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鳳雛
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それから明けて月曜から通常の学校と任務活動に移行、戻るが、晴海は当日から藤原本家と相互に細かい組織や地元公人組織との連携など高砂含めて話合う
これも一刀は異存ないのだが、予報システムの導入は公人組織の側で不承となり、通信網、インカムなどの通信機器を個別に藤原で入れる事になった
これは元々藤原が広範囲に人員が居り、各家も近くはない、位置情報を相互に知るのは事態が大きくなった場合、合流対処などし易い為だ
東北地方ではそこまでE案件が増えたという事もなく地元警察組織も新たにE専用部署を置いて藤原と連携せよとまではならず、これまでと同じ対応に留める事となった
「何しろ元々協力関係にある訳ではないですからな、それに、仮に妖怪の事件が起きたとしても我々単体でも対応は可能なのもあります」
「そうですよね、藤原家は業とか対処範囲も広いみたいだし」
「はい」
「ですがなんにせよ、中央政府から東北県警等への要請は行います、部署を作れとか対応訓練組織を作れとまではいかずとも必要だと思います」
「それは?」
「例えばこれまで通り、実際にこちら側でEが出た、藤原家が主導で対応にしても、各所公的機関に仮に小さくても場所が確保出来れば、緊急車両での移動や後方支援あるいは、無人機での援軍なんかも可能なので」
「例のドローン機ですか?」
「はい、既に何機かベーステスト開発を終えて配備可能なので」
「なるほど、ではそちらはどっちにしろ高砂さんにお任せします」
という対応をする事になった
既にテスト機、第一弾は開発済みという事だが、まあ、この時代は割とどこでもやろうと思えば量産化は可能である
コストが安く、ラジコンヘリとそこまで違わないしベース技術や運用実績はあるからだ
ただもちろん開発部や綾辻の協力で1から製造したもので超最新鋭だ、軽量・高耐久・高稼働・高効率で誰かが操作するモノでなく。現時点でも自律AI型の形態で集団行動・編隊行動可能である
今でいうとルンバに近く、ある程度設定どおりにパトロールや捜査もし設置した基地があれば自動で戻ってバッテリー再充填しまた行動するなど可能、勿論、衛星を介した本部、人間の操作や指示も可能
装備は今の所空気砲で射出する火薬燃料弾を撃ち込むランチャーと言うと語弊があるが、近い形の装備が1門5発搭載されている
これはあくまで救援を想定した気をそらすとか撤退させるとかなので弾倉ではあるが火と破裂する火炎瓶弾に近く、命中精度が高いとか、ダメージを与えるまでは想定していない。まあ、何れ電子兵器型等や支援特化等の構想もあるそう
国内組織ではあまり例がなく、自律型なので実際の投入は早くしたいという事情はある、何故なら対Eに関しての運用などある訳なく、データにしろAIの学習にしろ多い方がよいからだが、これに関しては火器を扱うので扱いが難しい、法律上の問題もあるからで
そのため、E案件特殊開発部の本部に設置を第一弾として行う
「本来対応の幅を広げるという意味で全国に置きたい所ですが今の所開発部支部やECMのあるのは結局都内ですからな…」という事でそうなったが
何れにしろ小規模にしろもっと広い地域へのアプローチは続けるとの事だ
新任になる蛍子だが、当人の実際の退魔行動に参加する希望ECM所属で構わないという事で一応派遣人員に登録し身分証も発行されたので本部の方で渡すが
「役割を普通に二人組パトロールに加えるのはどうしょう」
「ECM登録の退魔師2・3人で組んでの範囲捜査ですか?」
「そうそう」
「問題無ければですが自由遊撃の形でお願いします」
「一人で動くて事?」
「はい」
「うーん…その方がいいならそれでもいいけど」
「既にECMの派遣人員として登録してますし、モバイル、インカムもありますので位置情報と通信さえ可能なら単身で動いてもらっても問題無いといえば無いですけどイザ事件と成った時に少し危険ですね」
「いえ、一人で対応したいという訳でもないです、関東圏の公共とかエネミー?がどれくらい見つかるのかとか、そういうのを自身で体験したいのもあるので」
