晴海様の神通力

篠崎流

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誘惑

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次の事件はそう間を置かず起こる。この三家の会談から三日後の事、これまで様な戦闘的な事ではない

晴海とアヤネに直接起きた変化である。最初は全く無自覚で
気づくのが遅れたのだが最初は水曜の朝だった

簡単に言えばアヤネの不調、単に風邪か何かかと自分でも思った、その為、その程度で学校等休まず家での家事等励んで過ごし、漢方等煎じて飲み、早めに寝て整える程度だったが
露骨に具合が悪くなったのが二日後の金曜「自覚した」というのだろうか

朝学校に行くのが辛く体が重い、その為、晴海を送り出し休む事にした、晴海も心配し「病院に行こうか?」とは言ったが「自分で治せますので」と拒否して家に残った

まあ、それは実際事実だが、京極は術と道具と薬を自分で用意出来るし大抵の怪我も病気も治せる。

だがもうそれは試し済みどれも効果が無いのだ、そして「自覚」と言った通り察しもついた、そう、そもそもアヤネは何故晴海に付けられたのか?という最初に戻る

「まさか‥これが晴海様の力?!」と

直ぐに別の薬を呑み、体調不良は改善される、それで略確定した。

彼女が自分で投与したのは家でも元々ある、用意してある「中堂丸」という丸薬で精神安定剤と鎮痛剤、解毒排出薬を足した様な薬だ、何故元々あるかと云えば、用途は「毒、精神干渉、尋問や拷問を受けた場合服用する」という事

アヤネが当日朝に明確に自覚した症状が、動悸、息切れ、熱、倦怠感、一見すると風邪の症状に見えるが決定的に違うのが「堪らない情欲」である

「そうか‥だから初め神宮寺は「晴海様と肉体関係を持っても構わない」
「晴海様の変化を記録、報告しろ」と言ったのね」
「護衛、世話、教育、調査、監視、そして私は性的な責め苦にも耐えられる、そういう事だったのね‥」と

アヤネは教育や世話人としては優れて居る、教養もあり、退魔でも補佐として優秀、其々の家の事も歴史もそれなりに知識がある

が、重要なのは寧ろ別な所だ、神宮寺と京極は元々近い関係で、アヤネは代表の孫娘の一人、大昔で言う房中術の様な訓練も受けているし、容易に堕ちたりはしない

仮に晴海と肉体関係に成って両者気に入ったとしても与えても結婚させても構わない。ある程度の姓的な責めにも耐性があるし、調査も出来る

晴海の相手と、もしもが起きた場合、都合が良いのである、だから傍に置かれた「半端者の私が晴海様の護衛等不適切ではないか」が不適切でない理由

だからと言ってアヤネは神宮寺の裏の意図を恨んだり怒ったりはしない、分家の直系に生まれたからには、その社会に貢献し尽くす、そういう人間だし、そう教えも受けているから

それに事前に「もしかして晴海様は特別な力が」と自身でも問うた様に予想もしてたには違い無い

ただその後二日はかなり苦しい状態だった、丸薬も初めは効いたが、これは精精八時間くらいの効果だし、効果が効き始める切れ掛かる前後、ほんの数十分だが立ち上がれないくらいきつい

苦しい、という表現は当人には逆ではある、単に寝ているだけでもソレが起こると全身が性感帯になった様な快感の波が襲ってくるだけだから

体が芯から熱くなり熱い吐息が漏れ暖めた甘い香に包まれている様な、相手も居ないのに全身を彼に抱かれて胸や口、尻や陰核(クリ)を常時焦らすような優しい愛撫を受けているかの様な錯覚すら感じる

責め苦とは違い無理矢理や嫌々ではなく何時間も前戯されて寸止めを繰り返された後、男根を差し出された様なモノだ、一番厳しい誘惑の様で寧ろ喜びすらある

アヤネだから耐えられているだけで普通の人間なら発狂しても可笑しくない、しかもヘタに被験者としての役割を果そうと我慢しただけにその情欲は時間の経過と共に強く、悪化していく

