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フォルトナ編(後日譚)
促す者・1
しおりを挟む大陸、エグハルトでの旅も残り少ない
東地域へと渡った、フォルトナ一行は。唯一残った最北東の国ホルスへ向かった
既に中央セルツェアの代理責任者として政務を行っていた。ジリオーラの政策によって大陸には和平の流れが出来つつあった
最大の強国であったセルツェアが自ら兵力を縮小して「争いを終わりにしよう」とされてはそこに反対できるはずも無いのだ
中央から北、南、西と休戦や停戦、和平条約等進み人々も安堵のため息とやっと終わるとの思いであった
セルツェアで「魔族」の介入と陰謀を暴き、取り除いたフォルトナ達も、皆、大陸の民たちと同じ思いだった
そして陰謀の種さえなければ、「陰謀の乱」はもうそうは無いだろうと考えていた
が、フォルトナが戦った魔族の女
あれはこうも言っていたのである「我が主」 と
おそらく、どこかでまた戦うことになるだろうと、とは思ったしかし一方で、それは後の事だろうとも思った。何故ならこの大陸では既に、全体が「和平」に向かっている
そこを覆す策動や陰謀等、相当な力、あるいは数、決定的な何か、そういった物が必要だと思っていた
ホルスは元々バーセルと状況は似ていた、大陸外と交流があるわけではないが、やはり東にあって、海に囲まれ、その海の恩恵、海産物、等は豊富である
そして、この全体の流れにして、唯一賛同しなかった「国」でもあった
国王「ジョエル=ホルス」は若き王、二年前に先王が亡くなり、王たる立場を引き継いだまだ16歳の王だ、他に家族居らず、そして、つい一月前までセルツェア含め、周辺国とも争っていた国である
それが今更「乱を終わりにしましょう」と言われても納得できなかったのだ、常に「戦っていた」国である
どちらかといえば大国ではないが、「強国」ではある「数」で無く「質」の強国である
若き王の周りに、名将多く、武に優れた者多い、そして何より若き王は「勇」に傾倒する、それだけに尚更「和平」等あり得なかったのだ
ある意味、前王よりも「名君」である、「武」において決して怯まず、決して引かず、決して妥協しない、そういう君主だった
「今更和平等馬鹿げた事を‥」ジョエル王自身がそう言い切った。無論それはある意味に置いて配下の者も同感である
彼の下には3人の若い将が居た
カッセル、アドニス、ファフニール、何れも「武」に名をはせた者である、その彼らからしても「戦の終わり」を無条件にやるなどあり得なかった
しかし同時にこの全体の流れからして「戦う」を続けることも難しいのは自覚していた
「やるのはいい、としても、その手段が問題であろう」
それが統一見解だ
まず、全体が和平に向かいつつある、大陸の国民の多くも賛同するだろうか、その中にあって自分たちは少数派である、その状況にあって戦を続けるとして、自分ら以外の国と軍が全て組み、敵に回る可能性がある
戦う事を望まない多くの「敵」によってである
それでもいい、「勝てる」ならば
が、実際は確実に包囲戦略になり、こちらが圧倒的多数に飲み込まれるのは、目に見えている、それをぶち抜ける戦力があればいいが、そうではない
ホルスは大国では無い
「父は「戦」によって命を落としたと言っても過言ではない、そしてその原因を作ったのはセルツェアである、そのセルツェアが和平等と通る話か」
そう他国からの使者に対してジョエルは、たたき返して追い返した、ただの無謀にも見えるが実際はそうではない
そう「言われた側」にしてみれば「今は水に流して」等と返せない、更に言えばそれを曲げて交渉、となれば、相手を納得させられる
それなりの譲歩が必要になるのは当然であり、実に上手い交渉術だとも言える
無論ホルス王はそうした「裏」の考えあっての事ではない、純粋にそう思って、そう叩き付けたのである、そしてその強さは国民、兵の意気を上げる
良いか悪いかは別にして純粋で且つ、誰にもでも分かる道理の話だけに、支持を得られるのである
「子供でも理解できる分かりやすさ」それがホルスの若い王の最大の長所である
そしてこの「大陸の流れ」に逆らう行動、それ自体にフォルトナらは違和感を感じた。先の「陰謀」があっただけに、ホルスに対して外部からの干渉が有ったのではないか?との思いあって一同は向かう事と成ったのである
