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のじゃ子の恩返し(たぶん
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オレの名前は「風間悠斗」父親は技術者でそこそこ偉い。転勤が多く間隔も非常に短く、1~3年の間でアチコチ移動してる、父子家庭で物心付く前から母親は居ない、というかあんま覚えてない
一人っ子長男で当然小さいころから全国移動してたが、それ自体別にどうって事はない、仕事で旅行くらいの感覚で慌しくはあるんだろうが別に不満は無かった
寧ろ楽しんでたくらいだ、その意味では俺は図太い子供だったんだろう
人生数回の転勤で、最後に住む事になったのが幸い関東の大都市、要するに都内だが、中学から高校に進み丁度2年に上がる直前の所で、ごく普通‥でもない人生の大転機に遭遇する事になる
また転勤、だったのだが流石に拒否した、だって海外しかもインドとか言ってるし。
そこは親父も「そうだよなぁ」と言って納得し、単身赴任でいいわという事になった、問題はオレが一人で日本で生活て訳にも行かない事だろう十六だったし
そこで親父は田舎の祖父に預けようと考えたがこれもオレは拒否した
じーさんは金持ち、昔からの地元豪族て奴で資産家、祖父母に預けるのが妥当だが残念ながらもの凄い田舎だ、それじゃ転勤に付き添うのとあんまり変わらないし折角見つけたバイトもまた辞めなきゃならない
じーさん、ばーちゃんも
「まあ、そうだよね」
と一応納得してくれて、せめて学生生活、高校からその後までどこか面倒見てくれるか住まわせてくれる人を探した、俺は一人暮らしでもあんま困らないが、家族全員「ダメ」て言われたらしょうがない
そういう事情あって、じーさんは顔は広い。親戚から知り合いまで「孫を卒業まで預かってくれる所は無いか?」と、凄い広範囲で探した
そうして最終的に引越しせずに済んだ、住まわせてくれる家族が見つかる、それが「風早(かざはや」家である
一応、ものすごーく遠い親戚らしいのだが説明を受けてもさっぱりわからんくらいだ、兎に角そういう事情で受け入れてもらった
そうなったのも様々な事情がある、一つに、オレが通ってる高校の同級生の家である
オレが中学でこっちに転校してきた時からの悪友の一人の家で「彼女」は風早渚、長女。コイツが事情を知って「ウチ来る?」とか軽く言った
二つに、風早家は母子家庭という奴で女ばかり、壱の事情あってある程度オレの事も相手の保護者も知ってる、何度かお邪魔したことがあるし全く知らない他所の子、という印象が薄い事、男の子が一人居てくれるといいかも?というのがあった
三つに、あんま綺麗な話しじゃないが、二の事情あって風早家は経済的にキツイというのもある、要は「孫、悠斗の面倒見てくれたらそれなりの援助をする」というのがあったからだ。風早家はオレの家庭と逆でダンナが早世している。
中々のエリートだったのだが若くして過労死
保険、会社からの支援賠償等結構貰ったのだがそれから十年近い
貯蓄を崩して頑張ってきたが、それだけだと生活が苦しくなりつつあった、まして風早家は母、娘二人で渚と、中学生の妹の三人、稼ぎ手が居ないのもある
そんなこんなんで、オレは比較的緊張感も他人感も薄いままこの家に下宿するような形になった、それはそれで良かったと思う
ママさん、風早家の母、夏子さんは若くて可愛くて優しい。そういう母性的な家庭を体験するのも始めだし、親父と一緒の頃は大抵自分の事は自分でやってたし別に厳しい親父な訳でもなく、あんまり帰って来ないし会わなかったから家事は自分でやっただけだ
渚とは三年近い友達だし、昔から知ってるし、ホントに男友達ぽく、相手もコッチも気を使わない楽な相手だ。
妹の歩はオレがこの家に住む様になってから仲良くなった、父親も兄もいないから、そういうのが嬉しかったんだろう
「お兄ちゃん」とか呼んでくれるし、ヤバイくらい美少女なのでオレも嬉しい
