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フォルトナ編(後日譚)
選ばれし者
しおりを挟むアデリス大陸での「地図」作成も7割方完成していた、フォルトナらは南西部地域まで辿り着く
「随分国が多いな」
「ここら辺りだけで3国もあるな、西、北側とも隣接地があるし」地図を広げ眺めた
「ベル=ギヴァンデ」そう呼ばれる地域で元々は温暖で平和だった、らしいが、今は小国、自治領主区が複数あり「争い」の絶えない場である
無論、戦争の類がそう、ある訳ではない。互いが小国であり、戦力格差が少ない為、けん制し合い膠着した状況、所謂「三すくみ」で実戦闘が少ない状況だ
「面倒に巻き込まれても困るな」バルテッサはそう思った
既に余計な事に巻き込まれすぎであるが、しかもこの地域、この状況である
「さて?、どうしたものか‥」
「地図作成に集中しよう、北の様にいらぬ戦に巻き込まれても困る」
「そうだなぁ‥比較的関係無さそうなのはどこかな」
「会って見ないとわかんない」
「そうか、シエラなら‥」
「いや、そうもいくまい。歩き回ってイチイチ代表者や国主の人格を見て回るなど非効率過ぎる」
「そうだなぁ、とりあえず近場で情報だな」
「うむ」
そこで一行は東から南に移動した事もあって一番近い、東の国に入ろうとしたが門前払いを食らう
「何なんだ一体‥」
「そういう国、と思うしかないな、我々の見た目怪しげなのは確かだしな」
「うぬぬ‥」
「国」にこだわる必要も無かろう、規制の少ない場所に行こう」
「この3国の中央にある自治区か?」
「うむ、自治区ならそう規制はあるまい?」
「ま、長期滞在出来ればどうでもいいか、位置的に周辺地図も作りやすそうだ」
と、北、東、西にある国の中央に位置する
「ネビル」という砦街に向った
が、そこに5日後辿り着いてフォルトナらはまず唖然とする
「でか!」
「こりゃ自治区と言いつつ、国だな」
「メルトよりデカイぞ?」
「うむ、しかも潤っているようだな」
「寧ろこれは助かるなぁ」
しかも出入りに「規制」も無く、宿も石作りである、虎まで入れると床がぶち抜ける心配も無くバルテッサも泊まれたのであった、一晩ゆっくり休んで、翌朝からさっそく地図の作成に当った
「じゃあ、私、街を遊んでていい?」とシエラが言った為
「構わんよ、バルテッサ頼む」
「ふむ、地図作成はお主だけでやるか?」
「ああ、3人でも別に手間が減るわけじゃないからな。一人でやっても問題ない」
「分かった」と
バルテッサはシエラについて。フォルトナは街から出て地図作成に集中したのである。当初バルテッサの指摘通り、余計な事をしてても本題が進まないし。そもそもこの自治区は比較的豊かな大町である。治安が悪いという事もない、故、シエラが自由にしても別に問題ない
地理的にも南西地区の中央に位置するし。長期滞在もあれば街を知っておくのも悪くない。シエラが街を遊んでて、というならバルテッサと共に回って分業した方が効率は良いと考えた
だが、実際回って見ると「平和で穏健」な街とは言えなかった。3国が争っている中央に位置するし不穏な場所でもある、その為、自治区の割り軍力が極めて大きい
森、山、湖、川があり、自然豊か、三方街道が交差して人の出入りも激しい、特に貿易商人は多い
南にも国はあるが、かなり離れており、南西地域には入っていない
それら事情を更に聞くと、どうもこの様な事情になっているのは今の領主に成ってから、らしい
地理的優位性から、街を広げ。他国が規制を敷く中、貿易と商売の自由化、自治軍の軍力を強化して、税を下げるながら収支を上げ、それをもって周囲自然の維持と拡大を図り更に豊かにしていった
そこから強化した軍備で隣国から金を取り傭兵に近い軍にしていき、派兵、用心棒等のような状況を作り「にらみ合い」の戦況を作りつつ更に儲ける
これにより周辺三国より強大で豊かな「自治区」を作り上げる、これを「二代目」領主と成って5年で作り上げた
「余計な事に巻き込まれても困る」と言いつつ
この人物にまず、バルテッサが興味を持ったのである
街の軍事施設の視察で出てきた「領主」を群集に紛れて見たのである、もちろん「シエラ」がである
「人間だね、でも、フォルトナと似たような色々な光を放ってる、どっちかというと「赤」が強いかな」
「成る程」とバルテッサも頷いた
「領主」 ドロシー=ブランメル
