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そうして暫く、周囲を名雪の羅針盤や警戒予報を頼りに探索したが妖怪の襲撃はアレで終りらしく、予報も解除されていた
五分待って確認した後、名雪権限で告知も解除
「私は事後処理があるので遠距離待機させた公人側を待って検証と説明する、二人は戻っていいぞ」とされ
アスカも雹を連れてスクーターで戻るが中途で、遅れて集まって来た開発部の車に拾って貰い帰途に着いた
とりあえず事後処理が終ったのが二十二時で一時間後には名雪もECM本部に戻り、今回の事件を開発部含めて報告する事となった
事件その物はE事件で何時も通り前後の現場検証が行われ恙無く処理されたが、今回に限り、一部であるがカマイタチの遺骸も残った
その為、特殊開発部、高砂の部署に移管され回収・解析する事となる「開発部」ではあるのだが、国内唯一の公的、対E研究・専門部署でありこちらに任される運びとなった
妖怪の遺骸が残された事自体が非常に稀な事で、貴重なサンプルには違い無いし医療・科学専門の装備も人員もあるので妥当な処置でもある、尤も、直ぐ何か判明するようなモノでもないが
「まあ、何にせよ負傷者が出なかったのはよかった、一部とは云え妖怪の実サンプルも取れましたし」
「ですね」
「高砂さん、今後どういう解析をするんでしょう?」
「今までも全く実証拠無しでは無く、幾つかサンプルはあるので同じ流れでしょうね、遺骸から生体、細胞など取って分析、既存生物との比較、検証ですが。それなりに時間は掛かるでしょう」
「そういえば何度か遺骸が残ったケースもあるんでしたね」
「ええ、かなり昔ですが数例あります、此処から細胞単位での分析や研究は今までも行われていますが‥何しろ妖怪と括りで実際は特徴は異なるので‥弱点を掴むとかそこまでは行かないかもしれませんが」
「そうなんですか?」
「ええ‥以前の遭遇した子鬼、も人型でもあり、一反木綿の様な人工物ぽいのも居ます、今回のもイタチですからな‥、同じ特徴を持っていない生物、でもあるんですよね‥妖怪という括りなだけで‥此れが中々難しい訳で‥」
「なるほど‥」
「まあ、どの道こういうのは月・年単位で掛かる話しですので‥あまり期待しないでください」
「ですよね‥」
とは高砂も言ったが、実際科学的・医学的分析というのはそういうモノだ、病気一つでも対抗薬を作るのにウン年掛かるし、事、Eに関しては民間に広く協力を求められないという事情もあるが
ただ、その割には結果は出ているだろう。警戒予報も、半分生物という特徴も対する武器も、そういう地味な研究の成果な訳だから
そして問題がまた一つ増えた、雹の事である。当人は別に今まで通りだが、報告を受けた他のECMのメンツも考え込まざる得ない、だが、当人自体は会話で伝える事が不自由であるし、実際聞いても説明できないのもあるのでどうしょうもないのだが
それだけ強く、実際カマイタチもおそらくランクC前後の妖怪な訳で、少なくとも其れと同等という事は応じて危険な存在でもある
まして「捕食」方法が「吸う」だと分った訳で、周囲の人間にも危険な可能性も増大したとも云える
ただ、晴海は「自身が責任を負う」と決めていたし少なからず、彼女は皆を「トモダチ」とか「ナカマ」と認識しているし、晴海自身も情もある、実際、今回の一件も我先にアスカを救援したわけで、危害を加える懸念は意図して排除した、その上で対応を変えず、突き放しも遠ざけもしなかった
それは論理的理性の判断でもある。そもそも、自分が雹を覚悟の上で助け、拾っておいて危ないかもしれないから、で遠ざけるのも放棄するのも違う、と明確に意図したからでもある
その意味では彼は自身で思うより、個人の範囲での責任感はあるのである
