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最も可能性がある事
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休めばいいのだが晴海はそのまま学校行く
そうして一通りこなして本部に戻って前日の事についての会議も晴海、高砂、アヤネ、蛍子でとりあえずするが、今回もE案件なので一般的な事件ではなく
被害者の類も犯人も存在しないので継続捜査には成らないので進展することはないが今回に限り、神宮司の長でありECMの長でもある晴海と、同提携公共組織である開発部も関わっているのでやろうと思えば細かい捜査も出来る
簡単に言えば、E案件なので一般事件の取り扱いでなく、どうせ犯人も被害者も居ない事になってるので大抵迷宮入りだし
何か証拠が出る訳でもない
四家にE事件を渡した時点で不干渉になるが、この長が今は晴海なので「こういう被害が出た調査頼む」と出せばやってはくれるともいう、なので高砂に任せて今回は細かい調査捜査が可能だった
結論から言えば、前日の襲撃は人為の可能性があるとの見解になった
「大した物は出ませんでしたが、有線回線が切られたとの事で、これを洗いましたがおそらく人為かと。物理的に事故などで破壊されて止まった訳でなく施設外の回線接続を物理的に外されています」
「壊して通信を絶ったのでなくメカニズムを分かってる者が意図してやったと?」
「その可能性が高い。それから無線も一時途絶している、何らかの妨害もありえます」
「じゃあ人間が手引きしたって可能性がある?」
「ただあの場に居た者は候補から外れます、施設内には監視カメラがありますのでこれも全部洗い、聞き取りもしましたが不審者は出てません」
「そっか」
「何れにしろまだ継続捜査中ですので進展待ちになりますね」
「わかりました、お願いします」
との事でこれは高砂に任せてよい
「それにしても、蛍子ちゃんには驚かされるね」
「別に予知とか予想でもないですけどね」
「そう?」
「神宮司一族を狙う動きがあるのは確かですから、本部支部から離れて、一人か少数の時を狙うのは当然ありうるので対抗策を打っただけですし空振りでも予防はしておく、それだけですし」
「まあ、そうなんだけど…あの場を狙うて流石にズレてるしなぁ」
「そうですか?」
「いや、なんていうか妖怪にしては知恵が回り過ぎるし、仮にコマンダーが指揮してるとしてもそこまで知性的かな?というのもあるし」
「ですね、ただもう一枚裏がある、噛んでる物があるとするとそこまでおかしくない」
「人為、つまり僕らを意図して狙う別の何かがまだある、て事になるんだけど、それも人間側で」
「そう考えるのが妥当でしょうね、具体的にはまだ分からないですが、まあ、あまり懐疑的にならないでいいでしょう」
「何れ分かるか」
一旦会議は解散となり其々自由行動に移行するが、晴海はそのままモバイル資料を呼び出しながらあれこれ考える
一つは退魔の歴史で、そもそも向こうから大規模襲撃というのがあるかどうかだが、歴史記録上は大きな波が二回起きている。大型なモノが出て大規模に食われた事があり、これを逆侵攻というか反面に乗り込んで対応した事すらある 以前、アヤネが言った通りであるが、誰も戻らなかったし意図は不明のまま
最初期も同じような事があり、これもボスみたいのが居て、最終的には撃退して終わってるとされている
なので何れ捕食、不明という見解のまま話しは途絶している、人間側から相手がどうしてそうするのかは過去も今も知りようがないからであるが
過去例に似てはいるのだが、違うような気もする、雹もそう言ってるし、晴海も妖怪ぽくないとも言ってる、どこがどう違和感があるとは自分でも言えないのだが