どうにか耐えられたのは日曜の正午までだった。晴海も医者に行く事を拒否されたのでそれ以上は強要しなかったのだが
一度も彼女は起きて来ないし、食事も取らない、こうなると無理矢理でも連れて行くしかないだろうと思い彼女の部屋に入った

アヤネは布団の中でほっかぶりして丸くなって震えていた、これで晴海も彼女の意思を尊重等と言ってられなくなった
「アヤネ!」と強く言って被り布団を開けて状態を確認したがそれは全く予想していた「体調不良」とは逆だったのである

彼女は彼に顔を向けて見たが表情は寧ろ笑っている様な、虚ろな潤んだ眼と汗、半開きの口でハァハァと熱い吐息、着物もはだけさせ半裸の状態で全身をくねらせる

晴海の姿を見たアヤネももうHの事しか考えられなくなっていた、体調を心配して様子を見に来た晴海を「ああ‥やっと犯しに来てくれたんですね」と勝手に解釈するくらいだった

「アヤネ、一体どうした‥」と言いかけた所でアヤネは晴海を押し倒して床に引きずり込んだ、蜘蛛が獲物を捕らえる様に、両手足を使って晴海に抱きつく

貪るようなディープキスをしながら、されながら「好き‥好きです‥晴海様」と繰り返しながらされると退けようとも思わない、彼もアヤネの背中に手を回して受け入れ泥沼の様な淫欲に浸った

時間の概念が完全無くなっていただろう、どれ程接吻したか分らない
晴海もキス自体始めてだけに心地よさとイヤラシさに夢中になったから

アヤネは晴海を抱きすくめたまま片手と足を使って下を下ろし男根を外に露出させて即自分の肉壷に当ててもどかしげに
腰を沈める。ゆっくりだがあっさり彼の男根を全部自分の中に納めた

それだけで絶頂しそうに成る程の気持ちよさだ、前戯の必要すらない、何十時間ももうされている、寸止めされ続けたに近い状態なのでもうアヤネの中も熱々のドロドロ

アヤネは初体験ではあるのだが処女膜の類は無く初セックスの痛みもない「そういう訓練」つまり性訓練や拷問の類は擬似的に経験済みなので膜が無いだけだ

ただ生身の相手、男性とちゃんと性行為するのは始めてではある「こんなに気持ちの良いモノだったなんて‥」とも思う

アヤネはかなりの名器ではある、道は不規則に湾曲しその通り道に大小の不規則なイボ、ミミズ千匹に近い物だがこれもまた違う

横のヒダやギザギザの付いた肉ダンゴみたいのが無限に居る様な感じ、ボコボコした刺激でありながら大小の肉ヒダに往復運動で撫で回される、しかもヌルヌルのぐちょぐちょでアヤネの腰振りもかなり早い、あまりの気持ちよさに晴海も身を捩るが逃がしてもらえる訳でもない

彼女は見た目からしてもHな体をしている、若いのだがぬけるような白い餅肌が上気してややピンクに染まっている、巨乳だがパツパツではなく柔らかそうなので少し垂れている感もあり駄肉もちょっとある

女性らしいというか若いのに熟した女性みたいな感じで視覚的にも非常にエロい、喘ぎも小さめで控え目「あっ‥い、いい」という喘ぎだが行為は激しい

幸いと言っていいのか分らないが、興奮と感度が限界を超えて高まっていたアヤネの方が最初のピストンから三十秒で一回目の絶頂

なのだが、余韻に浸らせてもらえない、一方的に腰振ってるのは彼女なのだが、体が言う事を聞かない、絶頂しながらも早い上下の腰振りが意思に関係なく継続される

二回目以降は略、絶頂が断続的に襲ってくる様な状態に成った10~20秒間隔でイッて途中から数を数えるすら出来なくなった

「あっ!ダメまたイッてる‥!た、助けて‥」
そう自身でも言ってるのだが動いているのはアヤネだし、晴海も強く抱すくめられているしどうしょうもない

これも幸い、晴海も二分半でアヤネの中で絶頂する、凄い勢いと量の精液を最奥で受け止め、出し切った後アヤネの動きも止まる。分離した精神と肉体を一つに取り戻したかのように

