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三国時代
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エジプトの元々の借り家に戻ってこの一連の顛末を見守ったが「ヤオ」の言う通り時間が掛かった
ユダヤ側は一部信徒は逃走に成功しアフリカとシルクロード方面に逃れるが。徹底抗戦を残って行った側は、最悪の終り方をする
エルサレムを焼き尽くされた後マサダ要塞などに篭って篭城し、最後まで、仲間割れと交戦を続けるが翌年にはそのマサダ要塞も陥落、全滅。
ローマ側の徹底した兵糧攻めの挙句戦闘での死でなく、餓死と自殺が多く「一人も残らなかった」のである
エルサレムからマサダでの一連の死者は百万とも云われ、後半は略、一方的な粛滅戦のまま終り鎮圧されこの「第一次ユダヤ戦争」は一応の終結となった
ネロの死から4皇帝時代の最後を取ったウェスパシアヌから息子ら、フラウィウス朝時代に入るがこれも短期政権が続き、全て病死か暗殺で短い30年続かぬ王朝期に入るが、結局安定期にもならずだった
そして円の最初に思った疑問「暴君自体止めたらいいんじゃない?」もヤオの云った通りだった、ユダヤ側もローマ側も、数年で身内の反乱で潰える、そして次々、代わった者が出来た流れに乗り、拡大させただけだった。ヤオにはそれが分っていたのかも知れない
「愚の集団から頭を切った所で下の愚が再び愚を繰り返すだけ」とそれは円にも分った
「だって同じ事ばかりしている」だから
其の中に名士が居たとして、それに当るまで上を切っていたらキリがないのだ、そんな事を円やヤオがする必要すらないのである、円もヤオも「ずっと見てきた」のだから
そこで暫くまた生活した。大して事も無く、ヤオも地元料理に舌鼓を打って楽しそうだった
「この茶色のモワモワしたのは何だ?」
「フィリー、魚のフライよ」
「フライ??」
「衣つけて油で揚げたもの」
「ほ~、ふむ、中々美味いな」
「海川が直ぐだしね」
「ふむ、こっちの石版みたいのは何じゃ?」
「バスブーザ、ケーキね」
「ほう!これはまた甘い」
「そういうの好き?」
「うむ、見た目はアレじゃが味は良いの~蜂蜜かの?」
「の、ようね」
ヤオがデザートを頬張る姿は正に子供そのものである
「所でお主、今後は?」
「ん~‥ローマ王朝も一応収まったし習得すべきモノもそれなり得たし、私もシルクロードから戻ろうかな、とは」
「そうか、やっぱ中国かの?」
「暫くローマ周辺に居るわ、観光途中だし其の後はシルクロードにもう一回回る」
「そうか、では、ウチも一旦戻るか、確かに、人員不足やし」
「て云うか、ヤオ以外活動してる人は居ないの?」
「居るが、ウチがメインじゃ」
「なんで?」
「特殊能力じゃよ、ウチはこっちでこの役割をこなす上でそれら能力を全て持っている」
「それは?」
「時読み、資質見、道照らし、付与、回復、まあ、色々じゃ」
「なるほどねぇ」
「ま、そういう訳じゃ、また空ける」
「うん、わかった」
こうして再び、二人は別行動に移る。円はエジプトから再び西に出て宣言通りローマ帝国領を地中海中心に時計回りに観光し再びギリシアまで戻って、また南東へ向かう
ペルシャ周辺に着いたが、現地の状況があまり宜しくない、というのも中央アジア全体が荒れていた事である、月氏、匈奴等に覇権争いもしていたしインド側も北半分はクシャーナ朝成立からまだ不安定であった
この辺りからヒマラヤ山脈とシルクロードが隣接している為、結局、南は回らず、そのままシルクロード交易地に入った
そもそも円の場合「興味」の対象が中心で無理矢理紛争地や混乱地に入る必要も無い
ただ、比較すればだが明らかにローマ帝国のが内治で荒れたとは言え、状況は良かった感じは受けた
また暫く現地生活してアチコチから流れてくる書物の類を読んで生活したこの時期になると所謂「伝記」の類の書籍も出て来るようになり
