晴海様の神通力

篠崎流

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深まる謎

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翌10時くらいまでたっぷり寝て回復、ケガの方はそうでもないので普通の食事を出されて平らげモバイルでデータ処理しながら考えていたが

11時にはアヤネが訪問、お見舞いと言っていいのか謎だが

「内容は聞きました大けがでなくて良かった」
「ああ、一応二、三日入ってろて事らしいけど肉体的には大した事ない」
「今後ですが?」
「そうだなぁ…アヤネは都に戻るの?」
「一緒に戻った方がいいかとも思いますが」
「その心配はあるかな、ただ実際もう一度出たらどうにもならないと思う」
「それほどですか」
「まあ、考える事は色々あるんだけどアヤネは戻っていいよ」
「はい」
「じゃあついでにこれを持ってて」

と晴海はメモリチップを渡す

「戦闘自体は激しいモノだったと思うので生きてるか分からないけど一応接敵と同時に内容も記録してある」
「了解です」
「対策の類は検証の後だろうね」
「わかりました、とりあえずわたくしは戻ります、後で誰かを寄こしますので」
「それでいいよ、よろしく頼む」
「はっ」

短く言って離れた。余計な事は言わず責めもせずに退出したがそれは既にアヤネには分かってるからでもある。晴海は子供ぽい所もあるが既に成熟もしている、一々「心配させないで」などと言わずとも何を間違って、どう改善すべきかは自認しているから

そうしてきっちり三日入院して、退院
迎えにECMの専用車が来てこれに乗って帰る


そうして午後に司令部に集まっての検証、ただ先に渡した記録チップ自体は検証されているので内容に関しての対応をどうするかになるが、それも具体的にやれることはあまりない

「晴海様の気砲でも被弾自体は見えないんだな」
「映像記録だとなんとも言えませんが、相手が被弾しても戦力とか動きとかが落ちてるようにも見えませんからなぁ…これが生物で無い相手の問題ではありますね」
「当てた感じだけど吹っ飛んだけど肉体的ダメージは見えなかったね…一発二発しか当たってないからアレだけど…」
「ただ晴海でも不利な相手か、これ狙われたらアウトじゃない?」
「んー…どうだろうね、戦って勝てないのはあるけどそもそも頑丈だからというのも大きいしなぁ」

「そうですね、まるで勝負に成らないて感じでもないですね」
「一応殴れてはいるしな」
「とりあえず単身迎撃を避ければ撤退はさせられる感じ??」
「と、思うお、今回のはハルミ単独で行った事の問題もあるお」
「すみません」

「まあそれはいいとして神出鬼没なのも問題なんですよね…早めに探知出来て、用意出来れば集団での対応、電子装備とか火炎とかアプローチを変えて弱点なども探せるのですが」
「僕が言う事でもないけど、必ず複数人での対応かなぁ」
「けどさ、予報に引っかからなかったんだよね?」
「一瞬だけ掛かったのかな、向こうが発信してる特定周波のモノを捉えてるそうだから、そもそも出してない交信してないと捉えにくいのかな」
「そうなります」

「しかし予想通り、見た目が人ぽいだけで硬さは凄まじいですな晴海君の気砲でもどっか被弾したとも見えませんし」
「せめて一太刀斬れればよかったんですけどね…現状何が効くのかよくわからないし」
「弾丸、爆撃も大して効果無さそうですしな…それはまあ今までの相手とそれほど変わらないでしょうが…」
「もう一回出るかは分からないんでアレなんですけどね」

「だが、母上でも戦えてるな」
「打真が有効なんだろうね、防ぐにはだけど、向こうの霊剣を跳ね返せてるし」
「あれはダメージを出すモノでもないからな。その後包囲されて撤退だから長期戦になれば一応対応は可能ではある」
「ですわね、味方の援軍待ち、この強みはこちらにありますわね」
「連携・協力ていうのはコチラの長所だしね。とりあえずだけど、発見しても単体で挑まなければなんとかなるね」

という事で、今の所分からない事が多いので見つけても即戦わずある程度味方の集結から対応する、という事にはなって、一応今回は徹底することで決まる

晴海が単身でなければもっと対応出来たか、というと疑問がある、あれだけの相手だと晴海だからある程度やれてたと言えなくもないし

例えば、最初から誰かが同行してて前を晴海、後衛を狙撃者が担当してたらあれ以上の戦果が出たかというとそれも微妙ではある、場合に寄っては足手まといか弱みになる可能性もあるし

