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一旦ローマ市に戻った後、先の宣言通り地中海を中心にある、帝国の領土観光して回る事にした。このローマ帝国領土は真ん中の海を中心としたもので海上交易がメインで海自体が道に近い
その為、各国の物産、書、芸術品が多く集まり、別に移動しながら国を変えながらで無くても知ると見るは出来る状況にあった
一旦ローマに滞在したが、そこである商品を見かけて幾つか購入した、それを宿に戻って眺めて思い立った
「そうだ、素顔が分らなきゃいんだ」そう閃いた
円が購入したのは金属製「仮面」である、目の周りから額までを覆う、今で言う仮面舞踏会で使われるような物の金属芸術品
これを改良して付ければ「お仕事」の際もどういう行動を取って見られても態々毎度「ヤオ」に記憶を消してもらう必要も薄いし自身が自由行動時も「謎の人」で誤魔化せると思った
そこで本来「芸術品」であるこの仮面の幾つかを職人に依頼して改造し、より顔にフィットして外れない様に尚且つ邪魔にならない様に、目立たない様にしてもらう
一週間後にそれを受け取って再び宿に戻って
装備して鏡で確認するが‥
「かっこいいじゃん!」と思った「円」はだが
元々金メッキなのを削って真鋳やくすんだ銀に変えて、ド派手なのを灰色とかグレーに近い物し、結構分厚い物だったので、これも削って薄くする
サイズも顔半分覆う程デカイのでこれも眉の上から目の下まで等色々変える、今で言うキャッツアイサングラスやゴーグルに近いサイズ等様々作り、微妙なデザイン違いを幾つか用意する
視界穴もあり、視野が狭まる事も多少あるが、円には別に問題ない、そもそも既に目隠ししても戦える程の察知術があるし目を瞑っても日常生活すら送れる。
もっと極端に言えば、目隠し、等して顔を隠しつつ「目が不自由」という設定で生活しても別にやろうと思えば出来る
故にローマ市を出て東周りで移動しながらも、それら「素顔」を隠す工夫を色々現地の生産品から思いつき試して増やした
一つ「目隠し」布が薄く隙間があり、付けても透けて風景が見える程度の布を実際試しながら用意する
もう一つが「化粧」。今の様な物では無く。自然や地方部族のしているペイントの類、元々大昔から、クレオパトラも目の周りにエメラルドをまぶして使っていたし中国にも朱色を基調としたメイクがある
これをするだけでもかなり素顔を誤魔化せるし、印象も違う為有効だと思った
これら「仮面」「目隠しマスク」「化粧」を変えながら髪型と名前を操れば、まず、戸籍、記録が無ければ書にも残らないし、残っても「謎の人」で済むと考えた、そもそも日常では適当な偽名だ
実際思いつきに近いのだが、これは上手く行く事になる、大多数の人間の中の一人等、其の程度でも誤魔化せる記憶など割り合い、いい加減なものだから
そうして円はそのままローマ領土を「普通」に移動して生活した、正し何時もの「武芸」「業」の部分での目新しい物は無く交易品や美術品と書で得られる物が中心で実質的に、「自身の糧」の部分は無い
円の最大の趣味目的は自身がどう思っているかは別にして、結局の所、そこに集約されると云える修練、蓄積、膨大な時間があり暇なのもあるが
ここで円が各地で得た情報から向かったのが「エルサレム」聖地である。これは別に深い理由があった訳でもなく「趣味」の部分
「武は無いぽいけど学、教はあるな」という事、ここへ「覆面の僧」として紛れ込んだ
これは先のローマ、キリスト弾圧事件と同じく左程苦労しない、何しろ円も、使徒なのは別にしても、個人の範囲でも宗教僧に近くあり詳しい為だ
もう一つの理由は「武」が求められている当時の状況にあった、要は「不穏」だったのである
潜入した円もエルサレムの都市に住み着いた、ここで、再び家を借りて、語学と書を読み耽る