古書と合わせて、中々貴重な物を目にする機会も多かった。結局そこから中国の最後に離れた成都付近に戻ったのはかなり後である
もう一つ、戻ったのも円自体が感じた事がある
「意外と西は戦いに結びつきそうなものが少ないな」という事。無い訳ではないがどちらかと云えば文、学、技術、芸術面の方だろう
その意味では、ローマ帝国は周辺が全て領地で。ヨーロッパとアフリカ側、アジア文化も入ってくるし交易の面でも、海が真ん中にあり回転が速く兎角退屈しない
これはシルクロードも同じ事情で物と人の出入りが激しく。円にしてみれば面白くはあるという事だ。実際、シルクロードから成都に戻った際、荷物は殆ど書籍に化けた
成都に戻った後、そこでも書物を集めて山に入った。中国に元々ある星読みと西洋占星術。占い等も始めた
それと同時、仙術をより高めようと内攻術中心と既存の今ある技術の部分の強化を行う、これは一時医者の真似事からの興味で始めて
「案外他人に掛ける術、技も使えるなぁ」と思った事だ
別にこれ以上強くなるとも思わないのだが。要は「暇」だっただけだ
再び街に下りた頃には結構年月が経っていたのだろう、書を地元で解放して、僅かな手持ち金に変えて、また中央に戻りながら転居しつつ医師の真似事を再開した
手持ち金がそれ程無いのと、案外商売的には有効だった。ついでに数をこなせば、またそこから新しい発想も出るかもしれないという所で、深い考えがあってとかではないが
もう一つが素顔隠しのお面から目隠しに変えた事、しかも「完全に」だ「目を塞ぐというのは、続けてみると逆に他の感覚が鋭くなるな」と感じた事、これも常にでは無いが、自己強化になりそうだと半々で始める、つまり仙術の察知とは違う部分でだ
「仙術の場合、二つ同時には術を使えない。気察を使わんで済むならそれはそれで有効だろう」程度だったが
成都から再び洛陽に戻る頃には気功医療と煎じ薬、占いの結果「盲目の仙女」等と厨二臭い噂が立つ程度に広まった。治療は内功術での治癒でそこそこ直せたし占いもそれなりに需要があった
ここから数年、やり過ぎ無い様に生活していたが。やはり内面の崩れから、表立ってはそうでもないが国が崩れ始まる
所謂、後漢末期の三国志の時代である
時の皇、和帝時代
皇帝の継母である太后。兄、竇憲に政治実権を握られていた若い皇帝はこれをよく思わず、実権を取り戻すため、宦官である「鄭衆」という人物を用いる
元々皇帝に対する忠誠心の高い、能力のある人物で太后に与する、権力者や、当時の大将軍竇憲の力を削ぎ、軍の実権を奪い帝に主軸を戻す事に成功し一旦は安定するが
和帝は宦官であった大興ある恩人とも云える鄭衆に任せる事になり、あらゆる面で彼もそれに応え当初は上手く行くが宦官を重用し過ぎた事に寄り、宦官が政治を主導し始め、腐敗が進む切っ掛けと成って行く
この鄭衆は有能で私心の無い人物で彼が居る間は、極めて安定した政治と成ったが問題はその後である
後、和帝が若くして30前に亡くなると息子の後見と補佐を勤めた后の一族との内部争いとなり、更に後も、続けて皇帝が早世した事もあり実権力の綱引きから、長期の腐敗が進む
宦官と官僚と皇の親族、親戚などの綱引きが激化し党錮の禁とうこのきん、という弾圧事件が始まる、名前の通り宦官を拘禁するというもので、宦官と清流派豪族との宮中権力争いにと発展する
ここで起こったのが所謂「黄巾の乱」で、元々は宗教と農民の一揆に近いものだった
主導した張角は太平清領書に基づく道教的な治病を行い大衆の信心掌握、政治色を濃くしていった太平道の数十万の信徒を軍組織化し、武装蜂起を計画、漢の転覆を暗示した
時の皇帝。霊帝は何進を大将軍とし、皇甫嵩等の進言によって党錮の禁を解き、官界から追放されていた流刑知識人が黄巾賊に合流するのを防ぎそれらを利用する
これら一連の事件は「一揆」であるように民衆側の政治腐敗に対する不満が元にあった、その為全体の規模が全国で大きく各地飛び飛びで起こった為混乱が大きかった、宗教を土台とした民衆反乱に近い為、参加数も無原則広がり、黄巾軍は総兵力100万近くあったからだ