が、最初に述べた通り
「それは偶然でもあり必然でもあった事例で切っ掛けの一つでもあった」の通り、この一件から事態がまた変わっていく、動いていくというのだろうか
その兆候が目に見えて出たのが事件から三日後の事である
何時も通りのパトロールと学業の生活に戻ったのだが、夜にお風呂に入ろうとアヤネが雹を面倒見て一緒に入り、濡れを拭って、予備の服を着せてあげたが、そこで異変が分った
「あの‥晴海様‥」
「うん?どしたの?」
「雹ちゃんの服がキツク成ってるんですが‥」
と報告された、見ると確かに、昨日まで着てた同じ服がかなり窮屈になっている
「え‥あれ?もしかして‥」
「ええ‥大きく成ってるんじゃないかと‥」
そうして身長を測ってみるが、身長が百二十センチから百三十二センチ、体重も二十二キロから三十キロまで増えてた
丁度人間で言うと六歳から十才くらいの成長幅だろうか
晴海もアヤネも「うーん」だったが思い当たるフシはある
カマイタチ事件だ
「もしかして捕食したから?」
「そうかも‥」
勿論、その場で雹に聞いてみたが、相変わらず「うんうん」としか表現出来ないが「そう」だとも同意解釈出来る
更に二日後、学校を終えて官舎の部屋に戻った所
何時も通り部屋で待ってた雹が出迎えた所で
「晴海!お帰り!」とか云った
「うん、ただいま」と返した所で一瞬硬直した
「アレ?!雹、言葉ちゃんとしてない?!」と
そうして晴海・アヤネと雹で卓を囲んで質疑してみたが
以前より格段にキャッチボールが成り立つようになっていた
「もしかしてこないだイタチを捕食したから?」
「たぶん」
「少し大きくなったのもそのせい?」
「たぶん、だけどちがう」
「違うの?」
「たぶんハルミの影響。ハルミのが美味しいもん」
「え‥じゃあ、僕の力の移譲の方が影響が強い??」
「うん」
「そうなんだ‥」
「言葉の交流も良くなったよね」
「ハルミの云ってる事は前も分った、けど上手く考えられ無くて言葉?にも出なかった」
という感じで割合フツーに質疑応答出来ている
「何なんだろう‥身体的成長と同時に精神的に成長もしたのかな?」
「でしょうね‥一緒にこっちで生活したから改善した、では無いでしょう‥急に成長しすぎですし‥晴海様の影響なのは当人が言ってますし、おそらく」
「んー、でも雹は明確に分ってないんだね‥」
「うん、ホンノウ?」
「本能、か‥じゃあ自身でも分ってない部分も多いんだ」
「うんうん」
「うーん‥けど僕や他人、というか妖怪を捕食する事で雹が大きく、成長したと考えると妖怪の捕食行為て僕らがご飯を食べるのとは違うのかな?」
「おそらくですが、これまでの経過・話しを合わせると我々とは違う意味で外部からエネルギーを得る必要がある、それも生命維持というのはまた違うという事かと」
「それもまたよく分らない話しになるな‥」
「いえ、私は大よそ分りました。」
「それは?」
「はい、推測ですが我々の「退魔ランク」と同じ事では?」
「‥外部からエネルギーを集めるのは成長の為?」
「かも知れません、以前の応答から雹ちゃんは《お腹は減るけど食べない、生命維持ではない》ニュアンスの事を返答しています、そして晴海様を餌ともしていますし《美味しい》
とも云ってます。そもそも妖怪が腹減った、食事をしよう、飢え死にする、なんてありえないでしょう」
「考えてみればそうだね‥こっちの生物じゃないし飢えて死ぬ妖怪なんてちょっとバカぽいし」
「ですね、だと考えれば我々の成長と食事、妖怪に置ける成長と食事はそもそも目的が違うのではないかと」
「うん、ハルミ達のご飯は雹は要らない、減ったらそこいらにエネルギーはあるもん」
「あ~そういう事か‥。僕らの食事は活動エネルギーの補填で雹のはエネルギーをダイレクトに補填出来る、つまり吸う、食うは上限の上昇に必要みたいな感じか」