これも偶然だが、ローマ帝国の領土の一角でもあり首都は非常に住みやすい、周り城壁もあり、其の中に都市がある人も多く、物も多い、ついでに比較的裕福
「これは面白い」と円も思った
ここで暫く過ごすのだが、これも偶然「仕事」が発掘されるもう、それなりに目立っても別に「謎の人」なので動けるのもあったが
街で相変わらず、掘り出し物を巡って店を見て歩いたのだが、そこで「女と子供」が泣いて騒いで医療施設に入った
「何事だ?」と人だかりの中をのぞくが小さい男の子が腹を押さえてどうしていいか分らず母も泣いていた
円には分かる
近所の店から材料を調達して医療施設に入った
診断で直ぐ「中毒」と分かった。滞在医者も「毒」の類なのは分るがどうしていいかイマイチ分らずで円が「余計なお世話」をした
「食ったのは何時だ?」
「え?‥朝だけです」
「其の前は?」
「昨日の夕方前‥」
桶を用意して、子供をひっくり返して体に少しを勁を流し吐き出させる。胃の中身を出させて空に成った所を寝かせて塩水を流し飲ませ、再び消毒洗浄して洗う
落ち着いた所で先ほど調達した葉、実から漢方を煎じて飲ませ最後に気功で子供を失神させて痛みを飛ばす
「半日で目を覚ます、このまま寝かせて置け。食い物に当ったんだ、家に在る食物を火を通せ」と指示して帰った
そして「余計なお世話」の結果か噂になった街を歩いても、店を回っても、家で寝てても人が見に来る様に成った。先の事情から「病人」を見た事も無い手法で直した「奇跡だ」と宗教関係者が殆どだが
「余計な事しなきゃ良かった‥」と今更後悔した
が、結局そのまま粗末な自宅で医療行為を始める、内容もちゃんと説明した
「東にはそういう術があるというだけだ、奇跡ではない、勘違いするな」
「私は仏教と医術も学んだ、薬も漢方という中国にある薬で誰でも作れる、それを使ったに過ぎない何でも治る訳ではないぞ」
と、説明納得させて簡易に医者の様な事も行った
これは気功術での慢性的な体不調の改善や痛みの緩和、元々中国で習得した、つぼ、整体、等である。ただ、これは「商売」としてはかなり有益だった
「別に治療費はいらんよ」としたが。大抵の人は金子を置いていく、食材を置いていく、道具を置いていくのである。そして皆感謝していく、これはやはり悪い気はしない
特に「気功」は慢性の病に効く
「腰が‥」とか「肩が‥」等という系統だ、労働者や年寄りにめちゃくちゃ感謝された
そこで円もこれに興味が出て「また」別ベクトルの学問も取り入れる、仙術の治癒術と、書の医療である
後者は元々少し読んだが、ここで「暇だしちゃんと読むか」程度で始める。勿論、彼女のこれまでの経過を見れば「其の程度」では済まない
専門書を買い集め、例によって医療の片手間に、朝らか晩まで読み耽った
一方で国は宜しく無い状況にあった、まず、ユダヤ教内部での権力争い、穏健派と強硬派で割れている
先のローマ大火の翌年には宗教弾圧と、元々此処も統治国ではあるのだが、支配地としての側面もあり、住民などに蓄積した不満とバランスが崩れかけた時期
更に悪くしたのがユダヤ側の強硬派シモン・ギオラという指導者が略実権を握った事でローマに対しての反発主導が行われた
まあ、とは云え、当時のユダヤ宗派というのも幾つもあり、その内部争い、というか派閥争いは日常に等しいのだが
「またか」と円は何時もの感想しか無かったが同時
「まさかローマ帝国逆らう事も無いだろう」
とも思って、特に気にせず、自分の事に集中した
何時もどおりの生活に従事していた、ただ、この国では
「そうはならなかった」その事情の一つが医療繋がりだった
夜、何時もの様に、仕事というかボランティアを終え、自宅で本を読み耽って居た時間、彼女の所へ、急病の患者が訪れる、扉を破壊する勢いで叩かれ、応対する事に成った
「お願いします!どうか!お助けを!」
