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最期の詰めは甘くない
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この敗戦の報は直ぐに届けられ兵が城に報告上がったが、もう報告する責任者も居なかった。そう、王子自体逃げてどこにも居なかった
流石に腰巾着の高官、閣僚も呆れ果てて、其々自分らも自室に引き篭もる、俺らも逃げなきゃと絶望して自害が半々だ
政府首脳部が丸ごと無くなった状況で正午、これを正式に引き継いだのが姫様である。直ぐに代理政府宣言し、王子が敷いた住民への規制も即解除し、事前用意の「希望」も時間差で届く
この二時間後に領内東を守る領主府から最初の援軍、五百の軍が到着、城内ではなく、敢て、城外で相手と会った、市民を安心させる為と、如何なる隠匿もしない事皆の前ですべて行う、という魅せである
そう「結構です、では、渡しの鏡の間に行きますラディウス元大将に御願いしましょう」の相手
彼は元首都軍の司令官で大将、父親、陛下の知己で、最も武力と統制力に優れた主将である、五十歳で現役を退き、東西の領土線の都市を治める、現在領主で、当然姫とも知己である彼に前後の事情話し、援軍を求めた
「大変な事態に成りましたな」
「いえ、間に合って良かった、防衛と統制をお任せしても?」
「勿論です」
そしてこれを聴衆の面前で見せたのである、盛り上がらない訳がない、軍人の一線を引いたと言っても誰でも知ってるレベルの人物の援軍である
早速、ラディウス元大将は自軍を展開、首都の要所に配置し市民と、従わなかった本軍にも要請し直ぐに準備を始める、基本的にコレを拒否する人間はいない
市民も命令拒否した兵も「姫様とラディウス様なら‥」と希望と羨望と期待を同時与えられ従った
更に二時間後の午後四時にはレオが集めて撤退させた、南の部隊もヴェルチ中佐指揮の下非戦闘員含めた450名が首都に入る、彼も姫に迎えられ傅き報告した
「お久しぶりですね、ヴェルチ」
「は、はっ」
「要らぬ苦労を掛けさせてしまい、申し訳ありません」
「いえ、結果論ですがこうなってよかった」
「所で‥レオ様は?そちらに行っていたのでは?」
「我々を纏め撤退させた後、現地に残りましたが出来れば、無駄な死人は出したくないと、その為に策を打つと」
「どういう事なんでしょう‥」
「そ、そこまでは」
「そうですね「勝手にやる」でしたか」
「?」
「いえ、疲れたでしょう、城と公共施設も全て開放していますお休み下さい」
「いえ、小生も防衛に参加希望します」
「そうですか、では此処で、今ラディウス様が指揮を取っていますので」
「え!?大将閣下が」
「私が頼れる人は、あまり多くないので」
「流石ですね、クラルス様」
「ふふ‥わたくしも「勝手に」やってるだけです」
これで当日の内に首都防衛軍として再編し、援軍を合わせて揃えた軍は千名には成ったが、まだオーガの集団を野戦迎撃するにはギリギリだろう
それは、この世界では常識というか明確な「対魔基準数」という数字があるからだ、○○の種族が相手なら人間の軍はこのくらい揃えろがある。オーガの集団1に対して人間の平均的戦闘力が何人と一応決められている
オーガだと1に対して6と基準されているので現状は、相手が二百弱なので、人間の軍は千二百~は必要
これはあくまで基準で、単純に一般的な武装と戦力の兵士、弓とか盾とか槍とか使って、オーガ一匹に対して六人で互角くらいと計算されている、これが最低値だ。
六人の武装した人間が魔法の類無しでオーガ一匹と戦うと接戦。そう言われて想像すると割りと妥当である
「ううむ、やはり野戦迎撃には少し足りませんな」
「負ける訳にはいきませんから、首都の施設を使っての迎撃も最悪考えませんと」
「非戦闘員の人的被害、並び施設への被害は極力避けたいのですが仕方無いでしょうな‥」
「領内各地から守備隊や治安維持軍を要請していますので時間があれば、なんですが」
「最速なら明日には見える所まで相手も来ますからな中々難しい、それにこちらはワシが持ってきた軍以外は急造に近い、もっと引いた所で迎撃するしかありませんな」