「少なくとも本家屋敷の襲撃、こないだの愛知での遭遇戦、昨日の就任式、高い確率で神宮司が対象なのは分かるし、策動部分もある。けど一枚別の意図が絡んでいるとすると人間側に父さん、僕か兄さんに死んで欲しい誰か、勢力が存在することになるんだよなぁ…」
「そんなの居るのかなぁ…?どれも対象に当て嵌まらないし…」
二つに人間同士での意図
犯罪はその達成によって利益を得る者が居る、これを人間に当て嵌めると泰斗は晴海が当主になるのは懐疑的であったので候補になる
単純な権力争いの意図があり、晴海を謀殺しようと考えても妖怪と連動する意味も手段もないし不可能だ、既に昨日の就任で形は定まっているし。そもそも会合後から晴海を当主に後押ししたのも確かで要素としてはかなり弱い
公的捜査でも「あの場に居た者に不審者は居ない」と映像記録と調書であるていど出ているため、この線も無し。では他四家や関係者は?となるが
これも全員、晴海の登場から損を引いた者もいないし、周囲の娘も利益しか得てない、別に不仲でもなく寧ろ友好関係ですらある、妖怪と対するに最大の戦力でもある
晴海が死んで得する者などそもそも居ない。社会的にも関係的にも妖怪と対するにしても
態々言われるまでもなく、晴海もその点は何度か考えている、人間側でよくある、怨恨や損得を基準にした争いや妨害となると周囲の人間殆どが対象から外れる、動機に結びつける要素が全てなくなるので全員シロとしか言えない
ただその点に関しては蛍子は泰斗を怪しいとは思っているよう、彼女は見えてるモノが違うのもあるが、本質的に是非を「なんとなく」分かる、特異な才能を持っているから
なので前日の当事者、蛍子とメイと雹も呼んで見解を別に聞いてみる
「大体タイミングが良すぎるんですけどね、本家の襲撃も、遭遇戦も、昨日の就任式襲撃も、誘導し場を作って襲わせた、と言われてもしょうがないタイミングです」
「んー…そうかも知れないけど、どれも物理的に結びつけるのは無理があるしなぁ」
が、そこで雹が違う見解を出した
「証拠になるかは分からないけど、あの時変な会話?は聞いた」
「会話?」
「皆には聞こえないみたいだけど雹には聞こえた、こっちでいう意思みたいなモノだけど」
「雹には聞こえたて事は妖怪の通信??」
「そう《行け》とか《引け》とか、命令みたいな、会話と違うんだけど、外からじゃないと思う」
「…じゃああの場にそう指示した者が居ると」
「多分、だからあの場に居た者は関係ないとは言えない」
「それじゃあ行動的に不審な者は居ないてのはどうなるんだろう」
「施設内部の人間を全員集めたけど、別行動とかは無く部屋から出てないのは間違いないお」
「メイちゃんが直に見てたから間違いないか」
「雹らの場合人間と違って顔を合わせての直でなくとも通信でやり取りは可能、物理的にその場から一歩も動かなくても、こうしろは可能」
「えーと、つまり雹らには雹ら同士の特殊回線を持ってるみたいなモノか、だから昨日の襲撃前後、全員を大広間に集めて監視というか護衛して見てても指一本動かさなくても、その通信は可能」
「人間みたいに機器を操作して誰かに指示を出す必要もない、雹らの範囲でしか聞こえない、それも一種じゃないし」
「細かい伝達とか種別が可能なテレパシーみたいなもんだね」
「簡単に言うとそう、対象の相手の所に行って口を動かし、声を出して、手振りをする必要もない。あの場から動かなくても、遮断させた空間でも、距離も関係なく飛ばせる」
「誰がそれをやってたか分かる?」
「そこまでは分からない、けど外の連中同士のやり取りじゃないと思う、多分コマンダー?でもないと思う」
「それって分かるの?」
「人間が其々声が違うのも一緒だよ、この場合声というか思念に近いけど」
「成るほどね…」
「それに例の子の力は感じなかった」
「…これはとんでもない事になってきたな…スパイみたいのが居るて事でしょ。でも探しようがないか…」
「候補が絞れるなら簡単、雹には分かるから、もう一度対象を限定して目の前で使ってもらえばいい」