と若い数人の青年が云ったが使いらしく要領を得ない、兎に角急病としか分らず、道具を抱えて、兎に角彼らに着いていった
着いた先は大きな屋敷おそらく、それなりの金持ちか権力者の家だろう、中に案内されて上の寝室へ招かれるそこで中年の男性にも懇願された
「つ、妻が倒れて、どうしていいのか」としか云えなかった
円もとりあえず、その「妻」とやらが寝るベットに寄り兎に角すぐ診断する
彼女も中年の夫と同じくらいの年齢だろう、顔が真っ青で小さく唸るだけだ
瞼を開けて、手足を持ち上げ、ツボを押すが反応無し、これで直ぐ直接掌で体中の熱を確認し分った。円はここで気功を胸と頭に当てて流しながら説明する
「血がどこかで止まってる」
「ど、どうすれば!?」
「助かるか微妙な所だ、あまり期待するな」
「そ‥!?」
「上に血が巡ってない、それで失神した、これを探して強制的に砕いて通す、治るかは分らん、その覚悟だけはしておいてくれ」
そう告げて、兎に角下から上に触診しながら勁を送り続けた
重症で無いならこれでどうにかなるハズだ
これを一時間も繰り返し続けて次第に妻の顔に赤みが戻ってくる、どうやら上手くいったらしい
円も初の事で「こうすれば、こうなるハズ」という半ばカンに等しい行為だったが成功した
更に10分、内攻術を施した、円はそれが終ってその場に尻餅をついて直ぐ集気する、ここまで連続で気を使ったのも稀だ
「ど、どうなりました!?‥」
「ハァ‥、一応上手く行った、ただ、一時的にだ、このまま様子を見て、目覚めれば成功、だと思う」
「わ、わかりました、有難う御座います!」
円は自身の気力を戻した後、そのまま立って屋敷を出る
「明日また来る、兎に角安静に、だ」
「は、はい!」
円も疲れてそのまま家に戻って休んだ
これは所謂血栓の類の中期~後期であるこれを強制的に内攻術と流血を早くして流した、重ければ助かっていない
そして解剖学の一部レア書を読んでいなければ想像すら出来なかっただろう、幸運、であった事例である
とは云え、それで終りではない翌日昼にはまた屋敷に向かい、診療する。妻は目を覚まし、云われた通り安静にしていた
騒がれても面倒なので「なるべく病人の前では静かに頼む」とだけ言って夫と周囲の者を黙らせた。
診断後も特に問題は無く、どこか障害が出たとも無く、安定、一応もう一度触診から勁を入れ、回復を早める措置と薬を処方し
口に入れる物の改善、水分等を多く取るように指示し円もそのまま帰った、現在の医学ではそこが精精だろう
夫もおそらくかなりの額だろうという袋に金を円に握らせようとしたが、これも受けなかった
「気にしなくていい、妻の為に使え」で去った
「問題」のキッカケはそれだった
夫は国ではそれなりに高い立場で、周りの者、つまり円の家に助けを求め来た若い者も信者だ
つまり宗派の中位で、この一件が広まった事である、当然と云えば当然だろう、普通は助からない事例だ、そして噂は尾ひれがつくものだ。再び「奇跡だ」などと話しがデカクなり非常に居づらくなったのである
無論、円に治療を受けて改善した者は沢山いるし、これを否定するカウンターが無い、皆「オレもエンさんに治して貰った」とそこかしこで便乗して話しに加わるもんである、円も深く溜息を付いて見切った
「これは、居られないなぁ‥」である
如何に顔を隠しているとは云え、こうも広まるとどうしょうもない、少しづつ、荷物を纏めて、移動準備を始める
円が移動の荷物を用意した先の「治療」の一件から一ヶ月後、それは深夜起こるそう、円の家に刺客が放たれた
円の家、と言っても入り組んだ路地にある二階建ての借り物だ、この二階寝室で寝ていたが、そんな物は直ぐ気がつく、相手が侵入する前に起きて整えた
「結構数が多いわねぇ‥泥棒じゃないか」とのん気に考える程余裕である
