晴海様の神通力

篠崎流

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瓢箪から駒

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そうして更に当日16時くらいにはECMから離れて晴海とアヤネは八王子方面に向かう。どこか飛行練習出来る所あります?という事で聞いてみたら綾辻から反応があり

「民間研究施設を確保しましょう」という事になった

大体17時くらいに指定された場所に着き円形のドームみたいな結構デカイ建物の門の前に警備員がいるがこちらから話しかける前に向うから話かけられ通された

更に施設内の出入口には背の高い白いヒラヒラドレスの女性が待っており自己紹介と同時に内部に案内される

「お初にお目にかかります、綾辻光と申します」
「え、という事はレイナさんの?」
「はい、姉で綾辻の長女です、お会い出来て光栄です」

以前レイナも云った通りだがおっとりしてて荒事なんか無理と云う通りで、背丈は168で年齢は23.見た目からして清楚系お嬢様な感じで何時もニッコリしてるような優しいイメージである

それもそのはずで学業に特化した才能を幼い頃から発揮しており、今は時人の補佐や代理をする事も多く、民間の研究開発部門の投資などは彼女が担当している

「成程、それでこちらへ」
「ええ、丁度近くに居りましたのでご挨拶をと」
「すいません態々」

ドーム型、という通りでこの施設は屋内、外、共に航空技術の研究施設でかなり広く、天井も30mくらいあり、飛べるし
外部から見えないようにもスクリーンかけても使えるそう

所謂、航空機とかだけではなく、単体有人飛行とか一部ドローン機なども開発している為このような仕様となっている

一通り説明を受けた後、内部のドームは四方壁や床にも吸収材などの素材が敷設されていて、転倒や落下に対する処置があるためこの実験室を貸してもらう

そうして早速アヤネの方は白翼を展開して晴海の方に教えながら同じく白翼の構築から始めるが、それ自体は一応成功するのだが、羽ばたいて上に上がるがどうしても上手くいかない。

「うーん…自分の体の一部として羽を動かすのが難しい…」
「私はわりと直ぐ出来ましたよ?」
「なんでだろ…」

とは思ったが、思い当たるフシはある。晴海の場合仙術も難しい気砲が出来て、紐を操るが出来ない、難しい方が先に出来て、道具という力の方向性を補助している業の方が出来ない

つまり、ダイレクトにエネルギーを操る方に才能があって、道具を経由する系統には適正が低いのである

「これは困った…」
「そですね、では使い方を変えてみましょう」
「どういう風に?」
「白翼はある程度の高度まで飛んでから進行方向と逆にエネルギーを点火させて前進推進力で進んだり、方向転換を使ったりしますので。自力跳躍の後、羽の後ろ方向から発気するような…」
「なるほど」

と、ある程度助走を付けて、走り幅跳びの要領で上に飛ぶ。そのまま地面と反対方向にエネルギー噴射すれば一応は飛び上がれるはずだが、流石に危険なのでアヤネに補助してもらいダッシュジャンプから試す

「こう?」みたいな感じでやってみたのだが
「ドン!」という爆発的な反動で前進推力を得て、いきなり20mくらいロケットみたいに飛び上がった

「ええ⁈」
「だ、大丈夫です!落ち着いて!」

後ろから抱きかかえられて空中で停滞し、ゆっくりアヤネに下ろされる

「危なすぎる…」
「これは止めた方がいいのかも…」

と成って結局晴海には無理だろうという事なった

そもそも白翼は鳥に近い飛び方なので羽の制御が出来ないと上がるにも下りるにも滅茶苦茶危険なのでその制御が苦手な晴海がやると失敗して大けがのリスクのが高い

一応このようにジェット戦闘機の様な真似も出来るが、それにしても羽の制御が必須である。それが出来ない以上練習するも難しい。空中で失敗したら落下で大惨事になる

ただ「そういえば…」と思い教本を開いて確認するが神宮寺の方にも一応移動手段が幾つかあるので座ってアヤネにも提示する

「神宮寺の教本にも移動手段が何個かあったな」
「京極の召喚でも移動専用のがありますが」
「いや、それは多分無理だと思う、どうも僕は技術的な業に向いてないぽいし」

「早駆ていうのと、飛翔天駆ていうのがあるね」
「絵ですと自身の手や足元に何か作るみたいですね…《霊力を足元地場自体に作り無限に駆ける》ですか…」
「やり方くらい書いといて欲しい…」

まあただ、今の晴海は失敗した白翼のように、其れを道具として扱えないが、力の使い方のベクトルを変えるのは比較的簡単ではある

極端に言えば、気砲を進みたい方向の逆に撃って反動を使うみたいな事は出来る訳だし

「折角広い場所借りたし、一応やってみようか…」と

そうして円形施設をジョグしながら走り幅跳び、白翼の急加速の要領でかなり手加減してやってみるが、前方方向に60mくらい地面をスノボに近い感じで滑って移動成功した

「え!?」と晴海とアヤネが同時に驚いて固まった

「アレ?…」
「出来ちゃいましたねぇ…」

まあ、理屈上は簡単ではある。エネルギーを進行方向や反対側に発して自分をプッシュ、或いは移動停止や補助操作してるだけだから

「ただ、これが教本にある早駆けなのかなぁ…」
「そ、そこまでは」

両者そう云ったが、実際は半分正解である、走ったり飛んだりを自力で行いながら自身の霊力制御で地面とか壁とかを蹴って状況に応じて発気して高速度で移動、跳躍、停止する業である

そうして白翼は失敗したが、早駆けらしきモノを習得するがこれもかなり慣れか訓練が要る。

帰りついでに練習を兼ねて晴海も早駆けを使いながら移動するが平地では感覚的にはかなり良い、が市街地だとかなり心臓に悪い

ビルや建物を高速度で跳躍、段差合わなければ面前に壁。
これを蹴って上や下に気力制御で飛び、高い所から降りるには落下速度を逆制動を掛けて着地しないと手足を痛める

2キロ程移動してアヤネと共に降りて膝に手を着いて深呼吸した

「滅茶苦茶早く移動できるけど…精神的に疲れる…」
「ですよね…、ただハタから見てて凄くカッコいいです。動きは現代で言うバルクールという競技、或いは名雪さんぽいです」
「これも体術に近いから別の訓練が要るね…て、アレ?」
「?」
「もしかして名雪さんも近い事出来るのかな?壁登りとか使うとか言ってたような」
「元々は忍術ベースの体術ですからそうなのかも?」

一応感覚的にも物理的にも良いので、一旦お終いにし、ここからタクシーに切り替えて本部に戻る事にした

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