そうして暫く「ああ、こんな家庭もいいなぁ」とか思いながら、オレも学業とバイトにせいを出してちゃんと家に金も入れた、平凡ながら凡庸な幸せを甘受してた
オレの他人から見た評価はちょっと問題のある人ではある。誤解も過分に含まれるが、人の評価はそんなもんだ
背が高くて(高二で百八十近い)顔、外見は中の上で少し大人顔、あんまり授業を真剣に受けてるふうはないが成績は何時もそこそこで、何時もスマホ弄ってる。
寡黙でぶっきらぼうで、トークが少ないので、これら相まって、ちょっと怖そうな感じで友達は多くは無い 学業より、バイトしてるか寝てるかスマホみたいな感じ。
スマホでは主にギャルゲの普通のオタクと一般人の(自称)ギリギリ中間だ
決定的だったのが高校入って直ぐの事件のお陰だ、勿論、これも大いなる誤解
入学早々、1コ上の上級生のヤンキー集団に悪友の一人と一緒に居た時絡まれた、見た目の問題だろう「デカクて生意気そうな」とか思われたらしい
オレはどうでもいいわ、とか思ってたのでさっさと謝ってしまおうと
「あ、すいません」とかその場で腰を下げて頭を下げようとしたのだが、相手の馬鹿が両手でオレの襟首を掴んで引き寄せようとしたのと同時だった為、鼻面に「偶然」チョーパン、頭突きがクリティカルヒットした、ソイツが一団のボスだったらしく相手は鼻骨骨折して大量出血で病院送りになっただけだ
勿論、それだけじゃないそこからはオレの悪友の「浦上孝」のせい、奴もオタクだがデカイ、しかも格闘技オタクだ、筋トレマニアで肉体スペックがおかしい。
周りの取り巻きが「テメー!」とか掴みかかって来た所を、孝が右の奴に豪腕ラリアットを食らわせて一回転させて、左側の奴に、腹にソバット入れて昏倒させた
「ごめん、反射的に反撃してもうた」とか言ったが、やられた二人もそのまま病院送りになっただけだ、そんで、先生らも集まってとっつかまった
事情が事情なので辛うじて俺らは被害者だと認められてどうにか停学とかは免れたが、この一件あって。「キレたら怖い浦上と風間」という語り草、伝説になってしまった
勿論「事故です」と言っても誤解が解ける訳じゃないし、しょうがないだろう、3人病院送りなのか変わらない事実だし。
だから同級生含め、親しい人以外は皆距離置く構造が出来上がった、誤解と一度付いた印象はそう変わらないしそんなもんだ、別に不自由はないが
人生の転機てのはこれらのオレの生活が変わった前後の話ではない、二年に上がって相変わらず風早の家の為にバイトにせいをだして暫くした頃だ、丁度夏明けくらいだろう
学校終って、スーパーの品だしバイトに向う前にちょっと時間が余った
そこで中途にある自然公園のベンチで横になって、少ない楽しみの一つであるギャルゲで自キャラ育てをしてた、丁度十六時くらいで、広い場所なのであんま人居なくて良かったのだが、横になってピコピコやってた所を、犬と子供が凄い勢いで駆け抜けて行った
「ギャー!何じゃコイツはー!」
とかちっちゃい子が逃げて、犬が追っかけていく。
ガキにはよくある事だ、犬は喜んでるのだが子供にはそうは感じない、だから逃げるが犬は余計喜んで追っかけてくるという間抜けなよくある光景である
五月蝿かったのもあるんだが、このまま追い掛け回されても可哀相もあって、オレは起きて荷物から弁当の残りを蓋開けて少し離れて置く、犬を呼んで追いかけるのを止めさせた
そんなデカイ犬でもないし、野良には違い無いが可愛いもんだ、犬コロは弁当にダッシュしてガシガシ食った、そんで追い回されていた子供もこっち来た
「喜んでるだけだ、ヘタに逃げ回ると遊んで貰ってると勘違いするぞ」
「怖いのには変わらんのじゃ!」とか言ったが、まあそれはしょうがない
追っかけ回されてた子は「ちっちゃい子」と言った通り、見た目は小学校低学年だろう、着物に近い格好の変な「のじゃ」子、多分女の子
「お前名前は?」
「!?」
と一瞬を驚いてたが名乗った
「鳳木院 伊万里 棗じゃ」
なんか偉そうな名前だな。
まあ出で立ちからしても言葉使いからしてもいいところのお嬢ちゃんなんだろう、とか思った
