境界線の知識者

篠崎流

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詰将棋

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開戦当日の終り後、連合側の簡易会議でもやはりメリルはこの見解を示して、続けて問題ないとした

「こちらは最終的にはペンタグラム本国まで下がって迎撃しても問題ありません、相手が時間を浪費するほど、こちらに優位な材料が増えます」
「同感だな」
「はい、連合各国からの援軍、派兵、が時間の経過と共に進みます補給線もこちらは短く、天候が改善されれば、武装的有利がまた出ます一方相手は逆になります」
「一応、事前策の「1」通りには成ってるな、多少トラブルはあったが」
「だね、こんな強風は初めてだよ」
「この天候がずっと続くとも思えんし、まあ、天気はどうしょうもない」
「バルクストの方は何かあるか?」
「そうですな‥やはりテスネアは強いですが懸念もある」
「それは?」
「あまりにも「普通」過ぎませんか?」

そうアトロスに指摘され、一同も唸った

「同感なんだが、向こうに選択肢が無いからなぁ」
「何か策があるのかな?アトロスさんの言ったとおり無策過ぎるというか‥」
「其のあたりはどう思う?メリル」
「‥エミリア司令の言う通りでもあります、そもそもテスネア側はこちらを突破するか、大幅に削り中央の戦力維持出来ないまで打たなければ次も難しくなります、動いた以上、選択肢も攻めて勝つか引っ掛けるしかありません」
「うむ」
「王様の策の通り展開している以上、やはり追い込まれての反撃には見えますね、確かに不可解に「普通」ですが」

「うーん‥、元々向こうが動いた場合、ペンタグラム本国の防衛施設を使い後ろに引っ張って削って撤退か、多方面からの包囲分断させる策だしなぁ‥」
「ええ、テスネア側が進んで攻める、であれば罠の類も無いかと有るとすれば、こちらの反転反撃の時でしょう」
「うむ、とりあえず、当面は作戦通り進める、懸念については一応フォレスに伝えるという事で」
「分りました」

会議後この点についてフォレスに伝心で伝えるがやはり判断はエミリアらと同じだった

相手に攻めさせペンタグラムまで引き防衛、これで相手を引っ張りテスネア本国から遠ざけて、連合各国からの相手の伸びた移動線、街道、陣形の側面や背後を別軍を持って突く

戦術、戦略の、大規模包囲分断戦の王道であるからに現時点で相手がこれに乗っている以上、懸念があったとしても中途で止める判断は無い、一応の事として示したのも同じ内容であった

「まあな、アデルもどっちかてと「知将」だろう戦略面は疑いない能力だろうし、それが当たり前にこちらの作戦に掛かってるというのは不思議に見えるわな」
「アトロス大将の「普通過ぎる」もそういう見解から来るのでしょう」
「うむ、だが、エミリアらの言った通り、現状どう動いても、こちらの有利が覆る事は無い、テスネアは押すのも、引くのもやった所で状況の改善は無いし、そもそも攻めに転じた理由も兵力の十分な内にそれを使う、だから中途半端で止める意味が無い」
「ですね、だとすれば、これが逆になった時、でしょうか?」
「同感だ、テスネアが攻める、攻め貫けなかった、自国に引き、こちらを逆に引き込む、くらいだろう、そこでの罠だろうな」
「はい、こちらがやってる居る事を逆にやる事でしょうね」
「うむ、中央街道からテスネア本国側へ戻るルートは自然が多く森、山岳があり、伏兵策は仕掛けられるが‥」
「既にこちらの斥候が展開してしますし‥」
「なんだよね‥、一応、其のあたりの情報収集は指示強化する」
「ええ、お願いします」
「それと、あまり疑心暗鬼に成る必要は無い、向こうが引いて釣り策を掛けるなら無理に追撃する必要も無いし、必ずしも事前策通りに進める必要もないし、相手の打てる手は既に二つしかない、多分オレが向こう側でもこれ以上の策はうてない」
「そうですね、分りました、警戒だけはしておきます」