気察知で相手の数位置を確認し、用意していた荷物を背負って、無意味に室内で乱闘せず窓から軽くタイミングを合わせて跳躍し道路対面、反対側にある石家の屋根に羽根の様に舞い降りた
「タイミングを合わせて」とは相手が一斉に一階から侵入した瞬間である、つまり、向こうが入って、こっちが同じ瞬間出るというものだ
曲刀の短い物を持った覆面の集団8人である、これを反対側の家の屋根で確認して様子を見た
「んー、別に戦う必要もないか‥倒す意味も無いし、裏を聞く意味もないし」
向こうが探し回って出て行くまでその場でじっとして見送る事にした、侵入者は5分程家捜しして諦めたらしくそのまま再び、一階入り口から静かに出て行った
「裏を聞く意味も無い」も大体予想はついている
「それに、今は強硬派が主導して全体が動いている、強引な裏での暗躍があっても不思議ではない」
との見解と予想を示すが、それも略正解であった
「しかし‥顔を隠して生活でも、あまり目立つと宜しく無いな面を変えて、移動すればそれで済むには違い無いが」
「まあ、いい、兎に角、街を出るか」
そのまま夜が明ける前に、聖地を出る事にした、どうせ、居座っても面倒しか待ってないし移動観光の途中である
そのまま南西に抜け海に沿って別大陸へアフリカ、エジプトへ向かった
「そうはならなかった」とはそういう事情である。追われて逃れる事に等しい形
それから、これは円からとっては不本意な事件ではあるが後起こる、大事件に巻き込まれずに済んだ、とも云える、ただ、それは半々だったが
その為、各国の物産、書、芸術品が多く集まり、別に移動しながら国を変えながらで無くても知ると見るは出来る状況にあった
一旦ローマに滞在したが、そこである商品を見かけて幾つか購入した、それを宿に戻って眺めて思い立った
「そうだ、素顔が分らなきゃいんだ」そう閃いた
円が購入したのは金属製「仮面」である、目の周りから額までを覆う、今で言う仮面舞踏会で使われるような物の金属芸術品
これを改良して付ければ「お仕事」の際もどういう行動を取って見られても態々毎度「ヤオ」に記憶を消してもらう必要も薄いし自身が自由行動時も「謎の人」で誤魔化せると思った
そこで本来「芸術品」であるこの仮面の幾つかを職人に依頼して改造し、より顔にフィットして外れない様に尚且つ邪魔にならない様に、目立たない様にしてもらう
一週間後にそれを受け取って再び宿に戻って
装備して鏡で確認するが‥
「かっこいいじゃん!」と思った「円」はだが
元々金メッキなのを削って真鋳やくすんだ銀に変えて、ド派手なのを灰色とかグレーに近い物し、結構分厚い物だったので、これも削って薄くする
サイズも顔半分覆う程デカイのでこれも眉の上から目の下まで等色々変える、今で言うキャッツアイサングラスやゴーグルに近いサイズ等様々作り、微妙なデザイン違いを幾つか用意する
視界穴もあり、視野が狭まる事も多少あるが、円には別に問題ない、そもそも既に目隠ししても戦える程の察知術があるし目を瞑っても日常生活すら送れる。
もっと極端に言えば、目隠し、等して顔を隠しつつ「目が不自由」という設定で生活しても別にやろうと思えば出来る
故にローマ市を出て東周りで移動しながらも、それら「素顔」を隠す工夫を色々現地の生産品から思いつき試して増やした
一つ「目隠し」布が薄く隙間があり、付けても透けて風景が見える程度の布を実際試しながら用意する
もう一つが「化粧」。今の様な物では無く。自然や地方部族のしているペイントの類、元々大昔から、クレオパトラも目の周りにエメラルドをまぶして使っていたし中国にも朱色を基調としたメイクがある
これをするだけでもかなり素顔を誤魔化せるし、印象も違う為有効だと思った
これら「仮面」「目隠しマスク」「化粧」を変えながら髪型と名前を操れば、まず、戸籍、記録が無ければ書にも残らないし、残っても「謎の人」で済むと考えた、そもそも日常では適当な偽名だ