余りの快感と絶頂だった為にアヤネも晴海の上に倒れて暫く動けなかったが時間の経過と共に、あれだけ苦しかった情欲も次第に収まる

両方起きて離れた所で時計を見たが十二時半手前
セックスは十分もしていない事を考えると二十分は余韻に浸っていたのだろう

其々二人は別々にシャワーを浴びて流し、遅めの昼食を消化した、まあ、あんな唐突な激しい行為をした後だけに非常に気まずいが、特にアヤネの方が恥かしいだろう、略逆レイプだし

ただ嬉しさも半分はある、事故的なモノだがアヤネは神宮寺の嫡子に抱かれた訳で、そういう事も目的の一つ、というか家的な方針ではあるから

それが最高の形で適った、と云えなくも無い、一方で晴海も嬉しくもある、アヤネは良い子だし可愛い、嫌な感情等無かったから

翌日、アヤネは継続して学校は休み、早朝から出かけた。この事件の報告があるので、一旦神宮寺の屋敷に向かい
レポートと口頭で説明する、不安はある こんな事をしたのだから外されるのではないか?という所もあったがそれは杞憂であった

最初の訪問と同じ様に、御大の側近の女性が紙の報告を読み頷いた

「間違い無いな、篭絡の力を発揮した結果だろう」と
「篭絡の力?」
「もう話しても問題無いだろうから説明するが
神宮寺の直系の子が稀に「力」を発揮するのは知っているか?」
「はい‥成人の前後に特殊な能力を発現する方がいらっしゃるとか」
「そう、晴海様はその「稀な例」である懸念があった」
「そこで私が置かれた、という事ですね?」
「そう」

「私は解雇されるのでしょうか」
「そのままで良い、継続して調べる必要がある、それに、篭絡の力は過去に例がある、同じ物であるかも分からないし、似た能力であるなら、傍に性技が使える女が居た方が良い」
「なるほど」
「過去の例に倣えばだが、晴海様の力は当たり構わず効果を発揮する懸念もある」
「‥では‥」
「対処法もある、この力はバイオリズム、精精月に一度か二度くらい山と谷があるので、その兆候が出たら発散させればよい、その為にも晴海様が好意を持つ女性が常に居た方がいい」
「私が処理すればいいんですね?」
「そうだ、これを放置すると無原則に誰でも晴海様を求めるようになる、無関係な者に被害を出すのも不味い‥まあ、尤も女性の方から強烈に求める様になるので犯罪には成らないだろうが」
「でしょうね‥体験した私にはよく分ります‥」

「もう一つはあくまで晴海様が誰かに欲情するのが抑えられればいい、生理現象だからコントロールは難しいが、安定剤の類でも抑えられる、あくまで「欲求」だからだ」
「成る程、その意味でも京極の娘が丁度いいと」
「そう、それから晴海様自身に自重して頂く事も可能だ」
「という事はこの件は話していいんですね?」
「うむ、それも任せる当人も知っておく必要もあるだろう」
「わかりました」
「これも過去の例からだが、この能力は晴海様に依存する」
「?」
「つまり、実際の性行為を行っても晴海様が「この娘を孕ませたい」と思わない限り無闇に妊娠もしないらしい」
「なるほど、要するに性処理の相手、と思ってもらうという事ですね」
「無論、晴海様がアヤネに種付けしたいと思って体を交わしてもそなたなら問題ないし、防衛も自分で可能だろう」
「ええ。避妊薬も各種ありますので」
「まあ、アヤネが晴海様の子を懐妊したい、と言うのであればそれも構わないがな何しろ側室や妻と成っても構わない立場だ」
「は、はい」

「ただ、これはあくまで「過去の事例」でしかないし確かとは言えない、差異がある場合もありえる、ので継続して調査せよ」
「はっ、ですが事故と成った場合はいかが致しましょう?」
「これも一応対策はある、まあ、確かではないが。簡単に言えば晴海様に最後までして頂く、という事だ情欲を発生させるのも静めるのも晴海様にしか出来ない」
「成る程、それは必ず性交が必要なんでしょうか?」
「それもこれからだな、口でも良い場合もある、何らかの形で体内に体液を注入すれば静まる事例もあるらしい」
「はい」