「そっかわかった、じゃあ任せる」
という事で当人の希望でこれも任せるが単独捜査をするには移動の足を持たないので、どうするかの詳細も聞くが、藤原の業でこれを補助するものがあるそうだが限定的であり自由にという訳にもいかない
「タクシーとか列車のフリーパスでもいいけどあんまり自由ではないよね」
「そうですねぇ、免許をお持ちでないのでレイナさんの様に開発部の原付も無理ですかね」
「それでしたら~私のキックスクータはどうでしょう?~」
「あれって免許要らないんだっけ?…」
「はい~」
「なんですか?それ?」
となった為、アスカが自身のスクーターを持ってきて開発部の駐車場で披露、試しに蛍も乗ってみるが「あ、これいいかも」となった
「じゃあ当面其れ使ってください~」
「有難うございます」
「いえいえ~」
「いいの?アスカさん」
「今日日どこでも売ってますしねぇ~私のはちょっと高いですけど~」
と言った通りで現代であるキックボードスクーターとは形は近く色々条件も緩和されている。
ローラーボードにモーターと長いハンドルの付いた立ったまま乗るスクーターで時速30キロくらいは速度出るし、この時代も免許もいらない
軽量、コンパクトで折り畳み持ち可能で長距離移動も可能なくらい効率も良くパワーもあるのでこれでとりあずいいだろうという事になった
まあ、原付免許を取ればいいのだが蛍の場合レイナが乗ってる開発部の特殊原付だと足が届かないという
そうして通常の生活業務に戻るが、懸念することもある、自由遊撃というと桜子のような真意があるのでは?猪突するのでは?という心配もあり、凛にも位置情報でそれとなく見ておいてもらったが
これに関しては自身も言った通り別に単身で戦ってみたい訳でもなく、自由行動時も特に孤立するとか、やたら遠方に行くという事もなく
昼間も開発部でESPに関する調査に協力するなど、特に奇異な所も見られないが妙にランダム性があるそう。時に横浜支部に行ったり
都内でも綾辻本家の方面、奥多摩に行ったり、本部から動かず晴海らと話したりだが
「なんで?」とは思ったが、一応当人は
「藤原以外の家と、関東圏でどういう退魔対策をしているのか状況がよく分からないので興味本位もあるけど、自分で見たい」
という理由だが、それ以外は当人もいまいち分かってないらしい
ただ蛍が来てから二週目、10月18日~連続で起きた予報でそれが分かる
まず18日、20時に一回目の予報が柏市で発生する。予報だけだったのだが、スタジアムの付近、ECMのパトロール範囲外であったため
「これは実際出現したらマズイ」と一時成ったのだが凛が隊員の現在位置から最も近い退魔師を向かわせようとしてスクリーンをチェックした所で驚いて晴海に報告する
「スタジアムから一キロ付近のモールに蛍子さんが居るようです…」と
「え⁉」としか言いようがない
それだけなら偶然で終わる話なのだが。
翌19日23時手前にも予報が発生、これも神奈川のかなり西、秦野戸川公園付近と通知される、しかも結構予報円が大きく警戒大とされた為、即横浜支部へ通信する
横浜支部も元々退魔に関しての意識の高い人数も居る集団で神奈川範囲ではかなり広域カバーするようにバイク隊が出ているのだが流石に秦野市となると支部から遠いと思われたのだが
「えーと…今須賀神社の近くにあるファミレスに蛍子さんと居ます…」と桜子に返信通信される
これも「え⁈」としかいいようがない
「ここからなら秦野市川公園まで1キロくらいなので直ぐ現場に向かいます」
「り、了解、時間が時間ですので人は多くないと思いますが公園周辺の退避措置と神奈川方面の支部隊員も向かわせ、道路の優先通行も確保します」
「はい」
「予報大なので無理はなさらぬよう」
「了解してます」
と桜子も即現場に向かう、ここで初めて「何で予報地点に事前に居るんだろう?」となったが
「蛍子さんはESP能力者でもありますからね…ちょっと信じられませんが予知的能力もあるのかも…」と高砂が見解を示した
「だとしたら凄いな…」
「ま、それは追々ですね、とにかく予報大というのは初ですから、こちらの対応を急ぎましょう」
「とは言え、僕らが現在位置から神奈川に向かっても」
