第三勢力のレオ

篠崎流

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置き土産

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政府から書面発表の更に三日後にはおそらく東西隣国にも、これが届いたのだろう、まず、西からリアクションが出る

西からの外交使者が割合直接的にこの噂は本当か?と聞いてきたし、クラルス様へのお伺いも非常に下出にでて来た対応だった

具体的に言うと、東西で連動していたと思われるクラルスへの「婚姻の勧め」が止まってご機嫌伺いや、貢物の類が増えた事。当国への訪問の御願い等だ

おそらく、この行動を見ても、西はシュバイク領内でそれなりに情報斥候や、工作員の類は配しているのだろう

レオが意図的に解放した情報は国内には撒いたが他国に流した訳ではない。あくまで自国内の首都と主要、領主国の大町等で書面で貼り出しただけだ、噂が隣国に届くには早すぎるし行動も早すぎる

そして肝心の東は、シュバイクへの外交がピタッと止まる勿論、シュバイク国内に隣接した街等に、相手国の外交官の類は居るが動きが無くなったのだこれも容易に分る。

自分らが主導して行った圧迫外交が裏目に出て、焦っている、迷っていると直ぐ分った

「レオ様の釣りにあっさり掛かりましたね‥」
「だな、西と東が連動してるのも分ったし、西は有利不利で動いているのも確認出来たと言っていいだろうこれは案外脆い」
「東西で何らかの協力と言ってもどちらが主導したにしてもこうもあっさり手の平は返しませんからね‥同じ方針で賛同して両国で同時に動いた、なら」
「そういう事になる、東は西をアテにしてたが西は東の事はどうでもいい、何しろオレの情報だけで手の平返してクラルス女王に媚売りに来たからな」
「何とも寂しい事ですね‥」
「なに、そのくらいマキャベリストな方が反って扱い易い妙な思い込みや、信心みたいのは国家間では有害な事もある」
「それもまた正しくはありますね」
「何れにしろ、暫くまた様子見だな」

西は既に折れたに等しい、主導して圧迫を掛けて来たのは東で間違いないだろう、そして今、ツバルは自分が掛けた強攻策によって自分で自分を動けなくしたに近い

そこから実際、シュバイクとツバルの公式な外交は止まったままになるが。これも更に一ヶ月後、流石に不味いと思ったのか覚悟を決めたのか。ツバルから動いた

最初に掛けて来た圧迫、シュバイクとツバルの領土線に増強した兵を強攻策前の段階であった人数に減らし、警戒態勢も緩和。一応、のシュバイク側領事館の再開等略、圧迫前に形を整えた

その上でツバルも直接外交の使者を立てるが、その内容は探りでも伺いでもなかった

「ツバルの国王、ユーノス=ブライト陛下と近い直接の会談を持ってもらえないか?」という、いきなりな内容である
「何で??」

としかシュバイク側も云い様が無い程の突然というか、変化球というか、前後の脈略を無視した内容だ、クラスル女王ですら、意図が不明

そしてこれに眼を剥いて怒ったのが同席した大将閣下である、言葉は丁寧の範囲を出てないのだが語気を強め、皮肉を叩きつけた

「ほう、我が国の国主に対して要求して来た「ツバル王と婚姻してはどうか?そちらも状況が苦しかろう」と持ちかけて来た国と同じとは思えぬ申し出だな。それとも、クラルス様と直接会談でもして、酒場で娘を口説く様に婚姻を迫ろうとでも言うのか?」と

大将の怒りは尤もだろう、急に脈略もなく、軍事圧迫を他国と共同で掛けて置いて外交とも言えぬ外交を行い、ツバルの王の嫁に来い等とやった側が、謝意も撤回も無しに、今度はツバル王と直接会ってもらえぬか?等「ふざけるのも大概にしろ」としか成らないだろう

ただ、外交官、使者もそれは分っている、ハッキリ言って、前後の「自分らがやった事」に対してこんな事を言えば、大将が怒った通り、その場で斬り捨てられてもしょうがないくらい舐めた内容だ。分っているのに、こう伝えなくては成らないのは仕事であってツバル本国の直接的な意思であるから