暫く犬を構ってやって、公園を出て街に出るが何かガキが付いて来る、なんだか知らないが懐かれたのだろうか、その内、幾つか店の前を通り過ぎて「おい、アレが食いたい!」とか言い出した
「腹減ったのか?」
「おう!」
とか言ったので、そのままファミレス入って適当に選ばせて食わせた
「オレなんでこんな事してるんだろう」感はあったのだが、何故かコイツは面白い、無礼だが不愉快さがない
ガキが食う量もたかが知れてるし、オレも結構金はあるし、時間も余ってたので奢ってやった、チョコパフェ食って恍惚の表情で頬張って喜んでたのでまあいいだろう、子供が喜ぶのを見るのは嫌いじゃない
「お前保護者は?もう直ぐ日が暮れるぞ?」
「何時帰ってもワシの自由じゃ」
「ふーん、ユルユルな家だなぁ」
「お前いい奴だな!」
「暇だったからついでだ」
「そうか、コレ美味いの」
「もの凄い会話が噛み合ってないぞ‥」
「そうかの?」
「‥」
「それなんだ?」
「んー?ゲームだ」
「ワシにも見せよ」
とか興味が移ったらしいので、テキトーに渡して注意を入れる
「あんま弄るなよ、今、キャラ育成してんだから」
「ほーん、チッコイのがちょろちょろしとるな、なんじゃいこれw」
「おう擬似恋愛ゲームだな。自分のアバターの行動で育成したり、意中のキャラと接触させたり、それで相互のパラメーターを影響させあって女の子と仲を深めていくというだな」
と説明を始めたのだが、早々に飽きたらしい、幼女はスマホ返して、またデザート食った、30分くらいくだらない遣り取りをした後店を出て、オレと彼女は逆方向に帰った、去り際に
「美味かった、また何か食わせろ」
とか言ったが、早々会うもんでもないだろう
「ああ、そうだな」
「お前はいい奴じゃ、きっと良い事あるぞい」
「ああそう‥、まあいいや、オレバイトだからまたな」
テキトーに流して仕事に向った。六百円ちょいくらいのチョコパフェで暇つぶしになったし、それなりに可愛い子と喋って、面白かったのだからまあいい。
それにああいうなれなれしい一見の他人と喋ったのも久々だ、何しろ高校デビュー事件あって皆オレには一歩引いてる、そういう「警戒心」みたいなのを見せられながらこっちも気を許して話せる訳が無い、だからガキとの交流は何か新鮮だったのだろう
そう、転機はこの子供との出会いからだった、勿論、それが起きて認識したのはまだ後の事であるが。
バイトがやたら忙しくて「残業して?」て言われて伸び、帰ってダルダルのまま軽く風呂入って寝たのが零時近かった。
それだから学校の授業はボンヤリしてる事が多い、別にいい加減に授業を受けてる訳でもないが自然、そうなってしまうからだ、勿論きつくない日はちゃんと受けてる
バイトに残業させるなよ、と言わざるを得ないがオレも望んでやってる、中々務め先も上手いもんで、余分にやって、と御願いしたときは多めに残業代くれる、余計な事訴えるなよ?という、口止めもあるのかもしれないが
オレはそこまで真面目に授業受けてないわり成績がそこそこだ、自分で言うのもアレだが地頭と要領がいい、基本無口なのもあってあんま不満も言わないし、どうでもいいと思ってるので、相手からすれば使い易いのだろう。
ドライだけど、自分の得に成る事は拒否しないし、文句も言わない
のじゃ子と会ってスマホチェックする暇も無かったが、翌日のバイトは悠々終わらせ。
二十二時には家に戻った、さっそくアプリ起動するが、そこで「変化」を実際眼にした
「え?あれ?」
「何だコレ、アップデートでもあったか??」と続けてチェックするが
ありえない量のDLがもう終ってた
「ちょおおおお!?容量なんだこれ!?」と心の中で叫んだ
そして恋愛ゲームアプリ起動したが一応無事らしいのだが、何だかもの凄くゲームが変わってた、アップデート告知なんか無い、ゲームは元のデザインとそんな変わってないのだが自分の擬似アバターが変わってた「名前」が
元々キャラゲーなので適当に「ユウ」とかにしてたのだが、オレアバターが「風間悠斗」にまんま変わってたのである、三頭身チビキャラなのはそんな変わらんけど