「距離・時間的に陸路では一時間以上掛かりますので間に合わないですが、予報大という事は退魔ランク的にもC以上と思われますから何れにしろ対応可能な晴海君かアヤネさんは向かった方がよいかと」
これにインカムで応えたのがアヤネで
「わたくしが向かってます、相模原方面を回ってますので飛べば2~30分でいけるはずです」
「僕は船橋方面に居るからちょっと無理かも…一応向かうけど街中過ぎて早駆けを使い難い」
ただ結果的には晴海は中途停止される、7分後、桜子から通信報告があり大物が居る訳ではないとの見解が示されたからだ
「数は多いようですが強烈な霊力値はありません、100~120が30」
「公園内の自主退避は終わってますので人間外のモノであるとするならその数の、弱い妖怪が居るとみて間違いないかと」
桜子が先行して公園に到着、とは言えこの公園は川を挟んで縦長にあり相当広く、登山道入り口、キャンプ場などあるが、幸いかなり遅い時間で自主退避通告と同時に、近隣の警察隊も囲うように一般人を外、或いは屋内に移動誘導してありそう問題は発生しないだろう対処が取られている
桜子が抜刀し公園内に踏み込んだ3分後に蛍子も到着、桜子の後に付く
「急な事態ですがよろしくお願いします蛍子さん、相手は大物は居ませんが数は25~30程度と思われます、周囲から時間差で援軍が来ますので、時間稼ぎ中心になるかと思われますが、前はとりあえずお任せを」
「いえ、大丈夫ですよ行きましょう」
「?」
「おそらく鬼です」
「わかるのですか??」
「たぶんです、それからあっちの広い所でしょう」
そう示されたのでゴーグルで近接主観範囲に表示切替するが
確かに多目的グラウンド方面中心にサーモで捉えたのでとりあえず駐車場から奥側に進む
そうして川西側の歩道移動しグランドとアスレチックなどのある場所まで来るがこの公園は結構森に近い中に作られているので視界不良部分が多い
ただ「集まっている」という程密集している訳でもなく、サーモグラスで左右に人型で隠れている相手を近中距離で見つける
桜子も居合い構えのまま接近するが、30メートルくらいまで最初の相手に接近すると、夜の木々の闇の中から奇襲するように、パッと現れ桜子に飛び掛かってくる
サーモや線量計等無ければその奇襲は成功するのだろうが、今のECM隊員は全員これら機器を装備してある
桜子は飛び出して来た人型の相手に刀で打ち返しながら横に避け、相手から横ポジションに移動しながらも二撃目を返す刀で払いつつ距離を取って対峙する
ここで相手の姿を目視したが、以前晴海が学校屋上で倒した人間サイズの鬼だろう、小鬼を小とすればこれは中であるし、それほどの相手ではないがEランクにしては強敵の部類ではあろう、あくまで今の桜子が相手するにはだが
最初の一匹目の鬼は前に飛ぶように左右の手の爪で攻撃するスタイルで行動的には野生猿なんかに近い、桜子はこれを左右横切り返しからの移動業
獅童の退魔剣技で打ち返しながら、サイ戦と同じく回るように避けつつ応戦するが、サイよりも瞬発力に鬼は優れ、肝心の距離を取っての「一閃」を使い難い
相手が手を伸ばして引っかきをする、これを刀で横切りしながら反らすと同時に自分は相手のサイドに回る、のだが、鬼は以外と俊敏で直ぐこちらに方向補正して向かってくる為、溜め撃ちする距離と時間が中々取れない
「鬼程度でも私では互角か!」
一応一対一でも互角近くはある、そうして膠着戦になると今度は近くに潜んでいる他の鬼が集まってくるので実際はかなりマズイ状況である
ので、桜子は応戦しつつも後退、入ってきた方向に移動しながら声を掛けた
「蛍子さん!下がってこちらも援軍待ちで入口まで後退します!」と
「そうですね、鬼共のが近距離に居るのでこちらの援軍待ちにしても不利ですね」
「です!」
「では一旦アチラに下がってもらいましょう」
と蛍が言った後、背中越しに鬼を睨むと
「バン!」という低い炸裂音と共に、桜子と対峙していた鬼が正面から何かに殴られたように頭から吹っ飛んで後ろに転げた
「へ!?」
「急いで戻る必要はないです、下がりながら倒します前の専守だけお願いします」
「は、はいっ」
そのまま継続しながら後ろ歩きの状態で整然と後退、ただ桜子には恐ろしい光景ではある
