……。
婚約破棄騒動を起こすなんて正気の沙汰とは思えなかった。

 しかも、王子の隣には見慣れぬ令嬢が肩を抱かれてアリアを睨みつけている……。



「ええーいっ!白を切るつもりかっ!」


 ここでため息をつきたいところだが、そうすれば益々収集がつかなくなる。
賓客がいる中できればそれは回避したいところだが…。

 ゲイル王子はそんなことにも気づかず醜態をさらしていく。


「貴様、学園でエリスをいじめたであろう?」

「……は?……いじめ?この私が?」



 突拍子もないことを言われてアリアは驚きそして呆れる。

なぜ私が見知らぬ令嬢をいじめなければならないのか理解に苦しむという顔だ。


「ご冗談を……?」


 バカバカしいと思いながら、ついうっかり声に出してしまったようで、それが気に障ったようだ。


「貴様!バカにしているのかっ!」

「バカにしているのは殿下では?」

「何だと?」

「私はその方と初めてお会いしたのですが?」

「はっ?」

「う、嘘です!騙されないでください!」



 慌てて取り繕うエリス嬢にイラッとして睨みつけると、マズイと思ったのかゲイル王子の後に隠れる。

その行動が益々許せななくて、イラつく。

 久しぶりに祖国に戻ったと思えばなぜこんな茶番に付き合わされなければならないのか?

 婚約破棄!いじめ!冗談ではない!

睨み合いが続く中アリアの苛立ちのボルテージはゆっくりですが確実に上がっていった。






 この睨み合いを少し離れているところから見ていたオレは動揺していた。

普段は食せない料理に目が行ってふらふらしていたためこの騒動に気がつくのが遅れたのだ。



「一体何がどうなってんだ?」


 訳が分からすうろうろしていると、貴族たちの話が耳に入って来た。



「アリア様が婚約者だったとは驚きですわね?」

「ええ、でも婚約破棄されるとは……」

「でも、確かアリア様にはほかに婚約者がおられませんでしか?」

「そうなんですの?」

「なら、どうしてこのような騒ぎに?」

「それにあのエリス様って確か最近男爵の爵位をさずかった家ではありませんでしたか?」

「ええ、そう聞いておりますわ」

「しかし殿下もなぜこの場で婚約破棄などを?」

「これではあまりにもアリア様がかわいそうではないですか?」

「婚約披露パーティーが台無しですわね?」

「本当に…あ、でも陛下はご存知なのかしら?」





 はあ?

 何でこんな騒ぎになっている?

 姉上に婚約破棄などありえないだろう!




 姉上の傍に行かなくてはと食べかけの料理を置いて駆けつけようとするが、注目の的になってるため野次馬が集まって中々近寄れない。

 焦るオレに追い打ちをかけたのはエリス譲の金切り声だった。





「私を階段から突き落としたでしょう―――っ!!」





 そのエリスの声はごった返した会場全体によく響いた。


「殿下と仲良くしていたのが気に入らなかったのでしょう?嫉妬するなんて見苦しいですね」


 これでもかと得意げに言葉を告げるエリスに姉上の目つきが変わった。
 あ、あれはキレる寸前だ。


「ふん、全くだ!」

 ゲイル王子もそれに同調する。


 だああああ―――っ!!何てバカはことをおおおおっ!!!!


バキッ!―――


 それは姉上が持っていた扇がへし折れる音だった。


「いい加減にしれくれませんかっ!いくら殿下でもこれ以上私を侮辱するのは許しませんよ…」




 この言葉でオレはもう取り返しがつかないことを察したのだった。

















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