年齢28歳の女性 茶の長い癖毛。背が高く、軽装鎧と剣を挿した剣士、というより戦士、美女という程ではないが整った精悍な面持ちである
「クラーストロム」とあだ名されるだけあって、一角の人物と思われる「シエラ」の眼での意見も尤もである
「大体分かった」とバルテッサも去ろうとしたが
この時は「向こう」から声を掛けられた
「珍しいな、こんな所に使い魔とは」そう言って近づいてきた
「相当な術士の様だな、お嬢ちゃんの使い魔かい?」
「いいや、本体は別の大陸に居る、体が不自由なんでね。コレを使って旅をしておる」
「ほほう‥」とドロシーの興味「も」誘ったようだ
背が高い、と言ったが、近くで見ると更に大きい。ガタイがいいのもあるが、180センチはある。思わず「大きい‥」とシエラが言った
「ハハハ、そうだろう、皆に言われるよ」
領主な割りひとつも偉そうでない
気のいいとっつきやすい人だ
「どうだ?うちに来るかい?茶くらいは出すよ」
そう言われ、素直に受けた。初対面で信用させてしまう、そういう物が確かにあった
「茶くらいは」だったが彼女の屋敷の応接間で「菓子」も出された、どちらもそんじょそこらの物ではない
「美味しい!」とシエラが皿に盛られた焼き菓子をガツガツ頬張った
「だろう?最近東から入ったモンだ」
「お主がこの街をここまでデカクしたそうだが」
「ああ、その副産物の一つだな」
「物の道理を弁えているようだな」
「ああ、周辺国の事かい?」
「それもある」
「いくら小競り合いがあるからって、商売は別さ、極端なんだよあいつら」
「ああも、規制があっては商人はやり難かろう」
「そういう事、まあ、工作員の類を警戒しての事なんだろうが‥」
「一応戦争中、という状況ではあるからな」
「分からなくは無いが、それで物の出入りまで滞っては貧乏になる。やりすぎは問題だろう」
「それも道理、人間はビビリ屋だ」
「転ばぬ先の杖のつもりなんだろうがな」
「で?そちらは?」と、問われ
そこでバルテッサは自分達の事情を明かした
「ほう、世界を旅して地図を」
「実際やっとるのは相方のもう一人だがな、ワシはつきあいだ」
「いいねぇ、夢のある話だ、何れ世界を旅する者が出た時役に立つ、か。気宇壮大な考えだ」
「物は言い様だな、変人の娯楽だろう」
「ハハハ、それでもいいじゃないか。衣食足りて出来る事だ」
「たしかに、お主の目指す所もそれか?」
「流石その様な使い魔を操る魔術師、ご明察の通りだ」
「豊かは生みの元でもあるからな」
「ああ、衣食足りてさ、それ以上の事を考えるのは、だから豊かにしたいのさ」
元々、この「ネビル」は周囲を王国に囲まれ。十字街道の傍にある、地形状本来生き難い場所だ。実際ドロシーが領主になるまでは隣国に従属しながら常に取り合いの街であった
戦も此処周囲である事も多く常に不安多く、不穏な土地でもあった、所謂事大主義で、その時力のある国に従属する事でしか生き残れなかった
3国がいがみ合う中
ドロシーは逆にそれを利用した
事大主義を見せかけながら少しづつ軍備を整え。いがみ合う3国の間で移動の規制を止め、積極的に貿易を行い。富を得て、実質的な力と精神的な力の両方を確立
「国」に劣らぬ軍備とソレを出す事によって
三すくみを四すくみにしてしまった
いつの間にか「ネビル」を支配したものが有利に成る、から「ネビル」を味方に着けたものが有利になる、状況を確立し
戦その物を止めさせてしまったのだ
類稀な戦略眼と知性と治世。微妙なコントロールを要する、難しい外交交渉、そして有事には武力を見せる事も必要であり、それを実現するだけの物が全て備わって居る事は容易に想像出来る
それだけに「彼女」が「ネビルのクラーストロム」清流と呼ばれるのである
「呆れた才能だな」
「偶々だ」
成功者大体そう言う、謙遜では無く、世の中は「実力や才能で成功する訳ではない」それを知っているからだ、だから皆「運が良かった」という
バルテッサにもそれは分かる「真の知識者」だから、もし、世の中が完全実力主義なら「成功者」は全て類稀な人物であろうし、日を追う毎に人々の日常は豊かになるハズであるが。実際はアベコベだ、上に行くほど卑劣な者は多いし、悪くする事の方が多い
その意味「ドロシー=ブランメル」はその才を発揮する立場を得た、運の良かった者と言える、だから「偶々」だと言う
「とは言え、あたしはそこまでの人間じゃないさ」
「と、言うと」