あの場に居た者、施設内部からの指示だとすると、少なくとも防衛に関わった、ECMのメンツ晴海、蛍子、雹、メイは除外するとして、それ以外の人間の誰か、若しくはそう偽装した誰かが、襲撃を指示か命令している
あの場に残った、集めた者の中から伝令されているのだから、逆に全員を集めて部屋に軟禁した状態なので物理的に行動はしていないが妖怪同士のテレパシーであれば、誰にも悟られる事なく指示して実行させられる
これが可能なのも、現状だけで言えば部屋に集めた内の誰かというのは一気に限定される
流石にこの場の話しとは出来ないので、アヤネと高砂も再収集し加えて、この話を伝える
高砂もアヤネも唖然な話しだ。暫く全員腕を組んでしかめっ面で考え込んだ
「…とは言え、あの場に限定しても20人は関係者が居ますからな、それに物理的な証拠は取りようがない、雹さんの言う通りで、直接妖怪通信を目の前で使ってもらうしかないでしょう、要するに自白してもらうに近い事が必要です」
「どうという事はないと思いますよ、施設の職員に晴海様を謀殺する意図や動機のある人は、確かに弱いですけど、一人しかいません」
「考えたくもないな…父さんと僕に死んで欲しかった、それがくだらない権力闘争だなんて」
「まだそうと決まった訳ではないので」
「そうだね…」
と、流石に晴海も逡巡したが。
慶と晴海を殺せと妖怪に命じれるとする、その意図と動機があるのは確かにあの場では一人しか候補にあがらない
現代捜査の全て物理的証拠は否定されるし、現状では推理その可能性が高いというだけではあるが。そう繋いでいくと兄しか残らないから
では、妖怪通信が可能としてどこでその能力を得たのかも神宮司直系氏なら説明出来てしまう。
そう「成人前後に直系氏は特殊能力を発現することがある」である。
初代は物の怪の嫁を伴侶にしており、それは妖怪と交流可能手段か能力だった可能性もある、その後継者の発現する能力の一つに「交信」もある。
その力を使って妖怪を操れるとすれば、現状の証拠は全て覆る、襲撃の場を用意し、直接手を汚さず、命令して、父も晴海も妖怪の襲撃偽装し殺せてしまう。本来ならこれは成功し、証拠も一切残らない、人間側は誰もこれを知りようがないから
けど晴海には雹という存在が居る事を相手は知らない、イレギュラーな味方がいる、故に本来誰にも分からない指示を聞き取れる、推測可能な証拠が存在してしまう
「如何しますか?」
「ああ…何れにしても見逃す事は出来ないだろうね…やろう」
不快極まる事ではあるが、晴海も身内だからとその事自体を容認することも、見逃す事も出来ない、どう処するかは別にして明らかにする必要はある、故に、自白して貰う手段を考える事となった
それ自体は難しくはない。相手は雹の事を知らないので、妖怪通信を使う状況にする、少数の状態で発信させ雹が聞き取りし、誰が「それを命じたのか」を晴海に伝えればいい
一応準備もそれなりに要るが時間をあまりかける訳にはいかない、先延ばしすれば三手目、四手目を行使する可能性もあるのだが
もし容疑者が予想の通り、妖怪を操れるか指示できるとすれば直接対峙もリスクがある。愛知の遭遇戦も、本家の襲撃事件も、就任式の襲撃事件も、何れも妖怪を行動させて行っているので、何れにしろ妖怪を呼び出して襲わせる事もあるから、ある程度コマンダーの類から身を守れる程度の準備もいる
更に翌週15日には計画と実行準備を整えた。
手順は簡単だ。晴海が会合場所である例の施設に17日日曜正午に集まるように四家に通知を出す
内容も「就任式や本家襲撃事件に関して公共捜査組織からある程度の結論が出たので、分かった事を全責任者に口頭で伝える、極めて重要で内密の事なので、各家の最高責任者に限定する、これに関して直接意見を聞きたい」と公式文書で送るだけだ