そこを分っているクラルスもレオも呆れはしたが怒りはしなかった。そこでレオが双方の間に入って制しつつ、真意を確かめた

「外交官殿」
「はっ」
「大将閣下とこちらの怒りは当然だ、そこは分っているか?」
「はい」
「では、分っているがそう伝えろ、という本国政府の意思という事でいいのかな?」
「‥はい」
「それほど切羽詰った状況なのかい?」

そうレオに問われ、外交官も黙り込んだが三十秒程して、意を決したか、返答した

「それもあります、当国は近年急激に魔物との戦いが増えました、竜種中心ですから、当然人間の軍隊では厳しくありますが侵略には至っておりません」
「それは俺も情報で知っている、嫌がらせに近いそうだが」
「左様です」
「では「それもあります」とは?」
「それは‥」
「話してくれ、この場の事としてもいい」
「は‥、詳細までは当方は明かされていませんが、ツバル本国政府が「何が何でも直接外交の機会を作れ、直に伝える事がある」と求めて命じられたのは事実です。何故かまでは分りませんが‥」
「成程、つまり「直接でないと困る」という話しな訳か」
「おそらくそうでしょう」
「分った、こちらも善処する。そう時間が掛かる事ではないので暫く別室で待っていてくれ、悪い様にはしない」
「はっ‥、かたじけなく」

そうして一旦、周囲の護衛兵に指示し外交官を客室に案内し、シュバイク側も自身とクラルスを中心とした政府の重要人物だけ残して退出させ、その場で対応を話し合った

「レオ殿、どういう事でしょう?」
「外交官は本質の所「直接ツバル政府がクラルス様当人との接触を望む理由」までは知らないのは確かだな。これを追求しても意味がないだろうまた、これを間接的な遣り取りで引き出すのも多分難しい、手段がゼロではないだろうが、とりあえずだ」
「ええ、外交官と一言で云っても、相手政府と直接面会し交渉等する人物で優秀です、これを取引条件無しで送り出し相手と会える様に交渉してこい、なんてありえませんから」
「そう、だから実際彼の言った事は事実だ。つまりツバル王家はこちらと、クラルス様、或いはそれに順ずる人間にしか伝えられない内容の話しがあるという事、持っているという事もまず、事実だろう」
「うーむ‥」
「勿論、こっちでごねて譲歩とか条件を出す事は可能だが俺的には、余計な策動や裏を展開せずに、この要請は受けた方がいいと思ってる」

「わたくしもそう思います。筋を無視して話しがあるとまで言ってきてるのですから、相応の中身でしょう、これを引き伸ばしても双方にメリットはありませんしそれ程の事となれば、確かに私かレオ様が応対すべきでしょう」
「お二人がそこまで仰るなら良いでしょう。直接、両国の国主と周囲の者が会い会談する場を作るだけなら両国の中間か、こちら側で行えば、余計な事には成りますまい」

ただ、勿論シュバイク側の一部閣僚、宰相や政務官は疑問を呈した

「しかし、宜しいのでしょうか?譲る事には成りますが‥」
「実際聞かないと分らない事だから何とも言えんけど例えば、極端に言えばだが、ツバル王が話したい内容が来月魔物の本国から一斉攻撃がある、とかだったらどうする?」
「は?!」
「ツバルの王家にとってはそれくらい重要だと想定しないとこれほど極端な事はしない、出来ない、また、だからこそ、急で重大こちらにトップ会談を要請したとは考えられない?」
「な、なるほど‥」
「兎に角、今回はクラルス王女か俺は行かないとダメだろう、内容が重大である程、応変な対応も必要になる」
「わたくしも勿論出ますが、レオ様も居た方がいいですね御願い出来ますか?」
「そうだな」

そう言った流れから、シュバイク側はツバルからの要請は受けた、外交官にも伝え、早い方が良い事から両国の領土線でもある東の領主府、つまりラディウス大将の元の任地で会談すると、こちらの条件を先に提示して、相手側に帰した