そこで悪いニュースが入る。首都に残って伝達役を引き受けたプリムが、城前の広場、屋外キャンプ様な場所を作り陣を張った政府首脳部、一同に面会を求めた。そこで、テレパシーを使った伝達、レオからの通知を伝える
「オーガ集団は一旦停止して休息を取っているそうです。時間はズレ込むと、ただ、その間にも戦力が増強、南からバラバラに移動して出たオーガの小集団ともそこで合流していっているそうです」
「なんと‥」
「バラバラ合流の形なので、しかとは分りませんが五十~六十は上乗せされる可能性あり、との事です」
「むむ」
「レオ様は相手集団を追尾してるのですか?」
「距離を取って側面追尾しているそうです」
「そうですか‥」
「残念ながら私は古代語魔法のテレパシーは使えないので前線を監視しているレオさんとは相互に会話は出来ません、向こうから一方通行なので」
「いや、分った、有難う娘さん」
「いえ、まだ通知はあります。ええと‥、レオさんは首都防衛側の状況もある程度予想していますがそれを使うのはギリギリまで待てと言ってます」
「どういう事だ?」
「はい、首都軍を再編して戦力、援軍が揃おうと揃うまいとこちらの戦闘での死者、被害者は極力出したくない、故に、レオさんの範囲で相手を止める考えらしいです」
「!?」
「無茶な‥、いくら勇者だと言っても‥」
「あくまで「つもりだが」です。だから軍は首都の施設、設備のある場所まで引いての防衛を求めてます、過去戦と同じく南門、城壁、廓、地形など使える、決戦で良いと」
「それは分ったが」
「どうするつもりなんですか?」
「オーガの欠点は精神的不安定さ、脆弱さであると。これを突いて相手を崩すと言ってます「俺にはその術がある」だそうです。だから王国側はこれが失敗した場合武力を使えとの事です」
「わかりました、何れにしろレオ様がそう仰るなら従うしかないでしょう」
「幸い、そのプランで我々軍が引き篭もって防衛集中でも問題はありません、ワシらは、要はオーガを街に入れなければいい占拠されなければいいのですから、時間稼ぎをしても各地からの援軍も到着すれば状況は優位になります」
「そうですね。それで行くしかないでしょう宜しく御願いします」
として、作戦は決定される。レオと相互に会話出来れば、もう少しマシなのだが。残念ながらテレパスはアルが一方通行で知った人間に投げるしか出来ない。相互会話にはもっと高度な魔法「マインドスピーチ」という術がいる
ただ、レオは、このプランの最後の部分は「運要素」であって姫が動かないパターン、王子が排除される場合、改心する場合、と様々ある、これを予測するのは不可能である
だからどっちにしろ一番重要な部分
「オーガの集団は俺が追い払う」か
「決戦前に敵の戦力を削ぐ」の
どちからは、やるつもりで準備してある。そこだけ押えて置けば、最悪の事態は回避出来るからだ
そして翌日、一旦休息の為待機、バラバラに四方に散って動いていたオーガらも結集が終り進軍、二百五十の集団となり再前進を始める
その為、もう監視はいいだろうと、レオらも早めに引き上げ深夜に首都に戻って合流する事が出来た
レオ様だ!と騒ぎになったが、これを軽く応えて、直ぐ城前に陣建てしてある政府首脳部の姫らの所まで行って報告して直ぐ寝た
「わるい、流石に細かい説明する余力無いわ寝る」とか言って
「ぼくもー」
「あいつ等が見える距離まで来たら起こしてくれとりあえず俺が実験するから」
「は、はっ」
鬼の集団が実際遠くに確認されたのが翌朝、七時間後である、「あーあ、来たかー」とか言って、アルと共に起きて、軽く食ったが落ち着いて食える状況では無かった
ブランドン大佐や姫も「どういう事です!?」と問うたが
「ああ、あくまで実験だが、俺がまずヤツラと戦う」
「それは聞きましたがどうやって‥」
「オーガの集団には最低千二百の軍が必要とされていますよ?」
「うむ、俺は範囲混乱の術を持って居る、これを試したい、もし、全然効果なしならそっちに任せる」
「だ、大丈夫なんですか?」
「わからんが、何れにしろ、軍を使うのは最後と考えて居る。どう戦っても人的被害がデカイ、それを避けられる可能性があるなら俺は使う、そういう事だ」
「‥わかりますが」
「心配すんな、俺ならあいつ等に捕まる事はない、逃げ後退くらいは出来るさ、だからそこまでは任せてくれ」
とは言え、レオの考えは効率で言えば正しい、既に王国軍もそのつもりで用意してある今更違う事は出来ないのもあった、結局の所、レオに任せて見る、しかないのだ
