境界線の知識者

篠崎流

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国益

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「ヘイルズ開戦」の後ウィステリアからの要請に答えて即座にグランセルナから単身跳んだフォレスは、即日ウィステリア王都へ入る

当然歓迎会となり一先ずそれを受けたが軽く終らせ直ぐに外交会談を求めた、パーティーもそこそこに夕方には連合への参加宣誓書を書きその場で宣誓して既決と成った。同席したファルメントも静かに頭を下げ礼を払った

「フォレス王の援護に感謝を」
「いいさ。上手い手が有ったからやっただけの事、ファルメントが気にする事ではない、実際ヘイルズを叩いて前に防波堤を作れた、それに、こっちの兵は失っていない」
「それでも、フォレス王が居なければこの国はありませんでした重ねて礼を致します」
「フ‥しかし、どうした?急に、オレの事は気に食わないんじゃないのか?」
「グレゴールに云われた一言が目を覚まさせました」
「それは?」
「今のこの状況に有って、誰がウィステリアに手を差し伸べますか?周辺国は何をしましたか?です」
「そっか」
「はい、自身が如何に表面上の事に囚われていたか分りましたこれまでの非礼をお許し下さい」

「思い直したならそれでいいさ、それに、別に非礼でもないしウチの閣僚も大抵口悪いしな」
「え?」
「まぁ、あれだ、ファルメントも何時もどおりでいいさ」
「そういうモノですか?」
「人に寄りけりだが、オレは気にせんよ、オレも変える気も無いしな」
「なるほど」

夜半には宛がわれた客室に入り、そのままインファル、エミリアを呼んでの簡易会議と成った

「前後の情報を聞く限り、ここはここで任せて大丈夫そうだな」
「そーねー、ウィステリアの軍力回復、強化まである程度補ってやれば、問題無さそうよ」
「ここの軍司令はどんな感じだ?」
「兎に角、集団統率力が高いわね、守ってる分には大丈夫じゃない?」
「問題は戦略、戦術部分だろうか」
「それも多分問題ないだろう、グレゴール殿が居るし」
「そーね」

「エミリアはどう思う?」
「特に異論は無いな、ヘイルズを潰したし、地勢的に攻められるのも西側くらいだろう、兵力さえ揃えば単身防衛は出来る、そもそも周辺国が強い訳じゃない」
「そうだなぁ」
「で?今後だが」
「んー、俺らは戻っていいだろう、特に人材を補う必要もないだろうし、元々財政面でも人口でも強化出来る土台はあるしな、ファルメントがグレゴールに任せてる分には問題ない」
「ふむ」
「それと最初の外交で見た限り、マイナスになりそうな者も略居ない、時間と、目的がハッキリしている分には建て直しは難しくない」
「でも一応こっちの援護軍は要るでしょ?グランセルナから兵出すと時間掛かるし」
「どーすっかなぁ‥どっかに中間支城か滞在施設さえ作れば大して問題無い気がする、適当な中級指揮官当てとけば」

「そうだな」
「ま、何れにしろ、ウィステリア側との会議も要るな」
「うむ、では、後日、だな」
「ああ、解散で」

翌日午後には両国での会議、が、方針は略決まっている為それほど議論が必要ではない、フォレスの意思が様々な事情から優先されている事にある

連合の主国であるし先の開戦からの流れでウィステリア側も意見を重用する形が出来上がっているからだ

中間滞在施設の建設とグランセルナ側からの滞在派兵、人材面にはウィステリアが整うまでの派遣を行う事で纏まった

当日にはエミリア、インファルらも自軍を率いてグランセルナに発ち、フォレスの直軍と屯田兵を交換で派兵、つまり一時的にリコとマギが、ウィステリア側に留まる事とした

理由は単純でフォレスがそのままウィステリアに留まったから、もう一つはリコ首都軍は最早グランセルナに固定して置く必要が無いという事、グランセルナは全方面に壁を築いた為首都防衛軍が必要な状況に無い、故にそう言った人事が成される

そしてリコもマギも軍にあっての重要な立場、その形を受け入れた事にある、つまりグランセルナにあって「将」としての高い立場を与えられた事でのやりがいと思い入れがあった