恐る恐る、ステータスチェックした途端ぶっ飛んだ、何がぶっとびかというと、まずプロフィールの詳細、項目の多さ、身長体重は元よりこれまでの経歴住居住所やら電話番号、携帯、手持ちの金とかありとあらゆる項目が馬鹿みたいに増えてた「自分」しか知らない事まで全部
流石に此処まで来ると仮想ゲームの話し、では無くなったがそこまで狼狽もしない、これがオレの良い所でもある
「何が起きたか謎だが起動はしてるし、ゲームも元の内容をベースにしてる、けど、中身はまるで別物だ、とりあえずオレ以外のキャラはどうなってんだ?」
とマップ呼び出す。
これも元々の仕様で、主人公=オレの周り、生活圏をクリックすると「今」自宅表示されて、家の其々の「人=周囲のキャラ」もデフォルメの可愛いアイコン表示される
そう、ちゃんと母、夏さん。長女、渚。次女、歩ちゃんが、家の其々の場所に表示されたのである
「これって‥このアプリの中とリアルが合体したのか??」
「皆の情報も表示されるのか?」
そうしてとりあえず一階、台所の夏さんを拡大詳細する。
オレアバターの横に並ぶ様にドラックドロップ、彼女のチビキャラが来て、大まかなプロフ、能力が全部数値並び、グラフバーでハッキリ確認された
流石に「マジでええええええ!」と口に出た
勿論、事実か?と云われれば確認、事実の刷り合わせも必要だが、とりあえずだ。そして大まかプロフが以下
風早夏子、三十五歳
身長百六十㎝、体重四十八K
B90W58H88 etc‥まで全部見れる
こうなると面白くて仕方無い、正直、気が引ける部分もあるのだが、大まかな経歴も読んだ
「成程、夏さんは在学中に妊娠して結婚ダンナさんとはかなり長い訳か‥んで、生涯男性経験は一人、ダンナさんは二十代後半に倒れて、一人で二人子育て、今に至る‥苦労したんだなぁ」
ここまではオレが知ってる経歴と同じである
となれば、これは事実、現実だろうとある程度認定していい
一応、古典的だが、自分の腕を抓ったが痛い、夢でも無さそうだ。
原因は不明だが、俺以外スマホ触ったのはあの「のじゃ子」だけ、確認は出来ないがアイツのせいなのかもしれない
一人っ子長男で当然小さいころから全国移動してたが、それ自体別にどうって事はない、仕事で旅行くらいの感覚で慌しくはあるんだろうが別に不満は無かった
寧ろ楽しんでたくらいだ、その意味では俺は図太い子供だったんだろう
人生数回の転勤で、最後に住む事になったのが幸い関東の大都市、要するに都内だが、中学から高校に進み丁度2年に上がる直前の所で、ごく普通‥でもない人生の大転機に遭遇する事になる
また転勤、だったのだが流石に拒否した、だって海外しかもインドとか言ってるし。
そこは親父も「そうだよなぁ」と言って納得し、単身赴任でいいわという事になった、問題はオレが一人で日本で生活て訳にも行かない事だろう十六だったし
そこで親父は田舎の祖父に預けようと考えたがこれもオレは拒否した
じーさんは金持ち、昔からの地元豪族て奴で資産家、祖父母に預けるのが妥当だが残念ながらもの凄い田舎だ、それじゃ転勤に付き添うのとあんまり変わらないし折角見つけたバイトもまた辞めなきゃならない
じーさん、ばーちゃんも
「まあ、そうだよね」
と一応納得してくれて、せめて学生生活、高校からその後までどこか面倒見てくれるか住まわせてくれる人を探した、俺は一人暮らしでもあんま困らないが、家族全員「ダメ」て言われたらしょうがない
そういう事情あって、じーさんは顔は広い。親戚から知り合いまで「孫を卒業まで預かってくれる所は無いか?」と、凄い広範囲で探した
そうして最終的に引越しせずに済んだ、住まわせてくれる家族が見つかる、それが「風早(かざはや」家である
一応、ものすごーく遠い親戚らしいのだが説明を受けてもさっぱりわからんくらいだ、兎に角そういう事情で受け入れてもらった
そうなったのも様々な事情がある、一つに、オレが通ってる高校の同級生の家である
オレが中学でこっちに転校してきた時からの悪友の一人の家で「彼女」は風早渚、長女。コイツが事情を知って「ウチ来る?」とか軽く言った