ゴーグルには前方90度角でかなりの数の数字と〇表示が結構な速度で自分に接近してるのがレーダーで見えてる訳で
そうして次々と姿を現しつつ鬼に半包囲されながらも、襲ってくる鬼を迎撃するが、完全に「専守」と言っても一人だと許容オーバーである
左右から交互に飛び掛かってくる鬼の攻撃を下がり打ちしながら一応防ぎ返すが結構ギリギリである
蛍子は自身のナップサックから仕切りの無いランプのようなモノに火を灯し片手で前に掲げながら逆手で二本指で印を結びつつ真言を唱える
「ノウマクサンマンダバサラダンセンダンマカロシャダソハタヤウンタラタ カンマン」
言って目の前に掲げた火に息を吹きかけると
その勢いのまま、篝火から火が分離し小さな燃えるトカゲと成って桜子の前包囲に居る鬼共に襲い掛かり次々火を点け回る
これで火を点けられた鬼も驚いて自身に発生したボヤみたいのを慌てて払って踊るが、殺傷する程の火力ではないらしい、ただ一部はそのまま逃げたが
見た目は火トカゲと言う通りで精々20センチくらいの小さいトカゲであまり強そうには見えない、実際攻撃も相手に飛び掛かって自身の火を相手に点火する程度であんまりそれ自体には威力はない
蛍子は印を結んだまま火トカゲを操り、桜子の周りを防衛するように周りを回って近づいてくる残ってる鬼を威嚇しつつ小火を飛ばすが、威力が低くてもこの場合問題ない、相手も着火を嫌がって距離を取るから
「これは!?」
「不動明王火仙招です、蛍のでは弱いですがしばらくは守ってくれます」
「凄い…」
この二人セットは案外相性がよい、近接+後衛なのもあるが桜子が一対複数になるのも防げるし、相手が一定距離に入れないなら桜子も一閃迎撃が出来る。
「よし!」と覇気し構えから一閃を放って相手を斬る
正直サイ戦の苦い経験があるのでそこまで自分でも効くとは思ってないのだが、改良型の七重鐘の一閃は大分威力があるらしい。
対峙手前の鬼に撃ったのだが、普通に胸と首に辺りにヒットして「ギャ!」と声を上げて鬼も引っくり返って結構な裂傷を付け流血らしきモノが発生。死にはしなかったようだが
それで最初の一匹も逃走する
それで事態が変わる訳ではないが、まだ表示だけでも23は居るしドンドン集まってくるし。
が、それはそれでこの程度の相手だと問題ないらしい相変わらず、半包囲されながら後退迎撃なのだが
今度は蛍子が桜子の左右に位置取りして伺っている鬼に爆炎発火させて吹き飛ばして燃やし更に三匹殺して二匹逃走。およそ10分稼いで南駐車場まで戻った
ここで獅童の一派の援軍が時間差で3人到着、すぐさま其々抜刀加勢し鬼と打ち合いになる
数差はまだあり18対5ではあるのだが獅童一派は門下とは言え其々が剣術・E専用剣法を持ち、量産型の七重の鐘も装備する為
斬り合いというか、近接防衛の打ち合いの混戦になったが鬼をその場で防ぎ止める
ついでに言えばだが、量産型の七重の鐘は、其々別な特徴で量産されている
以前「科学的処理が様々可能」と高砂が言った通りで、基本的に「一閃」を撃てるようにしてあるが、電子警棒のミックスで表刃に電磁処理や、同じ刀でも素材を変えたり、アスカが霊的処理を施し「一閃」を帯電させて防御に使ったりが可能になっている。
其々希望により隊員は別々のモノを使っており、ただの刀での戦い、も実際はかなり幅広く対応できている、それが低級とは言え妖怪とも互角近くに打ち合い出てきている理由でもある
そうして更に3分後、アヤネが到着し、双方集団の北、鬼の背後を取る形で距離を取って降り立ち、紙犬を2枚放って鬼に突撃させ、前後挟撃となった
今のアヤネの紙犬は相当強い、問答無用で集団後ろの鬼に飛び掛かって噛みつき、鬼の肩口を砕いて腕を棄損させて押し倒して組み伏せる
これで鬼共も混乱状態になり四方に散会するが、チャンスと見た桜子が反撃を指示し隊員も其々「一閃」で攻勢に出て一気に三匹打ち倒した
これで鬼らも不利と思ったか、恐怖からか、統制を失い其々がバラバラに逃げるが、逃げられたのは残り10匹と多いが、無理追撃は要らないという判断、これはE対応組織のマニュアルに近い
「深追いはするな!」と桜子が制止して隊員もそれぞれ武器を下し