実際思いつきに近いのだが、これは上手く行く事になる、大多数の人間の中の一人等、其の程度でも誤魔化せる記憶など割り合い、いい加減なものだから
そうして円はそのままローマ領土を「普通」に移動して生活した、正し何時もの「武芸」「業」の部分での目新しい物は無く交易品や美術品と書で得られる物が中心で実質的に、「自身の糧」の部分は無い
円の最大の趣味目的は自身がどう思っているかは別にして、結局の所、そこに集約されると云える修練、蓄積、膨大な時間があり暇なのもあるが
ここで円が各地で得た情報から向かったのが「エルサレム」聖地である。これは別に深い理由があった訳でもなく「趣味」の部分
「武は無いぽいけど学、教はあるな」という事、ここへ「覆面の僧」として紛れ込んだ
これは先のローマ、キリスト弾圧事件と同じく左程苦労しない、何しろ円も、使徒なのは別にしても、個人の範囲でも宗教僧に近くあり詳しい為だ
もう一つの理由は「武」が求められている当時の状況にあった、要は「不穏」だったのである
潜入した円もエルサレムの都市に住み着いた、ここで、再び家を借りて、語学と書を読み耽る
これも偶然だが、ローマ帝国の領土の一角でもあり首都は非常に住みやすい、周り城壁もあり、其の中に都市がある人も多く、物も多い、ついでに比較的裕福
「これは面白い」と円も思った
ここで暫く過ごすのだが、これも偶然「仕事」が発掘されるもう、それなりに目立っても別に「謎の人」なので動けるのもあったが
街で相変わらず、掘り出し物を巡って店を見て歩いたのだが、そこで「女と子供」が泣いて騒いで医療施設に入った
「何事だ?」と人だかりの中をのぞくが小さい男の子が腹を押さえてどうしていいか分らず母も泣いていた
円には分かる
近所の店から材料を調達して医療施設に入った
診断で直ぐ「中毒」と分かった。滞在医者も「毒」の類なのは分るがどうしていいかイマイチ分らずで円が「余計なお世話」をした
「食ったのは何時だ?」
「え?‥朝だけです」
「其の前は?」
「昨日の夕方前‥」
桶を用意して、子供をひっくり返して体に少しを勁を流し吐き出させる。胃の中身を出させて空に成った所を寝かせて塩水を流し飲ませ、再び消毒洗浄して洗う
落ち着いた所で先ほど調達した葉、実から漢方を煎じて飲ませ最後に気功で子供を失神させて痛みを飛ばす
「半日で目を覚ます、このまま寝かせて置け。食い物に当ったんだ、家に在る食物を火を通せ」と指示して帰った
そして「余計なお世話」の結果か噂になった街を歩いても、店を回っても、家で寝てても人が見に来る様に成った。先の事情から「病人」を見た事も無い手法で直した「奇跡だ」と宗教関係者が殆どだが
「余計な事しなきゃ良かった‥」と今更後悔した
が、結局そのまま粗末な自宅で医療行為を始める、内容もちゃんと説明した
「東にはそういう術があるというだけだ、奇跡ではない、勘違いするな」
「私は仏教と医術も学んだ、薬も漢方という中国にある薬で誰でも作れる、それを使ったに過ぎない何でも治る訳ではないぞ」
と、説明納得させて簡易に医者の様な事も行った
これは気功術での慢性的な体不調の改善や痛みの緩和、元々中国で習得した、つぼ、整体、等である。ただ、これは「商売」としてはかなり有益だった
「別に治療費はいらんよ」としたが。大抵の人は金子を置いていく、食材を置いていく、道具を置いていくのである。そして皆感謝していく、これはやはり悪い気はしない
特に「気功」は慢性の病に効く
「腰が‥」とか「肩が‥」等という系統だ、労働者や年寄りにめちゃくちゃ感謝された
そこで円もこれに興味が出て「また」別ベクトルの学問も取り入れる、仙術の治癒術と、書の医療である
後者は元々少し読んだが、ここで「暇だしちゃんと読むか」程度で始める。勿論、彼女のこれまでの経過を見れば「其の程度」では済まない
