晴海様の神通力

篠崎流

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混戦

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色々考える事はあるが、既に零時近いのでとりあえず晴海らも撤収するが、翌11日の夜にも予報が発生する。今度は西で

これは晴海らが援軍に行ける所でないが、やはりかなりマズイ状況になった。

夜23時に西宮の北で予報大が発生、京極と周辺の哨戒をしていた退魔師が予報地点の街、剣谷公園の付近に向かい、同時に自主退避勧告を出し一般住民を規制するのだが最悪の事態になった

線量計表示200くらいで2匹、死傷者が出ているとの事

広い公園に遠距離包囲から追い込んだが避難誘導行った現地の警察が二人刺されて死亡、退魔師らも犬を放って追い込み漁を掛けるが、子犬では歯が立たず、援軍待ちしかないとなった

相手は就任式の襲撃で見た影人間のようなモノで、目撃情報には掛からないのだが、近づくと影の槍みたいのを出して、どこからでも串刺し攻撃をしてくる、それで距離を取って警戒域範囲外で監視していた警察官も串刺しにされた

これに善幸とマリが向かい対処する事になる

現場にたどり着いた善幸は犬を放って接敵、相手は公園のド真ん中で、グネグネしてるだけだが、踏み込んだ善と犬に対峙し向かってくる

これは晴海が相手だからそんなに強くなく見えるが、それ以外の相手だと実際かなり手強い

善幸の紙犬が襲い掛かる所に地面から闇の槍というか手を遠隔で下から打ち込んで刺しに来る、警察官はこれで股から脳天までサクッと貫かれて絶命、多分、平均的な退魔師でもやられている

善幸の紙犬もアヤネの犬と同等の強さがあり、一匹を影槍を左右に走って避けて組み伏せ、もう一匹が善幸に向かって走り地面から遠隔で槍を突きだすが、これを紙刀で打ち返して防ぐ

マリも加勢に入ろうとするが善幸は制した

「紙術師の戦いというのを実践で教授してやろう、マリと他の者は下がっておれ」

と一人で立ち向かう

実際老いたと言えど、現代京極の最高師範であり元は最前線の闘士、晴海に及ばずともこの相手には負けない

相手が遠距離から影槍を伸ばして刺してくるのを、紙刀で2,3と打ち返しつつ、横に歩いて相手を中心に反時計回りしつつ、足元に麒麟を召喚

歩きから高速移動を発動し凄まじい速度で駆け、回避防御しながら逆手に札をもう一枚持つ

横回避移動する善を影人間は両手の闇槍を伸ばして迎撃しようとするが撃った所にもう居ない程の移動

善幸は横移動から縦に切り替え、伸びきった影の手を直進しながら紙刀で両断。切られた影の手が空を舞う

そして直進で相手の横を抜けながら頭付近も一撃両断、それでも影本体はお構いなしで後ろに駆け抜けた善幸を余った右手を後ろから伸ばして追っかけて一撃するが、これも刀で弾き返し

そのまま直角に移動し、影の背後から前方に抜けて、すれ違いざまに二撃、更に直角に移動して離れて三撃

丁度上から見ると影を中心点にして三角形を描いて移動し都度斬り、最終的には三枚に下ろして影もドシャと潰れる

それでも死んではいないらしく、バラバラになった状態でもビチビチ地面で暴れているが、トドメに善幸は暴れている影を踏み抜いて影は小さな虫の闇になって四散撤退した

そのまま手の札を刀状態のままこれも何気なしに横に投げ、これが飛んで行って、もう一匹、犬が押さえつけて噛みつき合いになっている影の上半身に棒のまま刺さって地面まで貫通し串刺しにして張り付けた

そうして紙犬というか狼がバリバリ嚙み砕いて動けなくなった影を解体、こちらも小さい虫の影に四散して逃走した

離れて観戦した若い弟子もマリも
「し、しゅごい…」としか言えなかった。
殆ど初歩と基礎術だけでランクD~Cの相手を無被弾で倒してしまったのだから

紙狼と共に歩いて一同の所に戻り、そのまま講義したが

「あのように基本業だけでも狩るのは可能だ、紙刀も投擲も霊力の込め方で柔軟に強くも扱える、覚えておくとよい」
「は、はい」
「影槍は人間が目視で反応して避けるには難しい、故に、察知するのだ、奴らは半生物ではあるが霊気の塊とも言える、これを感じて動く前に反応すれば何れも回避できる」
「は、はい」
「麒麟も運用を変えればああいう風に乗って高速回避も使える、これは人間の肉体の速度で不可能な移動回避にも運用できる、基本術なので簡単だ…何れにしろ実践で見せる相手が居たのが幸いだ」
「はい」

となんか本当に講義になったが、ただ「爺話し長いねん」とは誰も成らなかったが、本当に今、目の前で見た凄い戦い方ではあるし、羨望しかないし

そうして結局、10分講義の後善幸も撤収、既に相手はバラバラに解体させて線量計捜査からも消えたので、後と特殊警察に移譲して、一応この件は終わった


翌12日にはこれら一連の事件も四家でテレビ会議になった

「こちらはワシが倒しましたのでそう大事ではないですな」
「綾辻の方は問題ですよね、狙ってなのかな」
「そこまでは分からんが、そうだとすると面倒じゃの…」
「システムと組織と装備がある程度整っているので対応は可能なんでしょうけど、正直防衛集中で退けても被害がゼロではないですよね」

「相手の総戦力が不明なのが困りますね、どこまで撃退し削れば攻撃が収まるのか、予想とかも立たないし」
「うーむ…」
「ネルガルの命令なんでしょうかね?」
「あるとは思う、また急に大事に成ってるからの」

「ワシや晴海様の所で出る分にはなんとかなりますが、それ以外でCランクが出ると被害にはなりますな…今回のように」
「どうにかしてネルガルを抑えないと…」
「基本線はそうなりますが、こちらからのアプローチ手段がない、索敵を広げて探すくらいしかないでしょう」
「それも現場に僕か六花さんか善さんが行ければ、ですしね」

「それと善幸さんの戦い記録ですが始めてみましたけど凄いですね…僕より強いんじゃないかな」
「ハハ、お世辞を。晴海様程ではありますまい」
「いや、本当に業の運用の仕方を変えただけで随分違う、その扱いが上手い」
「まあ、その辺りの経験値が多いですからな」

ちなみにだが、善幸の戦い方、同じ紙術でも霊力コントロールと付与で、強くしたり硬くしたりは一通り初歩を覚えて、一定以上の霊力を持つ上級者に限る戦法らしい。

例えば、紙刀を20使って構築する、これを倍にして40で扱い強化するにしろそれだけ負担が多くなり、組み合わせて使うも20+20になると、何れにしろ許容力が100の凡人では継続戦闘は出来ないし、倍掛けで使うには操作構築が難しくなるから

本題のネルガルにしろ向こうからの襲撃にしろ、本質的な対応手段がないのが問題ではある。毎回出てくるわけでもなく、どこにかも不明だし、探知するにも線量計だとある程度の距離まで近づかないと分からない

予報だと霊力値基準ではないので事前に事態の発生は分かるが、ネルガルかどうかも分からない、結局対応を変えようがなくある
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