晴海様の神通力

篠崎流

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「僕の霊刀の防ぐも打真の防御も滅茶苦茶有効なんだけど、専用業の枠から外して指導する、はどうなんだろう…何れの事、とは言ったけど」

と思い、これも一ノ瀬や黛にも相談し、泰斗にも連絡を取るが結論から言えばOKという事にはなった

「睦の当主がそう考えているなら構わないのではないか?」とされた

例えば兼ねてから言ってる、晴海が過去業を掘り起こして覚えて伝えるのも現存する物を伝えるも、結局元と方針は同じではあるから退魔に有効だから初代から四家に与えられた物を、現代の神宮司の直系氏の晴海が伝えるも、それはあまり変わらないし、あくまで目的は退魔に有効な道具かどうかであってその物の秘匿ではないからではある

京極の紙術も輪にある者には教授しているので、四家の範囲で限ればこれは持主がどう考えるかでしかない

ただ咲也も言った通りで、その業とか役割とかがあるから、その家としての独自性にもなっているので、あくまで限定的範囲である事も必要とはした

「まあ一理あるか、あくまで運用は現在の保持者でもある六花さん次第だけど、基本線にして皆覚えていいよ、ていうのもマズイかも」

とは言え、実際秘術は解放してもそこまで皆使え、て事には成らない。打真は武器に付与して反発を付与するだけで攻防で有効ではあるが火力があるとかではないし、時間制限もある、霊力消費は少なめであるので、総合的に使い易い

ので「ある程度広げてはどうか?」と成ってるだけで
他の家の秘術は全てそれに当て嵌まらない

飛真も常人は二個作れないし、九十九針も一閃も媒体が無いと打てないし天啓の月なんて常人の倍も霊力がないと起動すらしない

道具も高価である為、仮に漏洩、若しくは広く使ってよいとしてもそれ以上広がりようがなくはある

そうしてこの決定も六花に伝えるが

「まあそうじゃろうな」という感じだった

「実際打真があのクラスの相手に通じるとは思わなんだし驚いたのもある」
「ですよね」
「有効であるなら打真に関しては教授を広めてよいだろう、トップからもお墨付きじゃし元々使える条件が緩いしの」
「ええ、そういう訳なのでこの一件に関しては六花さんの自由に」
「早速の事で助かる、やはり晴海様は頼りになるな」
「いえいえ」

それから退魔に関してはどちらかと言えば駆逐力より時間稼ぎとか膠着状態を作る事も重要と感じたのもある

先日のコマンダーとの一戦もある意味粘れたから援護が間に合った。晴海や六花は兎も角、それ以外の戦闘人員も耐えて防げれば援軍待ちとか数的優位を作れる

どの道、単騎で相手を殺傷するに至れる戦力を単身で持つ者はECM内でも少ない、晴海とアヤネと雹くらいだろう、そう考えると全員防ぐか凌ぐがあったほうがいいが紙術の初歩、剣と盾にする、は既にやってるし

退魔師、或いはこれを目指す者、輪にある者には伝授しているので何れにしろこれも「神宮司の支家の兵に教えても構わないだろう」との事だ

そうして自身の強化もあるが、武器とか盾とかに付与して戦う系で、誰でも扱えそうなモノはないかとも探すが、有る事はある

元々神宮司最初期は手軽な棒とか素手にすら付与して、殴る、止める、を使ってたともあるから

一応業名も、その系統を含めての総称だが「万錬霊法」というモノが存在する

やり方は相変わらず書いてなく。手に帯電させて止めたとか、殴ったとか、枝にすら付与可能だったとか書いてあるだけで方向性が分かっただけだ

なのだが、晴海は寧ろ初期の形のが実行し易い、気砲も早駆けも直接操るのは割と簡単に出来ているから

その中で比較的簡単なのが招来魂の防御業で、玉から霊刀の防御盾に近いモノを発生させ、これを操って遠隔防御する手法。

精密な操作が難しい場合、目標点、例えば自身の前方空中とかに置いて、小範囲で操るなら制御がヘタでも可能、極端に言えば玉から小バリアみたいのを展開して、前に置いておくだけでも防げるから

招来魂から霊矢を撃つとか、直接飛ばして殴るとかは精密射撃なので段階的には難易度は上らしい

先にメイが言った通りで、戦いながら積み木するになるので、相手と対峙しながらの操作が現在どうにか可能なのはコレだけになった


ただ晴海がこれを支家に渡す、はかなり無理がある、技術、業としては指導可能だが、霊力消費が多すぎるので手法を与えても意味がない、使えないから

なのでこれら考えも共有とアスカや高砂に相談するが基本的にアスカも道具を作って渡す方が一般兵には楽だろうとした

「修行して業を得る、は一般向けではないですね。武具を用意してこれを持っていく、のが万人向けではありますね~」
「とは言え、鳳の武具て沢山作れないですよね」
「まあ作ってもいいですけどね~…、時間掛かりますけど~」
「もしくは改良七重の鐘を使っても良いかと、これはそれなりに数を用意し易いですし、これに電撃や振動刃を付与するのは既に出来ていますし、アスカさんの付与を付けるのも出来ています」
「でもあれって獅童一派用では?」
「今の所横浜支部で使ってますが一般兵用のもすでにあります、獅童家の一閃を撃つのに必要な内芯を、別な処理に変換し、様々な効果を出せるようにしてあるモノも製造しています、徐々にですがウチの隊員にも渡していますので」
「なるほど、もう各所に渡せる状態なんですね」