直ぐに一斉に線量計で周囲捜索に切り替え残りを探すがそれも無く、鬼の形跡も数字も完全に消えた事を確認し、警察組織等にも連絡。終わった事を確認報告した
これも一刀は異存ないのだが、予報システムの導入は公人組織の側で不承となり、通信網、インカムなどの通信機器を個別に藤原で入れる事になった
これは元々藤原が広範囲に人員が居り、各家も近くはない、位置情報を相互に知るのは事態が大きくなった場合、合流対処などし易い為だ
東北地方ではそこまでE案件が増えたという事もなく地元警察組織も新たにE専用部署を置いて藤原と連携せよとまではならず、これまでと同じ対応に留める事となった
「何しろ元々協力関係にある訳ではないですからな、それに、仮に妖怪の事件が起きたとしても我々単体でも対応は可能なのもあります」
「そうですよね、藤原家は業とか対処範囲も広いみたいだし」
「はい」
「ですがなんにせよ、中央政府から東北県警等への要請は行います、部署を作れとか対応訓練組織を作れとまではいかずとも必要だと思います」
「それは?」
「例えばこれまで通り、実際にこちら側でEが出た、藤原家が主導で対応にしても、各所公的機関に仮に小さくても場所が確保出来れば、緊急車両での移動や後方支援あるいは、無人機での援軍なんかも可能なので」
「例のドローン機ですか?」
「はい、既に何機かベーステスト開発を終えて配備可能なので」
「なるほど、ではそちらはどっちにしろ高砂さんにお任せします」
という対応をする事になった
既にテスト機、第一弾は開発済みという事だが、まあ、この時代は割とどこでもやろうと思えば量産化は可能である
コストが安く、ラジコンヘリとそこまで違わないしベース技術や運用実績はあるからだ
ただもちろん開発部や綾辻の協力で1から製造したもので超最新鋭だ、軽量・高耐久・高稼働・高効率で誰かが操作するモノでなく。現時点でも自律AI型の形態で集団行動・編隊行動可能である
今でいうとルンバに近く、ある程度設定どおりにパトロールや捜査もし設置した基地があれば自動で戻ってバッテリー再充填しまた行動するなど可能、勿論、衛星を介した本部、人間の操作や指示も可能
装備は今の所空気砲で射出する火薬燃料弾を撃ち込むランチャーと言うと語弊があるが、近い形の装備が1門5発搭載されている
これはあくまで救援を想定した気をそらすとか撤退させるとかなので弾倉ではあるが火と破裂する火炎瓶弾に近く、命中精度が高いとか、ダメージを与えるまでは想定していない。まあ、何れ電子兵器型等や支援特化等の構想もあるそう
国内組織ではあまり例がなく、自律型なので実際の投入は早くしたいという事情はある、何故なら対Eに関しての運用などある訳なく、データにしろAIの学習にしろ多い方がよいからだが、これに関しては火器を扱うので扱いが難しい、法律上の問題もあるからで
そのため、E案件特殊開発部の本部に設置を第一弾として行う
「本来対応の幅を広げるという意味で全国に置きたい所ですが今の所開発部支部やECMのあるのは結局都内ですからな…」という事でそうなったが
何れにしろ小規模にしろもっと広い地域へのアプローチは続けるとの事だ
新任になる蛍子だが、当人の実際の退魔行動に参加する希望ECM所属で構わないという事で一応派遣人員に登録し身分証も発行されたので本部の方で渡すが
「役割を普通に二人組パトロールに加えるのはどうしょう」
「ECM登録の退魔師2・3人で組んでの範囲捜査ですか?」
「そうそう」
「問題無ければですが自由遊撃の形でお願いします」
「一人で動くて事?」
「はい」
「うーん…その方がいいならそれでもいいけど」
「既にECMの派遣人員として登録してますし、モバイル、インカムもありますので位置情報と通信さえ可能なら単身で動いてもらっても問題無いといえば無いですけどイザ事件と成った時に少し危険ですね」
「いえ、一人で対応したいという訳でもないです、関東圏の公共とかエネミー?がどれくらい見つかるのかとか、そういうのを自身で体験したいのもあるので」
「そっかわかった、じゃあ任せる」
という事で当人の希望でこれも任せるが単独捜査をするには移動の足を持たないので、どうするかの詳細も聞くが、藤原の業でこれを補助するものがあるそうだが限定的であり自由にという訳にもいかない