晴海自身は「なるべくなら引っかけみたいな事にしたくないな…」とはあったが。何れにしても、率直に一対一で聞いても、向こうにボロを出させても、結論は変わらないだろう
そうして一通りこなして本部に戻って前日の事についての会議も晴海、高砂、アヤネ、蛍子でとりあえずするが、今回もE案件なので一般的な事件ではなく
被害者の類も犯人も存在しないので継続捜査には成らないので進展することはないが今回に限り、神宮司の長でありECMの長でもある晴海と、同提携公共組織である開発部も関わっているのでやろうと思えば細かい捜査も出来る
簡単に言えば、E案件なので一般事件の取り扱いでなく、どうせ犯人も被害者も居ない事になってるので大抵迷宮入りだし
何か証拠が出る訳でもない
四家にE事件を渡した時点で不干渉になるが、この長が今は晴海なので「こういう被害が出た調査頼む」と出せばやってはくれるともいう、なので高砂に任せて今回は細かい調査捜査が可能だった
結論から言えば、前日の襲撃は人為の可能性があるとの見解になった
「大した物は出ませんでしたが、有線回線が切られたとの事で、これを洗いましたがおそらく人為かと。物理的に事故などで破壊されて止まった訳でなく施設外の回線接続を物理的に外されています」
「壊して通信を絶ったのでなくメカニズムを分かってる者が意図してやったと?」
「その可能性が高い。それから無線も一時途絶している、何らかの妨害もありえます」
「じゃあ人間が手引きしたって可能性がある?」
「ただあの場に居た者は候補から外れます、施設内には監視カメラがありますのでこれも全部洗い、聞き取りもしましたが不審者は出てません」
「そっか」
「何れにしろまだ継続捜査中ですので進展待ちになりますね」
「わかりました、お願いします」
との事でこれは高砂に任せてよい
「それにしても、蛍子ちゃんには驚かされるね」
「別に予知とか予想でもないですけどね」
「そう?」
「神宮司一族を狙う動きがあるのは確かですから、本部支部から離れて、一人か少数の時を狙うのは当然ありうるので対抗策を打っただけですし空振りでも予防はしておく、それだけですし」
「まあ、そうなんだけど…あの場を狙うて流石にズレてるしなぁ」
「そうですか?」
「いや、なんていうか妖怪にしては知恵が回り過ぎるし、仮にコマンダーが指揮してるとしてもそこまで知性的かな?というのもあるし」
「ですね、ただもう一枚裏がある、噛んでる物があるとするとそこまでおかしくない」
「人為、つまり僕らを意図して狙う別の何かがまだある、て事になるんだけど、それも人間側で」
「そう考えるのが妥当でしょうね、具体的にはまだ分からないですが、まあ、あまり懐疑的にならないでいいでしょう」
「何れ分かるか」
一旦会議は解散となり其々自由行動に移行するが、晴海はそのままモバイル資料を呼び出しながらあれこれ考える
一つは退魔の歴史で、そもそも向こうから大規模襲撃というのがあるかどうかだが、歴史記録上は大きな波が二回起きている。大型なモノが出て大規模に食われた事があり、これを逆侵攻というか反面に乗り込んで対応した事すらある 以前、アヤネが言った通りであるが、誰も戻らなかったし意図は不明のまま
最初期も同じような事があり、これもボスみたいのが居て、最終的には撃退して終わってるとされている
なので何れ捕食、不明という見解のまま話しは途絶している、人間側から相手がどうしてそうするのかは過去も今も知りようがないからであるが
過去例に似てはいるのだが、違うような気もする、雹もそう言ってるし、晴海も妖怪ぽくないとも言ってる、どこがどう違和感があるとは自分でも言えないのだが
「少なくとも本家屋敷の襲撃、こないだの愛知での遭遇戦、昨日の就任式、高い確率で神宮司が対象なのは分かるし、策動部分もある。けど一枚別の意図が絡んでいるとすると人間側に父さん、僕か兄さんに死んで欲しい誰か、勢力が存在することになるんだよなぁ…」
「そんなの居るのかなぁ…?どれも対象に当て嵌まらないし…」