リコが軍を率いてウィステリアの着いたのが一週間後、ウィステリア南街道付近、人魔の森西傍に駐留基地建設も始まる

その間、フォレスは領内を回り人材と内政のアドバイスをグレゴールに行った、昼食会の場でそのまま簡易雑談会議で全体的な事への話題からそのまま方針が示される

「ウィステリア領内については殆ど問題は無いな、人材もこれという者が居るし、財政面、人口共に安定している」
「フォレス王の指示は既に伝えてあります、これらを登用してより安定を図ります」
「うむ、後は数の整え、軍錬が終れば維持防衛は問題無いだろう、元々の将、軍の能力に過不足は無いし」
「はっ」
「それから、先のグレゴール殿の出したウィステリアの年度黒字献上の条件だが、これはやらなくていい、そっちの軍力を整えるのに使え」
「え?しかし」
「構わんよ。グランセルナの目的は財政や貢物ではない、連合を広げ連合としての領土を広げ乱の拡大を抑える事だ、その目的を達成した以上、こちらの目的は達したといえる」
「わ、わかりました」

「兎に角、ウィステリアは軍力が低すぎる、守るだけにしろこれでは防げん」
「ははっ」
「それと、俺もそう長くは居れん、本国に近く戻るリコと軍は残しておくので兎に角内部の整えを急げ」
「分りました」
「後はそうだな‥ファルメントはお勉強だ」
「え?!」

その日からファルメントはフォレスに集中講義を受ける事になる、10日程だが女王の私室に出向いて徹底した勉強が始まる

ファルメント自身は先の指摘の通りそれ程ダメという訳ではない、兎角対人関係の挑発の乗りやすさと客観性を失いやすい事にある、彼女自身は至って普通の人物で、資質上知があり、ある程度の指導あれば改善すると考えた

「国家運営とか統治、とか考えなくていい、基本ゲームや簡単な算数と変わらん規模がデカイか小さいかの問題でしかない」
「うーむ…」
「政経てのは実際そんなに難しくはない、政府て集団と民という集団の一つの集まりが国家に過ぎない、国家の主体というのはどういう制度であっても民が主体だ、何故だと思う?」
「主体か、数が多い?」
「半分正解、では言い方を変えよう、その国家で人と物を生み国内のあらゆる市場を形成しているのはなんだ?」
「そりゃ国民じゃろ?9割は民間じゃし」
「そうだ、人も製品も、家、服、飯、全部作ってるのも消費してるのも民だ、勘違いするのが多いが、兵も官も人民から出ている、ではどうすれば国内の全てを強化出来る?」
「そりゃ、皆に産業振興して売買、生産してもらい、活発にする、すれば人も増えてモノも増えて豊かだろう」
「そうだ、分かってるじゃないか」
「そう言われればシンプルだ、私達は本質的に何も作ってないし国内市場を形成していない、税を集めてその資金で保障したり、分配したり、防備したりするとかそんなもんだろう」

「逆がダメな理由も分るな?例えば重税とか」
「うむ、100所得に50税掛けたら政府は沢山金が集まるが、相対的に民は半分しか持たない事になる、それでは内治の拡大のしようがない、皆の手元に半額しか残らないのだから」

「そうだ、その状況が連続して拡大すると必然的に「民」の景気が良いと成る、それが多ければ多い程使っていく、店をでかくする、商品を充実させる、給与は沢山出す、とな、と成れば全体の「金」の動く総額も増える」
「国内が二倍活発になれば二倍強いて事になるしな」

「そう、我々の本来の目的を見誤ってはいかん、我々は何もできない、国という集団を強くしたければ主体はどこか見ればいい」
「では財政問題とかはどうするのだ?軍備とか」
「金とはそもそもなんだ?」
「え…なんだろう…」
「A民が米を作って、B民が服を作った、これを物理的に交換して取引していた、が、米を100トンと服を100着を交換するとなったらどうだ?」
「あ、そうか、交換物の更に交換物て事だな」
「そう、特に手形とか紙紙幣とかな、それも主体ではない」
「なるほど、生産取引の本題ではない、あくまで製品×製品の中継なので、必要とあらば増やしてしまえばいいのか」
「そう、これが財政の拡大という手段。簡単に言えば、去年100予算で何らかの形で民に払った、今年は100+10に増刷したとかで増やして払ったどうなる?」
「民が100金を手にする、翌年は110、10%余分に使えるて事か、それでまた別なモノを10%多く買う、当然10%多く作る、その連続性て事だな、最終的に民が手にした金を我々が税率で回収する、という事はこれが少ない程よいのか」
「拡大させたければな、歴史もそうだが、何故重い税を掛けた国が大抵内乱になり、必ず弱体化するのかも実際はとても簡単だ100から50引いたら50だからな、取引と生活が半分に低下する、当たり前の事だ」
「なるほどな、政府から政策として何らかの形で民への通貨供給を増やす、回収するのも適正にしないと有害でしかないな、だから税が重いはどこの国、歴史でもダイレクトに内治が衰えるのか」
「まあ、限度はあるんだが、本質的にはそうだ、あれは所詮人間の活動の円滑化の為のツールなんだよ」
「そういわれればそうだな…」