何れにしても確かめなければ成らない「陰謀なのかそうではないのか」
その為一行はホルス領土とセルツェア領土の境界近くにある街に入った、言わば中央と東との対立前線の街道交錯地である、そこで先ず情報収集に当たった
「案外、ホルス王の支持者は多いんだな」
夕方、一通りの聞き込みを終えた後一同は宿に集まり話し合った
「道理の面から言えばそうだろうな。そもそも大陸の統一化、を図っての最初の戦はセルツェアにある」
「ホルスもそうだが、他の国にしてみれば「攻められて戦っただけ」の国が殆どだからね」
「ま、それで和平をと言われても承服は出来ないだろうね」
「しかしもうセルツェアはジリオーラが実質指導者に成っている、和平への取り組みの面でも十分譲歩していると言える、それ以上の事が出来るだろうか」
「出来る出来ないというより、単なる意地だろう。実際ホルスは強硬姿勢に寄って支持を上げている」
理屈は分かる、だがフォルトナにはそれが理解しがたかった
「それで自己の支持を上げたからと言って何に成る?戦が伸びて困るのは民草、死ぬのは兵だろう?」
「‥それはおぬしの視点が違うからじゃよ、あくまで「民」から見た視点、だからそう見えるだけじゃ」
「言われるまでも無く、判ってはいる、が。それで戦が伸びて疲弊したら結局国を損なうだけだ。今体調が良くなるから劇薬でも飲んでしまおうという事だろう?」
「愚者にとっては5年10年先は大して重要じゃないからの。いや、それは殆どの人間がそうか」
「考えるは良いが今はそれは重要じゃない問題は我々がどうするか?だが」
リーベはそう言って一旦話を切り替えた
「ご尤も」
「ホルスの行動が「陰謀」に寄る物なのかどうか?だな」
「‥兎に角、潜入、直接会ってみない事にはな‥」
「そうなんだが、具体的にどうする?」
「眼が当てになるのはシエラである事には変わらないし、シエラ中心に考えたほうが効率は良いな。かと言って潜入は難しい、となれば、「表」からだろうな」
「王の近辺に接触するのか。しかしどうやって‥」
ふむ、とリーベは思考した後提案を投げかけた
「どうだろ、外交会談の場に出てみては?」
「え?」
「フム‥相手の重臣、もしくは中心人物が出てくる可能性は高いからの」
「そうだ、こちらは「陰謀の種」での裏と関わりを知っている「3人」が居る」
「そっか‥ジルにヴィクトル公、アネットか、確かに彼女らなら協力は得られるかも」
「そこにシエラを同席させ、そしてそこに来る者を「見て貰う」ということだな」
「ワシらに同行して潜入するより遥かに安全で確実じゃな」
そしてシエラも「どっちでもいいよ」と同意した為大筋の方針は決まる
実際の行動は分かれて行われる事になった
フォルトナはホルスへ
リーベとシエラはセルツェア、ジルの元へ
バルテッサがバックアップである
フォルトナ自身は潜入は比較的容易であるし。単身で「裏の敵」と万が一当たっても戦える
シエラは単身で戦える訳ではないし、眼を持っているだけに「上」の人間についた方が良い、そのほうが安全でもある
リーベルスも元々は「国」の領主である上に「将」として動いたとしても、勤めて過不足無い、更に「魔」と対しても戦える力がある
更にジリオーラと動くなら「伝心」でのバルテッサ、フォルトナとのやり取りでの、情報交換が出来るのである
そしてこの相互条件があるだけにジリオーラも受け入れた
「リーベルス様が側に居るのは心強いですわ」
「また、先の「魔」が出ないという保障はありませんからね、若輩者ですがよろしくお願いします」
そうお互い、セルツェアの城のジルの部屋で確認した
「シエラさんはこのお菓子がお気に入りでしたね」とジルは紅茶と。真ん中に蜜を固めた黄色の玉の入った焼き菓子をさりげなく差し出した
「わーい」とシエラが頬張る
「あまーい」とご機嫌である
「蜂蜜を固めた物が入っているのか」
「ええ、珍しいでしょう」
「これはたしかに美味い、お茶によく合う」
「ねー」
ジルは元々がどの方面からも一歩距離を置かれる立場だけに。子飼いの配下、信頼出来る者があまり居ない、それだけにこの配慮は有難かった
そして先の「事件」でもお互いの能力を知っている。更に3人は隠す必要も無く両者の経緯も話したのである
「そうでしたか‥お二人はその様な経緯で‥」
「ええ、バルテッサ殿程では無いですが、どの方面に対してもお役に立てるかと」