レオは宣言通り王国の南門から出てアルとプリムを後ろに置いて援護を任せて、南街道を歩き出した
首都から二キロくらい南下して敵集団を目視、鬼集団二百五十との距離が百メートルの所まで迫った所でアルとプリムを下がらせる
相手の先頭集団十匹が集団から離れてダッシュ、手斧や棍棒を掲げて奇声を発して向かって来る
「おし」とレオは悠然と歩きながら詠唱、右手を前に出して、印を結びながら発動ワードを発した
「デストロイ・インパルス」と
同時、レオから闇のフラッシュが発動し円形に広がる、鬼の最初の集団十匹がレオの十メートル手前でそれを受けビクッと止まって動かなくなった
これを見ていたアルとプリムも「え!?」と思った、五秒、後くらいだろう、最初に突っ込んで闇の波を受けた鬼共が「ウウウ」と呻いて大声で叫びを上げた「ギャーー!!」と
其々そいつ等はその場で武器を掲げ、暴れ周り、攻撃したのである「味方」を、つまり同士討ちを始めたのである、まるで発狂だ
「ええ?!」と後ろに離れて見守ったアルらも驚いたがプリムにはある程度分った
「もしかして‥バーサーク??」
「え?何ソレ?」
「相手を狂人化させる魔法です、でも‥そんなに一度に掛けられるなんて」
そう、プリムは知識としては知ってる、暗黒魔法の一つ「バーサーク」である、相手を精神的に冷静さを奪って、凶暴化させる
んで、元々精神的に脆く、残虐でアホな奴には特に掛かりやすい、が「そんなに一度に」と言った通り、個人にしか効かないしレオが使ったのは明らかに別のモノである
そして「デストロイ・インパルス」と発動ワードした通り、バーサークの範囲型暗黒魔法に近いモノで術者中心に十メートルの全員に「衝動」を掛ける
本来なら全部掛かる訳じゃない、抵抗されるし相手によってはかなり成功率は低い。が、これもレオは知ってる残虐で臆病で知能が低い。だから魔書からコイツを選んで今回実験してみた、それがズバリ嵌ったのである
相手は二百五十、既に前線の十を狂人化させ同士討ちを始めている、これは相手が誰だからというのではない。近くに居る動く奴をぶん殴ってるだけだ、それくらい、一回掛かると始末に置けない精神魔法だ
レオは最初に掛かって味方を襲った連中が倒され、鎮圧されて混乱が収まりかけた所に接近し、今度はもう一つのやつを試す
「ビジョンズ・ドールズ」
それで連中は驚いた様に「グア!!?」と叫んで隣に要る味方の鬼を殴りつけた、殴りつけられた方もこれで反撃
「ギャア!!(何の真似だテメェ!!」と、また、オーガ集団は同士討ち、しかもこれが全体に及んだ
「ええ?!」
「うわ‥」とアルとプリムもそれしか出なかった
これも暗黒範囲魔法の一つ、掛かった相手に指定した幻覚を見せる
早い話、レオは掛かった相手に自分、敵を見せただけだ、それで連中は味方を敵と誤認して殴った、知性体だとあんまり効果が無い
例えば冒険者のPTだとすれば、急に隣の味方が対峙してる魔物に「見えた」としても、混乱はするだろうが、攻撃はしないだろう、これも相手が馬鹿だから効く精神攻撃だ
結局これで三十分近く同士討ちした挙句自分らで自分らを三割近く殴り倒してヤツラは逃げていった
それを悠然と見送って、見えなくなったのを確認してレオも「ハァ‥」とその場に腰を下ろした、アルとプリムが駆け寄り「大丈夫ですか!?」「にーちゃん!」と慌てたが問題ない
「別に被弾はしてない、疲れただけだ」
「今ので魔力を殆ど消費したからな‥こりゃ訓練か補助道具が要るなぁ‥」
「魔力?あれやっぱり暗黒魔法ですよね?」
「そう」
「何であんなのを使えるんですか?!」
「これ」
と懐から拝借してきた本を渡し種明かしした
「なんですかこれ??」
「王立図書館で借りたやつだよね」
「暗黒魔法の手引書」
「ええ?!そんなのあるんですか!?」
「あ、そっかにーちゃん向こうの言語分るんだよね‥」
「うむ、古代遺跡から出た謎の魔書の写しだそうだ、んで、俺が読めたんで、借りて使えそうなのを習得した」
「そんなん急に覚えられるの??」
「暗黒魔法は実はメッチャ簡単だ。悪魔側の言語で、詠唱、印、発動のワード等正確に暗記して、唱え、使える魔力があればいい。まあ、これもオフレコだぞ」
「そうなんだ‥」