逆に規模の割、反乱軍との戦は皇国軍が基本優位で先の皇甫嵩や抜擢された虞植らが黄巾軍を破り、鎮圧を繰り返した
この際、各地で起きた蜂起、争いから其々の州、土地でも、地方牧などの責任者が自衛の為軍閥化、自治軍等が生まれ、各地の軍力が強化し、武力を其々の州などが多く持ち割拠の切っ掛けともなっていった
「ま、関係ないし」と円も別に気にしなかった。相変わらず歴史上の「何時もの事」にしか見えないし、洛陽でひっそり、自分の事だけやってる分にはそれ程関わり無い。少々騒がしかったりしたが
この頃には本土も兵法書やらも多く、医師、占い師をしながら本を読んで楽しみ、余裕な生活だった、要は、個人の範囲なら別にどうでも良かった
ただ、知名度が高まっても、円は権力者や皇の類の面会、登用を一切受けなかった、面倒でしかないし、やはりこの時でも「多数の中の一人」でしかない、と考えて俗世からは一歩引いた立場を貫いた
この辺りの時代になると「断られても無理矢理手元に置く」という形も基本無い、その為、この対応で十分だったが
彼女自身は、それ以外の者、一般民や患者には寛容で金の無い相手からは診察料の類も取らなかった、つまるところ「権力側」には冷たくそうでない側には寛容だったのである
それが、彼女を高く見る評価にも繋がっているのだが、これも「素」である。最初の経過からこれまで見て分る通り基本的に困ってる人を何とかしてあげたい、という「心」それは全く変わらなかった
それともう一つが「仙女」である部分。迷惑な異名だが
「見た目が変わらない、年取らない」も仙術の師ならそういう事もあるかもしれない、と一般にも認知された事である
従って、洛陽に着いた後も、5,6年悠々自適に過ごしたが別に不審がられなかった、そういう物が「ある」と普通に思われていた時代だけに
相変わらず円は街を回って掘り出し物を探しては医療行為等行い粗末な借り家のまま過ごした
偶に外で何か食べるか、と出て店に入るが座った対面に最初から一緒だったように「ヤオ」が表れる
「おかえり」
「ただいま」
「結構長かったわね」
「うーん‥の、わりには何も得られんかったのう」
「そーなん?」
「うむ、中々新しい使徒とはいかんモノだ」
「分身してやったら?」
「精度が落ちる、ま、出来なくも無いか」
「ああ、特殊能力の力も落ちるのか‥」
「左様、だが確かに有効かもしれん、やってみるか」
「なるべく楽しないとね」
「しかし、円のは、ヘンテコ仮面より、そっちのがええの」
「云うと思った‥かっこいいと思うけど」
「どうみても怪しい、目隠しのがまだマシじゃな」
「一応、見えないし、これ」
「ふむ、それで日常おくれるのか」
「まあね」
「それより何食う?」
「あのさぁ‥」
結局そのままヤオは「肉食おう」と言ったので奮発して鳥揚げ、今で言う小さい北京ダックに近い物を頼んだ。と言っても皮食って、て云うモノでもなく丸揚げでちゃんと全部食える
「これまたひと際グロイの」
「タダ飯のくせに‥」
「別に払ってもいいがな、金塊の類ならあるぞ」
「まぁ、それはいいけど、戻ってきたからには仕事?」
「うむ、まあ、それも先の事だが」
「そ」
「うむ、結構美味い」
ヤオはそのまま円の借り家に居座った。先の「やってみるか」の通り、自分は円の所に居て、分身を実験的に放って、使徒とお役目、両方の探索を始める
本人は家で寝てるだけが多いがそれがずっと続く、とは成らなかった。それは中央、つまり円らの住んだ洛陽と全国、情勢の目まぐるしい変化である
黄巾の乱、討伐で名を上げた虞植が讒言にて退任、これの後任に地方の役職の者が収集され、董卓が任される
各地の反乱も連鎖的に続くが黄巾の乱や各地の乱も一先ず収まり、安定期に入ると思われた
ユダヤ側は一部信徒は逃走に成功しアフリカとシルクロード方面に逃れるが。徹底抗戦を残って行った側は、最悪の終り方をする
エルサレムを焼き尽くされた後マサダ要塞などに篭って篭城し、最後まで、仲間割れと交戦を続けるが翌年にはそのマサダ要塞も陥落、全滅。