という事で、開発部からこれも黛に回す事にしたがそれ自体は歓迎との事。それ以上を求める人はこれは四家から指導を受ければよいと裁量を広くすることにした

ただの警護と言っても、相手が妖怪だとどうしょうもないでは話しにならないし、別に護衛警護任務の為に退魔師にならなくてもよいので、基本的にその対応幅を広げて個々に任せてよい

それから武具、道具というのは事前に用意してあれば、だれが使っても効果を発揮する

例えば少なくとも10本改良七重が置いてあれば急事でも、それを出して使えば、その効果を持つので、特殊な業を持つ持たないに異存しない、手間と金が掛かってもやっておくほうがよい

それと同時に手持ちシールドも開発する、現在は一般警察の持つジェラルミン盾に近いモノしかなく、より被弾を避ける継続戦闘の意味でもあった方がいい

それ自体は簡単で、名雪のロングコートの背面部分内部に付いている、合金プレートと表に添付してある特殊塗料を合わせて通常時は上下20センチの小型に収納出来、使用時に五枚のプレートが上下スライドして縦に一メートルまで伸ばして籠手盾にすることが可能な軽量高耐久な手持ち盾も用意

名雪がカマイタチの風刃を跳ね返した実績のある合金プレートを転用しているので相当な防御力があるのは実証済み。

特殊塗料も打撃吸収剤として効果も検査済みなのでそのままシールド外面のカラーリング部分に使う、これらも提携各所に量産して渡し、整える事になった


それから四家にも先のコマンダーの一件の詳細を伝えておく。12月から予報も少なく、減少傾向にはあったが知る者にとっては寧ろ不気味ではある

統率する者が表立って行動、あるいは出現しているのだから何らかの意図とか指示あって減っているとも見えなくもないから

これらも支部メンツと同様四家で通信で話し合うが基本的な対策がないのでECMの対応とあまり違いはないが

「少なくともランクBとなると接敵したとしても対処出来ませんからな…ま、狙いは少なくとも我々ではないので、とりあえず単独行動は控えるくらいでしょう」
「そうじゃな、わっちと善殿の所で出てもやられるという程ではないじゃろし、通信連絡網が構築されているので、割り切って防衛時間稼ぎに徹すれば何とかなるとは思う」
「複数人での防衛、援軍待ちですね」
「そうなるな、というかそれしかないが」

「しかしそういった意図があると考えるとやはり泰斗様にも気を配って頂かないと、晴海様は自身で対抗できる武力がありますので宜しいが泰斗様には無いでしょう」
「同感ですけど、どうもその点に関してはあまり受けてくれないんですよね、一応提言はしてみますけど」
「そうですな…ワシの方から言っても要らんで終わりますので」

実際、今まで護衛とかの意見はしているのでおそらく受けないだろうとはあったが、晴海も再度遠回しに提言はしてみるのだが

「話しは分かったが、ランクB以上の相手となると何れにしろ対応手段がないがな」
「まあ…真面に戦えるか防げるのが僕と六花さんと善さんアヤネとかその辺になるのはあるけど…兄さんの屋敷周辺に置くのってそんなにマズイですかね」
「不味くはないが、そういった者に来られても邪魔だな」
「分からなくはないけど…各家のトップとかだし」
「オレ自身はそんなに気にしていない、オレが仮に狙われて死んでも代わりはいるからな、寧ろお前の方が気を配れ」

と案の定な流れには成ったが

「本来は成人に合わせて指名するのが通例だが、とは言え、何れにしろ当主への就任は早くした方がいいな」
「そうなんですかね?」
「確かに皆の言う通り、そういう大物が出たとなれば神宮司の初期の対処に近い方がよいし、全体戦略にしろ、お前が直接対峙するにしろ代表にしておいた方がいい。正直後期、ここ数世代の対処だと手に余る」
「かもしれないですね、僕はどちらでも、以前も言いましたがどの道兄さんを経由する指揮になるだろうし」
「そうだな、一応こちらも警戒はしておく。支家にも兵は居るからな直近で動かせるモノで対応する」

一応注意は払う、で話しは切られたが違和感はある。何度かあった事だが「自分の身は心配しないのかな?」という部分だが

広くモノを見る人間では泰斗のタイプは居ると言えば居る、本質的には晴海もそのタイプではあるし

自身その物の優先度が低く、組織とか人類とかを見ているタイプは往々にして自分がメインに成って無い場合も多い

「お前こそ気を配れ」とも言っているが、本当にそう思って言ってる場合もある、それだけに困るのだが
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