「タクシーとか列車のフリーパスでもいいけどあんまり自由ではないよね」
「そうですねぇ、免許をお持ちでないのでレイナさんの様に開発部の原付も無理ですかね」
「それでしたら~私のキックスクータはどうでしょう?~」
「あれって免許要らないんだっけ?…」
「はい~」
「なんですか?それ?」
となった為、アスカが自身のスクーターを持ってきて開発部の駐車場で披露、試しに蛍も乗ってみるが「あ、これいいかも」となった
「じゃあ当面其れ使ってください~」
「有難うございます」
「いえいえ~」
「いいの?アスカさん」
「今日日どこでも売ってますしねぇ~私のはちょっと高いですけど~」
と言った通りで現代であるキックボードスクーターとは形は近く色々条件も緩和されている。
ローラーボードにモーターと長いハンドルの付いた立ったまま乗るスクーターで時速30キロくらいは速度出るし、この時代も免許もいらない
軽量、コンパクトで折り畳み持ち可能で長距離移動も可能なくらい効率も良くパワーもあるのでこれでとりあずいいだろうという事になった
まあ、原付免許を取ればいいのだが蛍の場合レイナが乗ってる開発部の特殊原付だと足が届かないという
そうして通常の生活業務に戻るが、懸念することもある、自由遊撃というと桜子のような真意があるのでは?猪突するのでは?という心配もあり、凛にも位置情報でそれとなく見ておいてもらったが
これに関しては自身も言った通り別に単身で戦ってみたい訳でもなく、自由行動時も特に孤立するとか、やたら遠方に行くという事もなく
昼間も開発部でESPに関する調査に協力するなど、特に奇異な所も見られないが妙にランダム性があるそう。時に横浜支部に行ったり
都内でも綾辻本家の方面、奥多摩に行ったり、本部から動かず晴海らと話したりだが
「なんで?」とは思ったが、一応当人は
「藤原以外の家と、関東圏でどういう退魔対策をしているのか状況がよく分からないので興味本位もあるけど、自分で見たい」
という理由だが、それ以外は当人もいまいち分かってないらしい
ただ蛍が来てから二週目、10月18日~連続で起きた予報でそれが分かる
まず18日、20時に一回目の予報が柏市で発生する。予報だけだったのだが、スタジアムの付近、ECMのパトロール範囲外であったため
「これは実際出現したらマズイ」と一時成ったのだが凛が隊員の現在位置から最も近い退魔師を向かわせようとしてスクリーンをチェックした所で驚いて晴海に報告する
「スタジアムから一キロ付近のモールに蛍子さんが居るようです…」と
「え⁉」としか言いようがない
それだけなら偶然で終わる話なのだが。
翌19日23時手前にも予報が発生、これも神奈川のかなり西、秦野戸川公園付近と通知される、しかも結構予報円が大きく警戒大とされた為、即横浜支部へ通信する
横浜支部も元々退魔に関しての意識の高い人数も居る集団で神奈川範囲ではかなり広域カバーするようにバイク隊が出ているのだが流石に秦野市となると支部から遠いと思われたのだが
「えーと…今須賀神社の近くにあるファミレスに蛍子さんと居ます…」と桜子に返信通信される
これも「え⁈」としかいいようがない
「ここからなら秦野市川公園まで1キロくらいなので直ぐ現場に向かいます」
「り、了解、時間が時間ですので人は多くないと思いますが公園周辺の退避措置と神奈川方面の支部隊員も向かわせ、道路の優先通行も確保します」
「はい」
「予報大なので無理はなさらぬよう」
「了解してます」
と桜子も即現場に向かう、ここで初めて「何で予報地点に事前に居るんだろう?」となったが
「蛍子さんはESP能力者でもありますからね…ちょっと信じられませんが予知的能力もあるのかも…」と高砂が見解を示した
「だとしたら凄いな…」
「ま、それは追々ですね、とにかく予報大というのは初ですから、こちらの対応を急ぎましょう」
「とは言え、僕らが現在位置から神奈川に向かっても」
「距離・時間的に陸路では一時間以上掛かりますので間に合わないですが、予報大という事は退魔ランク的にもC以上と思われますから何れにしろ対応可能な晴海君かアヤネさんは向かった方がよいかと」
これにインカムで応えたのがアヤネで
