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再会そして
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当日は何も起こらず猫に鈴が鳴ったのを確認したのは翌日の早朝である
「よし、連絡が来たぞ」
「なんて言ってるの?」
「言ってはいない、指輪が発動された、北に二百キロくらいの位置じゃ」
「分った」
「無論急ぐが、あくまで隠密でじゃ、気配に注意を払え」
「オッケー」と一同は目的地へ向かった
一方、鈴を鳴らした側の妲己は、このタイミングで鳴らした事にも勿論そうする理由がある。円らと戦って逃れた後、8時間後の早朝5時、救出した妲己を伴ないイコは北に移動したが明らかに集中力を乱し、精神的にもイラついていたからだ
「どうした?調子悪そうだな」
「‥それもある、分身で奴らを誘き出してお前を救出したまでは予定通りだが、分身の方が致命的被弾をしたのが不味かった‥」
「ん?、あれはお前もダメージを食らうのか?」
「ああ‥分身の被弾の深度に寄ってこっちの体力も削られる、それだけに「分身」とバレないがデメリットも大きい」
「ふむ‥、ならとりあえず、そっちの世界に帰ったらどうだ、あるいは、ジャンを呼べばいい」
「‥今の状態では跳躍も負担がデカイし無理だな、精精、別の国に飛べるかどうかくらいだ何しろ、魔力を使いすぎた」
「そうか」
「ジャンの方は、呼んではいるのだが応答がない、どこをほっつき歩いているのやら」
「まあ、元々そういう奴だしな、仕方無い」
「俺の直接の使徒ではないからな、強制もできん」
「で?どうする?」
「動けん事もないが、戦闘の類は無理だ、このまま暫く休む。身体の方は兎も角、魔力の方は回復させぬと魔界に戻る事も出来ん貴様は俺の護衛を頼む」
「期間は?」
「2,3日すれば回復する、その辺りだな」
「分った‥それならもう少し山林に入ろう、姿を隠した方がいい、正直、仙人の方は兎も角、半魔の小娘の方は止める自信がない、いざと成ったら姿を隠せる、逃げやすい場所がいい」
「やむを得ないか‥」
そうして、両者は徒歩で自然の中に紛れる鈴を鳴らした、のはこの時点である。タイミング的にもこれ以上の機会は無いだろう
円ら3人がこの現場付近に辿り着いたのが午前八時、円とヤオは気配と気を消して様子を探りながら進む、フィルはそういった技術は持っていないが、元々相手側に探知される懸念はない、生物としての気も妖気の類も微かにしか発しないからだ
「少し様子を見る、声を投げてみる」
「状況が不確定だからね」
「左様」
とヤオは集中して伝心を試みるがゴーサインも直ぐに伝えられる、ここで円らも前進を早め、即妲己の元へ走った
これに遅れてイコも円らに気づく、ここまで近づけば、如何に疲弊していると言っても気取られる
「チッ‥、誰か来るな」
「使徒の連中か?」
「分らん、が、おそらくそうだろう」
「どうする?」
「貴様は時間を稼げ、俺は逃れるしかない、少々無理が掛かるが転移する、中国本土から離れる程度の距離なら飛べるだろう」
「ま、いいだろう」
とお互い交してイコが振り返った瞬間。彼は背中に強烈な痛感を受けて、背中を仰け反らせながら地に前から倒れ、膝を付いた
「グア!、何だ!?」
まるで熱湯でもかけられたかの様な強烈な熱さ
そして背中から首筋の範囲で白煙が挙がる
「妲己!?‥キサマ‥!」
そう振り返って見た彼女の左手に小さな空き瓶。事前にヤオから預かった「聖水」である、これを後ろを見せた途端、浴びせかけた。
