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カウンターメイジャー
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翌日から学校も再開し、始業式から昼前には下校と成ったがマンションに戻り、レイナやアヤネとも前日の事を説明する、勿論其れ以外も決めかねている事も多いし
一つは前日分った雹の事であるが「断片的に発声出来るなら言葉覚えれば出来そう?」という事もあり始めてみるが意外と出来るらしい
いわゆる子供向けのあいうえお、を教えてみたのだが出来なくは無いらしいが「あ」「い」「う」というちゃんとした言語ではないが近い発声は出来る
「つまり声帯が無いのでは無く、言語体系の意味を知らないだけ、ということですか‥」
「そうらしい」と成った
これは当然である意味進化系生物的な部分。言語によるコミュを必要としていないからその部分が逆に退化、若しくは使わないだけで全く会話不能という訳ではない、元々知性体なので意味は理解しているし、逆は出来るという事になる
その日皆の会話に混じったり、子供向け教育番組なんかを見て実際「は・る・み」と呼べる様になったくらいだが、残念ながらそこまでである
「まあ急に全部覚えて発声する、という訳にもいきませんよねぇ‥」
「ゼロスタートみたいなモノだしね」
という事でこれも「徐々に進めば良い」という結論になった
もう一つがメイの業の事である。基本的に同じ物という慶の解釈もあり実際晴海もメイ側に伝え、解釈を聞いてみるが近い術理なのだそう
「基本的に内気はそう、次の段階、外気は内気で練ったエネルギーを操作する事、出来る人も居る」
「誰でもて訳じゃないんだ」
「気力というのは誰でも持ってるお、外に放出した時点で自然拡散する、でもそれは絶対量と操作力にも依存する」
「つまり外面的に発する事は出来るのか」
「出来るお、百歩神拳とかがそう、日本ではなんていうんだろ?遠当ての術とか」
「そういえば振れずに相手を吹き飛ばしたりする業があった様な‥」
「そうちゃんと訓練すれば出来る。でもそれは長く苦しい道」
「僕に出来るかな?父さんの言っている事が事実なら実践してみたいんだけど‥」
「分らないけど、多分御曹司なら出来る。何故なら既に第1段階はクリアしてるから」
「成る程、じゃあ御願いしていい?」
「いいお。メイはその為に来た」
という事になり、晴海も基礎から習う事になった。第一段階はクリアしている、と言った通り、晴海は自身の霊力を高める必要すらない、問題は操作とその知識の実践である
ただ具体的にどういう事が可能か?というのは過去の資料頼みの部分が多い、仮に外気を構築する事が出来ても業の確立という事は出来ないから、水や空気を目で捉える様に物質化、視覚化出来てもその活かし方が分らないからだ
これはどこの誰がやってもそれ程変わりがない、アヤネも既に霊力だけで言えば偉人級の立ち位置に居るが、だからと言って手法を新たに生み出せる訳ではない、あくまで活かし方は過去の事例に頼る、或いは媒介する事に成る
従って晴海もメイが持っている「技」の部分から練習を始める。気功からだ
まずはレイナらが最初日からやったような精神・イメトレから入り次にメイが戦いで使った蛇发布の第一段階の練習、紙とか紐とかを持って、此れに霊力を注入して動かす、というモノだ
「これが練習?」とは思うのだが実際日本の気功でも同じ様な訓練というか業がある、例えば、紙に力を入れて割り箸を割る、みたいな、一般には略芸だが手法は存在するし基本的には同じモノ、らしい
「空間に実際キを作っても存在はし得ない。メイでもそれは出来ない、けど遠当ては出来る、だけどその段階に至るまでにはイメージの自由操作が必要だお」
「それって自身で認知出来ないんじゃ‥」
「今は出来ないけど「有る事を知る」事は出来る、そのいっぽ」
まあ、そう云われたらやるしかない、別にインチキな訳でもないし、ただ、この訓練は既に第一段階をクリアしている、晴海にも難しかった
家でも学校でも暇さえあればやっては居るのだが、紐が動く事もない
「才能の問題じゃない、認知の問題」とメイに云われたが、こればかりは誰でも難しいだろう、存在しない、目視も出来ない、モノを明確に認知しないといけない訳だから
更にもう一つは「自分の集団」の話しである、父親から「好きにしていい」とは言われているが、実際問題枠組みをどうするか、というのは晴海自身の知識とか認識で構築するのは難しくもある
ただこの辺りは年長者でもあり公的組織に元々関わりのある名雪が示した
「他所の部署・組織への過干渉が強引過ぎるし問題があると思うならやはり助っ人的扱いがいいのではないか?」
「どういう事?」