二つに人間同士での意図
犯罪はその達成によって利益を得る者が居る、これを人間に当て嵌めると泰斗は晴海が当主になるのは懐疑的であったので候補になる
単純な権力争いの意図があり、晴海を謀殺しようと考えても妖怪と連動する意味も手段もないし不可能だ、既に昨日の就任で形は定まっているし。そもそも会合後から晴海を当主に後押ししたのも確かで要素としてはかなり弱い
公的捜査でも「あの場に居た者に不審者は居ない」と映像記録と調書であるていど出ているため、この線も無し。では他四家や関係者は?となるが
これも全員、晴海の登場から損を引いた者もいないし、周囲の娘も利益しか得てない、別に不仲でもなく寧ろ友好関係ですらある、妖怪と対するに最大の戦力でもある
晴海が死んで得する者などそもそも居ない。社会的にも関係的にも妖怪と対するにしても
態々言われるまでもなく、晴海もその点は何度か考えている、人間側でよくある、怨恨や損得を基準にした争いや妨害となると周囲の人間殆どが対象から外れる、動機に結びつける要素が全てなくなるので全員シロとしか言えない
ただその点に関しては蛍子は泰斗を怪しいとは思っているよう、彼女は見えてるモノが違うのもあるが、本質的に是非を「なんとなく」分かる、特異な才能を持っているから
なので前日の当事者、蛍子とメイと雹も呼んで見解を別に聞いてみる
「大体タイミングが良すぎるんですけどね、本家の襲撃も、遭遇戦も、昨日の就任式襲撃も、誘導し場を作って襲わせた、と言われてもしょうがないタイミングです」
「んー…そうかも知れないけど、どれも物理的に結びつけるのは無理があるしなぁ」
が、そこで雹が違う見解を出した
「証拠になるかは分からないけど、あの時変な会話?は聞いた」
「会話?」
「皆には聞こえないみたいだけど雹には聞こえた、こっちでいう意思みたいなモノだけど」
「雹には聞こえたて事は妖怪の通信??」
「そう《行け》とか《引け》とか、命令みたいな、会話と違うんだけど、外からじゃないと思う」
「…じゃああの場にそう指示した者が居ると」
「多分、だからあの場に居た者は関係ないとは言えない」
「それじゃあ行動的に不審な者は居ないてのはどうなるんだろう」
「施設内部の人間を全員集めたけど、別行動とかは無く部屋から出てないのは間違いないお」
「メイちゃんが直に見てたから間違いないか」
「雹らの場合人間と違って顔を合わせての直でなくとも通信でやり取りは可能、物理的にその場から一歩も動かなくても、こうしろは可能」
「えーと、つまり雹らには雹ら同士の特殊回線を持ってるみたいなモノか、だから昨日の襲撃前後、全員を大広間に集めて監視というか護衛して見てても指一本動かさなくても、その通信は可能」
「人間みたいに機器を操作して誰かに指示を出す必要もない、雹らの範囲でしか聞こえない、それも一種じゃないし」
「細かい伝達とか種別が可能なテレパシーみたいなもんだね」
「簡単に言うとそう、対象の相手の所に行って口を動かし、声を出して、手振りをする必要もない。あの場から動かなくても、遮断させた空間でも、距離も関係なく飛ばせる」
「誰がそれをやってたか分かる?」
「そこまでは分からない、けど外の連中同士のやり取りじゃないと思う、多分コマンダー?でもないと思う」
「それって分かるの?」
「人間が其々声が違うのも一緒だよ、この場合声というか思念に近いけど」
「成るほどね…」
「それに例の子の力は感じなかった」
「…これはとんでもない事になってきたな…スパイみたいのが居るて事でしょ。でも探しようがないか…」
「候補が絞れるなら簡単、雹には分かるから、もう一度対象を限定して目の前で使ってもらえばいい」
あの場に居た者、施設内部からの指示だとすると、少なくとも防衛に関わった、ECMのメンツ晴海、蛍子、雹、メイは除外するとして、それ以外の人間の誰か、若しくはそう偽装した誰かが、襲撃を指示か命令している