「英傑、なら周辺国も統合してより大きくしようとするだろう」
「ふむ、かも知れんが、そうでないとも言える」
「うん?」
「争いを起こさぬ様に、バランスを取る、それもそれ以上に難しい」
「そうかもな、実際それで戦ったとして全勝するとしても。死ぬのは兵だからな、私はそれをなるべくしたくない」
「そうだ、英傑とは、何も剣の王である事が全てではない、皆を率いて突き進む者は皆から「英雄」と呼ばれるかも知れんが、そこに流れた血、を軽視しているとも言える」
「耳の痛い話だな」
「かも知れん」
「今まではけん制のし合いで押さえてきたが、それも何時まで続くか正直分からないからな」
「確かにな、それは難しい事ではある」
二人の話が長すぎたのか、退屈だったのかお菓子をしこたま頬張ったシエラはお腹いっぱいになって椅子で寝息を立てていた
「すまぬな‥年寄りは話が長い‥」
「寝ちまったついでだ、泊まっていったらどうだ?」
そう言いつつドロシーはシエラに一枚掛けた。彼女に好感を持ったバルテッサも断らなかった。屋敷に部屋を貰い、そこに寝泊りする様になった
「バルテッサが気に入るとは珍しい」合流したフォルトナは開口一番そう言った
「今はあの立場、だが、国と時代が違えば大陸一地域を治めるに足る器量じゃ」
「じーさんがそこまで言うとはねぇ‥」
「とは言え「武」に関しては知らんがな」
「実際の剣武と戦術面か?」
「見てないからな」
「サーチでは分からんか?」
「大まか、に武力は分かるが‥大まかでしかない」
「そっか」
「まあ、比べる対象がそれ程おらんが、現代なら。なんと言ったかの‥うーん‥ベルフの女武者がおったろ?」
「ああ、エリザベートの事か?」
「それそれ、その辺りといい勝負はするんじゃないか?」
「それ十分凄いだろ‥」
「うーむ、届くか届かないという程度に下、という位置付けかの」
「世界は広いな‥」
「当たり前じゃ、名は轟かんが名士は居るもんじゃ」
「で?どうするんだ?」
「どうするとは?」
「惚れたのならここに残ってもいいぞ?お互い独身みたいだし」
「馬鹿かお主は‥」
その後、一行はドロシーの屋敷に留まった。地図の作成は順調であり10日でこの地域の大方を記録した
一方ドロシーは何時も忙しくしていた、あまり自分の屋敷には居ないのだが、僅かな時間を作ってはバルテッサ達と言葉を交わした
未熟で若い、僅かな寿命しか持たない人間、その中にあって、彼女は「真」を知る稀な人間だった
強引でも無く、否定的でも無く、力に寄る解決も望まず。常に、他者あっての自己である事を認識して、それに沿った生き方をしていた
バルテッサが褒める通り、余人を持って変えがたい人物であった、だが同時に、ある「不安」も彼にはあった
この「ネビル」の状況がその一つ。元々、彼女あっての「街」であるという事。如何に今の状況と成っても「不利な土地」であることには違いないという事である
実際、この頃のネビル周辺国は不穏だった
周辺3国は出入りの規制があり、それはフォルトナ達が当初門前払いを食らった事でも分かる。如何に戦の時勢とは言え、聊か極端過ぎるのである
もう一つはドロシーに僅かに焦り、があった事である普通の人は気が付かない、何時も明るく、豪快で気さくな人だったしかし、一言だけこう言った
「何故分からないのか‥」と
直ぐ取り繕い、いつもの彼女に戻ったがバルテッサは見逃さなかったそれが不安の種だった
何日かした後、北の国との外交交渉があった、ある意味いつもどおりの事であった
「我が国と組めば南西地は取れる」という誘いだ
そして何時も通りドロシーは
「かも知れないが、他の二国を敵に回して戦いでは被害が大きい。カケの要素になる、ここは私が周辺国と交渉を図り引き伸ばしより安定と強化を進める」
と返した、何時も通り、であった
「そうは言うが、それももう二年続いている、何時になれば動くのか?」
「3国のうちどこかと組む、として戦うは良いが、それが二国と組んで、勝つかどうか分からない、では自爆しかねない、今少し、我がネビルの軍備強化を待たれたい」
そうしてネビルに戻った。これがギリギリの綱渡りであった
ドロシーは無論、言ったとおり、軍備の強化は少しづつ図ってはいた。それが3国合わせた軍力の統制能力が超える所まで伸ばし
ネビルを他国から侵されない所まで来たら。三すくみから四すくみ、そこから一国強状態に持っていき。軍力、経済からネビルを3国から見て「欠かせない街」とする計画があった