「歴史ではそれこそ、いい加減にしろ、くらいよくあるが、圧政状態になると政府と民の双方の敵視から衝突がよくあるが、あれは分けるもんじゃ無いんだよ、国民と政府というのは一心同体みたいなもんだからな」
「そうかも知れんな、民が作れない生活できない程困窮すれば=家も飯もない兵も人材も生まれない、居ない、私達も生きられない、それは「国」全部が弱いて事になる」
「軍でも商売でも同じだな、言い方を変えると、兵が集まり武装して訓練するから千の兵団として機能し勝てる、従業員を雇って彼らが大勢で耕し育てるから米が作れて製品を売れる」
「ふむ」

「例えば、このコップも皿も服も誰かが居て作って、売って、糧を得ているそれが無ければ世は成り立たない、どこまで行っても「人」があり「集団」の結果が我が国て事になる」
「統治者はその、本質を怠ってはならないという事だな」
「そうだな、だがそこまで全て完璧に考えてしろ、とは云わんあくまでその前提あって全て成り立っているという事だファルメントは国の代表である、であれば、どういう行動選択が皆に得に成るかを考えればいい、外交でもそうだ」
「難しいな‥」
「先の例で言えば、相手の圧迫外交や挑発もそうだよ、自国への「損得」をマズ考えろその上でやるならいい」
「例えば?」

「これは分析心理学という学問だが、王は王のキャラを演じる、その前提を置きながら、相手の出す条件に「国益」を合わせてNOと成れば何時もの自分で叩き返せばいいし、YESなら逆を演じればいい、ファルメントの場合、あまりに相手の表面上の良愚に左右されてしまう」
「自己を後に置きながら前提の「益」を得るのはどうするか考えば良いという事か?」
「すれば、何が得でそうでないか直ぐ判断出来る、少なくても先の揉め事の際、グレゴール殿の意見を汲んで方針を変えた、インファルの指示を受けて相手を叩き返した、冷静客観的な物事の受け取り方が出来ればそう難しくは無い」
「成る程、しかしそれは、自身を欺く事ではないのか?」

「個人なら自己優先でいいだろう、が、お前は君主だそれが良愚に関わらず影響は全体に及ぶ。そして物事の優先順位で考えればいい、そう思えるかどうかだな」
「んー‥」
「例えば、今、どこかから攻められたら何をすべきだ?」
「最低限の防衛軍備か?、で、戦わずに済む方法の模索、時間を稼ぐ、協力を求めるとか?」
「正解だ分ってるじゃないか」
「つまり今なら外からの圧迫があった場合、それを引き伸ばす外交、並びに、連合への協力を求める事、或いは民への説明と戦力の強化、だろうか?」
「そうだ、その思い直し、があったから今、こうなっている」
「あー‥」
「それを意識してやれば判断はちゃんと出来る」
「分った」
「ファルメントはカッと成りやすいのと挑発に乗り易い事さえどうにか成ればいい、判断はちゃんと出来るハズだ」
「わ、わかった、努力する」

ファルメントは事前サーチの通り「知」に置いて能力はある、理解出来るだけのモノは最初からある、故に、「学」の基礎と損得さえ理解出来れば早いものだ

特に先の戦からの考え方を変えたのが大きい。彼女はまだ17歳であり、経験、基礎、が少ない事がある、殆どの事例をグレゴールに丸投げしていた分それが極端に少ない


そしてファルメントはグレゴールにも謝した
「今までの事を許して欲しい、誰が真に私の事。国の事を考えて居るのか判った」と

きっちり10日後フォレスはウィステリアにも簡易転移陣を城に作り、本国に戻る事と成った

「それ程、用があるとも思えんが結構遠いからな、何かあれば使っていい、グランセルナと往復出来る。グレゴール殿も術士だからまあ連絡は直ぐだが」
「はっ、了解しました。本当にお世話になりまして‥」
「何、こっちの目的も果した、こっちに損は無いさ」