二つに、風早家は母子家庭という奴で女ばかり、壱の事情あってある程度オレの事も相手の保護者も知ってる、何度かお邪魔したことがあるし全く知らない他所の子、という印象が薄い事、男の子が一人居てくれるといいかも?というのがあった
三つに、あんま綺麗な話しじゃないが、二の事情あって風早家は経済的にキツイというのもある、要は「孫、悠斗の面倒見てくれたらそれなりの援助をする」というのがあったからだ。風早家はオレの家庭と逆でダンナが早世している。
中々のエリートだったのだが若くして過労死
保険、会社からの支援賠償等結構貰ったのだがそれから十年近い
貯蓄を崩して頑張ってきたが、それだけだと生活が苦しくなりつつあった、まして風早家は母、娘二人で渚と、中学生の妹の三人、稼ぎ手が居ないのもある
そんなこんなんで、オレは比較的緊張感も他人感も薄いままこの家に下宿するような形になった、それはそれで良かったと思う
ママさん、風早家の母、夏子さんは若くて可愛くて優しい。そういう母性的な家庭を体験するのも始めだし、親父と一緒の頃は大抵自分の事は自分でやってたし別に厳しい親父な訳でもなく、あんまり帰って来ないし会わなかったから家事は自分でやっただけだ
渚とは三年近い友達だし、昔から知ってるし、ホントに男友達ぽく、相手もコッチも気を使わない楽な相手だ。
妹の歩はオレがこの家に住む様になってから仲良くなった、父親も兄もいないから、そういうのが嬉しかったんだろう
「お兄ちゃん」とか呼んでくれるし、ヤバイくらい美少女なのでオレも嬉しい
そうして暫く「ああ、こんな家庭もいいなぁ」とか思いながら、オレも学業とバイトにせいを出してちゃんと家に金も入れた、平凡ながら凡庸な幸せを甘受してた
オレの他人から見た評価はちょっと問題のある人ではある。誤解も過分に含まれるが、人の評価はそんなもんだ
背が高くて(高二で百八十近い)顔、外見は中の上で少し大人顔、あんまり授業を真剣に受けてるふうはないが成績は何時もそこそこで、何時もスマホ弄ってる。
寡黙でぶっきらぼうで、トークが少ないので、これら相まって、ちょっと怖そうな感じで友達は多くは無い 学業より、バイトしてるか寝てるかスマホみたいな感じ。
スマホでは主にギャルゲの普通のオタクと一般人の(自称)ギリギリ中間だ
決定的だったのが高校入って直ぐの事件のお陰だ、勿論、これも大いなる誤解
入学早々、1コ上の上級生のヤンキー集団に悪友の一人と一緒に居た時絡まれた、見た目の問題だろう「デカクて生意気そうな」とか思われたらしい
オレはどうでもいいわ、とか思ってたのでさっさと謝ってしまおうと
「あ、すいません」とかその場で腰を下げて頭を下げようとしたのだが、相手の馬鹿が両手でオレの襟首を掴んで引き寄せようとしたのと同時だった為、鼻面に「偶然」チョーパン、頭突きがクリティカルヒットした、ソイツが一団のボスだったらしく相手は鼻骨骨折して大量出血で病院送りになっただけだ
勿論、それだけじゃないそこからはオレの悪友の「浦上孝」のせい、奴もオタクだがデカイ、しかも格闘技オタクだ、筋トレマニアで肉体スペックがおかしい。
周りの取り巻きが「テメー!」とか掴みかかって来た所を、孝が右の奴に豪腕ラリアットを食らわせて一回転させて、左側の奴に、腹にソバット入れて昏倒させた
「ごめん、反射的に反撃してもうた」とか言ったが、やられた二人もそのまま病院送りになっただけだ、そんで、先生らも集まってとっつかまった
事情が事情なので辛うじて俺らは被害者だと認められてどうにか停学とかは免れたが、この一件あって。「キレたら怖い浦上と風間」という語り草、伝説になってしまった
勿論「事故です」と言っても誤解が解ける訳じゃないし、しょうがないだろう、3人病院送りなのか変わらない事実だし。
だから同級生含め、親しい人以外は皆距離置く構造が出来上がった、誤解と一度付いた印象はそう変わらないしそんなもんだ、別に不自由はないが
人生の転機てのはこれらのオレの生活が変わった前後の話ではない、二年に上がって相変わらず風早の家の為にバイトにせいをだして暫くした頃だ、丁度夏明けくらいだろう