「わたくしが向かってます、相模原方面を回ってますので飛べば2~30分でいけるはずです」
「僕は船橋方面に居るからちょっと無理かも…一応向かうけど街中過ぎて早駆けを使い難い」
ただ結果的には晴海は中途停止される、7分後、桜子から通信報告があり大物が居る訳ではないとの見解が示されたからだ
「数は多いようですが強烈な霊力値はありません、100~120が30」
「公園内の自主退避は終わってますので人間外のモノであるとするならその数の、弱い妖怪が居るとみて間違いないかと」
桜子が先行して公園に到着、とは言えこの公園は川を挟んで縦長にあり相当広く、登山道入り口、キャンプ場などあるが、幸いかなり遅い時間で自主退避通告と同時に、近隣の警察隊も囲うように一般人を外、或いは屋内に移動誘導してありそう問題は発生しないだろう対処が取られている
桜子が抜刀し公園内に踏み込んだ3分後に蛍子も到着、桜子の後に付く
「急な事態ですがよろしくお願いします蛍子さん、相手は大物は居ませんが数は25~30程度と思われます、周囲から時間差で援軍が来ますので、時間稼ぎ中心になるかと思われますが、前はとりあえずお任せを」
「いえ、大丈夫ですよ行きましょう」
「?」
「おそらく鬼です」
「わかるのですか??」
「たぶんです、それからあっちの広い所でしょう」
そう示されたのでゴーグルで近接主観範囲に表示切替するが
確かに多目的グラウンド方面中心にサーモで捉えたのでとりあえず駐車場から奥側に進む
そうして川西側の歩道移動しグランドとアスレチックなどのある場所まで来るがこの公園は結構森に近い中に作られているので視界不良部分が多い
ただ「集まっている」という程密集している訳でもなく、サーモグラスで左右に人型で隠れている相手を近中距離で見つける
桜子も居合い構えのまま接近するが、30メートルくらいまで最初の相手に接近すると、夜の木々の闇の中から奇襲するように、パッと現れ桜子に飛び掛かってくる
サーモや線量計等無ければその奇襲は成功するのだろうが、今のECM隊員は全員これら機器を装備してある
桜子は飛び出して来た人型の相手に刀で打ち返しながら横に避け、相手から横ポジションに移動しながらも二撃目を返す刀で払いつつ距離を取って対峙する
ここで相手の姿を目視したが、以前晴海が学校屋上で倒した人間サイズの鬼だろう、小鬼を小とすればこれは中であるし、それほどの相手ではないがEランクにしては強敵の部類ではあろう、あくまで今の桜子が相手するにはだが
最初の一匹目の鬼は前に飛ぶように左右の手の爪で攻撃するスタイルで行動的には野生猿なんかに近い、桜子はこれを左右横切り返しからの移動業
獅童の退魔剣技で打ち返しながら、サイ戦と同じく回るように避けつつ応戦するが、サイよりも瞬発力に鬼は優れ、肝心の距離を取っての「一閃」を使い難い
相手が手を伸ばして引っかきをする、これを刀で横切りしながら反らすと同時に自分は相手のサイドに回る、のだが、鬼は以外と俊敏で直ぐこちらに方向補正して向かってくる為、溜め撃ちする距離と時間が中々取れない
「鬼程度でも私では互角か!」
一応一対一でも互角近くはある、そうして膠着戦になると今度は近くに潜んでいる他の鬼が集まってくるので実際はかなりマズイ状況である
ので、桜子は応戦しつつも後退、入ってきた方向に移動しながら声を掛けた
「蛍子さん!下がってこちらも援軍待ちで入口まで後退します!」と
「そうですね、鬼共のが近距離に居るのでこちらの援軍待ちにしても不利ですね」
「です!」
「では一旦アチラに下がってもらいましょう」
と蛍が言った後、背中越しに鬼を睨むと
「バン!」という低い炸裂音と共に、桜子と対峙していた鬼が正面から何かに殴られたように頭から吹っ飛んで後ろに転げた
「へ!?」
「急いで戻る必要はないです、下がりながら倒します前の専守だけお願いします」
「は、はいっ」
そのまま継続しながら後ろ歩きの状態で整然と後退、ただ桜子には恐ろしい光景ではある
ゴーグルには前方90度角でかなりの数の数字と〇表示が結構な速度で自分に接近してるのがレーダーで見えてる訳で
そうして次々と姿を現しつつ鬼に半包囲されながらも、襲ってくる鬼を迎撃するが、完全に「専守」と言っても一人だと許容オーバーである