あの場に残った、集めた者の中から伝令されているのだから、逆に全員を集めて部屋に軟禁した状態なので物理的に行動はしていないが妖怪同士のテレパシーであれば、誰にも悟られる事なく指示して実行させられる
これが可能なのも、現状だけで言えば部屋に集めた内の誰かというのは一気に限定される
流石にこの場の話しとは出来ないので、アヤネと高砂も再収集し加えて、この話を伝える
高砂もアヤネも唖然な話しだ。暫く全員腕を組んでしかめっ面で考え込んだ
「…とは言え、あの場に限定しても20人は関係者が居ますからな、それに物理的な証拠は取りようがない、雹さんの言う通りで、直接妖怪通信を目の前で使ってもらうしかないでしょう、要するに自白してもらうに近い事が必要です」
「どうという事はないと思いますよ、施設の職員に晴海様を謀殺する意図や動機のある人は、確かに弱いですけど、一人しかいません」
「考えたくもないな…父さんと僕に死んで欲しかった、それがくだらない権力闘争だなんて」
「まだそうと決まった訳ではないので」
「そうだね…」
と、流石に晴海も逡巡したが。
慶と晴海を殺せと妖怪に命じれるとする、その意図と動機があるのは確かにあの場では一人しか候補にあがらない
現代捜査の全て物理的証拠は否定されるし、現状では推理その可能性が高いというだけではあるが。そう繋いでいくと兄しか残らないから
では、妖怪通信が可能としてどこでその能力を得たのかも神宮司直系氏なら説明出来てしまう。
そう「成人前後に直系氏は特殊能力を発現することがある」である。
初代は物の怪の嫁を伴侶にしており、それは妖怪と交流可能手段か能力だった可能性もある、その後継者の発現する能力の一つに「交信」もある。
その力を使って妖怪を操れるとすれば、現状の証拠は全て覆る、襲撃の場を用意し、直接手を汚さず、命令して、父も晴海も妖怪の襲撃偽装し殺せてしまう。本来ならこれは成功し、証拠も一切残らない、人間側は誰もこれを知りようがないから
けど晴海には雹という存在が居る事を相手は知らない、イレギュラーな味方がいる、故に本来誰にも分からない指示を聞き取れる、推測可能な証拠が存在してしまう
「如何しますか?」
「ああ…何れにしても見逃す事は出来ないだろうね…やろう」
不快極まる事ではあるが、晴海も身内だからとその事自体を容認することも、見逃す事も出来ない、どう処するかは別にして明らかにする必要はある、故に、自白して貰う手段を考える事となった
それ自体は難しくはない。相手は雹の事を知らないので、妖怪通信を使う状況にする、少数の状態で発信させ雹が聞き取りし、誰が「それを命じたのか」を晴海に伝えればいい
一応準備もそれなりに要るが時間をあまりかける訳にはいかない、先延ばしすれば三手目、四手目を行使する可能性もあるのだが
もし容疑者が予想の通り、妖怪を操れるか指示できるとすれば直接対峙もリスクがある。愛知の遭遇戦も、本家の襲撃事件も、就任式の襲撃事件も、何れも妖怪を行動させて行っているので、何れにしろ妖怪を呼び出して襲わせる事もあるから、ある程度コマンダーの類から身を守れる程度の準備もいる
更に翌週15日には計画と実行準備を整えた。
手順は簡単だ。晴海が会合場所である例の施設に17日日曜正午に集まるように四家に通知を出す
内容も「就任式や本家襲撃事件に関して公共捜査組織からある程度の結論が出たので、分かった事を全責任者に口頭で伝える、極めて重要で内密の事なので、各家の最高責任者に限定する、これに関して直接意見を聞きたい」と公式文書で送るだけだ
晴海自身は「なるべくなら引っかけみたいな事にしたくないな…」とはあったが。何れにしても、率直に一対一で聞いても、向こうにボロを出させても、結論は変わらないだろう
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