云わば「ネビルを本星として3国を衛星とする」策を練った
。どちらがどちらを失っても困る状態にして更に。戦を食い止める狙いである
更に、それが達成された後の事も狙っていた。そこまで来れば、他の三国への援護派兵である
この地は他地域とも近く、外敵の脅威が有った。もし、それあれば、派兵して他の三国に恩を売る事も出来る、そうなれば更にネビルが大事になるのである
見事な計画であるし既に三竦みから四竦みにもした、そして既に経済力は一強まで来た、後は軍備であった。しかし、それは果たされる前に終わるのである
そしてバルテッサの不安は次第に形になる、まず、明確なものでは無かったが、シエラが夜中飛び起きて告げたのである
「予知夢」だ
「この街、戦争になる‥」
シエラの予知夢は自分に関連する事が中心で他の予知はそれ程無いし、内容も明確ではない、が、同時に「外れもしない」のである
そう聞かされれば不安が現実に成った、と思わざる得なかった
「どうする?バルテッサ?」
「何がどうするなんじゃ?」
「シエラの予知は外れんだろう?此処は戦火になるなら‥」
「残って戦う?か?」
「アレを失うのは嫌だろう?」
「そうなんだが‥」
フォルトナもバルテッサの心は分かった。じーさんが人を褒めるなんて滅多に無い、それだけドロシーはお気に入りなのだ、そして同時、それに関わるべきではないのも理解していた。だからこう言った
「私も個人的思いでフローリアを助けた、同じ事、彼女を拾い上げても別に構わないんじゃないか?」と
「そうだろうか‥」
「別に自分の思いを優先したって良いだろう、何なら周りを全部潰して王に成ってもいいんだぞ」
「馬鹿げた事を‥」
とだけ言って、じーさんは結局丸くなって寝てしまった
「あっそ」とだけ返してフォルトナも布団を被った。捨てセリフを投げつけて
「頑固爺」
「小生意気な小娘が」
だが、事の「起こり」は早かった、昼にはそれが始まった
「何?!東から出兵!?」 屋敷の広い玄関で飛び込んできた兵から報告を受け、声を挙げるドロシー。無論それが続く、一時間後には西、北からも報告があった
「何れもこちらへ向う様です、三軍が決戦という事ではなく‥」
「狙いは、此処か‥」
「宣戦布告もありません」
「おのれ‥」
「数は三軍五千づつです!」
この報告は絶望に近い、周辺3国は同時にほぼ8割の軍を出してきた。しかも三方同時、狙いは明らかに此処である
「全軍を集めろ!」
「ハハ!」
そう指示を出し、即座に軍会議を開くしかし、ドロシーは戦うのは最後だと考えていた。そしてバルテッサの危惧は当っていた
此処は十字街道の中央の街、四竦みにしたのは良いが、他3国が手を組んだ場合。包囲戦の展開になり圧倒的に不利になる
その為、ドロシーは3国相手にしても防げる展開を狙ったがその交渉で留めて置くのは「運」の要素が多い。そこに気が付いて、痺れを切らした場合、逆に相手からすれば美味しい相手にも見える事
まして、4国で尤も潤っている「街」である。故、こういう展開になるのは必然とも言えるのだ
街の中央にある軍宿舎で会議を開いたが、まず、こう言ったのだ
「戦うのは良い、圧倒的に不利な数差という訳ではないが、それを防いだとしてもかなりの被害が予想される。私はまず、皆を死なせるつもりも無い」
「だからまず、交渉の場を作る、死ぬのは少ないほうが良い無理と分かれば降伏も考える」という方針
「どういう意味ですか??」
「一戦もせず諦めるのですか?!」
そう兵士達から声が上がった、当然だろう。降伏前提の戦い等聞いた事が無い
「国であれば、それもいいだろう、が、ここは南西地で重要な場所。まして諸君は自治軍である、私は領民の被害少なければそれでいいと思っている」
「つまり譲るのですか?」
「そうだ、どこかの国の領地に成った所で滅びる訳では無い、皆の生活は続く、統治者が変わるだけだ」
「な?!それはつまり御身を犠牲にするつもりですか?!」
「そうとは限らん、私を殺しても大して意味は無い。寧ろ元の領民の反発を受ける可能性が高い」
「そんなのどこにも保障は無いでしょう!あれだけの軍を告知も布告も無しで出してきたんです!」
「可能性の問題だ、それに一万五千 対 八千だ。仮に戦うとして、防衛戦を展開する事に成る。となれば街に被害が出る、民にもだ、ならば、私一人の事で済むならそれが尤も被害が少ない」