「おそらく、基準は我々の云う、気・霊力・魔力でしょう、人間は鍛えて伸ばせますが妖怪は多分不可能です」
「だろうね‥じゃあランクというか強化の為にやってるて事なのかな」
「わかんない。けどタブンそう、皆勝手に産まれる、でも皆弱い、だからどっかから食べたい自分が死なないために」
「究極の弱肉強食みたいな世界だなぁ‥」
ただ実際野生的世界、社会というのはそういうモノだ。人類やジャングルの生物とは目的が違うだけで、自己防衛と適者生存の為に誰に教わる訳でもなく本能に近く、それを繰り返している、それだけに事態は深刻なのだが
バッタに農作物を荒らすなと言っても無意味だし、他の群れを襲うなと論理的に云っても無意味だし
人はルールに寄って共食いをあらゆる意味で此れを避けているが、其れ以外の生物には難しいだろう、そもそも知的生命体ともまた違う訳だし
「あ、そうだ、雹はじゃあ捕食は僕だけでもいいんだ?」
「うん、ハルミが一番一杯で美味しい」
「そっか、良かった‥良くはないけど‥」
「?」
「あ、いや。雹は他の人間に危害は加えないという事だし」
「目的が自身のエネルギーの上積み、それは晴海様が提供出来るなら確かに他から餌は要らないですよね‥」
それはつまり、今後雹は誰かから餌を取る必要が無い、無闇に危害を及ぼす事がない、との意味でもある
そこで晴海らも「人間側のルール」を簡易に説明する、今の雹ならマトモに会話出来るし、知的生物としての水準も得ているので多分可能だろうし、知らないとそれは当人に危険だし、一緒にも居られなくなる
「うん、人間食っちゃダメ、雹が敵になる、ワカタ」
みたいな感じで一応分ったぽい。
まあ、尤もこれまでの認知でも周囲のECMのメンツもトモダチとか仲間とか理解しているし、別に問題行動は起こしてないので害か益かというのも理論・理性でも理解はしているだろうが
それから「共食い」妖怪同士の捕食に関しては別に気分的にどうこうてのは無いらしい、妖怪は仲間意識というのは無く、個別の個人主義でしかなく、利益と損益でしかお互いを認知していないから
ただ無闇に共食いが行われないのは妖怪は生まれた時に既に強弱がある程度決まっているし向上心みたいのがある訳でもない、一生があるのか謎だが、一生何もせずただ生きててもどうという事もない、千差万別ではあるのだが
基本的に欲求を満たすか、元々弱い種は捕食に寄る強化や自己防衛・生存競争が必要てだけ、元々強い個体はそもそもリスクを背負って戦う必要すらない。だからこちら側に登場するのも雑魚が多いて事らしい
「成る程な~、だから人間が捕食対象なんだ」
「タブン、雹から見たら人間弱い、でもエネルギー多い」
「それって分るの?」
「?」
「えっと、その相手がエネルギーを沢山持ってるかどうか、見て判るの?」
「うん、晴海美味しい、でも強い、でも敵じゃない」
「あ、うん、じゃあ他の子は?」
「アスカも美味しそう、アヤネも美味しそう」
「そっか‥そういう事なんですね」
「うん?何?アヤネ」
「こちらの生物でも居ません?視覚で捉えているモノが違う生物」
「あっ‥ヘビとか犬とかか」
「はい、ヘビは温度で実像と共に相手を捉えていますし、犬も色を認識していませんし、其の分嗅覚に特化していますし、虫なんかも光を波長で捉えられるとか‥」
「そういえばそうだね‥、じゃあ妖怪は僕ら、あるいは同種をエネルギーや強さとして見ているのか」
「これって凄い事ですよ‥何を対象として襲うのかも半分分った事になります」
「だね‥霊力。という事か‥」
「それと個体戦闘力です、アスカさんと私は戦闘力は低い」
「これは流石に此処だけの話に出来ないね、とりあえず皆とも共有しよう」