ローマ側の徹底した兵糧攻めの挙句戦闘での死でなく、餓死と自殺が多く「一人も残らなかった」のである
エルサレムからマサダでの一連の死者は百万とも云われ、後半は略、一方的な粛滅戦のまま終り鎮圧されこの「第一次ユダヤ戦争」は一応の終結となった
ネロの死から4皇帝時代の最後を取ったウェスパシアヌから息子ら、フラウィウス朝時代に入るがこれも短期政権が続き、全て病死か暗殺で短い30年続かぬ王朝期に入るが、結局安定期にもならずだった
そして円の最初に思った疑問「暴君自体止めたらいいんじゃない?」もヤオの云った通りだった、ユダヤ側もローマ側も、数年で身内の反乱で潰える、そして次々、代わった者が出来た流れに乗り、拡大させただけだった。ヤオにはそれが分っていたのかも知れない
「愚の集団から頭を切った所で下の愚が再び愚を繰り返すだけ」とそれは円にも分った
「だって同じ事ばかりしている」だから
其の中に名士が居たとして、それに当るまで上を切っていたらキリがないのだ、そんな事を円やヤオがする必要すらないのである、円もヤオも「ずっと見てきた」のだから
そこで暫くまた生活した。大して事も無く、ヤオも地元料理に舌鼓を打って楽しそうだった
「この茶色のモワモワしたのは何だ?」
「フィリー、魚のフライよ」
「フライ??」
「衣つけて油で揚げたもの」
「ほ~、ふむ、中々美味いな」
「海川が直ぐだしね」
「ふむ、こっちの石版みたいのは何じゃ?」
「バスブーザ、ケーキね」
「ほう!これはまた甘い」
「そういうの好き?」
「うむ、見た目はアレじゃが味は良いの~蜂蜜かの?」
「の、ようね」
ヤオがデザートを頬張る姿は正に子供そのものである
「所でお主、今後は?」
「ん~‥ローマ王朝も一応収まったし習得すべきモノもそれなり得たし、私もシルクロードから戻ろうかな、とは」
「そうか、やっぱ中国かの?」
「暫くローマ周辺に居るわ、観光途中だし其の後はシルクロードにもう一回回る」
「そうか、では、ウチも一旦戻るか、確かに、人員不足やし」
「て云うか、ヤオ以外活動してる人は居ないの?」
「居るが、ウチがメインじゃ」
「なんで?」
「特殊能力じゃよ、ウチはこっちでこの役割をこなす上でそれら能力を全て持っている」
「それは?」
「時読み、資質見、道照らし、付与、回復、まあ、色々じゃ」
「なるほどねぇ」
「ま、そういう訳じゃ、また空ける」
「うん、わかった」
こうして再び、二人は別行動に移る。円はエジプトから再び西に出て宣言通りローマ帝国領を地中海中心に時計回りに観光し再びギリシアまで戻って、また南東へ向かう
ペルシャ周辺に着いたが、現地の状況があまり宜しくない、というのも中央アジア全体が荒れていた事である、月氏、匈奴等に覇権争いもしていたしインド側も北半分はクシャーナ朝成立からまだ不安定であった
この辺りからヒマラヤ山脈とシルクロードが隣接している為、結局、南は回らず、そのままシルクロード交易地に入った
そもそも円の場合「興味」の対象が中心で無理矢理紛争地や混乱地に入る必要も無い
ただ、比較すればだが明らかにローマ帝国のが内治で荒れたとは言え、状況は良かった感じは受けた
また暫く現地生活してアチコチから流れてくる書物の類を読んで生活したこの時期になると所謂「伝記」の類の書籍も出て来るようになり
古書と合わせて、中々貴重な物を目にする機会も多かった。結局そこから中国の最後に離れた成都付近に戻ったのはかなり後である
もう一つ、戻ったのも円自体が感じた事がある
「意外と西は戦いに結びつきそうなものが少ないな」という事。無い訳ではないがどちらかと云えば文、学、技術、芸術面の方だろう
その意味では、ローマ帝国は周辺が全て領地で。ヨーロッパとアフリカ側、アジア文化も入ってくるし交易の面でも、海が真ん中にあり回転が速く兎角退屈しない
これはシルクロードも同じ事情で物と人の出入りが激しく。円にしてみれば面白くはあるという事だ。実際、シルクロードから成都に戻った際、荷物は殆ど書籍に化けた