「将としても、武芸者としても「力」を発揮できるのであればその方面でも頼りになりますわね」
「ハハ‥流石にそこまでは何とも」
「いっそ、事が終わるまでその立場にあっても良いかも知れませんね?」
「それはまあ、構いませんが‥セルツェアの元の将が納得しますか?いや‥」
「ええ、どういう流れになるかまだ判りません。その為「どういう形になっても」応対出来る形は作った方が良いとは思っています‥」
「それは道理ですね」
「国と軍の規模は大きいですが、セルツェアは運用面では陛下が中心でした、その為、実戦ではかなり不安はあります‥」
「判りました、一時的な事には成りますが、やりましょう、あくまでアドバイザーか用心棒の形にはなりますが」
としてリーベはジルの直属の「将」としての立場を表面上与えられる事になる
些か強引ではあるが、そうジルが「立場」を与えればそれ程不興を買う物では無い、セルツェアの軍も兵も、「陛下亡き後の軍をどうするのか?」という不安があったのは事実である
もう一つが、王に変わって代理国主となったジリオーラの「政」で見せた一連の行ないである
彼女自身が見せた公正さと実力から「ジル様の直接登用した者なら」とも思われたのもあった。その為この急な人事に置いても不満は少なかった
無論それだけでは訝しむ者も居る、その為リーベはその日から直ぐに軍に入り、積極的に交流を図ってこうも言った
「ジリオーラ様からアドバイザーとしての立場を承っている、普段は余計な口出しはせぬ。困った時は頼って貰っていい、失敗の責任は自身が取る」
と宣誓した為
「そういう事なら‥」と軍の将も兵もそれを受け入れたのである
ただ、実際は本当に「頼ることになる」とは一同は思っていなかったのだが
一方、フォルトナは最速移動でホルスの本国に入る。「常に戦時」の様な状況に近く「普通に入る」には城下や関所では苦労するがフォルトナ単身ならその規制や検閲はさほど問題にならない
隠し身、跳躍での潜入、そしらぬ顔で旅人として街や城下での基本的な情報収集を図り、それを容易に達成した
如何にチェックが厳しかろうと、一旦もぐりこんでしまえば、それを探し出す等不可能、何十万人も居れば当然である
「あちら側に情報が無ければ」
おそらくそれを持っている者はホルスには居ない「ハズ」である
ホルスは「武」の国の傾向は強い。出入り規制が厳しくは無いが、チェックは徹底している「軍」の数は極めて多いという訳ではない
ジョエル王直属軍に二千。其々配下の将に、二千づつ
総軍は八千であるが、其々の将にも個別の行動権利が与えられている、それだけに3将の能力の高さが裏づけされているともいえる
「ま、別に戦争参加する訳ではないから其れは良いが‥」
「さて‥どう接触すればいいのか‥」
と少々悩んだが、どう実行するかの前に「国」としての動きが先に起こる
ホルスの南西
セルツェアの南東にあるバリスという国の王がホルスとの領土線に軍を進めたのだ、ホルスはそれに対して同じく軍を出して牽制の立場を取り対峙、にらみ合いの形となる
どこから指示があった訳でも無く、バリス単身でのホルスの行動に対しての行動。言わば「和平に向かう流れにを止める者に対する」として単独での動きである
意図も理屈も判るが、これはやりすぎの独断先行である。和平の流れに逆行するからと言って武力を持って当たる等道理的には劣る
ましてバリスの出した軍は単独で4000である
これはと思いセルツェアもジルが指示して両軍の間に二千の軍を出し、更に横から牽制、そのまま交渉と会談を持ちかけた
無論本題の一つでもある、「見る」面からジリオーラ自身とシエラとリーベルスも伴っての事である
その会談は一応実現され3軍のにらみ合う街道の中央で陣幕を張り会談は行われた。出席したのは
バリスの王
ジル、シエラ、リーベ
ホルス王、ジョエル。女性将ファフニールである
それは最初から刺々しい物だった。そもそも話し合う前から主張が全員違うのだから当然だろう
「和平に向かう大陸の流れを敢えてぶち壊す戦争屋が!それほど戦いたければ身内と殴り合ってろ」
「我が国の民は「勇」を示すジョエル王を支持しておられる。それを曲げるというのは、国民の「意思」を軽視する事だ」
「しかし、民にいらぬ犠牲を出さぬ様するのも「国主」の役目ではと思いますが‥」
と、最初から平行線な訳である
だが、正直、その流れはフォルトナらの側からすればあまり関係ない