「し、しかし‥」
「仰る意味は分かりますが‥」
そう、言われて、民の犠牲少ないならそれが最善であると。言われては返す言葉も無かった。しかし、一人の兵は言った
「自分はこの街の為に領主様の為に志願したんです!どちらも捨てる事は出来ません!」
「そうだ!此処を攻める、というなら我々は守る、その為の軍でしょう!」
そう返ってきたのであるそして
「どこまでもお供します!」と満場一致で「戦う」決断をした、となれば、ドロシーにも止める言葉は無いのである
ある意味愚かな一同の決断だ、だが、人間らしいとも言える、彼女一人の命で済むなら安いものだ、数の上では
「分かった‥では、戦おう」そう彼女も決めたのである。決断したからには、やらなければならない
が、数は兎も角、状況は更に不利とも言える北、西、東からの同時侵攻である。明らかに包囲展開であり、それに対するには街に篭城戦しかない
そこでまず、街の防衛兵千に領民への避難を行わせる領民の殆どは民であって兵ではない、軍が戦って死ぬのは仕方ないとして非戦闘員まで死なせては「後」も無いのである
ドロシーは一度だけ、屋敷に戻った無論「彼ら」に会う為である
「事情は聞いたと思う、フォルトナ殿らは早く街を出た方がいいここも戦場になる」
バルテッサは言いたかったろう「お前が望むなら」と
が、それが馬鹿げた事なのも理解していた、だから黙ってうなづいた、だが代わりにフォルトナが言った
「私たち、強いわよ?雇わない?」と
無論返答はNOである
「あなた達はこの土地の人間じゃない、まして大陸の人ですらない、巻き込まれて命を張る理由もなかろう」
ドロシーは一行を去らせた後「勝つ」用意を進めた、というより、あまり手が無い、戦うと決断した時点で
まず、北と東から侵攻してくる敵軍に使者を送る
「外交交渉をしたい、こちらは街を譲る用意がある」とした書状を送った
そして残り自軍7千を自ら率いて西街道を進軍する
北、東、西から包囲戦と言っても同時に来る訳ではない、街道から国と街の間で距離もある
北と東からの距離は同じくらいだが、西は近い、そこで尤も近い距離に居る敵西軍に逆攻勢を掛けたのだ
理にかなった策である
敵は五千づつ別方向から来るのだから、出せる最大兵力を持って当り各個撃破を繰り返せばいい、五千対七千で3度当る事になり勝率は高いのである
敵から見ればだが、相手はネビル、総軍八千であり、こちらは一万五千、間違いなく包囲戦であり、街の取り合いになるだろうと予測していたし、数でも展開でも有利と踏んでいた西軍は、この逆侵攻に虚を突かれた
ドロシー指揮のネビル軍は最速で進み、二日後に到達した敵西軍に、全力突撃を敢行し、最初の一撃で敵を大混乱に陥れた
自身も前線で剣を振るい、彼女の武力もあって、正規軍である国家の軍を半日で2000も戦闘不能にし撤退させたのだ
が、追撃等掛けない、ドロシーはそのまま取って返し、軍をネビルへ全力後退、即時北へ進んで北軍にも当った
何事かと思った北軍も混乱したが、そうなると迎撃せざる得ない。双軍で打ち合いになるが、ドロシーは最前線で戦った
無論武力を活かす意味もあるが、それ以上に混乱から立ち直る前に、叩かなくてはいけないからだ
最前線指揮と戦闘で半日で北軍も一千削る、しかも自軍の被害は極小である
敵が引いたのに合わせて押さずに撤退そのままネビルに篭城となった
西、北の状況を知った東国軍の将は激怒した
街を譲る用意がある、と言いつつのこの反撃奇襲である、当然ではあるが、見当違いでもある
即、ネビルへの進軍を急いだが、この時点で既に北、西の戦闘は終わっていた
無論打った策はこれで終わりで無い、東から侵攻して、ネビルの街へ攻撃を掛けようとした東軍にも北から回った。ドロシーの軍は東軍へ街道を外れて右側面への攻撃を掛けた
そこから正面のネビルから残した防衛軍も出撃して挟み撃ちの展開となる、街に篭城したと情報を受けた東軍はこの展開に慌てふためく
何らかの策があるのでは?と警戒もしてはいたが、まさかの策であった
数の上でも五千対七千五百に成っており、劣勢挟撃戦な上、街に居ると思ったドロシーの主軍に横を襲われる、完全にやられたのである
しかし、東軍は防衛しながらそのまま後退戦を行う、これで一つ、ドロシーの狙いがズレた
怒りに任せて反撃をしてくれれば良かったが、敵もそこまで馬鹿ではなかった。
戦力の維持と建て直しを図って後退したため押し切れなかった