作るのは現代でも簡単だ、精製した水と塩、洗礼を掛けて密封すれば良い、特にヤオが作った物で「洗礼」の部分が神父がやるのと比較にならない
効果はご覧の通り、強烈な火傷の様な症状を起こさせるが、もっと下種の魔物なら死ぬ事もある程、強烈だ。
「キサマ!裏切ったか!!」
そう言われて寧ろ、愉快だった、妲己は獰猛な笑みを浮べ、思いっきり見下して言い放った
「私は何時からお前の仲間になった?人質を取られて「脅迫」されていただけだ」
イコも妲己に即座、飛び掛ろうとしたが身体を前に乗り出した途端閃光が走り、左の羽を切り落とされる、立て続けに正面から左膝を細剣で突き刺される
「グギャ!」と声を挙げて足から、前に崩れる
「俺が死んだらキサマの子も諸共だぞ!!分っているのか!?」
「だから致命傷に成らない所を刺してやってるだろ?それとも自殺でもするか?お前には出来まい「下っ端」君」
「や、止めろ!!」と右手を出して制しようとするがその手にも剣を突き立てられる
「こうなっちゃ御仕舞いだね、アンタも」
「グウウ‥許さん、許さんぞ!!全員纏めて殺してやる!!」
イコは何か最後にやろうとした、取って置きの策か術か、何かあったのだろう
だが、それを見る事は無かった。前に飛び出した瞬間、後ろに引っ張られる様に吹っ飛んで止められたからだ
当人にも何か直ぐ分った
そして最後の断末魔の悲鳴を聞いた
「い、嫌だぁぁああ、助‥!」と
そのまま掃除機で吸い取られる様に珠に封印される
「愚か者め、妲己に気を取られ過ぎじゃ」
と背後から現れたヤオに
こうして一連の作戦は略予定通り終ったのである
ヤオは一向を元の借り家に戻し、自身は其の足で「上」へ戻った、何れにしろ、もう一つの目的「人質の救出」は直ぐ出来ないという事だ
「結果」が出たのが五日後、ヤオは律儀に玄関から戻って、だが結果報告は成されなかった、一目瞭然だから、自身と同じくらいの年齢の男の子と手を繋いで現れたからだ
妲己も見た瞬間、駆け出し彼に抱きついた
「紫陽!」と
が、当の息子はちょっと戸惑っていた様だ、それにも勿論事情がある、一旦落ち着くまで待って卓を囲んでヤオが説明した
「封印されている間の記憶は無いらしい」
「え?」
「つまり、仮死状態、眠っているに近い状態に置かれている」
要するに妲己には数世紀振りの再会だが、子の方は間の記憶は無い、昨日の事という感覚だ
「別に構わないさ」
「そじゃな、お主が如何に大事に思っていたか、だけじゃ」
「‥ええ」
「ま、何にしても良かったわね」
「色々、迷惑を掛けた」
「事情が事情だからね、仕方無い、それに、結果的にはこちらにもメリットは大きかった」
親子はそのまま一晩過ごし、翌朝には発つ事になった
円とヤオも中途まで同行し、安全を確認して見送った
「もういいのかの?」
「ええ、あまり長居しても離れ難くなる」
「かもね」
「何と言っていいか‥有難うしか言えないわ」
「ウム、親子共々元気でな」
ヤオにそう言われ、妲己も言葉に詰った
「ああ、そうだ‥、指輪を預かったままだ」
「いや、持って行くがいい」
「良いのか?」
「もう、無いとは思うが、先どうなるかは分らん。ウチが言うのもなんだが、確定された未来というのも無い、また、お主を利用しようとする者が出ないとも限らん」
「成る程」
「なんらかの干渉、危機があれば使うが良い、ウチらも力を貸す」
言葉で返さず、頷いて返答し子供を抱き抱えて背を向けた
「世話に成ったな、また‥」
「ウム」と別れた
暫く円らも見送って後、ボソっと円は呟いた
「なんだかコレで終った感じもしないわね」
「まあ、そりゃそうじゃろ、ウチらはまた一つ取り除いただけじゃ、まだまだ続く」
「で、妲己の事だけどさ」
「うん?」