と、フォレスとメリルの間で交わされ今後の懸念含めての対策は出された

基本的には連合主軍はペンタグラムを守れば良く、仮にテスネアが後退釣り戦を仕掛けたとしても、それに付き合う必要が無い、要は、最終的戦果でこちらが上回れば良い

極端な話、この戦がどのような形で終ったとしても次戦で仕切りなおしをしても良い、取引や通貨の圧迫をしている以上、次、次と繰り返しても、次戦の度に優位差が開くだけの話である

ただフォレスは主軍会議の意見からペンタグラムからテスネア本国への斥候の人員を予備配備で増やし、自身も、ハーベストの軍、ティアのヴァルグフロークと共に早めに出撃する事と成る

本来の作戦ならばテスネアがペンタグラム本国周辺決戦に入ったタイミングで行う予定だが、様々な懸念あって先に動く事にした

二日目の開戦も前日と同じ形で進む
テスネアは押し、連合側は押された分引いて引き込む、どちらにとっても規定の作戦だけに、変わる事は無い

変わらない、もう一つが一日目と同じく天候がテスネアに味方した事もある、相変わらずの強風で「弩」に規制が掛かった要素もある

中央街道を越えて西に後退防衛戦が展開されるが、正午には下がり迎撃戦の連続から、中央街道西へ、ペンタグラム山岳都市が目視出来る位置まで移動戦闘と成った

ここでテスネア側も押し時と考え突形陣に編成しながら連合側に再攻勢を掛ける

この際、左翼ベステックは自軍を左右中に分け右から崩しにかかるアデルと別の手段を講じる

「自軍を3分に割って、連合側の中陣、右、バルクストの側面に其々当てる、陛下が右から崩すなら、他の敵軍陣をこちらで引き受け足止めする」

アデルの右主力が積極的に突き崩しに行くなら自身は自軍を分けて、其々エミリア、ターニャ、バルクストの分隊にぶつけ、右からの崩しへの援護をさせない、という判断を行う、そうしても手持ち8万だけに分散対応でも兵力は互角以上

グランセルナ側左陣は騎士団担当だが、アデルの主軍を単体で防ぐ程兵力は無い、故に集中して孤立分断を仕掛ければ直ぐ崩せると考えた、何しろ、数の上では8対3だ

「数差があり過ぎるな‥」
「無理に防いでも被害が増えます、下がりましょう団長」
「弩も連弩も使えないからなぁ‥相手の前進に合わせて矢を浴びせるのも無理か」
「持ち場を維持と言っても我々が崩れては意味ありませんので」
「分った後退する」

一方のこの流れになって主将エミリアも細かい戦場策での対応がし難い

「後方予備一万を投入、クローゼらの援護に充てよ」
「うーん‥このまま全体で下がりましょう。数で圧倒されると如何ともし難いです、ペンタグラムが近いのであちらの施設防衛兵も準備を」
「ちと早いが本国防衛戦に移るか?」
「ええ、抑えるのが難しければ素直に下がった方がいいです」
「うむ、全軍伝達、首都決戦に移行する、密集して防御線を固めよ手弓で対応して相手の前進を規制しろ」
「はっ」
「で、いいな?」
「妥当です」

これら主軍判断から連合側は早期後退戦に変更。天候の条件があるが、ペンタグラムの首都決戦に移行する「弩」が使い難かろうと、防衛設備とし使う分には優秀だ、だが、これら行動はフォレスの懸念からの早期行動とかみ合う

三日目の開戦に突入
首都決戦になるが、ここでテスネア側主軍に、後方軍、トーラから連絡が入る

「連合側からの側面、後背突きの牽制軍が出てきます」と
「む、早いな‥」
「如何します」
「トーラにも八万ある、それで当面対処で良い、こちらは首都決戦に入ったばかりだ、様子見で相手の反応と状況を見る、不利に展開するなら第二段階に移る」
「はっ」

そう簡単に伝心の後、主軍側はペンタグラム麓の防衛施設の突破と街の制圧戦になるが、通常の制圧戦とはやはり違う

ペンタグラムに新たに作った防衛施設はグランセルナ本国と同じ、二階建て、コンクリ、横に広く外側に強く、施設進入する道、扉の類が無い

従って中央の道、正面大門を突破する事になるが、敵味方共に殺到すると、百名単位の小規模戦闘の連続になる

グランセルナ側はこの天候あって「弩、連弩」は使えないが
、盾壁を二階屋上に配備して手弓での射撃を行う、コレ自体、かなり効果が高く、テスネア側だけ一時間の出入り口の取り合いで数倍の被害を出す事になる