ここで圧倒的な優位を築き、東軍を徹底して撃滅するつもりだったが向こうがそれに付き合わなかった点が一つ
もう一つが
連戦に寄る味方の行動力の低下、既に始まってから
西への移動、反撃で往復3日
北への移動、反撃で往復3日
そこから軍を返して足止めした東軍への側面攻撃で更に2日である
連戦連勝であり、士気は高いが疲労の極みで味方の動きが極端に鈍かったのである
早い話「味方の行動限界を見誤った」
「味方が付いて来れない策を弄してしまった」のである
それでも圧倒的な優位を作り続け、東軍を撃滅して全体兵力で上回る事を考えていたが東軍との戦果は千削ったものの、致命的打撃に至らなかったのである
しかも後退する敵を追撃すると、街から離れすぎる。西と北から再編した敵が先に街へ侵攻を始める、その理由あって追撃を停止して戻らざる得なかった
味方は「流石ドロシー様だ!」と勝利に歓喜の声を挙げたが
逆にドロシーは「これは詰んだか?」と思っていた
策はほぼ嵌ったが、肝心な狙いでもある「篭城前に戦力差を逆転させる」これが失敗したのである
この時点でネビル側 7500 3国連合 10800である
撤退して篭城したネビル軍も、これ以上動かせず、そのまま次まで休息、再編した
士気は兎も角、疲弊を取り戻さなくては成らない。しかし、彼女自身「詰んだ」と思った通りでもあった
五日後両軍再編して再侵攻
ネビルでの篭城戦となる
本来、城攻めなら、攻め側はそれなりに多い兵を持ってあたらなければ落とせないが、ここは「街」である
城壁がある訳でもなく、反撃の石や射撃武器が備えられている訳ではない、壁も低く、門も貧弱だ、故、防衛だから防げる、という訳ではない
その上、狙い通りの結果無く、戦力差は縮まったが相手のが数が多く、しかも3方からの攻めである
そしてもう打つ手が幾つも無い、あっても使えない物ばかりだった
一つに焦土作戦街を焼いて敵ごと焼く
もう一つは、街の施設を使っての引込み戦
所謂、家や店、など使って盾に利用し敵を街に入れ、そこでゲリラ戦をするしかないのである
無論その判断は無い
自分の物では無く領民の物だからだ
そこで彼女は半日の防衛の後、軍を集結、唯一道の有る南へ全軍出撃、というより撤退であるが、その撤退軍の指揮は執らなかった、街にそのまま残ったのである
そして1000の兵士は志願して彼女についた
「失われる命は少ないほうがいいだろうに‥」と思ったが
彼らは無言のまま、動かなかった、つまり命運を共にするという事だ
味方が大方撤退した後、自ら残った兵と共に出撃して反撃、最後の大立ち回りをやった
街に侵入する敵兵を叩きのめし、切り捲り、殺到する敵を引かせる程の戦果を上げた、だが、そんな事はどうでも良かった
ただ、ひたすら、なにも考えず突き進んだ
気がついた時には、彼女は一人だった、周りは敵しか居らず味方も全員玉砕だった
一人残った彼女は立ち止まった所で、無数の矢を受けた、膝から崩れ落ち前から倒れる
左手で地面を押さえ、うつぶせに成るのは止めた
が、それ以上は動けなかった
「やれやれ、結局こうなる」そう声が掛かり、何も無い空間画歪み、そこから白い虎が姿を現した
「助けてやればいいのに‥」と続いてフォルトナも姿を現した
周りを囲んだ兵も硬直した
余りの現実はずれした光景に声も出なかった
しかしフォルトナらはそれが見えていないかの様に、地面に蹲るドロシーを抱えて光を放ったかと思えば次の瞬間にはもう居なかった
次に居た場所はどこかの草原だった
そう遠くない場所だろうか
二人が話す声だけがドロシーには聞こえたもう、目もよく見えなかった
声でフォルトナとバルテッサだと分かった
「無理ね治癒魔法も追いつかない、それに血を出しすぎた、失った物は戻らないからね」
「そうか‥」
フォルトナは神聖術を掛けたが、もうそれでもダメだった。失った血肉を戻す事は出来ない「今の神聖術」はそういう物だ
ドロシーを治すにはそれこそ、嘗てあった奇跡「神術」が必要である
だが、バルテッサは失われようとしている命を前に、最後に問うた
「このまま死んでいいのか?それがお主の望みだったか?」
そんな訳は無い、が、もう助かる事はない
「良くは無い、が‥もう仕方ない」ドロシーは、そう返した
「そうではない、まだ「手」はある、一緒に来るか?」
改めてまた返した
それに縋ったのだろうか?
そうでないのだろうか?