成都に戻った後、そこでも書物を集めて山に入った。中国に元々ある星読みと西洋占星術。占い等も始めた
それと同時、仙術をより高めようと内攻術中心と既存の今ある技術の部分の強化を行う、これは一時医者の真似事からの興味で始めて
「案外他人に掛ける術、技も使えるなぁ」と思った事だ
別にこれ以上強くなるとも思わないのだが。要は「暇」だっただけだ
再び街に下りた頃には結構年月が経っていたのだろう、書を地元で解放して、僅かな手持ち金に変えて、また中央に戻りながら転居しつつ医師の真似事を再開した
手持ち金がそれ程無いのと、案外商売的には有効だった。ついでに数をこなせば、またそこから新しい発想も出るかもしれないという所で、深い考えがあってとかではないが
もう一つが素顔隠しのお面から目隠しに変えた事、しかも「完全に」だ「目を塞ぐというのは、続けてみると逆に他の感覚が鋭くなるな」と感じた事、これも常にでは無いが、自己強化になりそうだと半々で始める、つまり仙術の察知とは違う部分でだ
「仙術の場合、二つ同時には術を使えない。気察を使わんで済むならそれはそれで有効だろう」程度だったが
成都から再び洛陽に戻る頃には気功医療と煎じ薬、占いの結果「盲目の仙女」等と厨二臭い噂が立つ程度に広まった。治療は内功術での治癒でそこそこ直せたし占いもそれなりに需要があった
ここから数年、やり過ぎ無い様に生活していたが。やはり内面の崩れから、表立ってはそうでもないが国が崩れ始まる
所謂、後漢末期の三国志の時代である
時の皇、和帝時代
皇帝の継母である太后。兄、竇憲に政治実権を握られていた若い皇帝はこれをよく思わず、実権を取り戻すため、宦官である「鄭衆」という人物を用いる
元々皇帝に対する忠誠心の高い、能力のある人物で太后に与する、権力者や、当時の大将軍竇憲の力を削ぎ、軍の実権を奪い帝に主軸を戻す事に成功し一旦は安定するが
和帝は宦官であった大興ある恩人とも云える鄭衆に任せる事になり、あらゆる面で彼もそれに応え当初は上手く行くが宦官を重用し過ぎた事に寄り、宦官が政治を主導し始め、腐敗が進む切っ掛けと成って行く
この鄭衆は有能で私心の無い人物で彼が居る間は、極めて安定した政治と成ったが問題はその後である
後、和帝が若くして30前に亡くなると息子の後見と補佐を勤めた后の一族との内部争いとなり、更に後も、続けて皇帝が早世した事もあり実権力の綱引きから、長期の腐敗が進む
宦官と官僚と皇の親族、親戚などの綱引きが激化し党錮の禁とうこのきん、という弾圧事件が始まる、名前の通り宦官を拘禁するというもので、宦官と清流派豪族との宮中権力争いにと発展する
ここで起こったのが所謂「黄巾の乱」で、元々は宗教と農民の一揆に近いものだった
主導した張角は太平清領書に基づく道教的な治病を行い大衆の信心掌握、政治色を濃くしていった太平道の数十万の信徒を軍組織化し、武装蜂起を計画、漢の転覆を暗示した
時の皇帝。霊帝は何進を大将軍とし、皇甫嵩等の進言によって党錮の禁を解き、官界から追放されていた流刑知識人が黄巾賊に合流するのを防ぎそれらを利用する
これら一連の事件は「一揆」であるように民衆側の政治腐敗に対する不満が元にあった、その為全体の規模が全国で大きく各地飛び飛びで起こった為混乱が大きかった、宗教を土台とした民衆反乱に近い為、参加数も無原則広がり、黄巾軍は総兵力100万近くあったからだ
逆に規模の割、反乱軍との戦は皇国軍が基本優位で先の皇甫嵩や抜擢された虞植らが黄巾軍を破り、鎮圧を繰り返した
この際、各地で起きた蜂起、争いから其々の州、土地でも、地方牧などの責任者が自衛の為軍閥化、自治軍等が生まれ、各地の軍力が強化し、武力を其々の州などが多く持ち割拠の切っ掛けともなっていった
「ま、関係ないし」と円も別に気にしなかった。相変わらず歴史上の「何時もの事」にしか見えないし、洛陽でひっそり、自分の事だけやってる分にはそれ程関わり無い。少々騒がしかったりしたが