「ただ、手法を知ってても人間には絶対発動させる事が出来ない魔法でもある、闇魔法への適応、有り余る魔力が必要」
「という事はレオさんは、強大な魔力と闇属性への適応両方あるという事ですか」
「ああ、俺も半信半疑で実験してみたら使えた、というだけだ。闇属性への親和性を持って居るらしいが、強大な魔力は多分持ってない、今、二発撃っただけで魔力(MP)があんま残ってない」
「驚いた‥」
「戦闘し無いで勝っちゃいましたね‥」
「向こうがアホだから助かったて感じだがな、まあ、最悪向こうの戦力を削れれば、程度だったんがメッチャ効いたな」
「にーちゃん凄いぞ!」とアルは喜んだがプリムは無原則に喜べなかった、だって暗黒魔法がどういうモノか知ってるし、ただ、今はそれを追及しなかった
結果だけで言えば一切味方に被害を出させず、オーガの群れを彼が撃退し、国を守ったのだから、何者だろうと、それは変わらなかった
こうして首都に三人で戻って賞賛されて迎えられたが入り口から揉みくちゃである。実際遠くで市民もいくばか見てたし、レオらが相手と対峙して、オーガ共が逃げていったのは皆見てた。そうなるのはしかたない
大佐らに護衛されながら、城前まで誘導、どうにか人の波はそこで止まった、姫様と対面して握手を求められた
「鬼の撤退の報は聞きました、本当になんと感謝をしていいか」
「いや、偶々だ、何にしろこれからも大変だぞ?」
「此処まで来てしまったら、逡巡はしません」
「そうか」
「城に祝勝の用意を進めています、お休みください」
「ああ、そうさせてもらう」
そのまま三時間程レオは城の一室で休み、午後二時には簡易ではあるが祝勝会
午後五時にはこれも即興であるが、姫様が女王として即位する
王様も解放され、歩いて移動出来る状態ではないが、身嗜みを整え、椅子ごと運ばれて王座の間で戴冠式を手早く行い、王様は皆に謝した
「最初からこうしておけば、無駄な混乱を招かずに済んだ、私は、息子の問題を知っていたが、次代には強い者をとも考え娘に早々に譲る事を逡巡していた、申し訳なかった」
「いえ、わたくしも自身にその力があるとは思っていません、それは今この時も変わりません、ですから皆の力を借りたい」
実に彼女らしい宣言をして女王に就いた、実際問題、大変なのはこれからだ、何しろ王子は失踪、彼が登用して閣僚に就けた者も半数は逃げて残り半数も自害、今政府は空っぽ状態である
クラルスは直ぐに新政府を樹立し、この人事を行う、ただこれは王子の逆をやればいいだけでそう難しくは無い、彼に排除され飛ばされた父親の組んだ旧政府の人材を復帰させ、これを最初の三日で戻し
ラディウス元大将からも「元」を外して当面の首都防衛指令に充て、内、軍の形を納めた
劇的に何かを失った、という訳ではない、鬼を略無傷で追い返したので、基本的に兵軍民を失っていない、王子とワイロで集めた白蟻が居なくなっただけの事で建て直しは容易い
一週後には旧代理政府、王子に反旗を翻した首都軍の兵も戻り再編され、王子が強制退去させて多数怪我人を出した件も謝罪し被害者の市民に見舞金を出し一連の事件での情報、王子らがやった事も調査、文書化され、公開された
今回の鬼の事件で、最も早く異変を察知し要請したヴェルチ中佐を昇格させ彼の要望を聞き、そのまま南方軍として警備隊を再編、元の監視塔を引越しさせて、首都南西の集落付近に作り、これの責任者に充てて全て任せた
事件の最大の功労者であるレオに関しては、最初に雇われる時に自ら出した条件もあるし、今は姫様、王女との契約も切っている
その為、立場上非常に難しいが、クラルスは前後の事情、公人では無い事、この国の人間で無い事、当人が自由な立場を求めている、を考慮し
敢て偉そうなモノでなく「シュバイクの盟友」という称号と褒賞金を与えた、単なる名誉、ではあるが、一応、国の政、軍共に将官と同等の発言力を持つ称号だ
公人としてではないので、命令ではないが、国に対して大きな貢献を成した人に与えられる、つまりその意見と提言は価値がある、という扱いにある
断る理由も無く「まあ、善意だしな」とレオもこれを式典で頂く、勿論、クラルスの意図云々に関わらず四方八方から誘いも受けが「何れ旅に戻る身だから」と基本的に断ったが、直ぐ動きもしなかったので