「例えばA県警等が担当していた事件を晴海が集団を持ったと仮定してBとする、Bに「この案件を渡せ」ではなく、あくまで同等か下の組織としてBを作ってしまえばいい」
「つまり‥、僕等のが権限が上だからAを使うので無く、こっちの人材を派遣するみたいな?」
「そうだな、昔はよくあった「傭兵」的なモノにしてしまえばよい、であれば介入や移譲をせずにAにも悪い心象は与えない」
「あくまで器だけ整えて、E案件の懸念がある、だけでも要請しても良い事にする?」
「そうだ、これなら向こうの要請さえあれば、直接的に最初から加われる可能性もあるし、其れ以外にも我々が動けるし、アドバイザー的な戦闘特化部隊でなくても良くなる」
「なるほど‥いいかもしれない」
「ただ此れには条件がある」
「それは?」
「まず、A要請に対して出せる人材の確保だ。実務的、或いは戦闘的に耐えうる人間が必要だ」
「それは問題ないかも‥」
「そうだな、晴海様でも私でも彩音でもおそらくいける」
「でも少ないのは少ないかも‥」
「うむ、もう一つはコチラの情報を提示する必要もある。あくまで貸し出しだからだ」
「うーん‥そこも多分大丈夫かなぁ‥条件というかルール決めちゃえばいいし」
「何れにしろ、やるとしたら、という前提ではある」
「こっちがある程度妥協しても良いと思う、根本的な目的は事件と認定されなくてもEに対して大きい行動出来る様にしたい、だから」
「そうだな」
そういう経緯で晴海もアヤネらと相談してある程度の枠組みを箇条書きし、一応の計画を示し、本家、つまり父親である慶に書簡として送ったのが二月に入ってから
父も自身から認めたというのもあるが、その行動は早く、同月の後半には紙の連絡が来る。
「公的組織に通達を出した、書類上の認可も受けてあるので自由にしてみろ」というモノだが、晴海が出した条件はクリアする形で整えられている
まず、元々持っている特級指揮官の名目はそのまま晴海が責任者として、既に申請され認可された事、家の立場は変わらないが、以後、晴海の集団として自身の行動にのみ対して責任を負う形が取られる
神宮寺の後ろ盾は使って良い、公的機関からの要請さえあれば自由に派遣してよい、人事も自由にして良いし、本家に要請すれば資金的な事も出す、また拒否権も付与され立場上は神宮寺の別働隊の様な形に収まった。
「僕が元々持っている特権をそのまま、裁量を広げた、みたいな感じか」
「かなりの配慮をされていますね」
「だね、けど組織体としては僕に委任する、と云われてもなぁ‥」
「いえ、あまり大げさに考えなくてもいいと思います。急に完全な形にしなくていいですし、今のままで経験を重ねて、問題に対して大にするなり小にするなり可能ですから」
「なるほど」
「今の所、最低限必要なのは、連携体制だろうな」
「名雪さん、それは?」
「まず向こうから連絡・要請出来る様にこっちから情報を提供するこっちの人員のプロフとか各戦力とか、E案件に対してどの方面で役に立てるか示す必要もある、それから直通連絡だな」
「それなら簡単かな」
元々晴海にしろアヤネにしろ、この一件に関わらず自身が保持する身分証があり大きく形が変わる訳ではなく、端的に言ってしまえば
「E案件と認定されれば退魔師の現場権限が移譲される」が
「E案件と《疑われる》事例にも晴海の集団に公人組織が予め要請出来る」に成っただけなのでやる事自体にそう違いはない
必要なのは名雪が示した通りで、コチラの情報との共有とより早い伝達である、その為、モバイルでの位置情報、専用回線での現場無線や、案件に対しての情報も共有する事となる
二月の末日には、公人組織側と直接会談する事になったが、アチラ側は「元々交流のある特殊開発部を間に挟む形ではどうでしょう?」と示され、晴海らも了承して高砂警視正の職場に向う
何故間を挟む必要があるかと云えば実際問題、単に晴海らが独自集団や組織を作ってそれで終りという事ではないからだ
「何しろ晴海君は学生ですからねぇ‥」という事でそういう対応に成ったらしい
「まあ、そうですよね‥僕等は人材を登録というか、選んで出せますよ、としても出来ない事、難しい事が多いですからね」
「そういう事になります、①に実際の現場での捜査②に巡回、逮捕なり、退治なり、③に其れが上手く行ったにしろいかないにしろ、事後処理は必要です、これを全て晴海君らに任せるというのは出来る出来ない以前に面倒が多い」
「ですよね」
「そういう訳で本庁からも「E案件特殊開発部」で補佐しろ、と告知されました」
「なんだかすいません」
「いえ、我々の部署も人数は多いですし、警察組織の一角には違いありません、装備にしろ、援護にしろ、情報交換にしろ、事務処理にしろ、間を挟む形の方が晴海君らに負担が少ない、それに我々としては願ったり適ったりですから、気にしなくていいですよ」