といつもの様に、軽く云って去った
ただ、その後一週間もせずにファルメントは頻繁にグランセルナに訪れる様になった「もっと色々学びたい」という事だった

もう一つが、教師を務めたフォレスと先の戦前後の事あってのインファルの能力である、二人に交互に張り付いて離れなかった

「なんかめんどくさい子ね‥」
「いいんじゃないか?「考えを改める」てのも稀な資質と言えるし元々馬鹿じゃない」
「そーね、自身の誤りを認める、て意外とやれる奴少ないからね」
「そうだな、それが成長できるかどうかの差となる、ましてファルメントは君主、だからそれが難しい立場なのに出来ているからな」
「ま、本国はグレゴールおじちゃんが居れば問題ないし、もう連合だから派遣も問題ないしょ、けどねぇ‥ずっとこっちに来られてもね」
「君主だしな」
「こっちから誰か出す?教師兼参謀で」
「んー、メリルにやらせるか、術もそこそこいけるし、外での経験を積ませたい」
「親心?」
「それもある、後の事を考えるとアチコチ繋がりを作っておくのもいい、多分アレほどの「知」側に秀でた才能はそうでない、何れ国を代表する立場に成れるだろうし」
「たしかに」

「つー訳でインファルは本国で補佐も頼むわ」
「せんせーに参謀いらんでしょぶっちゃけ‥」

そのままファルメントが帰る時期に合わせてメリルを付けた。

「一応グランセルナの政治的代行と外交頼むわ」
「と、云っても、もうやる事は無いのでは」
「ま、ファルメントの教師兼任だな」
「はぁ‥構いませんが」

と向かう事と成った


季節が変わる直前の6月、中央、周辺の情報収集任務を請け負ったアノミアらから統計情報等が届く、それに合わせてグランセルナで先に指示を出して居た幾つかの事が、一定の結果が出た為報告会議と成った

「各国に派遣していた人事部から報告だ。現地での政治軍事における人材の発掘は上手く行っているとの事だ」
「ほう‥」
「カルディアの所は元々商売人とか技術者がそこそこ居る、主に「政」の側だな、ロベルタは神聖騎士団にバランスの良い人材が結構居るらしい」
「国家的にも豊かで、ゆとりありますし、学術施設や神聖術師が多い珍しい国ですからな」
「うむ、で、ロベルタ周辺の領主、西の港と国を治める地で代替わりがあったそうだ」
「選挙では無く?」
「らしい、前領主の息子がそのまま代わって就いた」
「不満は出てないんでしょうか?」
「無いらしいな、ま、これは特に問題無いが」
「もう連合ですからね」

「うむ。で、次にティアから」
「ああ、先の命あって主軍から武力のある者を選抜したのだがかなり大人数になった」
「何人?」
「36名」
「!?」
「どういうこっちゃ‥」

「うむ、賞金付けて武芸会を開いたらやたらと多くなった、で、上位からそのまま選んだらこうなった」
「どの程度なんだろうな」
「うーん、私と良い勝負出来そうなのは1人だな、後はウチの武芸者、将クラスに及びそうなのも余り居ないが、エルザくらいなら結構居る」
「ふむ‥しかしどうすっかなそれ‥」
「騎士団とか入れたらダメなの?せんせ」
「どうだろ、本国からあんま動かない近衛だしな、一応クローゼらは軍指揮権あるけど」
「んー‥」
「まあいいか、何か考えるわ」
「うむ、これがメンツの資料だ」
「で~‥次にアノミアから情報来た、さっき即行で統計複写したから一応見てくれ」

と資料を配った。それを一同目を通す

「見る限り中央は大きく事が動いている割に兵力を余り失っていないんだな」
「そうだな、兎角、先の物資不足からの速攻、それ程死傷者が出ず、早い段階での白旗が多いそうだ」
「例のテスネアだが、見た所不審な点は無いようだ」
「表面上の数字だけ見ると元々維持、備蓄は多い、意図しての部分はあるが」
「と言うと?」
「中央はどこも兵力が多い「何か」が動くまで攻めるという選択は無い、故に、テスネア自体「何時か有る、その時に備えてやっていた」とも云える」
「そーねー、こういう情勢だとまず守って防いで、相手が衰えたら攻めて落とす、これが一番先に来るわね、先に動いたら自爆だし」