「む、これはやり難いな」と、初めて体験するアデルもベステックも同じ見解を示した

「百人単位」と言ってもリバースクロス等を投入する事も出来ない、何しろ狭いし、打ち込んだ所で、前と戦いながら左右から射殺される事になる、しかも馬が展開出来る広さが無い

やむなく、剣盾兵の歩兵を展開しての戦いになるが、時間の経過と共に、疲弊するのは圧倒的に攻め側

「左右に壁、と言ってもどこまでもある訳ではない、分隊を編成し、左右に回りこむ」

とのアデルの方針から、その用意がされるが
達成される前に事態が動く

まず、天候の改善、強風がピタリと止まり連合側が「弩」の規制が無くなった事、これで攻め側の被害が倍化する

密集状態での射撃だけに特に効果があり、過去戦でも極端に高い戦果を上げているのもその為である、半包囲集中防衛戦に近くなり、防御側が陣形的にも圧倒的優位になるからだ

更に一時間、計二時間半の戦闘だけでテスネア側は一方的に削られ、七千もの被害を出す事に成った

ここでアデルも見切って、分隊での作戦を一旦停止して後退の指示を出した、そして連合、テスネア側両軍にとっての規定の作戦に移行する

「第二段階に移る」である

攻めのテスネア側がこの指示から自軍を収集、15時にはペンタグラムの首都決戦は終了、今度は攻守が逆になる、連合側の防衛軍は相手が引いたの合わせて出撃

首都防衛に元々の予備兵一万とペンタグラムの神騎士団を置いて任せ、反転攻勢の追撃に移る

第二段階、と双方が同じ認識と指示が出る事で分る様に
これは規定の策であった

連合側は首都まで引っ張り防衛で相手を削って敵が折れて引いたら追撃、テスネアはある程度攻めて、不可能であれば早期に撤退する、故に、激しい戦いであるにもかかわらず、反対意見の類も無ければ

暴発して先行する者も居ない、まるで、劇の台本の様に綺麗に嵌った双軍の整然とした最速の行動であった

三日目も日が落ちたところで一旦収集、双方再び中央大街道付近での再編と成った

一~三日での戦果は、テスネアが二万近い被害
連合側は八千

街道平地での野戦ではテスネア側優位に進んだが、首都防衛戦では逆になる

四日目も只管攻守入れ替わった展開、追撃、後退迎撃、であるが正午にはアデルの元に連絡が届き、この事態も変わる

「何?、盟主自身が分断戦の一角に?」
「はっ、テスネア南、リム城砦にユルングから侵攻、牽制、こちらは四万、フォレス王は陛下の後ろ街道の寸断軍を一万二千率いての行動、現在、私の手持ち軍を分けて頭を抑えに進軍しています」
「‥、分った、こちらも後退を急ぐ、用意は出来ているか?」
「はっ、既にリム城砦から非戦闘員を疎開させています
「分った、兎に角そちらと合流する」

そこからテスネアは一転して急速後退に、ベステックと半数の軍に前、殿を任せて、中段から後衛は離脱撤退を始める

「何事だ?」と対峙した連合側も思ったが、この可能性も示唆されていただけに、それほどの混乱や便乗して追撃する者も居ない

「自連合からの別方面、大規模分断戦が向こうに届いたのでしょう、先の会議の内容通り、無理押しは必要ないと思います、情報が少なくありますが、今、無理に削り倒しに追撃を急ぐ理由がこちらにありません」

とのメリルの進言に一同も納得して、届く範囲に弓を使い、さがる相手を、安全、確実に背中にパラパラ矢を打ちかける、特に「弩」は飛距離が長く、略一方的に攻撃出来る強みがある