そこからの動きは最速に近い両国、鳥や、テレパスを使う術士を駆使し伝達と、用意。一週間後には

こちらが指定の、東領主に軍帯同で移動し午後二時には、屋敷に入った

かなり異例尽くしな会談ではある、シュバイクとツバルは外交はあるが、両国の国主が一領主府の屋敷で面会、会談等初だ

シュバイク側はクラルス女王とレオだけ
ツバル側は王と側近二人の三人

ツバル王「ユーノス」はレオが情報収集した庶民の噂通りの人物で、あまり偉そうでも、強気そうでもない

年齢三十だから「威厳」が出る歳ではないのもあるが王様感はあまりない、実際、今回の会談に至る経緯も無茶苦茶であるし

アッチコッチと一貫性と纏まりに欠ける。そしてこの直接会談も名乗った後は、殆ど側近に任せただけだ

クラルスも正式に名乗って対座したが、彼女の方が遥かに若年だが、十倍はオーラがあるし、相手との会談も主導して話す

「わたくしと「直接」でないと話せない内容、とは何ですか?これほどの異例の場を作ったのですから、諦めてお話しなさい」
「それは‥」と相手の王は一瞬、逡巡したが結局、側近に丸投げしたが

「まず今回の一連の行動、外交に対して無礼があった事を謝罪致します、とても水に流せ、と言える事ではありません、事は当国も理解しております」
「ええ‥」
「今回、この様な事に至った経緯は、前提としてこれがあったからです。先ずはお読みいただければと思います」

そう言って、相手側は三枚の非公式証書をテーブルにスッと置いた

「?」と思いつつもクラルスはコレを読んだが。流石に驚愕の中身だった。表情にはあまり出さない彼女ですら、これ以上無い程の大きな溜息をついて、後ろに控えたレオにも渡した

この非公式証書は要するに
王子事「アルバート=シュバイク」の置き土産、という奴で、代理統治時、丁度三年前にツバルの王家に勝手に確約した取引文章の様なモノだ

簡単に言うと

「当方がシュバイク当主と成ったあかつきには、ツバルとの積極的な軍事・経済協力を行う。近年、魔物の脅威は増すばかりで両国が伝統的に続けて来た、無意味な外交的疎遠は止めるべき。私事、アルバートシュバイクが国主と成ればコレが可能であるから援助して欲しい」という内容である

条件は一に、アルバートが国主と成った場合妹を介して、血縁に寄る国家間の繋がりを強くする事。まあ、嫁にやるから結婚して親戚になれ、また、人質にすればいい、これで一定の信頼が置けるだろう?という釣り文

二つに、両国の境界線の常時戦闘状態の解除と、滞在基地を拡大し、どちらが魔物に攻められても、人間に攻められても直ぐ、援護を出せる環境の構築

三つに、移動規制の緩和と交易の自由化

四つに、アルバートへ対する援助、要するに金くれ、て事だ

当時からツバル側では魔物の攻撃が増えて不安が拡大した時期で。この王子単独の申し出ではあるが、非常に有り難いモノだった、これに飛びついたのが、今のツバル王、非公式ではあるが、俺が王様になったら、を先に示した物でツバル王家からすれば、あんまり損はないし唯一の人間の国、隣国と対魔で協力が得られるなら‥と、略王様独断でこれを受け、実際にアルバートへの資金援助を行った という事らしい

呆れて物も言えない話しだ、クラルスが流石に溜息しか出ないのもその通りだろう、そもそも国王に成る前にこんな約束をする方もする方だが、受ける方も受ける方だ

大体、こんな物、口約束に近いし、王子が旧代理政府を買収する資金とか反対者を口封じする足固めがしたかっただけの事だろうし、実際、王様に成った後、この条件を百歩譲って守ろうとしたとしても、通るかどうかも分らない条件である

ただ、ツバル王家の右往左往の対応の説明はついた、ツバルの王が王子事アルバートが失敗、失踪した後も、この状況が変わらず、切羽詰ってアルバートが出した条件を単国で継続しようとしただけの事だ

「成程、兄上の約束を信じて軍事、経済協力が得られるかもしれない、個人的資金援助と言っても、大した事もない、恩を売っておけば後々、外交上でも情勢上でも得が多い、と思った訳ですか」
「そういう事になります」
「まあ、そこまでは分りましたし、個人的に私に、という理由も分かりました確かに、ハイそうですか、と水に流せる事でもありませんね、そこまでは良いとして、この後のお話しは?」
「これもお恥かしいお話ですが。当国は魔物に対して根本的に対応する手段を持ちません‥何しろ相手は竜族ですから」
「つまり当家に客人として居られる、レオーネ様に話しを通せという事ですか?」
「単刀直入に言えばそれもあります」