学校終って、スーパーの品だしバイトに向う前にちょっと時間が余った
そこで中途にある自然公園のベンチで横になって、少ない楽しみの一つであるギャルゲで自キャラ育てをしてた、丁度十六時くらいで、広い場所なのであんま人居なくて良かったのだが、横になってピコピコやってた所を、犬と子供が凄い勢いで駆け抜けて行った
「ギャー!何じゃコイツはー!」
とかちっちゃい子が逃げて、犬が追っかけていく。
ガキにはよくある事だ、犬は喜んでるのだが子供にはそうは感じない、だから逃げるが犬は余計喜んで追っかけてくるという間抜けなよくある光景である
五月蝿かったのもあるんだが、このまま追い掛け回されても可哀相もあって、オレは起きて荷物から弁当の残りを蓋開けて少し離れて置く、犬を呼んで追いかけるのを止めさせた
そんなデカイ犬でもないし、野良には違い無いが可愛いもんだ、犬コロは弁当にダッシュしてガシガシ食った、そんで追い回されていた子供もこっち来た
「喜んでるだけだ、ヘタに逃げ回ると遊んで貰ってると勘違いするぞ」
「怖いのには変わらんのじゃ!」とか言ったが、まあそれはしょうがない
追っかけ回されてた子は「ちっちゃい子」と言った通り、見た目は小学校低学年だろう、着物に近い格好の変な「のじゃ」子、多分女の子
「お前名前は?」
「!?」
と一瞬を驚いてたが名乗った
「鳳木院 伊万里 棗じゃ」
なんか偉そうな名前だな。
まあ出で立ちからしても言葉使いからしてもいいところのお嬢ちゃんなんだろう、とか思った
暫く犬を構ってやって、公園を出て街に出るが何かガキが付いて来る、なんだか知らないが懐かれたのだろうか、その内、幾つか店の前を通り過ぎて「おい、アレが食いたい!」とか言い出した
「腹減ったのか?」
「おう!」
とか言ったので、そのままファミレス入って適当に選ばせて食わせた
「オレなんでこんな事してるんだろう」感はあったのだが、何故かコイツは面白い、無礼だが不愉快さがない
ガキが食う量もたかが知れてるし、オレも結構金はあるし、時間も余ってたので奢ってやった、チョコパフェ食って恍惚の表情で頬張って喜んでたのでまあいいだろう、子供が喜ぶのを見るのは嫌いじゃない
「お前保護者は?もう直ぐ日が暮れるぞ?」
「何時帰ってもワシの自由じゃ」
「ふーん、ユルユルな家だなぁ」
「お前いい奴だな!」
「暇だったからついでだ」
「そうか、コレ美味いの」
「もの凄い会話が噛み合ってないぞ‥」
「そうかの?」
「‥」
「それなんだ?」
「んー?ゲームだ」
「ワシにも見せよ」
とか興味が移ったらしいので、テキトーに渡して注意を入れる
「あんま弄るなよ、今、キャラ育成してんだから」
「ほーん、チッコイのがちょろちょろしとるな、なんじゃいこれw」
「おう擬似恋愛ゲームだな。自分のアバターの行動で育成したり、意中のキャラと接触させたり、それで相互のパラメーターを影響させあって女の子と仲を深めていくというだな」
と説明を始めたのだが、早々に飽きたらしい、幼女はスマホ返して、またデザート食った、30分くらいくだらない遣り取りをした後店を出て、オレと彼女は逆方向に帰った、去り際に
「美味かった、また何か食わせろ」
とか言ったが、早々会うもんでもないだろう
「ああ、そうだな」
「お前はいい奴じゃ、きっと良い事あるぞい」
「ああそう‥、まあいいや、オレバイトだからまたな」
テキトーに流して仕事に向った。六百円ちょいくらいのチョコパフェで暇つぶしになったし、それなりに可愛い子と喋って、面白かったのだからまあいい。
それにああいうなれなれしい一見の他人と喋ったのも久々だ、何しろ高校デビュー事件あって皆オレには一歩引いてる、そういう「警戒心」みたいなのを見せられながらこっちも気を許して話せる訳が無い、だからガキとの交流は何か新鮮だったのだろう
そう、転機はこの子供との出会いからだった、勿論、それが起きて認識したのはまだ後の事であるが。
バイトがやたら忙しくて「残業して?」て言われて伸び、帰ってダルダルのまま軽く風呂入って寝たのが零時近かった。