「んだな、敵、周辺国が馬鹿行動したら動いて潰すのが良いし効率的だ、それだけに我慢を要するが」
「人事の情報も出て居りますな」
「ああ、テスネアのアデンスターカも代替わりしているし、そこから人事も動いた、特に武系の人材は多く、変え易い側面はあるだろう」
「ま、そこはいいんじゃないか?こっちから何かする事もないし」
「だな」
「問題はペンタグラムねぇ‥ターニャ居るし先の事件からそうとう、数の上でも衰えが顕著ねぇ」
「インファルの指摘通りではある、元々住民が多くないが移住‥逃げたとも云うが、人口も継続して減ってる、そもそも寄付が滞るとな」
「だねぇ‥元々これと言った産業も無いし‥どうしようかコレ」
「一応通貨発行とその材料はそれなり取れるがそれ以外がな」
「ふむ」
「ま、どうも出来んけどな、とりあえず、中央はテスネアの動き止ってるし直ぐどうこうも無いだろう」

「‥中央の事は中央に任せるでいいんじゃないか?どうにも成らないし、フォレスに何か手があるならいいが」
「‥無い」
「だよな」
「オレに要請なりあるとか、明日からオレが教皇に成れるなら何とかするけどさ」
「ですよね」
「転移施設、と言っても精精送れるのは10人~前後だろ、人追加つってもなぁ‥」
「そもそも事前にアノミアらを送ってるだろ、アノミアの部署は個人武とか要人警護の能力は元々高い、そこからターニャらを補佐して貰えばいい」
「ふむ‥」

と、そこでフォレスも考え込んだ
そして閃いた、と言うより思い出した

「そうだな、んじゃ、先のティアの選抜した武芸者も送る」
「いいんじゃないか?」
「それと残りは全部ティアに任せる引き続き「錬」と集団としての数も増やそう、武装も強化する」
「どうすんだ?」
「こうなったら戦場隊でも作ろう、裏への対処とか、こっちの個人護衛にも使えるし」
「特殊部隊でも作るのか?」
「そうだ、引き続き、長もティアに形は任せる、必要な物も要請してくれ」
「分った、数は?」
「百名単位だろうな、増やしてもいいし」
「ふむ」
「陛下どうなさるおつもりで?」
「うむ、これも大昔あった「虎豹騎」みたいにしよう、各軍の指揮官の護衛や戦場での突撃親衛隊にする、そもそも、個人武の高い連中の集まりならどういうジャンルでも使える、ティアも軍を使わせたい」
「成る程、発想の転換ですね」
「しかし「こひょうき」というのは?」
「大昔の歴史に登場する「魏」という国に居た特殊親衛騎兵で、様々な戦場で戦果を挙げた個人武芸者の遊撃軍だ」
「ほう」
「ティアの武力もあるし、個々に秀でた連中の集まりなら、そういう使い方もある、それと、ハーベの例がある」

「成る程‥確かにハーベスト殿は誰か武将を付けないと「武」の面で厳しいですからな」
「ぶっちゃけハーベが剣を取っても物の数に入らんし危なっかしい馬に乗せれば落っこちるし。それからテラとかずっと付けてなくていいし」
「たしかにそうですね」
「つーわけで、これは決定で」
「名前どうする?」
「こひょうき」てなんかびみょーな響きが‥」
「名前なんかどうでもいいと思うが‥んじゃ「ヴァルグフローク」ね」
「どういう意味?」
「大昔の言語「狼の群れ」で」
「まだマシだな」

そしてこの「ヴァルグフローク」の隊長にそのままティアが充てられ、選抜人員や、主軍から特に馬錬で成績の良い者、装備、騎馬、等用意される

ここにティアの選抜した武芸者やエルフでティアの下に着いた者も合わせて、初期150人部隊が創設され50名ずつ、ティアを指揮官筆頭に三分部隊の中級責任者にティアの下に付いたエルフの剣士、武芸会で選抜した武者、それから過去医療隊から見出したアンを充てる、運用面に関しても一任される事と成った

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