「それも??」と切り返した後
流石にクラルスも相手をキッと睨んだ

「は‥、この三年前の非公式確約文章は確かに両国の一部責任者の間で独断的に交されたモノです。我々も先日まで中身を知りませんでした、当然、クラルス女王のお怒りも御尤もですがこちらにとっても恥じであります、ので、この一件はどうか穏便に処理して頂きたい」
「呆れた話ですね‥、ですが、貴方方政府の閣僚に責がある訳でもないですし国家としては責めません」
「恐縮であります」
「ですが、これまでの対応と脅迫に近い圧迫をして来た事は消えませんし、わたくしが許しても他の者も国民も許さないでしょう当然、わたくし達に「何か協力しろ」と望んでも、こちらの閣僚、各地責任者も応じないと思います」
「はい、そこで、ですが当国。国としてのケジメは付けたく思います、これは陛下自身が望んだ事ですが。退位すると仰ってますこちらは政府としてシュバイクに対して行った数々の暴挙を公式に謝罪し、両国国民に発表します、実的被害は換算出来ませんが、ある程度の賠償も用意しています」

「つまり、その代わりこの非公式文章、約束は恥でしかないから何とか、この条件で黙秘してくれ、という事、あるいはツバルとの関係は伏せてくれ、という事ですか」
「いえ、隠匿しろという事ではありません、陛下が退位を決断されましたので、この様な事があったと述べる事は問題ないですが、後の政権に宜しくない影響もある為当国からの発表はし難いという事です‥」

そう返され、両陣営とも沈黙したがここでレオも間に入った

「クラルス女王、ちょっといい?」
「え?はい」

と二人は一旦座を離れて別部屋へ、そこで、レオは自身の考えをクラルスに提供した、大将閣下にしろ、クラルスにしろ、呆れるのも怒るのも分るが、ここはもっと広い部分に眼をむけるべきだろう

「という訳で、俺としては、国家間の事ではなく魔物の部分に対処を優先したい」
「成程、そういう視点であればこちらにも損はありませんけど」
「まあ、心情部分はあるんだが、損得で言えばこの一件はこっちに有益ではある、それから条件を増やしても呑むだろう。準軍事的に不利な部分も消える事になるからな」
「わかりました」

そうして再び、会談の座に戻り、クラルスはレオの進言を受け入れ、ツバル側の要請を受ける

「ですが、肝心な事はこの一件に関する謝意が欠けている事、これをキッチリ果して頂きたいのが一つ、もう一つ、レオ様は魔物の攻勢に対しての話しであれば国家間の争いや不仲に関せず受ける、と申しております。」
「前者に関しては、王位の交代の際、ハッキリさせます後者に関して、広い視野での考慮を頂き感謝に絶えません」
「はい、ですが一方でレオ様はシュバイクと深い関わりがありますし我が国を拠点とされています、当国からシュバイクの盟友という称号を預かりますので、一連の事態に一定の区切りが付くまで両国での軍事的衝突の類があっては困る、との事です。なので、最低でも、シュバイクとツバルは公式に一定期間不戦か不可侵条約を結ぶ事を提言します」
「かしこまりました、これも王位交代の後。新君主との間で交す事になります」

「結構です。ツバルも苦しい状況にある為、余計な取引はしません、早速文章化し、確約してしまいましょう、これが成されたと明文化して施行された後、こちらもこの一件に関する裏を発表します、ツバルに関連した部分も追求はしませんし、その様に配慮します」
「有難うございます」

そうなったのも、相手に同情したとかではない。理屈上とか損得で言えば。結果的にはシュバイクにとっては過去は兎も角、将来には損は無いから

ツバルは裏工作の事も明らかにしたしこれまでの圧迫や脅迫じみた行いも謝し、ツバルの王は交代し、時期当主と交代

その上で、何らかの賠償をし、レオがツバルに何らかの助言か援護をする、それで魔物の一件が一定の区切りがあるまで両国で不戦か不可侵条約、元々軍事力的に劣るコチラは寧ろ有り難いし、この一連の事件で自国は損はしないのだから。広く言えば、プラスのが多い