もう精根尽き果てたドロシーには分からなかった
それでも、一つだけ頭に浮かんだ
「何を言ってるのか‥分からないが‥来いというなら行こう‥もう、何も残っていないんだ」
「分かった」とだけバルテッサは言った
次の瞬間仰向けのドロシーの顔に何かが大量に浴びせかけられた。それが何秒か続いた後、彼女の眼は開かれた
「ああ‥」
バルテッサは自分の左前足に自分の牙を突き立て、流血させ、そこから流れ出す血を彼女に落としたのだ
「何をしている‥」
「本来のやり方ではないが緊急だ許せ、不快だろうが飲め」
意味不明だったがそれに従った、次第に意識がハッキリしてくる、そしてもう余り見えなかった目もハッキリしてくる
「!?」
ついでに力の無かった声まで驚いて上げられる程力が戻る、そのつもりも無かったが声を挙げたと同時に上半身も起きてしまった
「え??なんで?!何が?」もうそれしか言えなかった。明らかに死にはぐった状態から回復しているのだ
そして彼は、10メートル程下がった後「変化」を解いた、光に包まれた後、虎は竜に変わった、くすんだ白の巨大な竜に
ぽかんとするドロシーにバルバロッサは鼻先で彼女の額にキスする様に軽く触れ、離した後宣誓した
「ドロシー=ブランメルをバルバロッサの竜騎士に任ずる」と、それでようやく、ドロシーにも意味が全て分かった
竜の血はあらゆる病も傷も癒す
竜騎士の契約は命の契約である事、ソレを成す事で、死ぬはずだった自分を助けた事、全てを
竜は虎に戻って「やれやれ」と首をゴキゴキしていた
「正気か?!私を竜騎士にだと‥!」
「ほう、意味を知っておるか」
「い、いや、伝記や神話の話だが‥竜と生涯の相方とし共に対等な立場で戦う、夫婦の様な、者でもあると」
「勉強不足だな、寿命は延びるあら、ゆる病や呪いへの耐性を得る、力の分け与え、だな」
「い、いいのか?‥勇者でも英雄でも無い私が竜騎士等‥」
「十分見たさ、その上でお主は「勇者」というに相応しい同情や施しで助けた訳ではない」「そうだろうか‥」
「ま、私から見ても、そうよねぇ」
「うむ、力、知恵、勇気、精神、どれを取ってもその資格はある」
「あああああ、何でこんな事に‥」
「やれやれ、契約したのをこう嫌そうにされるとはの‥」
「そ、そうではないが‥自分如きが‥としか思えん‥」
「別に構わんさ、その資格は十分。そもそも死ぬまでなら何度でも出来る事だ」
「そ、そうなのか?!」
「無論、一度に何人も、は無理だが、前の契約が切れれば、次を取るもの問題ない」
「そうだったのか」
「が、それなりに名誉な事なんじゃがの。ワシの二人目の竜騎士じゃ、めったに取らんのじゃぞ?」
「へー、一人目は誰なのバルテッサ」
「大分昔の話じゃ、知らんと思うがなぁ‥ローレライ=バンケット=エーレンベルグとか言う小娘じゃが?」
「確かにしらないなぁ‥」
が、ドロシーは聞き覚えがあった様だ
「おとぎ話で読んた様な‥」
「ふむ、どっかに伝承はのこっとるだろうな、ま、レアな話だから子供に聞かせたりせんがな」
「へー」
とフォルトナは流したが、ドロシーは固まっていた、というより言葉も出なかったのだ
神に喧嘩を売って神界にまで乗り込んで幾多の神を叩き伏せた竜騎士であり、他に類の無い異端の中の異端勇者である
「おとぎ話」としては余りに子供向けで無い話である為
口伝では伝えられず、知る者は少ないが、奇抜な話として知っている人間は現代にも少ないが居る
特に「女神アデリスの大陸」でもある「ココ」では一部図書館にも残っている。無論言うまでも無く「武侠伝記」であり
(まさかそんな者の相方に契約されるとは‥)
驚きと困惑でしかないのであった
「し、しかし自分は、これから如何すれば良いのだ??バルテッサと共に戦うのか?!」
「どうでもいい、好きにしろ」
「は?!」
「ワシはもう長すぎる程生きた。今更何かをしようという気概もない、別々に生きても一向に構わん、お前の判断を尊重する。この大陸を支配するならしろ、全部滅ぼしてやる、ローレライの様に神に喧嘩を売ってもいい」
「んな無茶な‥」
「ま、それは冗談だ、が、一つだけ言えば、竜騎士だから、竜と共に生きる、というのは誤解だ。ワシはお前が気に入ったから死なせたく無かっただけ。お前は命を拾った、だからどう生きても構わん、それだけだ」
「そっか‥だが、旅は続けるのだろう?」
「そのつもりだ」
「なら、私も行こう、共に歩むのも竜騎士の役目だろう」
「お堅い奴じゃな、ローレライなんぞワシを掴んで引っ張って行ったがな」
「どういう勇者なんだ‥」
「ただの馬鹿だな」
だが、勿論、気がかりもある
「街はどうなるのだろう」と呟いた通りの事である
「なら幾日が様子を見ていこう、別に急ぐ旅ではない」
そうバルテッサは返し、一時南西地に留まった