本来の目的が「外部干渉で流れを変える陰謀」を止めようという目的であって
この大陸の国家同士が自分たちの勝手な主張で「乱」を続けるというのなら「別に知ったこっちゃ無い」のである
そしてこの国家間会談で一つ増えた、知ったこっちゃ無い、が、シエラが「見た」事である
この中に「人ならざる者」は居なかったのだ、と成れば、無理にどうにかする必要も無く後は其々の「国」の判断でしかない
この会談自体は、ジルが取り持ちどうにか収めることにはなった、そんなつもりも無いのだが仲介人の様な立場、意図せず勤める
尤も、彼女の意思自体「もう乱は収めよう」なのだから、そういう方向に向かうようにするのは必然ではある、どうにか収まったのはジリオーラの
「戦って功を誇る事は国を良くする事とは違います、ご自重なさい」
というぐうの音も出ない言葉を叩き付けられたからである。無論ホルスもバリスも納得は出来ないままだが
この会談とほぼ同時、フォルトナとバルテッサがホルス本国での潜入から首都の防衛に回って滞在していた、残りの3将の内二人も「見た」
フォルトナは兎も角、バルテッサのサーチならそれなりに精度はあるということ
「変化」のフィルター越しではあるが魔眼も有る故「中身が違うかどうか」見るのに不足はない
そして一連の「事」での外部介入は見られなかった、と決定付けた
「と、なれば、次はどうする?」
フォルトナは仲間らと一旦合流し、方針の如何を決めようという姿勢を見せた。未だ「牽制」の立場を続けたセルツェアの軍の野営陣の中でジルも合わせて話した
「これで終わったという感じはしないな‥」
真っ先にリーベがそう口にした
「ワシも同感ではあるな。」
「あんで?」
「皇帝の剣の例もある、必ずしも「工作員の潜入」があるとも限らんからの」
「ああ、たしかに」
「別に「人」を送り込む必要性も、まあ、必ずしもある訳ではないからな前回は明確に「人」の形があったが」
「んー‥しかし、そうなると対象が広くなりすぎるぞ‥身に着けている小物とか、際限が無いが‥」
「とは言え、出来る事も、もうないだろうしなぁ‥」
「とりあえず、あたしは当面、ジル様に付くよ、このまま離れるのも中途半端だし」
そうリーベが言った為、一行もひとまずの事、としてそれに同意する
「そうね‥別に急ぐ旅でもないし」
「ふむ、リーベがそう言うなら付き合おう」
が、一同がそうしたのも、単に「中途半端だし」と思ったというだけではない。其々が其々、違う「もしかしたら?」があった
そして、フォルトナとバルテッサは再びホルス側へ。リーベとシエラはそのままジルにとなった。その結果。この滞在は意外な流れにも成るのである
3国の会談から三日後、3軍がにらみ合いを続けていたが、まず、ホルスで動く、バリスに対しての宣戦布告である、一旦収まったと思っていたセルツェア側もこれには驚いた
即時ジルもホルスに、再び会談を求め、ジョエル王率いる軍に乗り込んだが、その会談の場でこう叩きつけられた
「バリス側がこちらの首都に工作員を送り込んできた。ここまでされては我々も交渉等と言っておれぬ」
どういう事かとジルも驚いて
「何か証拠が‥?」と聞いたがジョエル王は本国から届いた書簡、事件の詳細を彼女にも見せ示した内容と詳細はこうである
先日深夜、ホルスの軍施設の一つ、武器庫での火災、それ程の大規模被害でもないが、蔵が一つ焼けた
死者は8人だったが、そのうち3人はバリス側の「兵」だったとの事であり
実際その工作員3人はその場で自害、バリスの人間、工作員である証拠「軍の所属章」も持っていた
「交渉の最中にこの様な卑劣な策動を図られて黙っていては名折れだ」
ホルス王、ジョエルもそう一方的に言って交渉を打ち切りさっさと出て行った。だが、そうなってはジルも止める手段が無い、明らかにジョエルの言い分は尤もである
が、一方、策動を仕掛けた側のバリスはそれ自体が激怒させる内容である
「言いがかりだ!その様な指示等出した事は無い!そもそも仕掛けるならこの様に軍など率いて出てきたりはせぬわ!」
「だが、戦うというなら望むところワシらもその準備を進めるだけの事だ」
そう残してバリス王も物別れのまま去り、残ったジリオーラにどうする事も出来ず、自軍に戻るしかなかった
「これ自体、陰謀の類である可能性もありますが、わたくしにも止める方法がありません‥」