レオにしても、元々魔物への対処はするつもりだし、一番の目的は。人と魔物の間に立ち、両勢力の争いの掣肘であるから

シュバイクに舐めた行動を向けたツバルだからと、まるっきり見捨てるつもりもない、だから、クラルスに「受けろ」と言ったのである

そうして両国政府の上層部はレオが立会いの形で、先に有る程度の条件を示し、当日には仮公約の文章として双方保持し、これが実行される事になった

ツバル側は王と共に翌日には帰国、更に一週間後には、これら会談での約束を果した

ユーノスは自ら、シュバイクに行った外交、並び政策の不備を示しこれを国内の民衆と、相手国に公式に謝罪、自身の政治的手腕に判断、健康、心理状態に不安があるとし退位を発表。彼は未婚で子供も居ない為親族で一番近く、既に家庭を持っている、五歳下の妹に王位を譲った

この戴冠と共に、新王が、これも事前に取り決めた、シュバイクとの当面の不戦条約と、賠償を発表し直ぐにコレを新政府として行った

両国の国民も前後の事情を知る者も知らぬ者も驚きはあったが、基本的に、新政府の優れた対応として評価からスタートする方向に向けた

ここまでツバル側の実際の行動を確認して後、シュバイク側、クラルスも、軍事的対立の緩和と新政府との不戦を発表しつつ、両国で魔物に対してのみ協力するとの見解を示す

これでレオ自身が、ツバルの新政府にも何らかの援護、助言するとし、対外的に不満と不安を抑える事になる

アルバートとユーノスの間で交された密約文書は、王子の関わった部分に対して一部公開されたが既に当人は失踪している為、具体的な対処は行われない

ただ、最も間抜けな裏取引、不正行為があった、という事は国としてはきちんと示しておかなければならない為、アルバートの甘言で在ったと断じて、それ以外の追求は避けて発表される

「これで大よそ纏まったな」
「ええ。何だかレオ様だけ負担が大きい形に成ってしまいましたが‥」
「なに、構わんさ、俺の目的はあくまで「対魔」だからなそれに、東にあるとされている魔物の大陸拠点には行って見たかったというのも最初の目的に合致する」
「それで、レオ殿。ツバルにも行かれるのですか?」
「顔見せ中心かな。レオーネベルグが来たぞ、両国政府の約束は果されるぞ、と見せて置けばいい、庶民の不安をある程度緩和出来ればいいかな、ツバルに行って、俺が嫌がらせを撃退、というのも激しく時間と手間が掛かるし」
「確かに‥」
「まあ、心配しなくていい、皆勝手に、俺を「勇者」と呼ぶが俺は実際前線で戦って全て駆逐し勝った訳じゃないし、そこまで無双出来る程強くは無い、主に話し合いとかで纏めているだけだし(あとせっくる」

「ツバルもシュバイク以上に状況が宜しくないのは確かですからな、我々の過去の争いより厳しいと考えれば他人事としての割り切りもし難い」
「そうだなぁ、竜族てどれも強いもんな‥」
「ですな、条約がある為、我々も既にそのつもりで用意を整えています、東領主府はワシの息子が居りますので準備は始まっています。それからワシが首都からあまり離れるのも問題なのでアルマを一時、遊撃任務から援軍の一弾として出す事に成っています」
「ああ、大将の娘さん?」
「はっ、アレは単体武力では頼りになりますし当人も最前線を望んでいますので」
「立場が上がっても前線の矛として働きたいというタイプか。」
「軍に一般で入ったのもその希望からですからな、まあ今更「危険だから止めろ」とも言い難いですし、ワシも大将で無ければ行きたい所ですが」

「豪胆だなぁ‥で、腕は?大将の若い頃に似てという噂は聞いているが」
「そうですなぁ‥。長らく手を合わせておりませんが二年前には、ワシに迫る程度でしたな、もう抜いているかもしれませんな」
「有望な娘だな」
「恐縮です、そういう訳ですので構わず前線で使ってやればいいでしょう」
「ま、当人がそれでいいなら‥」

そういう流れでレオはアルと地元冒険者ギルド等の人材を伴ない、首都を発つ。東領主府まで馬車移動して着いた後迎えに出た援護軍と合流、援護軍と言ってもかなり少数だろう。大将閣下の娘のアルマと選抜護衛兵の三十人程度に輸送人員だけだし

事前にレオが言った通りだが、主に「レオーネが来たぞ」という宣伝みたいなモノだし、別に問題ない、それからナンボ外交的に協力関係を構築した、と言っても

シュバイクから大軍が援護に来る、ツバル領内を往復するのもそれはそれで相手に不安を与えるので、今の所はという事でこういう人員になった

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