「そう言ってもらえると助かります」
「ええ、拠点も特殊開発部を使う方が楽でしょう、事件があった場合、どこかから要請が有った場合、ウチの人員も同行、移動出来ますし現場での説明とか、公人組織内での区切りもし易いですから」
「此処を拠点というのは?」
「あくまで晴海君の部隊は独立組織という扱いに成りますがウチの部署に設備と部屋を置きます、集まるにしても、滞在するにしても、何か相談するにしろ、拠点は必要です」
「なるほど、マンションの方に、という訳にはいかないですしね」
「そういう事に成りますね、それにマンションの方ですと装備やら設備やら整えるのは聊か難しいですし、安全性があまり良くない、幸い、こちらは一応ビル全体に一定のセキュリティがありますしトラブルに巻き込まれる事も略ないでしょう。無論、晴海君の行動は掣肘しないので安心を」
「助かりますが、ご迷惑では?」
「そうでもないですよ、我々は一般の事件には関わりませんし実働という意味では暇ですから、それと失礼な言い草に成りますが、幾ら専門的に強いと言っても十六~二十歳の子らに全て丸投げ、というのもあまりに無謀、というかみっともないというか‥」
「かもしれませんね」
「ええ、聊か古い私的な考え方かも知れませんが、面倒事や失敗は大人が責任を持つというのが常識的だと思います」
「ご尤もです」
「まあ、そういう訳ですので面倒事は我々に丸投げしてもらって結構ですよ」
「分りました、甘えさせていただきます」
「ハイ。では、早速ですが。晴海君の側の司令室を作りましたので案内します、と言ってもまだこれからですが」
「それと単に僕の考えでやってる部分が強いのですが、高砂さんはどう思います?」
「独自の集団を持つ、ですか?」
「はい」
「いいと思いますよ、ウチとしても全体としてもメリットは大きいですから」
「そうなんですか」
「今回、晴海君が動いた事でウチ、開発部も晴海君を主体、というか立場を前にして同時行動出来ますし、権限や予算も拡大されていますからね、それに「より早い段階で関わる」という考え方も正しい、事件が起こってからが我々仕事、という行動もこの範囲では改善されますし」
「高砂さんにもプラスが多いんですね」
「そうですね、ですからそういう意味でも自身の行動を悩まなくても宜しい」
「はい」
そうして特殊開発部のビルの外、敷地内に新たに作られた施設に案内される、元々ある円柱型の頑丈なコンクリ予備研究施設に二階司令室と、階下に狭い個室十部屋があり
一応生活しても構わない、程度の設備が用意されているが元々開発部母屋や近い所に宿舎もあるのでそこはあまり問題ない
既にこちら側と開発部を区切るセキリュティロックがあり
同じ敷地内だが、完全分割した体制と成っている
「こんなに広い場所が要るのかなぁ‥」
「区切りは必要ですね。お互い秘密の部分はあるでしょうし、フリースルーも問題があります、お互いに」
「なるほど」
「それからコチラの条件としてはですが、何時要請や有事が発生するか分りませんので、最低限、晴海君側の人材を常に一人は置いておいて欲しい事です。何かあったけど誰も対処人員が居ませんでした、も困るので」
「わかりました」
「まだまだこれからの部分が多いですが、セキュリティパスも発行が必要ですので早い段階でメンツを選んで申請を御願いします。まあ同じ場所に拠点はありますが、完全に別で共闘という形なのでそんなに制限は要らないのですが、一応ウチも公的研究組織なので、出入り記録等は必須ですから」
「そうですね‥わかりました」
「まあ、何れにしろ、ちゃんとした環境を整えるのにまだ一週間は掛かりますのでその間に御願いします」
「あの‥、それって全員必要ですか?」
「んん?」
「今、中国からのお客さんとか、非保護者とか居るんですが‥」
「ああ、前者でも問題無いです身分証があればいいので、後者は‥何ですか?」
と成った為「ここだけの話し」として雹の事を簡易に説明する事になる。正直、どこまで話せばいいか分らないが「隠匿はしない」という方針は自身の中では決めている事だから、その上で「高砂さんの範囲で留めてくれますか?」と前置きして理解を求めたが、高砂も流石に渋い顔にならざるえない
「成る程‥そんな事が」
「何れ、対処を決めるのですが。誰かに任せるのも彼女に危険な気がするので」
「わかりました、この話しは此処だけの話しとして胸に仕舞っておきます、何れ処遇を決定するまで他言はしません。害か益かは何とも言えませんし」
「あ、有難う御座います」
「いえ、ただ、何か有った場合の責任は取る事に成りますよ?」
「承知してます」
