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3-4.意外な依頼者
しおりを挟むここまで来て何で親父にバカにされなきゃいけねえんだよっ!
ムカついて自然と眉間にしわが寄る。
王子も陛下もオレをじーっと見ているのが居心地が悪い。
「あ、あの・・」
「何だよっ!」
「アルト様のレベルは150というのは確かですか?」
「だったらなんだよ」
「そ、その・・私たちの一般的なレベルは30~50です。それが・・150だなんて・・」
「―――はっ?」
今なんて言った『一般的なレベルが30~50』と、言わなかったか?
「まさか、そんなわけ・・」
「いや、本当だ。我が国の王宮魔術師でも精々100だ。」
「ええ――っ!!」
「つまりお前のレベルが高くて魔王のレベルを追い越してたということか?」
「だから、弱かった、と・・」
「ウソ――だろ?」
だってオレらのギルドは平均100はあった。なのに王都では30~50って低くないか。何が原因なんだ?
「もしかして、王都ではレベル上げしないのか?」
「・・・しませんね」
三人が顔を見合わせて呟く。
「そういうことか・・・」
「どういうことです?」
「つまり、オレたちは辺境で毎日魔物の討伐をしているからレベルが上がっていく。だが、王都ではそれがない。だからこんな差があるんだよ・・」
理由がわかってなんともいえない気分だ。つまりオレは本当に魔王と四天王を倒したってことだ。
しかし、あれが魔王だったとは・・手ごたえのない奴だったな。瞬殺だったし・・四天王はデコピンをしたら山に突っ込んで潰れたし・・・何かな~物足りない・・でもそれもどうでもいい。今はとにかくここから逃げたい。というか逃げようっ!
「まあ、そういうことだから・・・」
手を振って帰ろうとしたら陛下に呼び止められた。
「待て!まだ話は終わっておらぬ」
ちっ!覚えていたか・・忘れてくれたらよかったのに・・王子と結婚なんてしねえぞ!
「これで堂々と結婚できるな」
「はいっ!」
イヤイヤイヤ、しねえよっ!
「お断りします」
「何故ですかっ?」
「何故って、オレは女の子と結婚したいの」
「女の子、と?」
「そうだよ。王子もこんなおっさんとじゃなくてかわいい令嬢と結婚するべきだと思うけど・・・同性同士じゃ子供ができねえし・・」
断られると思っていなかったのか王子の様子が見る見るうちにしぼんでいくのがわかった。
ああ――っ、何でそんなにオレにこだわるんだよ?
「大丈夫だアーサー。例のものがある」
「あ、そうでした」
んん・・?例の物ってなんだ?
二人だけで話を進めていることに不安を感じるアルトだった。
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