「確定された未来ではない、とは?相手側、ジャンも言ってたけど、もう彼女は安心なのでは?」
「だとは思うが、一応じゃ。ウチはそこまで遠くまでは見えないし、予知も変わる事もあるよ」
「そっか」
「それにじゃ。もう妲己と争うのも御免じゃ、そうなる要素も成るべく潰して置きたい、保険じゃな」
「それは同感だわ‥」
「で~、歴史の方は?」
「ウム、あのイコって奴を潰した事でその後の歴史の方の干渉予想予知も纏めて消えた、まあ、暫くは平和じゃろ「ウチらは」だが」
「世の方は、そうはいかなそうね」
「まあの、何しろあの皇帝じゃからな」
「うーん、成都方面に戻ろうかしら」
「構わんと思う、どうせ中央は荒れるじゃろうし、余計な事に巻き込まれても敵わん」
「ええ」
として円らも一旦首都の借り家に戻り、その後、再び成都へ戻る事になる
そう、終ったと云っても「この件は」というだけの事だ、彼女らの使徒としての戦いはこれからも続く。だから気持ちを切り替え、今の束の間の平穏を甘受するのである
同じ頃、同じ中国本土のとある宿でまた別の者が一件の感想を述べた
「中々、面白いモノが見れたな‥」
「そうだな、だが分っていた事だ、それにオレの目的は仙人の方だけさ」
「ふむ、ハーフの方も強いぞ?」
「戦いとはあくまで互角に近くなければ面白くない」
「ワシにはよく分らんが、まあ、ジャンがそう言うならそうなんだろう」
「所で、クレセール、20の代わりは誰がやる?」
「さあ?ワシが決める訳ではないし関知する所でもない、役割が違うからの‥」
「そうか」
「お主はこのまま好きにしていろ」
「いいのかね」
「構わん、お前はほっといても勝手に強く成るからな、実に楽でいい‥精精、向こうの使徒とやりあって高めれば良いさ、だが、死ぬのは許さんぞ」
「そのつもりだ」
そこでクレセールも席を立ち、フラフラしながら外に歩いて出ていった
「ああ‥眠い‥太陽が眩しい‥」とブツブツ云いながら彼女も去った
「よし、連絡が来たぞ」
「なんて言ってるの?」
「言ってはいない、指輪が発動された、北に二百キロくらいの位置じゃ」
「分った」
「無論急ぐが、あくまで隠密でじゃ、気配に注意を払え」
「オッケー」と一同は目的地へ向かった
一方、鈴を鳴らした側の妲己は、このタイミングで鳴らした事にも勿論そうする理由がある。円らと戦って逃れた後、8時間後の早朝5時、救出した妲己を伴ないイコは北に移動したが明らかに集中力を乱し、精神的にもイラついていたからだ
「どうした?調子悪そうだな」
「‥それもある、分身で奴らを誘き出してお前を救出したまでは予定通りだが、分身の方が致命的被弾をしたのが不味かった‥」
「ん?、あれはお前もダメージを食らうのか?」
「ああ‥分身の被弾の深度に寄ってこっちの体力も削られる、それだけに「分身」とバレないがデメリットも大きい」
「ふむ‥、ならとりあえず、そっちの世界に帰ったらどうだ、あるいは、ジャンを呼べばいい」
「‥今の状態では跳躍も負担がデカイし無理だな、精精、別の国に飛べるかどうかくらいだ何しろ、魔力を使いすぎた」
「そうか」
「ジャンの方は、呼んではいるのだが応答がない、どこをほっつき歩いているのやら」
「まあ、元々そういう奴だしな、仕方無い」
「俺の直接の使徒ではないからな、強制もできん」
「で?どうする?」
「動けん事もないが、戦闘の類は無理だ、このまま暫く休む。身体の方は兎も角、魔力の方は回復させぬと魔界に戻る事も出来ん貴様は俺の護衛を頼む」
「期間は?」
「2,3日すれば回復する、その辺りだな」
「分った‥それならもう少し山林に入ろう、姿を隠した方がいい、正直、仙人の方は兎も角、半魔の小娘の方は止める自信がない、いざと成ったら姿を隠せる、逃げやすい場所がいい」