「そう考えて居るならいいでしょう、私がどうしろと強要出来る事ではありませんし、確かに、向こう側の情報が得られる可能性もあるし、無原則に話せば実験しろとか、閉じ込めておけ、という話しにも成りますからね‥正直私も其れはお勧め出来ない、その雹と云う子が自ら伝えるというならその方がいいかも知れませんし」
「ええ」
そうして一応の承認を得て、器の準備は整う、これらの話しも晴海は一旦全員集めて話し、これも了承をとった
「基本的にそういう形に納まったので、引越しに近い形に成るかも?」
「そこまで決まっているなら構わないと思います」
「だね、この際吉と出るかは分らないけど、やってみようと思う」
「アタシもそれでいいと思う。アタシらだけで独立行動てのは難しい面が多いし」
「メイも入れるのか?」
「うん、OKだって」
「おお」
「まあ、兎に角、直ぐという事じゃないらしいけど、こっちも用意しよう」
「して?晴海様。とりあえず人選ですが」
「基本的に向こうに入るのは全員を考えて居るけど実際問題《退魔》で派遣だから、貸し出し可能人員はそのまま退魔ランクでもいいかなと、単純に雑魚なら皆単身でも対処出来るだろうし」
「晴海様、私、名雪さん、レイナさん、メイさん、でしょうか」
「そうだね、どの道バラバラ行動でなくていいし」
「待機任務は私でいいしな、どうせ開発部で行動しているし」
「だね」
「アスカさんはどうします?」
「ん~、手間が無さそうですし、私もそちらにお引越ししてもいいですよ、と言っても荷物がそうある訳じゃないですし、戦闘でお役に立てるかは分りませんけど‥」
という形で纏まって住家を変える事となった。翌週には各自荷物を纏め開発部の三件隣にある公営宿舎、ワンルームマンションに其々移動した後、用意されている本部にも集まった
事前に云われた通り、晴海側の施設に出入りする予定がある人員全員の身分証から、敷地内に入る個別パスを作り、説明も受けた
「それ程ガチガチの体制ではないので出入り時に機械を通してもらえれば結構です、あくまで別組織ですし、入出管理だけなので」
「はい」
「退魔に関してのランク分というのも情報共有されていますので、貰った個人プロフから、こちらもデータ化します、それに応じてどこでも要請があれば派遣出来るという形になります、管理もこちらに任せてもらって結構です」
「それは楽ですね」
「ええ、現場への派遣もウチのメンツで事務方等も可能な限り一緒に行きます、双方混乱があると困るので、それから、移動もこちらで車両等も出せますので、基本的に免許等をお持ちの方は使ってください、レイナさんと名雪さんはそのままでOKです」
「はい」
「細かいルールや流れはマニュアル化してありますので一度眼を通しておいてください、あくまで現状、公人側として決まった範囲の事ですから、修正・要請部分は伝えて下さい」
「了解です」
そうして司令室の様な場所で今度は皆で資料を読むが、まだまだ体裁上の事も多く決めなければ成らない部分も多い
一つに晴海側の組織だが、これは先に仮称として付けられている「Eカウンターメジャー(対応策」を略称・隠語として「ECM」とそのまま使う事になる
二つに、派遣可能の人事だが、これは単身である程度現場対応出来る人、と成るので、やはり、晴海、彩音、名雪、レイナまでとなり、メイと飛鳥は要請があった場合状況に応じて誰かに付く事になったが、それも基本的にはだが、何しろ常にフリーで動けるのは名雪、メイ、飛鳥だけだからだ
「そう考えると学生て不自由だよね‥」
「案件に寄っては早退する必要もありますね」
「だね‥後は実際稼動してやってみないと分らない事も多いから‥それと人員も足りてるか謎だよね‥」
「広範囲、と成ると実際は難しいだろうな。ただそこまで我々で責任を持つ事でもない」
「名雪さんの仰る通りですね」
そうして、とりあえずこの体制でスタートし、また日常に戻る事になったが。本質的に「事件発生から退魔師に任せる」が「その疑いのある案件に要請出来る」に、晴海の集団だけ事情が変わっただけで、今までとやる事が大きく変わる訳ではない
のだが実稼動から最初の一週は予想外に要請が来る事となる
何しろ「発生前」「事件前」のモノも多く、空振りも多い
例えば「○○の地区でEと疑われる事件が増えたので調査同行を願う」とかされても実際もう終った事件であるし、退魔と直接関係無い事に引っ張り出される事もあるし。都内限定にしても範囲が広すぎる訳で
レイナや名雪も元々前線が希望だけにあまり苦にはしてないのだが、流石に絶対的な母数の意味でも完全に手に余る
「呼ばれるのは嬉しいけど実際の事件に遭遇しないんじゃ無駄足なんだよなぁ‥」
というのがレイナの感想だが、これは仕方無いだろう
実験組織みたいなモノだし人手が足りないのはどうしょうもない。ある程度、深刻度で要請を絞ってもらうしかない