専門書を買い集め、例によって医療の片手間に、朝らか晩まで読み耽った
一方で国は宜しく無い状況にあった、まず、ユダヤ教内部での権力争い、穏健派と強硬派で割れている
先のローマ大火の翌年には宗教弾圧と、元々此処も統治国ではあるのだが、支配地としての側面もあり、住民などに蓄積した不満とバランスが崩れかけた時期
更に悪くしたのがユダヤ側の強硬派シモン・ギオラという指導者が略実権を握った事でローマに対しての反発主導が行われた
まあ、とは云え、当時のユダヤ宗派というのも幾つもあり、その内部争い、というか派閥争いは日常に等しいのだが
「またか」と円は何時もの感想しか無かったが同時
「まさかローマ帝国逆らう事も無いだろう」
とも思って、特に気にせず、自分の事に集中した
何時もどおりの生活に従事していた、ただ、この国では
「そうはならなかった」その事情の一つが医療繋がりだった
夜、何時もの様に、仕事というかボランティアを終え、自宅で本を読み耽って居た時間、彼女の所へ、急病の患者が訪れる、扉を破壊する勢いで叩かれ、応対する事に成った
「お願いします!どうか!お助けを!」
と若い数人の青年が云ったが使いらしく要領を得ない、兎に角急病としか分らず、道具を抱えて、兎に角彼らに着いていった
着いた先は大きな屋敷おそらく、それなりの金持ちか権力者の家だろう、中に案内されて上の寝室へ招かれるそこで中年の男性にも懇願された
「つ、妻が倒れて、どうしていいのか」としか云えなかった
円もとりあえず、その「妻」とやらが寝るベットに寄り兎に角すぐ診断する
彼女も中年の夫と同じくらいの年齢だろう、顔が真っ青で小さく唸るだけだ
瞼を開けて、手足を持ち上げ、ツボを押すが反応無し、これで直ぐ直接掌で体中の熱を確認し分った。円はここで気功を胸と頭に当てて流しながら説明する
「血がどこかで止まってる」
「ど、どうすれば!?」
「助かるか微妙な所だ、あまり期待するな」
「そ‥!?」
「上に血が巡ってない、それで失神した、これを探して強制的に砕いて通す、治るかは分らん、その覚悟だけはしておいてくれ」
そう告げて、兎に角下から上に触診しながら勁を送り続けた
重症で無いならこれでどうにかなるハズだ
これを一時間も繰り返し続けて次第に妻の顔に赤みが戻ってくる、どうやら上手くいったらしい
円も初の事で「こうすれば、こうなるハズ」という半ばカンに等しい行為だったが成功した
更に10分、内攻術を施した、円はそれが終ってその場に尻餅をついて直ぐ集気する、ここまで連続で気を使ったのも稀だ
「ど、どうなりました!?‥」
「ハァ‥、一応上手く行った、ただ、一時的にだ、このまま様子を見て、目覚めれば成功、だと思う」
「わ、わかりました、有難う御座います!」
円は自身の気力を戻した後、そのまま立って屋敷を出る
「明日また来る、兎に角安静に、だ」
「は、はい!」
円も疲れてそのまま家に戻って休んだ
これは所謂血栓の類の中期~後期であるこれを強制的に内攻術と流血を早くして流した、重ければ助かっていない
そして解剖学の一部レア書を読んでいなければ想像すら出来なかっただろう、幸運、であった事例である
とは云え、それで終りではない翌日昼にはまた屋敷に向かい、診療する。妻は目を覚まし、云われた通り安静にしていた
騒がれても面倒なので「なるべく病人の前では静かに頼む」とだけ言って夫と周囲の者を黙らせた。
診断後も特に問題は無く、どこか障害が出たとも無く、安定、一応もう一度触診から勁を入れ、回復を早める措置と薬を処方し
口に入れる物の改善、水分等を多く取るように指示し円もそのまま帰った、現在の医学ではそこが精精だろう
夫もおそらくかなりの額だろうという袋に金を円に握らせようとしたが、これも受けなかった
「気にしなくていい、妻の為に使え」で去った
「問題」のキッカケはそれだった