晴海が前で打ち合って、例えば隙に蛍子が撃つとする、相手が晴海を無視して蛍子を狙撃するとそれはそれで別な大被害ではあるし、組む相手にも寄るのもある、最低限の自衛とか

ただこの一戦は得る物は多かったともいう

言葉でのやりとりも出来ているし、イマイチ応答になってないがアイツが首謀者なのも多分そうだろう「襲撃を認めた」とも言っている

なんで日本語での質疑が可能なのかは謎だが知性体なのもそうで、統率者のような者であるのもおそらくそうだ

あの子とか奴とかも呼称し難いのでコマンダーと仮称される、統率者、指揮官に類するものだろう事でそう決まったが

それからやはり物理的に戦うのも必須だろう、少なくとも六花や晴海は打ち合い可能だし、後衛打撃での対応だけだと普通に射撃されるか接近されて負けるだろう

そういう意味で晴海は業の習得とかを継続して自身を強化する、明確に圧倒的な力の差で負けた訳ではなく、おそらく手持ちのカードが多ければやり合えるはずと考えた

何れにしろ倒すか、捕らえるかしないと真相も分からないしその手段を確保する、或いは素体戦力の強化も必要だ


特に実際目にして凄いと思ったのが六花の戦い方、勿論睦の歴史の中でも天才ではあるのだが、少なくとも晴海より強いだろう

ランクB以上の相手とやれている、業その物の有効性、しかも何れも元は神宮司から与えられた秘術で、当然近いモノを得る事は可能だ

晴海の刀の盾にする、の扱いを武器にしてるだけで、これも直ぐ可能と言えば可能、盾を武器にするという発想が無かっただけで

これも開発部の実験施設を借りて霊刀で盾を張ってから、この形を棒に変更しやってみるが形の構築は可能

レイナやマコトにも協力してもらい、レイナには打撃刀で打ってもらい、これを前横に出して置いて殴ってもらうが、打真に近い効果が元々あるらしく打った方のレイナが後ろに弾かれる

続いてマコトの霊矢も撃ってもらうが、これも打ち返すでなく、空間に置いて振ったりせずに軌道に滑り込ませて反らす、弾くも可能だった

「これ最初から出来たて話しか…」
「万能の霊刀、て言われる所以だわな」

そうしてこれも物理的に検査してもらうが、やはり打ち返すでなく当たる直前に対象物が減速・反発が発生しているとの事で科学的にも一応証明された

「まあただ、実際どこまで防げて弾けるのかは不明だけど…力とか物理的防御力が関係なく反射出来るて凄いな」
「そうですなぁ…許容量の限界みたいのはあるでしょうな、でも多分ですが、一反木綿程度のデカイ相手の攻撃も防いでいたので数トン範囲は可能なんでしょう」
「具体的にどのくらいまで跳ね返せるか不明なのは怖いけどしょうがないか」
「試しに対物ライフルとか打ち込んでみます?という訳にもいきませんからな、具体的に図るには難しい」
「こればかりは実践で知るしかないかな」
「そうですね」

「防御用て言えば、そういえば紙盾とかはどうなんだろう…」
「あれは本質的に違うみたいですよ」
「そうなの?」
「はい、物理的にサイズを変えて高質化してるだけで物理効力を無視して反射して防げてるのとは違うかと、一般的に使う盾に近いです、ただ霊的攻撃も防げて強く便利ではあると思います」
「そうだね…アヤネが最初使って妖怪の攻撃防いでたから初歩にしては有効なのかなと」
「霊力をモノに帯電させて何らかの効果を出すという意味では似てるんですけど、どうなんでしょうね…」
「アスカさんが作ってるアタシの籠手も近い感じじゃない?結構弾く感じが強いぜ?」
「うーん、そのやり方もありかな。神宮司の支家の兵とかでも使える業とか道具が欲しいし、けど鳳の武具はハンドメイドというか、量産は難しいみたいだしね」
「まあ現状でも盾みたいのはあるんですが機動隊の使うモノと大して差が無いですからな、一応これも進めてみましょうか」