アノミアから届いた伝心通告も
「追って問題なし、間のルートに罠の類は確認出来ず」とされた為、後退追撃が継続される

3時間の撤退、追撃戦の後、其の日も終了と思われたが、テスネア側が夜も継続して後退、そのまま離脱を図った為

連合主軍も無理に追う必要なく、周囲警戒のまま、街道を通常進軍で進み、一応の後追いだけする事と決まった


翌、早朝には、テスネア側主軍と後方軍が合流、そのままテスネア領土最南の砦側に撤退する

側面、後背突きに回っていた連合側、ハーベスト一万二千と、カンツォーネ二万、カルディア二万も引く相手を一定間隔で追いながらこれも合流しつつ、継続

十六時には、その流れのまま、テスネア側がリム城砦に入ったのを、肉眼で確かめた所で距離を取ったまま、その場で野営陣を建て攻守が完全に入れ替わる体勢での対峙と成った

その場でハーベ、カンツォーネ、カルディア、フォレスと合流した責任者らで簡易会議と成ったが、元々、この状況は事前策の「2」であるので特別な方針を今話し合う、という事ではない

「一応、予定通りには成ったな」フォレスが一声でも明白である

というのも、事前用意の作戦自体全体的な流れで言えばこうなる。

①ペンタグラムから告知で外交、商売での規制圧迫、実兵力をなるべく使わず追い込む
②戦略的兵糧攻めにテスネア側が耐えられず動いたら自領側引き込んで迎撃
③引き込んだ相手を各地包囲から分断戦、ある程度叩いて戦力差が出来る、敵が後退、撤退の場合追撃して削る

の、略グランセルナ本国防衛戦と同じ形になる、しかも前例と違い、相手が分かってても、そうせざるを得ない作戦ではある

テスネア側は自国に引き籠ってもジワジワ疲弊する、兵力と補給があるうちに使わないと無駄になる、だから出ていくしかない、というモノだ

「しかし困ったな、こうも簡単に反転攻勢から相手領土まで進めるとは」
「ギリギリ使える兵力が残っている内に出て来た、だからもっと粘ると思った、か」
「そうなるな、あのまましつこくペンタグラムへの攻勢してくれると楽なんだが」
「これはあまり乗らない方がいいんじゃないか?」
「そうだな…後テスネア側がやれそうなのは本国までの引き込み防衛、とかだろうな、というか相手に選択肢が少ない、自然、手を読みやすい状況だし」
「まあ止める訳にもいかんだろう」

そう見解が示され継続した攻めが行われる事となる。

エミリアのペンタグラム側主軍が合流した後、各地の連合国にも伝達、後方支援の追加と、主に遠距離武装の追加を指示して、対峙している、敵城の攻城戦を始める

と言っても、只管遠距離武装を使った一方的な撃ち掛けで特別な手段は無い、遠くから石と火矢を放り込むだけだ

これを丸二日続けて相手の反応を見るが三日目には相手が城砦を放棄して、本国側街道に後退した為砦を確保

意外な程あっさりこれが成され、テスネア領土の一角の奪還に成功する、が、奪還したリムの簡易会議では意見が割れる事になった

「このまま此処を専守して、相手の疲弊を待っても良いのではないか?」と
「相手を休ませる意味も無いでしょう、攻めて圧迫を続けるべき」に

フォレスはここで「リムでの防備、専守で良い、別の手段を講じる」としペンタグラム本国の教皇から再びの告知を出す、つまり

「討伐戦は既に最終局面にある、テスネア本国への攻め、並びに全国の参加を歓迎する」との告知である

リム滞在軍をそのまま置いて、連合以外の国と連携して叩く方策を取りつつ、既に行っている、内側からの圧迫も続け、効果を増やす

この告知で周辺が応えて動いたのが一週間後、北、東の各国からの派兵が動く。

これは打算の面もある、一つにペンタグラムからの明言であるからには、大義名分が整った事

二つに、既に最終局面に近い事とテスネアの兵力も減っている、落とすのは難しくない事

三つに、今協力して攻め落とすに連合やペンタグラムから「配慮」が貰える可能性。早い話、ハイエナ、漁夫の利的な考え方で、終戦後、礼なり領土の分配に加われる、のではないか、と考えての動きである
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