王国の臨時客将として迎えられ人事の選抜の意見と、騎士や兵の要望に応えて、武芸を指導した、まあ、たいした事はやってない凄い一杯いる兵とか騎士とかを離れて見て、口であーだこーだ指示するだけだ。実際の手合わせはアルに任せてたし
流石に腰巾着の高官、閣僚も呆れ果てて、其々自分らも自室に引き篭もる、俺らも逃げなきゃと絶望して自害が半々だ
政府首脳部が丸ごと無くなった状況で正午、これを正式に引き継いだのが姫様である。直ぐに代理政府宣言し、王子が敷いた住民への規制も即解除し、事前用意の「希望」も時間差で届く
この二時間後に領内東を守る領主府から最初の援軍、五百の軍が到着、城内ではなく、敢て、城外で相手と会った、市民を安心させる為と、如何なる隠匿もしない事皆の前ですべて行う、という魅せである
そう「結構です、では、渡しの鏡の間に行きますラディウス元大将に御願いしましょう」の相手
彼は元首都軍の司令官で大将、父親、陛下の知己で、最も武力と統制力に優れた主将である、五十歳で現役を退き、東西の領土線の都市を治める、現在領主で、当然姫とも知己である彼に前後の事情話し、援軍を求めた
「大変な事態に成りましたな」
「いえ、間に合って良かった、防衛と統制をお任せしても?」
「勿論です」
そしてこれを聴衆の面前で見せたのである、盛り上がらない訳がない、軍人の一線を引いたと言っても誰でも知ってるレベルの人物の援軍である
早速、ラディウス元大将は自軍を展開、首都の要所に配置し市民と、従わなかった本軍にも要請し直ぐに準備を始める、基本的にコレを拒否する人間はいない
市民も命令拒否した兵も「姫様とラディウス様なら‥」と希望と羨望と期待を同時与えられ従った
更に二時間後の午後四時にはレオが集めて撤退させた、南の部隊もヴェルチ中佐指揮の下非戦闘員含めた450名が首都に入る、彼も姫に迎えられ傅き報告した
「お久しぶりですね、ヴェルチ」
「は、はっ」
「要らぬ苦労を掛けさせてしまい、申し訳ありません」
「いえ、結果論ですがこうなってよかった」
「所で‥レオ様は?そちらに行っていたのでは?」
「我々を纏め撤退させた後、現地に残りましたが出来れば、無駄な死人は出したくないと、その為に策を打つと」
「どういう事なんでしょう‥」
「そ、そこまでは」
「そうですね「勝手にやる」でしたか」
「?」
「いえ、疲れたでしょう、城と公共施設も全て開放していますお休み下さい」
「いえ、小生も防衛に参加希望します」
「そうですか、では此処で、今ラディウス様が指揮を取っていますので」
「え!?大将閣下が」
「私が頼れる人は、あまり多くないので」
「流石ですね、クラルス様」
「ふふ‥わたくしも「勝手に」やってるだけです」
これで当日の内に首都防衛軍として再編し、援軍を合わせて揃えた軍は千名には成ったが、まだオーガの集団を野戦迎撃するにはギリギリだろう
それは、この世界では常識というか明確な「対魔基準数」という数字があるからだ、○○の種族が相手なら人間の軍はこのくらい揃えろがある。オーガの集団1に対して人間の平均的戦闘力が何人と一応決められている
オーガだと1に対して6と基準されているので現状は、相手が二百弱なので、人間の軍は千二百~は必要
これはあくまで基準で、単純に一般的な武装と戦力の兵士、弓とか盾とか槍とか使って、オーガ一匹に対して六人で互角くらいと計算されている、これが最低値だ。
六人の武装した人間が魔法の類無しでオーガ一匹と戦うと接戦。そう言われて想像すると割りと妥当である
「ううむ、やはり野戦迎撃には少し足りませんな」
「負ける訳にはいきませんから、首都の施設を使っての迎撃も最悪考えませんと」
「非戦闘員の人的被害、並び施設への被害は極力避けたいのですが仕方無いでしょうな‥」
「領内各地から守備隊や治安維持軍を要請していますので時間があれば、なんですが」
「最速なら明日には見える所まで相手も来ますからな中々難しい、それにこちらはワシが持ってきた軍以外は急造に近い、もっと引いた所で迎撃するしかありませんな」
そこで悪いニュースが入る。首都に残って伝達役を引き受けたプリムが、城前の広場、屋外キャンプ様な場所を作り陣を張った政府首脳部、一同に面会を求めた。そこで、テレパシーを使った伝達、レオからの通知を伝える
「オーガ集団は一旦停止して休息を取っているそうです。時間はズレ込むと、ただ、その間にも戦力が増強、南からバラバラに移動して出たオーガの小集団ともそこで合流していっているそうです」