そうして稼動しながら調整してもらい、中継する開発部も手探りながら次第にルールやシステムを構築していく事と成ったが、実際、事の始まりなんていうのは、大抵こんなモノだ。
一つは前日分った雹の事であるが「断片的に発声出来るなら言葉覚えれば出来そう?」という事もあり始めてみるが意外と出来るらしい
いわゆる子供向けのあいうえお、を教えてみたのだが出来なくは無いらしいが「あ」「い」「う」というちゃんとした言語ではないが近い発声は出来る
「つまり声帯が無いのでは無く、言語体系の意味を知らないだけ、ということですか‥」
「そうらしい」と成った
これは当然である意味進化系生物的な部分。言語によるコミュを必要としていないからその部分が逆に退化、若しくは使わないだけで全く会話不能という訳ではない、元々知性体なので意味は理解しているし、逆は出来るという事になる
その日皆の会話に混じったり、子供向け教育番組なんかを見て実際「は・る・み」と呼べる様になったくらいだが、残念ながらそこまでである
「まあ急に全部覚えて発声する、という訳にもいきませんよねぇ‥」
「ゼロスタートみたいなモノだしね」
という事でこれも「徐々に進めば良い」という結論になった
もう一つがメイの業の事である。基本的に同じ物という慶の解釈もあり実際晴海もメイ側に伝え、解釈を聞いてみるが近い術理なのだそう
「基本的に内気はそう、次の段階、外気は内気で練ったエネルギーを操作する事、出来る人も居る」
「誰でもて訳じゃないんだ」
「気力というのは誰でも持ってるお、外に放出した時点で自然拡散する、でもそれは絶対量と操作力にも依存する」
「つまり外面的に発する事は出来るのか」
「出来るお、百歩神拳とかがそう、日本ではなんていうんだろ?遠当ての術とか」
「そういえば振れずに相手を吹き飛ばしたりする業があった様な‥」
「そうちゃんと訓練すれば出来る。でもそれは長く苦しい道」
「僕に出来るかな?父さんの言っている事が事実なら実践してみたいんだけど‥」
「分らないけど、多分御曹司なら出来る。何故なら既に第1段階はクリアしてるから」
「成る程、じゃあ御願いしていい?」
「いいお。メイはその為に来た」
という事になり、晴海も基礎から習う事になった。第一段階はクリアしている、と言った通り、晴海は自身の霊力を高める必要すらない、問題は操作とその知識の実践である
ただ具体的にどういう事が可能か?というのは過去の資料頼みの部分が多い、仮に外気を構築する事が出来ても業の確立という事は出来ないから、水や空気を目で捉える様に物質化、視覚化出来てもその活かし方が分らないからだ
これはどこの誰がやってもそれ程変わりがない、アヤネも既に霊力だけで言えば偉人級の立ち位置に居るが、だからと言って手法を新たに生み出せる訳ではない、あくまで活かし方は過去の事例に頼る、或いは媒介する事に成る
従って晴海もメイが持っている「技」の部分から練習を始める。気功からだ
まずはレイナらが最初日からやったような精神・イメトレから入り次にメイが戦いで使った蛇发布の第一段階の練習、紙とか紐とかを持って、此れに霊力を注入して動かす、というモノだ
「これが練習?」とは思うのだが実際日本の気功でも同じ様な訓練というか業がある、例えば、紙に力を入れて割り箸を割る、みたいな、一般には略芸だが手法は存在するし基本的には同じモノ、らしい
「空間に実際キを作っても存在はし得ない。メイでもそれは出来ない、けど遠当ては出来る、だけどその段階に至るまでにはイメージの自由操作が必要だお」
「それって自身で認知出来ないんじゃ‥」
「今は出来ないけど「有る事を知る」事は出来る、そのいっぽ」
まあ、そう云われたらやるしかない、別にインチキな訳でもないし、ただ、この訓練は既に第一段階をクリアしている、晴海にも難しかった
家でも学校でも暇さえあればやっては居るのだが、紐が動く事もない
「才能の問題じゃない、認知の問題」とメイに云われたが、こればかりは誰でも難しいだろう、存在しない、目視も出来ない、モノを明確に認知しないといけない訳だから
更にもう一つは「自分の集団」の話しである、父親から「好きにしていい」とは言われているが、実際問題枠組みをどうするか、というのは晴海自身の知識とか認識で構築するのは難しくもある
ただこの辺りは年長者でもあり公的組織に元々関わりのある名雪が示した
「他所の部署・組織への過干渉が強引過ぎるし問題があると思うならやはり助っ人的扱いがいいのではないか?」
「どういう事?」
「例えばA県警等が担当していた事件を晴海が集団を持ったと仮定してBとする、Bに「この案件を渡せ」ではなく、あくまで同等か下の組織としてBを作ってしまえばいい」
「つまり‥、僕等のが権限が上だからAを使うので無く、こっちの人材を派遣するみたいな?」