左右から交互に飛び掛かってくる鬼の攻撃を下がり打ちしながら一応防ぎ返すが結構ギリギリである
蛍子は自身のナップサックから仕切りの無いランプのようなモノに火を灯し片手で前に掲げながら逆手で二本指で印を結びつつ真言を唱える
「ノウマクサンマンダバサラダンセンダンマカロシャダソハタヤウンタラタ カンマン」
言って目の前に掲げた火に息を吹きかけると
その勢いのまま、篝火から火が分離し小さな燃えるトカゲと成って桜子の前包囲に居る鬼共に襲い掛かり次々火を点け回る
これで火を点けられた鬼も驚いて自身に発生したボヤみたいのを慌てて払って踊るが、殺傷する程の火力ではないらしい、ただ一部はそのまま逃げたが
見た目は火トカゲと言う通りで精々20センチくらいの小さいトカゲであまり強そうには見えない、実際攻撃も相手に飛び掛かって自身の火を相手に点火する程度であんまりそれ自体には威力はない
蛍子は印を結んだまま火トカゲを操り、桜子の周りを防衛するように周りを回って近づいてくる残ってる鬼を威嚇しつつ小火を飛ばすが、威力が低くてもこの場合問題ない、相手も着火を嫌がって距離を取るから
「これは!?」
「不動明王火仙招です、蛍のでは弱いですがしばらくは守ってくれます」
「凄い…」
この二人セットは案外相性がよい、近接+後衛なのもあるが桜子が一対複数になるのも防げるし、相手が一定距離に入れないなら桜子も一閃迎撃が出来る。
「よし!」と覇気し構えから一閃を放って相手を斬る
正直サイ戦の苦い経験があるのでそこまで自分でも効くとは思ってないのだが、改良型の七重鐘の一閃は大分威力があるらしい。
対峙手前の鬼に撃ったのだが、普通に胸と首に辺りにヒットして「ギャ!」と声を上げて鬼も引っくり返って結構な裂傷を付け流血らしきモノが発生。死にはしなかったようだが
それで最初の一匹も逃走する
それで事態が変わる訳ではないが、まだ表示だけでも23は居るしドンドン集まってくるし。
が、それはそれでこの程度の相手だと問題ないらしい相変わらず、半包囲されながら後退迎撃なのだが
今度は蛍子が桜子の左右に位置取りして伺っている鬼に爆炎発火させて吹き飛ばして燃やし更に三匹殺して二匹逃走。およそ10分稼いで南駐車場まで戻った
ここで獅童の一派の援軍が時間差で3人到着、すぐさま其々抜刀加勢し鬼と打ち合いになる
数差はまだあり18対5ではあるのだが獅童一派は門下とは言え其々が剣術・E専用剣法を持ち、量産型の七重の鐘も装備する為
斬り合いというか、近接防衛の打ち合いの混戦になったが鬼をその場で防ぎ止める
ついでに言えばだが、量産型の七重の鐘は、其々別な特徴で量産されている
以前「科学的処理が様々可能」と高砂が言った通りで、基本的に「一閃」を撃てるようにしてあるが、電子警棒のミックスで表刃に電磁処理や、同じ刀でも素材を変えたり、アスカが霊的処理を施し「一閃」を帯電させて防御に使ったりが可能になっている。
其々希望により隊員は別々のモノを使っており、ただの刀での戦い、も実際はかなり幅広く対応できている、それが低級とは言え妖怪とも互角近くに打ち合い出てきている理由でもある
そうして更に3分後、アヤネが到着し、双方集団の北、鬼の背後を取る形で距離を取って降り立ち、紙犬を2枚放って鬼に突撃させ、前後挟撃となった
今のアヤネの紙犬は相当強い、問答無用で集団後ろの鬼に飛び掛かって噛みつき、鬼の肩口を砕いて腕を棄損させて押し倒して組み伏せる
これで鬼共も混乱状態になり四方に散会するが、チャンスと見た桜子が反撃を指示し隊員も其々「一閃」で攻勢に出て一気に三匹打ち倒した
これで鬼らも不利と思ったか、恐怖からか、統制を失い其々がバラバラに逃げるが、逃げられたのは残り10匹と多いが、無理追撃は要らないという判断、これはE対応組織のマニュアルに近い
「深追いはするな!」と桜子が制止して隊員もそれぞれ武器を下し
直ぐに一斉に線量計で周囲捜索に切り替え残りを探すがそれも無く、鬼の形跡も数字も完全に消えた事を確認し、警察組織等にも連絡。終わった事を確認報告した
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