それだから学校の授業はボンヤリしてる事が多い、別にいい加減に授業を受けてる訳でもないが自然、そうなってしまうからだ、勿論きつくない日はちゃんと受けてる
バイトに残業させるなよ、と言わざるを得ないがオレも望んでやってる、中々務め先も上手いもんで、余分にやって、と御願いしたときは多めに残業代くれる、余計な事訴えるなよ?という、口止めもあるのかもしれないが
オレはそこまで真面目に授業受けてないわり成績がそこそこだ、自分で言うのもアレだが地頭と要領がいい、基本無口なのもあってあんま不満も言わないし、どうでもいいと思ってるので、相手からすれば使い易いのだろう。
ドライだけど、自分の得に成る事は拒否しないし、文句も言わない
のじゃ子と会ってスマホチェックする暇も無かったが、翌日のバイトは悠々終わらせ。
二十二時には家に戻った、さっそくアプリ起動するが、そこで「変化」を実際眼にした
「え?あれ?」
「何だコレ、アップデートでもあったか??」と続けてチェックするが
ありえない量のDLがもう終ってた
「ちょおおおお!?容量なんだこれ!?」と心の中で叫んだ
そして恋愛ゲームアプリ起動したが一応無事らしいのだが、何だかもの凄くゲームが変わってた、アップデート告知なんか無い、ゲームは元のデザインとそんな変わってないのだが自分の擬似アバターが変わってた「名前」が
元々キャラゲーなので適当に「ユウ」とかにしてたのだが、オレアバターが「風間悠斗」にまんま変わってたのである、三頭身チビキャラなのはそんな変わらんけど
恐る恐る、ステータスチェックした途端ぶっ飛んだ、何がぶっとびかというと、まずプロフィールの詳細、項目の多さ、身長体重は元よりこれまでの経歴住居住所やら電話番号、携帯、手持ちの金とかありとあらゆる項目が馬鹿みたいに増えてた「自分」しか知らない事まで全部
流石に此処まで来ると仮想ゲームの話し、では無くなったがそこまで狼狽もしない、これがオレの良い所でもある
「何が起きたか謎だが起動はしてるし、ゲームも元の内容をベースにしてる、けど、中身はまるで別物だ、とりあえずオレ以外のキャラはどうなってんだ?」
とマップ呼び出す。
これも元々の仕様で、主人公=オレの周り、生活圏をクリックすると「今」自宅表示されて、家の其々の「人=周囲のキャラ」もデフォルメの可愛いアイコン表示される
そう、ちゃんと母、夏さん。長女、渚。次女、歩ちゃんが、家の其々の場所に表示されたのである
「これって‥このアプリの中とリアルが合体したのか??」
「皆の情報も表示されるのか?」
そうしてとりあえず一階、台所の夏さんを拡大詳細する。
オレアバターの横に並ぶ様にドラックドロップ、彼女のチビキャラが来て、大まかなプロフ、能力が全部数値並び、グラフバーでハッキリ確認された
流石に「マジでええええええ!」と口に出た
勿論、事実か?と云われれば確認、事実の刷り合わせも必要だが、とりあえずだ。そして大まかプロフが以下
風早夏子、三十五歳
身長百六十㎝、体重四十八K
B90W58H88 etc‥まで全部見れる
こうなると面白くて仕方無い、正直、気が引ける部分もあるのだが、大まかな経歴も読んだ
「成程、夏さんは在学中に妊娠して結婚ダンナさんとはかなり長い訳か‥んで、生涯男性経験は一人、ダンナさんは二十代後半に倒れて、一人で二人子育て、今に至る‥苦労したんだなぁ」
ここまではオレが知ってる経歴と同じである
となれば、これは事実、現実だろうとある程度認定していい
一応、古典的だが、自分の腕を抓ったが痛い、夢でも無さそうだ。
原因は不明だが、俺以外スマホ触ったのはあの「のじゃ子」だけ、確認は出来ないがアイツのせいなのかもしれない
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僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
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