「なんと‥」
「バラバラ合流の形なので、しかとは分りませんが五十~六十は上乗せされる可能性あり、との事です」
「むむ」
「レオ様は相手集団を追尾してるのですか?」
「距離を取って側面追尾しているそうです」
「そうですか‥」
「残念ながら私は古代語魔法のテレパシーは使えないので前線を監視しているレオさんとは相互に会話は出来ません、向こうから一方通行なので」
「いや、分った、有難う娘さん」
「いえ、まだ通知はあります。ええと‥、レオさんは首都防衛側の状況もある程度予想していますがそれを使うのはギリギリまで待てと言ってます」
「どういう事だ?」
「はい、首都軍を再編して戦力、援軍が揃おうと揃うまいとこちらの戦闘での死者、被害者は極力出したくない、故に、レオさんの範囲で相手を止める考えらしいです」
「!?」
「無茶な‥、いくら勇者だと言っても‥」
「あくまで「つもりだが」です。だから軍は首都の施設、設備のある場所まで引いての防衛を求めてます、過去戦と同じく南門、城壁、廓、地形など使える、決戦で良いと」
「それは分ったが」
「どうするつもりなんですか?」
「オーガの欠点は精神的不安定さ、脆弱さであると。これを突いて相手を崩すと言ってます「俺にはその術がある」だそうです。だから王国側はこれが失敗した場合武力を使えとの事です」
「わかりました、何れにしろレオ様がそう仰るなら従うしかないでしょう」
「幸い、そのプランで我々軍が引き篭もって防衛集中でも問題はありません、ワシらは、要はオーガを街に入れなければいい占拠されなければいいのですから、時間稼ぎをしても各地からの援軍も到着すれば状況は優位になります」
「そうですね。それで行くしかないでしょう宜しく御願いします」
として、作戦は決定される。レオと相互に会話出来れば、もう少しマシなのだが。残念ながらテレパスはアルが一方通行で知った人間に投げるしか出来ない。相互会話にはもっと高度な魔法「マインドスピーチ」という術がいる
ただ、レオは、このプランの最後の部分は「運要素」であって姫が動かないパターン、王子が排除される場合、改心する場合、と様々ある、これを予測するのは不可能である
だからどっちにしろ一番重要な部分
「オーガの集団は俺が追い払う」か
「決戦前に敵の戦力を削ぐ」の
どちからは、やるつもりで準備してある。そこだけ押えて置けば、最悪の事態は回避出来るからだ
そして翌日、一旦休息の為待機、バラバラに四方に散って動いていたオーガらも結集が終り進軍、二百五十の集団となり再前進を始める
その為、もう監視はいいだろうと、レオらも早めに引き上げ深夜に首都に戻って合流する事が出来た
レオ様だ!と騒ぎになったが、これを軽く応えて、直ぐ城前に陣建てしてある政府首脳部の姫らの所まで行って報告して直ぐ寝た
「わるい、流石に細かい説明する余力無いわ寝る」とか言って
「ぼくもー」
「あいつ等が見える距離まで来たら起こしてくれとりあえず俺が実験するから」
「は、はっ」
鬼の集団が実際遠くに確認されたのが翌朝、七時間後である、「あーあ、来たかー」とか言って、アルと共に起きて、軽く食ったが落ち着いて食える状況では無かった
ブランドン大佐や姫も「どういう事です!?」と問うたが
「ああ、あくまで実験だが、俺がまずヤツラと戦う」
「それは聞きましたがどうやって‥」
「オーガの集団には最低千二百の軍が必要とされていますよ?」
「うむ、俺は範囲混乱の術を持って居る、これを試したい、もし、全然効果なしならそっちに任せる」
「だ、大丈夫なんですか?」
「わからんが、何れにしろ、軍を使うのは最後と考えて居る。どう戦っても人的被害がデカイ、それを避けられる可能性があるなら俺は使う、そういう事だ」
「‥わかりますが」
「心配すんな、俺ならあいつ等に捕まる事はない、逃げ後退くらいは出来るさ、だからそこまでは任せてくれ」
とは言え、レオの考えは効率で言えば正しい、既に王国軍もそのつもりで用意してある今更違う事は出来ないのもあった、結局の所、レオに任せて見る、しかないのだ
レオは宣言通り王国の南門から出てアルとプリムを後ろに置いて援護を任せて、南街道を歩き出した
首都から二キロくらい南下して敵集団を目視、鬼集団二百五十との距離が百メートルの所まで迫った所でアルとプリムを下がらせる