「そうだな、昔はよくあった「傭兵」的なモノにしてしまえばよい、であれば介入や移譲をせずにAにも悪い心象は与えない」
「あくまで器だけ整えて、E案件の懸念がある、だけでも要請しても良い事にする?」
「そうだ、これなら向こうの要請さえあれば、直接的に最初から加われる可能性もあるし、其れ以外にも我々が動けるし、アドバイザー的な戦闘特化部隊でなくても良くなる」
「なるほど‥いいかもしれない」
「ただ此れには条件がある」
「それは?」
「まず、A要請に対して出せる人材の確保だ。実務的、或いは戦闘的に耐えうる人間が必要だ」
「それは問題ないかも‥」
「そうだな、晴海様でも私でも彩音でもおそらくいける」
「でも少ないのは少ないかも‥」
「うむ、もう一つはコチラの情報を提示する必要もある。あくまで貸し出しだからだ」
「うーん‥そこも多分大丈夫かなぁ‥条件というかルール決めちゃえばいいし」
「何れにしろ、やるとしたら、という前提ではある」
「こっちがある程度妥協しても良いと思う、根本的な目的は事件と認定されなくてもEに対して大きい行動出来る様にしたい、だから」
「そうだな」
そういう経緯で晴海もアヤネらと相談してある程度の枠組みを箇条書きし、一応の計画を示し、本家、つまり父親である慶に書簡として送ったのが二月に入ってから
父も自身から認めたというのもあるが、その行動は早く、同月の後半には紙の連絡が来る。
「公的組織に通達を出した、書類上の認可も受けてあるので自由にしてみろ」というモノだが、晴海が出した条件はクリアする形で整えられている
まず、元々持っている特級指揮官の名目はそのまま晴海が責任者として、既に申請され認可された事、家の立場は変わらないが、以後、晴海の集団として自身の行動にのみ対して責任を負う形が取られる
神宮寺の後ろ盾は使って良い、公的機関からの要請さえあれば自由に派遣してよい、人事も自由にして良いし、本家に要請すれば資金的な事も出す、また拒否権も付与され立場上は神宮寺の別働隊の様な形に収まった。
「僕が元々持っている特権をそのまま、裁量を広げた、みたいな感じか」
「かなりの配慮をされていますね」
「だね、けど組織体としては僕に委任する、と云われてもなぁ‥」
「いえ、あまり大げさに考えなくてもいいと思います。急に完全な形にしなくていいですし、今のままで経験を重ねて、問題に対して大にするなり小にするなり可能ですから」
「なるほど」
「今の所、最低限必要なのは、連携体制だろうな」
「名雪さん、それは?」
「まず向こうから連絡・要請出来る様にこっちから情報を提供するこっちの人員のプロフとか各戦力とか、E案件に対してどの方面で役に立てるか示す必要もある、それから直通連絡だな」
「それなら簡単かな」
元々晴海にしろアヤネにしろ、この一件に関わらず自身が保持する身分証があり大きく形が変わる訳ではなく、端的に言ってしまえば
「E案件と認定されれば退魔師の現場権限が移譲される」が
「E案件と《疑われる》事例にも晴海の集団に公人組織が予め要請出来る」に成っただけなのでやる事自体にそう違いはない
必要なのは名雪が示した通りで、コチラの情報との共有とより早い伝達である、その為、モバイルでの位置情報、専用回線での現場無線や、案件に対しての情報も共有する事となる
二月の末日には、公人組織側と直接会談する事になったが、アチラ側は「元々交流のある特殊開発部を間に挟む形ではどうでしょう?」と示され、晴海らも了承して高砂警視正の職場に向う
何故間を挟む必要があるかと云えば実際問題、単に晴海らが独自集団や組織を作ってそれで終りという事ではないからだ
「何しろ晴海君は学生ですからねぇ‥」という事でそういう対応に成ったらしい
「まあ、そうですよね‥僕等は人材を登録というか、選んで出せますよ、としても出来ない事、難しい事が多いですからね」
「そういう事になります、①に実際の現場での捜査②に巡回、逮捕なり、退治なり、③に其れが上手く行ったにしろいかないにしろ、事後処理は必要です、これを全て晴海君らに任せるというのは出来る出来ない以前に面倒が多い」
「ですよね」
「そういう訳で本庁からも「E案件特殊開発部」で補佐しろ、と告知されました」
「なんだかすいません」
「いえ、我々の部署も人数は多いですし、警察組織の一角には違いありません、装備にしろ、援護にしろ、情報交換にしろ、事務処理にしろ、間を挟む形の方が晴海君らに負担が少ない、それに我々としては願ったり適ったりですから、気にしなくていいですよ」
「そう言ってもらえると助かります」
「ええ、拠点も特殊開発部を使う方が楽でしょう、事件があった場合、どこかから要請が有った場合、ウチの人員も同行、移動出来ますし現場での説明とか、公人組織内での区切りもし易いですから」