それにはリーベルスも同意である
「臭いとはあたしも思う、が陰謀の証拠は無い‥そもそも両国は戦いたがっている」
「ですね‥わたくしたちが受けた「陰謀」を暴露した所で信じてはもらえないでしょうし‥」
「同感ですね、聞く耳を持っているとしたら同じく「裏」を見たバーセルのヴィクトル公くらいなものでしょう」
「ええ、それ故にヴィクトル公とアネット様は協力的なのですが‥」
「問題はどうするか‥だが」
「事、戦となれば、わたくしには良い策は‥」
「ううむ‥」
とリーベも腕を組んだまま考えたが具体的な「これ」という方策は無い、ホルスもバリスも「戦いで決着をつける」という積極性とそれを成す事での国民からの支持があり、一度その流れが出来てしまうと止めるのは難しい
今回の一件を陰謀としたところで、こちらが証拠を提示出来る訳では無い、示した所で「何を馬鹿な」と返されるのは自明である
軍での指揮官や戦略家ではないがジルにもそれは判る、同時、その心も判ったリーベルスもある提案を持ちかけた
「となれば、実力行使での「止める」しかありませんが、そこまでしても「止める」意思はお持ちですか?ジリオーラ様」
「いいえ、基本的に「戦」を回避するしか有りません、軍事力はあくまで最後に行うべき手段です」
「では、最後の最後と成った場合、一つ提案があるのですが」
「なんでしょう?」
そこでリーベルスは「最後の手段」と、そうなった場合、自分に任せてくれるように頼んで、そしてそれを、ジルも一応受け入れたのである
「そんな事が可能かどうか、わたくしには判りませんが‥リーベルス様にお任せします、武人の心意気や戦場での知略等わたくしにはありませんから‥、」とした
「とは言え、あくまでそれは最後の事、戦争回避の行動は続けるべきでしょう」
「判りました、では、お互い出来る事に専念しましょう」
「よろしく頼みます」
この来るべき戦、それを引き起こした破壊工作での「裏」を聞いたフォルトナとバルテッサも考え込んだ
「まいったね‥こういう手段とはな」
「操れる、なら今度の奴も出来る、と考えるか」
「バリスの王がホントに戦の為に工作したのだという線も捨てれんが?」
「可能性は低いのう‥軍を出しておいてホルスの本国に工作する意味が判らん、狙うなら「将」や「兵糧」だろう、大体、軍の所属章を持って等アホ過ぎるじゃろ」
「ま、そうだな」
「で、どうする?前回の女、アガーテが言ってた「主」とやらが動いていると考えた場合、面倒な相手とも思うが」
「やり口から見てもそうじゃろうな‥国や組織の中心に関わらず、自ら手を下すマヌケでもなさそうじゃ」
「うーん、私には今のところ‥張って次の動きを待つくらいしか思いつかないなぁ」
「そうじゃな「餌」があれば何らかの釣りを掛けることは出来るのじゃがな‥あるいは大規模な探知か」
「餌と言っても何がつり餌に成るのかすら謎だしな」
「強いて言えば‥「和平への方向性」だがこれは大陸の国家との一致した動き、また、「裏」を全員である程度、認知した上での釣りになる、これは現状無理じゃろ」
「和平を敢えて壊そうとする者、となれば、平和が成されては困る、故に、和平の流れになれば必ずそれを妨害に来る、という事か」
「そうじゃ」
「とりあえずそれは無理か‥で?大規模な探知とは?」
「人間。を木偶にして操り、となれば、それなりに魔力も、外から見ても、普通でない物がどうしても外に漏れる「魔術師」ならそれを探知する事は出来る」
「つまり魔術師や魔眼持ちが総出でその「不穏な魔力」を探すという事か?」
「まあ、そういう事じゃ」
「それも無茶なような‥私もサーチはいまいちだし、現状それが出来そうなのは、ジル様、シエラとじーさんくらいだろ‥」
「うむ‥」
と、一旦そこでバルテッサも言葉に詰まったが
「せめて道具があればな‥」
「え?あるのかそんなもの?」
「あ‥ある‥‥‥あるぞ!思い出した!!」
「マジで??」
「ウム、たしか、巣にまだあるはずじゃ‥ぶっ壊れてなければ‥」
「ちょ!?」
「とりあえず、ワシは一旦戻る、後を頼むぞ!」
とバルテッサは慌ててすっ飛んでいった、何故か虎の姿のまま走っていった
「落ち着けじーさん!!転移、転移!」とフォルトナが叫んでバルテッサは遠くの方で思い出したように止まって消えた
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