そうして晴海はECM本部に行き、メンバーと高砂も呼び、司令室でこれ等、分った事を慎重に言葉を選んで説明した
五分待って確認した後、名雪権限で告知も解除
「私は事後処理があるので遠距離待機させた公人側を待って検証と説明する、二人は戻っていいぞ」とされ
アスカも雹を連れてスクーターで戻るが中途で、遅れて集まって来た開発部の車に拾って貰い帰途に着いた
とりあえず事後処理が終ったのが二十二時で一時間後には名雪もECM本部に戻り、今回の事件を開発部含めて報告する事となった
事件その物はE事件で何時も通り前後の現場検証が行われ恙無く処理されたが、今回に限り、一部であるがカマイタチの遺骸も残った
その為、特殊開発部、高砂の部署に移管され回収・解析する事となる「開発部」ではあるのだが、国内唯一の公的、対E研究・専門部署でありこちらに任される運びとなった
妖怪の遺骸が残された事自体が非常に稀な事で、貴重なサンプルには違い無いし医療・科学専門の装備も人員もあるので妥当な処置でもある、尤も、直ぐ何か判明するようなモノでもないが
「まあ、何にせよ負傷者が出なかったのはよかった、一部とは云え妖怪の実サンプルも取れましたし」
「ですね」
「高砂さん、今後どういう解析をするんでしょう?」
「今までも全く実証拠無しでは無く、幾つかサンプルはあるので同じ流れでしょうね、遺骸から生体、細胞など取って分析、既存生物との比較、検証ですが。それなりに時間は掛かるでしょう」
「そういえば何度か遺骸が残ったケースもあるんでしたね」
「ええ、かなり昔ですが数例あります、此処から細胞単位での分析や研究は今までも行われていますが‥何しろ妖怪と括りで実際は特徴は異なるので‥弱点を掴むとかそこまでは行かないかもしれませんが」
「そうなんですか?」
「ええ‥以前の遭遇した子鬼、も人型でもあり、一反木綿の様な人工物ぽいのも居ます、今回のもイタチですからな‥、同じ特徴を持っていない生物、でもあるんですよね‥妖怪という括りなだけで‥此れが中々難しい訳で‥」
「なるほど‥」
「まあ、どの道こういうのは月・年単位で掛かる話しですので‥あまり期待しないでください」
「ですよね‥」
とは高砂も言ったが、実際科学的・医学的分析というのはそういうモノだ、病気一つでも対抗薬を作るのにウン年掛かるし、事、Eに関しては民間に広く協力を求められないという事情もあるが
ただ、その割には結果は出ているだろう。警戒予報も、半分生物という特徴も対する武器も、そういう地味な研究の成果な訳だから
そして問題がまた一つ増えた、雹の事である。当人は別に今まで通りだが、報告を受けた他のECMのメンツも考え込まざる得ない、だが、当人自体は会話で伝える事が不自由であるし、実際聞いても説明できないのもあるのでどうしょうもないのだが
それだけ強く、実際カマイタチもおそらくランクC前後の妖怪な訳で、少なくとも其れと同等という事は応じて危険な存在でもある
まして「捕食」方法が「吸う」だと分った訳で、周囲の人間にも危険な可能性も増大したとも云える
ただ、晴海は「自身が責任を負う」と決めていたし少なからず、彼女は皆を「トモダチ」とか「ナカマ」と認識しているし、晴海自身も情もある、実際、今回の一件も我先にアスカを救援したわけで、危害を加える懸念は意図して排除した、その上で対応を変えず、突き放しも遠ざけもしなかった
それは論理的理性の判断でもある。そもそも、自分が雹を覚悟の上で助け、拾っておいて危ないかもしれないから、で遠ざけるのも放棄するのも違う、と明確に意図したからでもある
その意味では彼は自身で思うより、個人の範囲での責任感はあるのである
が、最初に述べた通り
「それは偶然でもあり必然でもあった事例で切っ掛けの一つでもあった」の通り、この一件から事態がまた変わっていく、動いていくというのだろうか