相手の先頭集団十匹が集団から離れてダッシュ、手斧や棍棒を掲げて奇声を発して向かって来る
「おし」とレオは悠然と歩きながら詠唱、右手を前に出して、印を結びながら発動ワードを発した
「デストロイ・インパルス」と
同時、レオから闇のフラッシュが発動し円形に広がる、鬼の最初の集団十匹がレオの十メートル手前でそれを受けビクッと止まって動かなくなった
これを見ていたアルとプリムも「え!?」と思った、五秒、後くらいだろう、最初に突っ込んで闇の波を受けた鬼共が「ウウウ」と呻いて大声で叫びを上げた「ギャーー!!」と
其々そいつ等はその場で武器を掲げ、暴れ周り、攻撃したのである「味方」を、つまり同士討ちを始めたのである、まるで発狂だ
「ええ?!」と後ろに離れて見守ったアルらも驚いたがプリムにはある程度分った
「もしかして‥バーサーク??」
「え?何ソレ?」
「相手を狂人化させる魔法です、でも‥そんなに一度に掛けられるなんて」
そう、プリムは知識としては知ってる、暗黒魔法の一つ「バーサーク」である、相手を精神的に冷静さを奪って、凶暴化させる
んで、元々精神的に脆く、残虐でアホな奴には特に掛かりやすい、が「そんなに一度に」と言った通り、個人にしか効かないしレオが使ったのは明らかに別のモノである
そして「デストロイ・インパルス」と発動ワードした通り、バーサークの範囲型暗黒魔法に近いモノで術者中心に十メートルの全員に「衝動」を掛ける
本来なら全部掛かる訳じゃない、抵抗されるし相手によってはかなり成功率は低い。が、これもレオは知ってる残虐で臆病で知能が低い。だから魔書からコイツを選んで今回実験してみた、それがズバリ嵌ったのである
相手は二百五十、既に前線の十を狂人化させ同士討ちを始めている、これは相手が誰だからというのではない。近くに居る動く奴をぶん殴ってるだけだ、それくらい、一回掛かると始末に置けない精神魔法だ
レオは最初に掛かって味方を襲った連中が倒され、鎮圧されて混乱が収まりかけた所に接近し、今度はもう一つのやつを試す
「ビジョンズ・ドールズ」
それで連中は驚いた様に「グア!!?」と叫んで隣に要る味方の鬼を殴りつけた、殴りつけられた方もこれで反撃
「ギャア!!(何の真似だテメェ!!」と、また、オーガ集団は同士討ち、しかもこれが全体に及んだ
「ええ?!」
「うわ‥」とアルとプリムもそれしか出なかった
これも暗黒範囲魔法の一つ、掛かった相手に指定した幻覚を見せる
早い話、レオは掛かった相手に自分、敵を見せただけだ、それで連中は味方を敵と誤認して殴った、知性体だとあんまり効果が無い
例えば冒険者のPTだとすれば、急に隣の味方が対峙してる魔物に「見えた」としても、混乱はするだろうが、攻撃はしないだろう、これも相手が馬鹿だから効く精神攻撃だ
結局これで三十分近く同士討ちした挙句自分らで自分らを三割近く殴り倒してヤツラは逃げていった
それを悠然と見送って、見えなくなったのを確認してレオも「ハァ‥」とその場に腰を下ろした、アルとプリムが駆け寄り「大丈夫ですか!?」「にーちゃん!」と慌てたが問題ない
「別に被弾はしてない、疲れただけだ」
「今ので魔力を殆ど消費したからな‥こりゃ訓練か補助道具が要るなぁ‥」
「魔力?あれやっぱり暗黒魔法ですよね?」
「そう」
「何であんなのを使えるんですか?!」
「これ」
と懐から拝借してきた本を渡し種明かしした
「なんですかこれ??」
「王立図書館で借りたやつだよね」
「暗黒魔法の手引書」
「ええ?!そんなのあるんですか!?」
「あ、そっかにーちゃん向こうの言語分るんだよね‥」
「うむ、古代遺跡から出た謎の魔書の写しだそうだ、んで、俺が読めたんで、借りて使えそうなのを習得した」
「そんなん急に覚えられるの??」
「暗黒魔法は実はメッチャ簡単だ。悪魔側の言語で、詠唱、印、発動のワード等正確に暗記して、唱え、使える魔力があればいい。まあ、これもオフレコだぞ」
「そうなんだ‥」
「ただ、手法を知ってても人間には絶対発動させる事が出来ない魔法でもある、闇魔法への適応、有り余る魔力が必要」
「という事はレオさんは、強大な魔力と闇属性への適応両方あるという事ですか」