「やむを得ないか‥」
そうして、両者は徒歩で自然の中に紛れる鈴を鳴らした、のはこの時点である。タイミング的にもこれ以上の機会は無いだろう
円ら3人がこの現場付近に辿り着いたのが午前八時、円とヤオは気配と気を消して様子を探りながら進む、フィルはそういった技術は持っていないが、元々相手側に探知される懸念はない、生物としての気も妖気の類も微かにしか発しないからだ
「少し様子を見る、声を投げてみる」
「状況が不確定だからね」
「左様」
とヤオは集中して伝心を試みるがゴーサインも直ぐに伝えられる、ここで円らも前進を早め、即妲己の元へ走った
これに遅れてイコも円らに気づく、ここまで近づけば、如何に疲弊していると言っても気取られる
「チッ‥、誰か来るな」
「使徒の連中か?」
「分らん、が、おそらくそうだろう」
「どうする?」
「貴様は時間を稼げ、俺は逃れるしかない、少々無理が掛かるが転移する、中国本土から離れる程度の距離なら飛べるだろう」
「ま、いいだろう」
とお互い交してイコが振り返った瞬間。彼は背中に強烈な痛感を受けて、背中を仰け反らせながら地に前から倒れ、膝を付いた
「グア!、何だ!?」
まるで熱湯でもかけられたかの様な強烈な熱さ
そして背中から首筋の範囲で白煙が挙がる
「妲己!?‥キサマ‥!」
そう振り返って見た彼女の左手に小さな空き瓶。事前にヤオから預かった「聖水」である、これを後ろを見せた途端、浴びせかけた。
作るのは現代でも簡単だ、精製した水と塩、洗礼を掛けて密封すれば良い、特にヤオが作った物で「洗礼」の部分が神父がやるのと比較にならない
効果はご覧の通り、強烈な火傷の様な症状を起こさせるが、もっと下種の魔物なら死ぬ事もある程、強烈だ。
「キサマ!裏切ったか!!」
そう言われて寧ろ、愉快だった、妲己は獰猛な笑みを浮べ、思いっきり見下して言い放った
「私は何時からお前の仲間になった?人質を取られて「脅迫」されていただけだ」
イコも妲己に即座、飛び掛ろうとしたが身体を前に乗り出した途端閃光が走り、左の羽を切り落とされる、立て続けに正面から左膝を細剣で突き刺される
「グギャ!」と声を挙げて足から、前に崩れる
「俺が死んだらキサマの子も諸共だぞ!!分っているのか!?」
「だから致命傷に成らない所を刺してやってるだろ?それとも自殺でもするか?お前には出来まい「下っ端」君」
「や、止めろ!!」と右手を出して制しようとするがその手にも剣を突き立てられる
「こうなっちゃ御仕舞いだね、アンタも」
「グウウ‥許さん、許さんぞ!!全員纏めて殺してやる!!」
イコは何か最後にやろうとした、取って置きの策か術か、何かあったのだろう
だが、それを見る事は無かった。前に飛び出した瞬間、後ろに引っ張られる様に吹っ飛んで止められたからだ
当人にも何か直ぐ分った
そして最後の断末魔の悲鳴を聞いた
「い、嫌だぁぁああ、助‥!」と
そのまま掃除機で吸い取られる様に珠に封印される
「愚か者め、妲己に気を取られ過ぎじゃ」
と背後から現れたヤオに
こうして一連の作戦は略予定通り終ったのである
ヤオは一向を元の借り家に戻し、自身は其の足で「上」へ戻った、何れにしろ、もう一つの目的「人質の救出」は直ぐ出来ないという事だ
「結果」が出たのが五日後、ヤオは律儀に玄関から戻って、だが結果報告は成されなかった、一目瞭然だから、自身と同じくらいの年齢の男の子と手を繋いで現れたからだ
妲己も見た瞬間、駆け出し彼に抱きついた
「紫陽!」と
が、当の息子はちょっと戸惑っていた様だ、それにも勿論事情がある、一旦落ち着くまで待って卓を囲んでヤオが説明した