「それと質問もあるのですが?」
「なんだ?」
「何故神宮寺の直系の方はそういう能力を発現するのでしょう?」
「ふむ‥私も詳しい事は分らんが、初代からの話しらしいので、一説には神宮寺の初代は魔と混ざっているのでは?という説もある確認しようがないが‥」
「五百年以上前の話しですからね‥」
「そうだな、いわゆる西洋で言う淫魔的な要素もあるのかもしれない、それが代を重ねても血が残り、極稀に何らかの特殊能力として発現する、そう考えればありえない話でもない」
「淫魔的要素ですか‥しかし「も」という事は違う場合も?」

「過去の事例だけで言えば、様々な能力を発揮している。高速治癒、いわゆる魔眼、不老長寿、極端に偏った人間的能力の増大、極端に力が強いとか、頭がいいとか、異界交信や付与とか ただ、多い訳ではない直系の血の者でも一世紀に一人か二人くらいだろう」
「つまり、歴史上十人居ないという事ですか?」
「確認出来ているだけで六人だ、晴美様は七人目という事になる」
「成る程」

「ただ、魔の血の混ざりではないか?というのは単なる推論であるし知りようが無い、また、やたらと言って良い事でもない」
「分っております、他言は致しません」
「うむ、兎に角、継続して晴海様を頼むぞ」
「はい」

そうしてアヤネは直ぐ神宮寺を発ち東京へトンボ帰りする、一般の他人から見たら驚く様な話ではあるが、アヤネはお役目を外されずに済んだ事、継続して晴海と共に居る事を命じられ、前後の事情を超えて嬉しくはあった

戻ったのが既に夜であるが、直ぐに晴海を呼び、前後の「事情」も報告する、流石に晴海も驚いたが、彼自身も何となく予想みたいのはあったのだろう、蔡の時もアヤネの時も、何故急にこんな事に?とは頭のどこかにはあったから

「そっか‥そういう事だったんだ」
「今後も重要に成ってくる為、分った事を全部お話しました、私も明かされていなかった事は言え、騙すような行動をして申し訳ありません」
「いや、それは仕方無いよ、実際断定出来なかった事なんだし怒る様な事じゃない」
「ええ‥」
「兎に角、防止策があるならそれ程問題は無い、けどアヤネはそれでいいの?その‥僕の性欲の為の道具みたいな扱い‥」

「わ、私は‥その、寧ろ嬉しいですが‥」
「ええ?!」
「す、すきです、晴海様の事」
「‥ほんとに?」
「はい本心です」

そう答えた様に、これは事実である。最初から晴海には感情的にも、家の事も含めても好意と敬意があった、勿論先日の性交の事もあるが彼女からすれば「あの神宮寺の嫡子の嫁の第一候補なんて」というのもあった

昔で言えば将軍の妻の候補になった、に近い状況なので寧ろそれは名誉である、そういう家だからという事もある、分家も含め、何百という女が居る、その中から壱とされた訳で嫌な訳がない

そして、実際に挨拶し対面した、一緒に生活した彼は優しく
頼りにもなるし、男性的な強引な所もなく強要も命令もしないし美形でもある

逆のパターンだって有りえたのだから幸運である、生理的に無理なタイプであった場合でも明確に拒否権はないから

最後に実際体を交わした事もある、何しろ、姓的な訓練を受けている彼女ですらイキっぱなし成るくらいの凄いHだった訳で、おそらく現世でこれを味わえる事はそうない

これらが相まって純粋に「沢山愛されたい」と考えるようになった、もうお墨付きな訳で当人が望めばいいだけだ

一方の晴海もやはり同じ思いであるアヤネは可愛いし公私共によく補佐してくれる、彼女を貰っても良いし御互い好意を持っている、だから彼も同意した
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