この頃には本土も兵法書やらも多く、医師、占い師をしながら本を読んで楽しみ、余裕な生活だった、要は、個人の範囲なら別にどうでも良かった
ただ、知名度が高まっても、円は権力者や皇の類の面会、登用を一切受けなかった、面倒でしかないし、やはりこの時でも「多数の中の一人」でしかない、と考えて俗世からは一歩引いた立場を貫いた
この辺りの時代になると「断られても無理矢理手元に置く」という形も基本無い、その為、この対応で十分だったが
彼女自身は、それ以外の者、一般民や患者には寛容で金の無い相手からは診察料の類も取らなかった、つまるところ「権力側」には冷たくそうでない側には寛容だったのである
それが、彼女を高く見る評価にも繋がっているのだが、これも「素」である。最初の経過からこれまで見て分る通り基本的に困ってる人を何とかしてあげたい、という「心」それは全く変わらなかった
それともう一つが「仙女」である部分。迷惑な異名だが
「見た目が変わらない、年取らない」も仙術の師ならそういう事もあるかもしれない、と一般にも認知された事である
従って、洛陽に着いた後も、5,6年悠々自適に過ごしたが別に不審がられなかった、そういう物が「ある」と普通に思われていた時代だけに
相変わらず円は街を回って掘り出し物を探しては医療行為等行い粗末な借り家のまま過ごした
偶に外で何か食べるか、と出て店に入るが座った対面に最初から一緒だったように「ヤオ」が表れる
「おかえり」
「ただいま」
「結構長かったわね」
「うーん‥の、わりには何も得られんかったのう」
「そーなん?」
「うむ、中々新しい使徒とはいかんモノだ」
「分身してやったら?」
「精度が落ちる、ま、出来なくも無いか」
「ああ、特殊能力の力も落ちるのか‥」
「左様、だが確かに有効かもしれん、やってみるか」
「なるべく楽しないとね」
「しかし、円のは、ヘンテコ仮面より、そっちのがええの」
「云うと思った‥かっこいいと思うけど」
「どうみても怪しい、目隠しのがまだマシじゃな」
「一応、見えないし、これ」
「ふむ、それで日常おくれるのか」
「まあね」
「それより何食う?」
「あのさぁ‥」
結局そのままヤオは「肉食おう」と言ったので奮発して鳥揚げ、今で言う小さい北京ダックに近い物を頼んだ。と言っても皮食って、て云うモノでもなく丸揚げでちゃんと全部食える
「これまたひと際グロイの」
「タダ飯のくせに‥」
「別に払ってもいいがな、金塊の類ならあるぞ」
「まぁ、それはいいけど、戻ってきたからには仕事?」
「うむ、まあ、それも先の事だが」
「そ」
「うむ、結構美味い」
ヤオはそのまま円の借り家に居座った。先の「やってみるか」の通り、自分は円の所に居て、分身を実験的に放って、使徒とお役目、両方の探索を始める
本人は家で寝てるだけが多いがそれがずっと続く、とは成らなかった。それは中央、つまり円らの住んだ洛陽と全国、情勢の目まぐるしい変化である
黄巾の乱、討伐で名を上げた虞植が讒言にて退任、これの後任に地方の役職の者が収集され、董卓が任される
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恩地玖
歴史・時代
浅井家の配下である脇坂家は、永禄11年に勃発した観音寺合戦に、織田・浅井連合軍の一隊として参戦する。この戦を何とか生き延びた安治は、浅井家を見限り、織田方につくことを決めた。そんな折、羽柴秀吉が人を集めているという話を聞きつけ、早速、秀吉の元に向かい、秀吉から温かく迎えられる。
こうして、秀吉の家臣となった安治は、幾多の困難を乗り越えて、ついには淡路三万石の大名にまで出世する。
しかし、秀吉亡き後、石田三成と徳川家康の対立が決定的となった。秀吉からの恩に報い、石田方につくか、秀吉子飼いの武将が従った徳川方につくか、安治は決断を迫られることになる。
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