「此処を拠点というのは?」
「あくまで晴海君の部隊は独立組織という扱いに成りますがウチの部署に設備と部屋を置きます、集まるにしても、滞在するにしても、何か相談するにしろ、拠点は必要です」
「なるほど、マンションの方に、という訳にはいかないですしね」
「そういう事に成りますね、それにマンションの方ですと装備やら設備やら整えるのは聊か難しいですし、安全性があまり良くない、幸い、こちらは一応ビル全体に一定のセキュリティがありますしトラブルに巻き込まれる事も略ないでしょう。無論、晴海君の行動は掣肘しないので安心を」
「助かりますが、ご迷惑では?」
「そうでもないですよ、我々は一般の事件には関わりませんし実働という意味では暇ですから、それと失礼な言い草に成りますが、幾ら専門的に強いと言っても十六~二十歳の子らに全て丸投げ、というのもあまりに無謀、というかみっともないというか‥」
「かもしれませんね」
「ええ、聊か古い私的な考え方かも知れませんが、面倒事や失敗は大人が責任を持つというのが常識的だと思います」
「ご尤もです」
「まあ、そういう訳ですので面倒事は我々に丸投げしてもらって結構ですよ」
「分りました、甘えさせていただきます」
「ハイ。では、早速ですが。晴海君の側の司令室を作りましたので案内します、と言ってもまだこれからですが」
「それと単に僕の考えでやってる部分が強いのですが、高砂さんはどう思います?」
「独自の集団を持つ、ですか?」
「はい」
「いいと思いますよ、ウチとしても全体としてもメリットは大きいですから」
「そうなんですか」
「今回、晴海君が動いた事でウチ、開発部も晴海君を主体、というか立場を前にして同時行動出来ますし、権限や予算も拡大されていますからね、それに「より早い段階で関わる」という考え方も正しい、事件が起こってからが我々仕事、という行動もこの範囲では改善されますし」
「高砂さんにもプラスが多いんですね」
「そうですね、ですからそういう意味でも自身の行動を悩まなくても宜しい」
「はい」
そうして特殊開発部のビルの外、敷地内に新たに作られた施設に案内される、元々ある円柱型の頑丈なコンクリ予備研究施設に二階司令室と、階下に狭い個室十部屋があり
一応生活しても構わない、程度の設備が用意されているが元々開発部母屋や近い所に宿舎もあるのでそこはあまり問題ない
既にこちら側と開発部を区切るセキリュティロックがあり
同じ敷地内だが、完全分割した体制と成っている
「こんなに広い場所が要るのかなぁ‥」
「区切りは必要ですね。お互い秘密の部分はあるでしょうし、フリースルーも問題があります、お互いに」
「なるほど」
「それからコチラの条件としてはですが、何時要請や有事が発生するか分りませんので、最低限、晴海君側の人材を常に一人は置いておいて欲しい事です。何かあったけど誰も対処人員が居ませんでした、も困るので」
「わかりました」
「まだまだこれからの部分が多いですが、セキュリティパスも発行が必要ですので早い段階でメンツを選んで申請を御願いします。まあ同じ場所に拠点はありますが、完全に別で共闘という形なのでそんなに制限は要らないのですが、一応ウチも公的研究組織なので、出入り記録等は必須ですから」
「そうですね‥わかりました」
「まあ、何れにしろ、ちゃんとした環境を整えるのにまだ一週間は掛かりますのでその間に御願いします」
「あの‥、それって全員必要ですか?」
「んん?」
「今、中国からのお客さんとか、非保護者とか居るんですが‥」
「ああ、前者でも問題無いです身分証があればいいので、後者は‥何ですか?」
と成った為「ここだけの話し」として雹の事を簡易に説明する事になる。正直、どこまで話せばいいか分らないが「隠匿はしない」という方針は自身の中では決めている事だから、その上で「高砂さんの範囲で留めてくれますか?」と前置きして理解を求めたが、高砂も流石に渋い顔にならざるえない
「成る程‥そんな事が」
「何れ、対処を決めるのですが。誰かに任せるのも彼女に危険な気がするので」
「わかりました、この話しは此処だけの話しとして胸に仕舞っておきます、何れ処遇を決定するまで他言はしません。害か益かは何とも言えませんし」
「あ、有難う御座います」
「いえ、ただ、何か有った場合の責任は取る事に成りますよ?」
「承知してます」
「そう考えて居るならいいでしょう、私がどうしろと強要出来る事ではありませんし、確かに、向こう側の情報が得られる可能性もあるし、無原則に話せば実験しろとか、閉じ込めておけ、という話しにも成りますからね‥正直私も其れはお勧め出来ない、その雹と云う子が自ら伝えるというならその方がいいかも知れませんし」
「ええ」