その兆候が目に見えて出たのが事件から三日後の事である
何時も通りのパトロールと学業の生活に戻ったのだが、夜にお風呂に入ろうとアヤネが雹を面倒見て一緒に入り、濡れを拭って、予備の服を着せてあげたが、そこで異変が分った
「あの‥晴海様‥」
「うん?どしたの?」
「雹ちゃんの服がキツク成ってるんですが‥」
と報告された、見ると確かに、昨日まで着てた同じ服がかなり窮屈になっている
「え‥あれ?もしかして‥」
「ええ‥大きく成ってるんじゃないかと‥」
そうして身長を測ってみるが、身長が百二十センチから百三十二センチ、体重も二十二キロから三十キロまで増えてた
丁度人間で言うと六歳から十才くらいの成長幅だろうか
晴海もアヤネも「うーん」だったが思い当たるフシはある
カマイタチ事件だ
「もしかして捕食したから?」
「そうかも‥」
勿論、その場で雹に聞いてみたが、相変わらず「うんうん」としか表現出来ないが「そう」だとも同意解釈出来る
更に二日後、学校を終えて官舎の部屋に戻った所
何時も通り部屋で待ってた雹が出迎えた所で
「晴海!お帰り!」とか云った
「うん、ただいま」と返した所で一瞬硬直した
「アレ?!雹、言葉ちゃんとしてない?!」と
そうして晴海・アヤネと雹で卓を囲んで質疑してみたが
以前より格段にキャッチボールが成り立つようになっていた
「もしかしてこないだイタチを捕食したから?」
「たぶん」
「少し大きくなったのもそのせい?」
「たぶん、だけどちがう」
「違うの?」
「たぶんハルミの影響。ハルミのが美味しいもん」
「え‥じゃあ、僕の力の移譲の方が影響が強い??」
「うん」
「そうなんだ‥」
「言葉の交流も良くなったよね」
「ハルミの云ってる事は前も分った、けど上手く考えられ無くて言葉?にも出なかった」
という感じで割合フツーに質疑応答出来ている
「何なんだろう‥身体的成長と同時に精神的に成長もしたのかな?」
「でしょうね‥一緒にこっちで生活したから改善した、では無いでしょう‥急に成長しすぎですし‥晴海様の影響なのは当人が言ってますし、おそらく」
「んー、でも雹は明確に分ってないんだね‥」
「うん、ホンノウ?」
「本能、か‥じゃあ自身でも分ってない部分も多いんだ」
「うんうん」
「うーん‥けど僕や他人、というか妖怪を捕食する事で雹が大きく、成長したと考えると妖怪の捕食行為て僕らがご飯を食べるのとは違うのかな?」
「おそらくですが、これまでの経過・話しを合わせると我々とは違う意味で外部からエネルギーを得る必要がある、それも生命維持というのはまた違うという事かと」
「それもまたよく分らない話しになるな‥」
「いえ、私は大よそ分りました。」
「それは?」
「はい、推測ですが我々の「退魔ランク」と同じ事では?」
「‥外部からエネルギーを集めるのは成長の為?」
「かも知れません、以前の応答から雹ちゃんは《お腹は減るけど食べない、生命維持ではない》ニュアンスの事を返答しています、そして晴海様を餌ともしていますし《美味しい》
とも云ってます。そもそも妖怪が腹減った、食事をしよう、飢え死にする、なんてありえないでしょう」
「考えてみればそうだね‥こっちの生物じゃないし飢えて死ぬ妖怪なんてちょっとバカぽいし」
「ですね、だと考えれば我々の成長と食事、妖怪に置ける成長と食事はそもそも目的が違うのではないかと」
「うん、ハルミ達のご飯は雹は要らない、減ったらそこいらにエネルギーはあるもん」
「あ~そういう事か‥。僕らの食事は活動エネルギーの補填で雹のはエネルギーをダイレクトに補填出来る、つまり吸う、食うは上限の上昇に必要みたいな感じか」
「おそらく、基準は我々の云う、気・霊力・魔力でしょう、人間は鍛えて伸ばせますが妖怪は多分不可能です」