「ああ、俺も半信半疑で実験してみたら使えた、というだけだ。闇属性への親和性を持って居るらしいが、強大な魔力は多分持ってない、今、二発撃っただけで魔力(MP)があんま残ってない」
「驚いた‥」
「戦闘し無いで勝っちゃいましたね‥」
「向こうがアホだから助かったて感じだがな、まあ、最悪向こうの戦力を削れれば、程度だったんがメッチャ効いたな」
「にーちゃん凄いぞ!」とアルは喜んだがプリムは無原則に喜べなかった、だって暗黒魔法がどういうモノか知ってるし、ただ、今はそれを追及しなかった
結果だけで言えば一切味方に被害を出させず、オーガの群れを彼が撃退し、国を守ったのだから、何者だろうと、それは変わらなかった
こうして首都に三人で戻って賞賛されて迎えられたが入り口から揉みくちゃである。実際遠くで市民もいくばか見てたし、レオらが相手と対峙して、オーガ共が逃げていったのは皆見てた。そうなるのはしかたない
大佐らに護衛されながら、城前まで誘導、どうにか人の波はそこで止まった、姫様と対面して握手を求められた
「鬼の撤退の報は聞きました、本当になんと感謝をしていいか」
「いや、偶々だ、何にしろこれからも大変だぞ?」
「此処まで来てしまったら、逡巡はしません」
「そうか」
「城に祝勝の用意を進めています、お休みください」
「ああ、そうさせてもらう」
そのまま三時間程レオは城の一室で休み、午後二時には簡易ではあるが祝勝会
午後五時にはこれも即興であるが、姫様が女王として即位する
王様も解放され、歩いて移動出来る状態ではないが、身嗜みを整え、椅子ごと運ばれて王座の間で戴冠式を手早く行い、王様は皆に謝した
「最初からこうしておけば、無駄な混乱を招かずに済んだ、私は、息子の問題を知っていたが、次代には強い者をとも考え娘に早々に譲る事を逡巡していた、申し訳なかった」
「いえ、わたくしも自身にその力があるとは思っていません、それは今この時も変わりません、ですから皆の力を借りたい」
実に彼女らしい宣言をして女王に就いた、実際問題、大変なのはこれからだ、何しろ王子は失踪、彼が登用して閣僚に就けた者も半数は逃げて残り半数も自害、今政府は空っぽ状態である
クラルスは直ぐに新政府を樹立し、この人事を行う、ただこれは王子の逆をやればいいだけでそう難しくは無い、彼に排除され飛ばされた父親の組んだ旧政府の人材を復帰させ、これを最初の三日で戻し
ラディウス元大将からも「元」を外して当面の首都防衛指令に充て、内、軍の形を納めた
劇的に何かを失った、という訳ではない、鬼を略無傷で追い返したので、基本的に兵軍民を失っていない、王子とワイロで集めた白蟻が居なくなっただけの事で建て直しは容易い
一週後には旧代理政府、王子に反旗を翻した首都軍の兵も戻り再編され、王子が強制退去させて多数怪我人を出した件も謝罪し被害者の市民に見舞金を出し一連の事件での情報、王子らがやった事も調査、文書化され、公開された
今回の鬼の事件で、最も早く異変を察知し要請したヴェルチ中佐を昇格させ彼の要望を聞き、そのまま南方軍として警備隊を再編、元の監視塔を引越しさせて、首都南西の集落付近に作り、これの責任者に充てて全て任せた
事件の最大の功労者であるレオに関しては、最初に雇われる時に自ら出した条件もあるし、今は姫様、王女との契約も切っている
その為、立場上非常に難しいが、クラルスは前後の事情、公人では無い事、この国の人間で無い事、当人が自由な立場を求めている、を考慮し
敢て偉そうなモノでなく「シュバイクの盟友」という称号と褒賞金を与えた、単なる名誉、ではあるが、一応、国の政、軍共に将官と同等の発言力を持つ称号だ
公人としてではないので、命令ではないが、国に対して大きな貢献を成した人に与えられる、つまりその意見と提言は価値がある、という扱いにある
断る理由も無く「まあ、善意だしな」とレオもこれを式典で頂く、勿論、クラルスの意図云々に関わらず四方八方から誘いも受けが「何れ旅に戻る身だから」と基本的に断ったが、直ぐ動きもしなかったので
王国の臨時客将として迎えられ人事の選抜の意見と、騎士や兵の要望に応えて、武芸を指導した、まあ、たいした事はやってない凄い一杯いる兵とか騎士とかを離れて見て、口であーだこーだ指示するだけだ。実際の手合わせはアルに任せてたし
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