晴海の場合結果的にはコマンダーに負けたが、まだまだ攻防を強化する材料はかなりある、招来魂を使った攻防。制御がヘタというか大体暴発するので難しいが可能ならもっと戦力差は縮まる

二つに、やはり霊力消耗。結局は霊力の使いきりで行動不能に陥って継続不能での敗戦なのでこのコントロールか、コスパの良いモノを得る必要もある

気砲は強力で便利ではあるが消耗が多すぎる。今までがあまり気にする必要がなかったのもあるが。ガス欠しようがない程高速で回復するし、10倍以上の霊力を使い切るなんてありえないだろうし

そういう意味で言えば晴海に関しては改善できる所がかなりあるだろう

三つにその場で何人かで雑談の際、捜査官としての高砂の見解

「しかし、どういう目的で晴海君を狙ったんでしょうね?」
「意図、と見えなくもないですよね」
「晴海君のお父さん、晴海君、その一族を狙ってと考えるが普通でしょうか」

「となるとまた現れるのかな」
「可能性はあります、周囲に気を配った方がよろしい。こちらの範囲では大丈夫でしょうが…」
「そうですね、奇襲とかは基本出来ないですよね探査機があるし、ただそうなると兄さんも心配だなぁ…事故と割り切ってるけど、そうじゃない可能性のが高くなってきた訳だし」

そういう見解とか推理に自然なる。
相手が妖怪として態々特定の相手を狙う意図が不明だ、捕食目的なら。晴海は霊力が馬鹿高いので餌要素での固執もありえるが、父親には当てはまらないし、そもそも前回の会話で意図的な部分も見えたから

そうなるとより大きな話になってくる、指揮官の意図、どうしてこちら側で積極的に特定の相手を狙うのか、侵略目的なのか、或いは更に別な目的があるのかなど、範囲が大きくなる

「んー…雹はどう思う?」
「アッチで集団行動した事ないからわかんない」
「そっか」
「ただ…餌要素ていうのはなんか違う気がする」
「そういえば…最初会った時、あの子は餌という認識もしてたよね」
「うん、雹だったらだけど晴海は美味しそうていうより、怖いになるんじゃないかなぁ…」
「どういう意味?」
「エネルギー一杯持ってるけど、それが多いて事は同時向こうの概念では強いて事だし、強さも大体分かる訳だし態々狙わない気もするし、もしくはそこまで固執しないかなぁ」

「失敗したらもう狙わない?」
「と思う、態々一番強い相手を狙わなくても別の餌でいいし…」
「じゃあ本家襲撃も別の意図なのかな…」
「じゃないかな、晴海パパみたいな集団で守られてる相手を食べようと思うのかなぁm孤立してる弱くていっぱい成長出来る相手とか食ったらいいし」
「効率だけで言えばそうなるか」
「晴海パパも他の人も食べられてはいないから多分違う」
「そういえばそうか…周囲の護衛とかも単に殺されただけだしね…て事は殺すだけが目的」

「しかしそうなると余計分からなくなるな…例のコマンダーが統率とか指示してる、それで狙った相手を暗殺みたいな、妖怪ぽくないんだよな」
「雹は雹の意思を持ってアスカやハルミを助けたい、あの子がそうであってもおかしくはない、妖怪て事に拘らなくていいと思う」
「確かに…少し決めつけすぎてるかもしれない。とは言え。理由が不明は変わらないけど、侵略しに来てるのか、或いはそれ以外の意図なのか」
「侵略もどうかなと思う、人間餌としてもそんなに沢山いらないし、ないとも言えないけど」
「まあ、そもそもの神宮司の起こりが妖怪の出現とか、あっちからの攻撃みたいな感じな訳だしね…どうしてそうなったのかも不明だけど」

とは言え、推理にしてもあまりに情報が少ない。相手、少なくともコマンダーに関しては知性なり人ぽい意思もある、だとすれば自然動物のような餌要素だけでは行動原理を捉えられない、それだけに難しくもある

どちらにしても現状では材料不足だ、何れにしてもおそらくまた戦う事になるだろうから、この点を繋いでいけば明らかになるだろう

とりあえず分からない事をあれこれ悩んでも仕方ない、活路がない場合はそれでいいが、現状、やれることは山ほどある
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