「だろうね‥じゃあランクというか強化の為にやってるて事なのかな」
「わかんない。けどタブンそう、皆勝手に産まれる、でも皆弱い、だからどっかから食べたい自分が死なないために」
「究極の弱肉強食みたいな世界だなぁ‥」
ただ実際野生的世界、社会というのはそういうモノだ。人類やジャングルの生物とは目的が違うだけで、自己防衛と適者生存の為に誰に教わる訳でもなく本能に近く、それを繰り返している、それだけに事態は深刻なのだが
バッタに農作物を荒らすなと言っても無意味だし、他の群れを襲うなと論理的に云っても無意味だし
人はルールに寄って共食いをあらゆる意味で此れを避けているが、其れ以外の生物には難しいだろう、そもそも知的生命体ともまた違う訳だし
「あ、そうだ、雹はじゃあ捕食は僕だけでもいいんだ?」
「うん、ハルミが一番一杯で美味しい」
「そっか、良かった‥良くはないけど‥」
「?」
「あ、いや。雹は他の人間に危害は加えないという事だし」
「目的が自身のエネルギーの上積み、それは晴海様が提供出来るなら確かに他から餌は要らないですよね‥」
それはつまり、今後雹は誰かから餌を取る必要が無い、無闇に危害を及ぼす事がない、との意味でもある
そこで晴海らも「人間側のルール」を簡易に説明する、今の雹ならマトモに会話出来るし、知的生物としての水準も得ているので多分可能だろうし、知らないとそれは当人に危険だし、一緒にも居られなくなる
「うん、人間食っちゃダメ、雹が敵になる、ワカタ」
みたいな感じで一応分ったぽい。
まあ、尤もこれまでの認知でも周囲のECMのメンツもトモダチとか仲間とか理解しているし、別に問題行動は起こしてないので害か益かというのも理論・理性でも理解はしているだろうが
それから「共食い」妖怪同士の捕食に関しては別に気分的にどうこうてのは無いらしい、妖怪は仲間意識というのは無く、個別の個人主義でしかなく、利益と損益でしかお互いを認知していないから
ただ無闇に共食いが行われないのは妖怪は生まれた時に既に強弱がある程度決まっているし向上心みたいのがある訳でもない、一生があるのか謎だが、一生何もせずただ生きててもどうという事もない、千差万別ではあるのだが
基本的に欲求を満たすか、元々弱い種は捕食に寄る強化や自己防衛・生存競争が必要てだけ、元々強い個体はそもそもリスクを背負って戦う必要すらない。だからこちら側に登場するのも雑魚が多いて事らしい
「成る程な~、だから人間が捕食対象なんだ」
「タブン、雹から見たら人間弱い、でもエネルギー多い」
「それって分るの?」
「?」
「えっと、その相手がエネルギーを沢山持ってるかどうか、見て判るの?」
「うん、晴海美味しい、でも強い、でも敵じゃない」
「あ、うん、じゃあ他の子は?」
「アスカも美味しそう、アヤネも美味しそう」
「そっか‥そういう事なんですね」
「うん?何?アヤネ」
「こちらの生物でも居ません?視覚で捉えているモノが違う生物」
「あっ‥ヘビとか犬とかか」
「はい、ヘビは温度で実像と共に相手を捉えていますし、犬も色を認識していませんし、其の分嗅覚に特化していますし、虫なんかも光を波長で捉えられるとか‥」
「そういえばそうだね‥、じゃあ妖怪は僕ら、あるいは同種をエネルギーや強さとして見ているのか」
「これって凄い事ですよ‥何を対象として襲うのかも半分分った事になります」
「だね‥霊力。という事か‥」
「それと個体戦闘力です、アスカさんと私は戦闘力は低い」
「これは流石に此処だけの話に出来ないね、とりあえず皆とも共有しよう」
そうして晴海はECM本部に行き、メンバーと高砂も呼び、司令室でこれ等、分った事を慎重に言葉を選んで説明した
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