そうして一応の承認を得て、器の準備は整う、これらの話しも晴海は一旦全員集めて話し、これも了承をとった
「基本的にそういう形に納まったので、引越しに近い形に成るかも?」
「そこまで決まっているなら構わないと思います」
「だね、この際吉と出るかは分らないけど、やってみようと思う」
「アタシもそれでいいと思う。アタシらだけで独立行動てのは難しい面が多いし」
「メイも入れるのか?」
「うん、OKだって」
「おお」
「まあ、兎に角、直ぐという事じゃないらしいけど、こっちも用意しよう」
「して?晴海様。とりあえず人選ですが」
「基本的に向こうに入るのは全員を考えて居るけど実際問題《退魔》で派遣だから、貸し出し可能人員はそのまま退魔ランクでもいいかなと、単純に雑魚なら皆単身でも対処出来るだろうし」
「晴海様、私、名雪さん、レイナさん、メイさん、でしょうか」
「そうだね、どの道バラバラ行動でなくていいし」
「待機任務は私でいいしな、どうせ開発部で行動しているし」
「だね」
「アスカさんはどうします?」
「ん~、手間が無さそうですし、私もそちらにお引越ししてもいいですよ、と言っても荷物がそうある訳じゃないですし、戦闘でお役に立てるかは分りませんけど‥」
という形で纏まって住家を変える事となった。翌週には各自荷物を纏め開発部の三件隣にある公営宿舎、ワンルームマンションに其々移動した後、用意されている本部にも集まった
事前に云われた通り、晴海側の施設に出入りする予定がある人員全員の身分証から、敷地内に入る個別パスを作り、説明も受けた
「それ程ガチガチの体制ではないので出入り時に機械を通してもらえれば結構です、あくまで別組織ですし、入出管理だけなので」
「はい」
「退魔に関してのランク分というのも情報共有されていますので、貰った個人プロフから、こちらもデータ化します、それに応じてどこでも要請があれば派遣出来るという形になります、管理もこちらに任せてもらって結構です」
「それは楽ですね」
「ええ、現場への派遣もウチのメンツで事務方等も可能な限り一緒に行きます、双方混乱があると困るので、それから、移動もこちらで車両等も出せますので、基本的に免許等をお持ちの方は使ってください、レイナさんと名雪さんはそのままでOKです」
「はい」
「細かいルールや流れはマニュアル化してありますので一度眼を通しておいてください、あくまで現状、公人側として決まった範囲の事ですから、修正・要請部分は伝えて下さい」
「了解です」
そうして司令室の様な場所で今度は皆で資料を読むが、まだまだ体裁上の事も多く決めなければ成らない部分も多い
一つに晴海側の組織だが、これは先に仮称として付けられている「Eカウンターメジャー(対応策」を略称・隠語として「ECM」とそのまま使う事になる
二つに、派遣可能の人事だが、これは単身である程度現場対応出来る人、と成るので、やはり、晴海、彩音、名雪、レイナまでとなり、メイと飛鳥は要請があった場合状況に応じて誰かに付く事になったが、それも基本的にはだが、何しろ常にフリーで動けるのは名雪、メイ、飛鳥だけだからだ
「そう考えると学生て不自由だよね‥」
「案件に寄っては早退する必要もありますね」
「だね‥後は実際稼動してやってみないと分らない事も多いから‥それと人員も足りてるか謎だよね‥」
「広範囲、と成ると実際は難しいだろうな。ただそこまで我々で責任を持つ事でもない」
「名雪さんの仰る通りですね」
そうして、とりあえずこの体制でスタートし、また日常に戻る事になったが。本質的に「事件発生から退魔師に任せる」が「その疑いのある案件に要請出来る」に、晴海の集団だけ事情が変わっただけで、今までとやる事が大きく変わる訳ではない
のだが実稼動から最初の一週は予想外に要請が来る事となる
何しろ「発生前」「事件前」のモノも多く、空振りも多い
例えば「○○の地区でEと疑われる事件が増えたので調査同行を願う」とかされても実際もう終った事件であるし、退魔と直接関係無い事に引っ張り出される事もあるし。都内限定にしても範囲が広すぎる訳で
レイナや名雪も元々前線が希望だけにあまり苦にはしてないのだが、流石に絶対的な母数の意味でも完全に手に余る
「呼ばれるのは嬉しいけど実際の事件に遭遇しないんじゃ無駄足なんだよなぁ‥」
というのがレイナの感想だが、これは仕方無いだろう
実験組織みたいなモノだし人手が足りないのはどうしょうもない。ある程度、深刻度で要請を絞ってもらうしかない
そうして稼動しながら調整してもらい、中継する開発部も手探りながら次第にルールやシステムを構築していく事と成ったが、実際、事の始まりなんていうのは、大抵こんなモノだ。
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