ネビルは結局、一時東国軍に統治を受けたが、それは五日と続かなかった
北、西、東、でネビルの処遇を巡って争いに成った為である、再び不穏な空気の不安定な情勢のまま「自治区」に戻ったのである
特に領民から搾取が行われる事も無く、暴行や虐殺があった訳でもなかった
「あたしがやった事は何だったんだろうな‥」
「一時の平和、を作った、そういう事だろう‥少なくともお主の統治した5年は平和は続いた、それは領民には良かっただろう、街は大きく豊かになった、それも続くだろう」
「やりきれないな」
「腹が立つならそれそこ、周辺国も潰して改めて王にでも成ればいいさ、その力も手段もある」
「あたしのじゃなくて、バルテッサ、のだろう?」
「が、竜騎士は竜に命令してもいい、契約はそういう物だ」
「いいや、止めておこう、不毛だ」
「だろうな」
「それに‥こうなっては戻る訳にもいかないし」
「だろうな」
「まあ、いいさ、せっかく新しい人生を貰ったんだ、それを行くとしよう」
「なら、行くか?」
「ああ」
こうして一行に新たな仲間が加わったのであった
「戻る訳にもいかない」理由の一つ、ドロシーを持ち去られた状況にある
白い虎と黒い剣士が光の中から現れ、戦場のど真ん中から一人残った彼女を連れて消えたのだ
これで一時「ドロシー=ブランメルは神界に召し上げられた」と噂になって「逸話」として残った事
もう一つに
この乱の中とりあえず領主に当てられた者が直ぐに就任して後の治世を行い、形も決まった事、そこへドロシーが戻っても混乱でしかない
更にもう一つはジェイドと同じ様な状況にある、そもそも年を取らないのである。そしてバルテッサの騎士である事も秘密な方が良いという事。また、竜狩の様な事になっても困る為、配慮した事である
だから共に旅に加わる、というのは妥当な判断でもある。そもそも他所の大陸に移ってしまえば、誰も知らないし噂もそう何時までも残る訳では無いのだ
かなり後の話だが
結局、3国は乱を続け、国は疲弊した、そこを他地域から攻められ、3国共に滅亡する事になる、しかしどこの領土でも無い「自治区ネビル」は生き残った
高い経済力と人口、軍力がありどこかに攻める訳ではない、支配した所で統制が大変であり「自治区は自治区」として置かれた為である
「ドロシーがやった事」は数年後に成っても活きたのであった
有る意味、3国の命運は「ドロシー=ブランメル」を切り捨てた所で既に尽きていた
バルテッサも評した通り「勇者」「英傑」と言っていい人物である
そしてドロシーの衛星計画も見事であり
それが達成されていれば、外敵の脅威も押さえられた
打った戦略も、3国を相手に展開した時間差各個撃破作戦も見事であり、戦場の戦術も素晴らしかった、そして最後の篭城反撃戦もそこで示した武力も
もし、彼女を尊重し、侵さなければ南西地域の状況は違った物になっただろう
この地域で最も優れた名士を自ら捨てたのである、それで勝てる訳が無い
一番優れた武器と盾を捨てて勝てというのがそもそも馬鹿らしい、宝剣があるのにそれを捨てて、ペーパーナイフで戦う様な物だ、ある意味当然の結果でもあった
現在、過去でもそれは多い、人間は「自分より優れた者の足を引っ張り、下の者を見下す」だから名士が名士として活躍出来ない事も多々あり、多くの「優」が埋もれたまま終わる
それが自分達の国、生活を結果的に悪くしている事すら気がつかない、それもまた「人」である。そしてこの南西地の「結果」を招いただけである
一方でバルテッサは色々な意味で嬉しかった、もう取ることは無いと思っていた「竜騎士」をこの晩年になって得た事
もう知ることも悲しむ事も笑う事も、驚く事も無いだろうと思っていた、そういう感情すら希薄になるほど生きすぎた人生である
それが、マリーを拾ってから「そうでないという事を知った事」
この一件でドロシーを失いかけた時、確かに悲しさ虚しさがあった。そして、それを留め、彼女を救った時「良かった」と思えた
「ああ、自分にもまだ、こんな「心」があったのか」
それが堪らなく嬉しかったのである
「しかしなんだな、使い魔じゃなかったんだな」
「まさか「竜です」と言って歩く訳にもいくまい?そもそも人間の姿に変化すると、ほんとに凄まじい「爺」だからな」
「一体何歳なんだか‥」
「さぁのう、途中から数えておらんが、二千は超えとるじゃろ」
ただ、ドロシーはドロシーとしての「名前」を捨てた。もうそうでは無いし、彼女の名前も有名で残っているからだ。ネビルのクラーストロム、清流と呼ばれた事から
そのまま似た系列の意味合いから「河川」というファーストネームにした以降、一同の旅では、リーベルスと名乗ったのである
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