夫は国ではそれなりに高い立場で、周りの者、つまり円の家に助けを求め来た若い者も信者だ
つまり宗派の中位で、この一件が広まった事である、当然と云えば当然だろう、普通は助からない事例だ、そして噂は尾ひれがつくものだ。再び「奇跡だ」などと話しがデカクなり非常に居づらくなったのである
無論、円に治療を受けて改善した者は沢山いるし、これを否定するカウンターが無い、皆「オレもエンさんに治して貰った」とそこかしこで便乗して話しに加わるもんである、円も深く溜息を付いて見切った
「これは、居られないなぁ‥」である
如何に顔を隠しているとは云え、こうも広まるとどうしょうもない、少しづつ、荷物を纏めて、移動準備を始める
円が移動の荷物を用意した先の「治療」の一件から一ヶ月後、それは深夜起こるそう、円の家に刺客が放たれた
円の家、と言っても入り組んだ路地にある二階建ての借り物だ、この二階寝室で寝ていたが、そんな物は直ぐ気がつく、相手が侵入する前に起きて整えた
「結構数が多いわねぇ‥泥棒じゃないか」とのん気に考える程余裕である
気察知で相手の数位置を確認し、用意していた荷物を背負って、無意味に室内で乱闘せず窓から軽くタイミングを合わせて跳躍し道路対面、反対側にある石家の屋根に羽根の様に舞い降りた
「タイミングを合わせて」とは相手が一斉に一階から侵入した瞬間である、つまり、向こうが入って、こっちが同じ瞬間出るというものだ
曲刀の短い物を持った覆面の集団8人である、これを反対側の家の屋根で確認して様子を見た
「んー、別に戦う必要もないか‥倒す意味も無いし、裏を聞く意味もないし」
向こうが探し回って出て行くまでその場でじっとして見送る事にした、侵入者は5分程家捜しして諦めたらしくそのまま再び、一階入り口から静かに出て行った
「裏を聞く意味も無い」も大体予想はついている
「それに、今は強硬派が主導して全体が動いている、強引な裏での暗躍があっても不思議ではない」
との見解と予想を示すが、それも略正解であった
「しかし‥顔を隠して生活でも、あまり目立つと宜しく無いな面を変えて、移動すればそれで済むには違い無いが」
「まあ、いい、兎に角、街を出るか」
そのまま夜が明ける前に、聖地を出る事にした、どうせ、居座っても面倒しか待ってないし移動観光の途中である
そのまま南西に抜け海に沿って別大陸へアフリカ、エジプトへ向かった
「そうはならなかった」とはそういう事情である。追われて逃れる事に等しい形
それから、これは円からとっては不本意な事件ではあるが後起こる、大事件に巻き込まれずに済んだ、とも云える、ただ、それは半々だったが
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でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
別れし夫婦の御定書(おさだめがき)
佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。
離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。
月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。
おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。
されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて——
※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。
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