「封印されている間の記憶は無いらしい」
「え?」
「つまり、仮死状態、眠っているに近い状態に置かれている」
要するに妲己には数世紀振りの再会だが、子の方は間の記憶は無い、昨日の事という感覚だ
「別に構わないさ」
「そじゃな、お主が如何に大事に思っていたか、だけじゃ」
「‥ええ」
「ま、何にしても良かったわね」
「色々、迷惑を掛けた」
「事情が事情だからね、仕方無い、それに、結果的にはこちらにもメリットは大きかった」
親子はそのまま一晩過ごし、翌朝には発つ事になった
円とヤオも中途まで同行し、安全を確認して見送った
「もういいのかの?」
「ええ、あまり長居しても離れ難くなる」
「かもね」
「何と言っていいか‥有難うしか言えないわ」
「ウム、親子共々元気でな」
ヤオにそう言われ、妲己も言葉に詰った
「ああ、そうだ‥、指輪を預かったままだ」
「いや、持って行くがいい」
「良いのか?」
「もう、無いとは思うが、先どうなるかは分らん。ウチが言うのもなんだが、確定された未来というのも無い、また、お主を利用しようとする者が出ないとも限らん」
「成る程」
「なんらかの干渉、危機があれば使うが良い、ウチらも力を貸す」
言葉で返さず、頷いて返答し子供を抱き抱えて背を向けた
「世話に成ったな、また‥」
「ウム」と別れた
暫く円らも見送って後、ボソっと円は呟いた
「なんだかコレで終った感じもしないわね」
「まあ、そりゃそうじゃろ、ウチらはまた一つ取り除いただけじゃ、まだまだ続く」
「で、妲己の事だけどさ」
「うん?」
「確定された未来ではない、とは?相手側、ジャンも言ってたけど、もう彼女は安心なのでは?」
「だとは思うが、一応じゃ。ウチはそこまで遠くまでは見えないし、予知も変わる事もあるよ」
「そっか」
「それにじゃ。もう妲己と争うのも御免じゃ、そうなる要素も成るべく潰して置きたい、保険じゃな」
「それは同感だわ‥」
「で~、歴史の方は?」
「ウム、あのイコって奴を潰した事でその後の歴史の方の干渉予想予知も纏めて消えた、まあ、暫くは平和じゃろ「ウチらは」だが」
「世の方は、そうはいかなそうね」
「まあの、何しろあの皇帝じゃからな」
「うーん、成都方面に戻ろうかしら」
「構わんと思う、どうせ中央は荒れるじゃろうし、余計な事に巻き込まれても敵わん」
「ええ」
として円らも一旦首都の借り家に戻り、その後、再び成都へ戻る事になる
そう、終ったと云っても「この件は」というだけの事だ、彼女らの使徒としての戦いはこれからも続く。だから気持ちを切り替え、今の束の間の平穏を甘受するのである
同じ頃、同じ中国本土のとある宿でまた別の者が一件の感想を述べた
「中々、面白いモノが見れたな‥」
「そうだな、だが分っていた事だ、それにオレの目的は仙人の方だけさ」
「ふむ、ハーフの方も強いぞ?」
「戦いとはあくまで互角に近くなければ面白くない」
「ワシにはよく分らんが、まあ、ジャンがそう言うならそうなんだろう」
「所で、クレセール、20の代わりは誰がやる?」
「さあ?ワシが決める訳ではないし関知する所でもない、役割が違うからの‥」
「そうか」
「お主はこのまま好きにしていろ」
「いいのかね」
「構わん、お前はほっといても勝手に強く成るからな、実に楽でいい‥精精、向こうの使徒とやりあって高めれば良いさ、だが、死ぬのは許さんぞ」
「そのつもりだ」
そこでクレセールも席を立ち、フラフラしながら外に歩いて出ていった
「ああ‥眠い‥太陽が眩しい‥」とブツブツ云いながら彼女も去った
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