第三勢力のレオ

篠崎流

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エルフ集落を救ったからってモテモテて訳ではない

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そのままエルフ集落に向かい一応、顔を出してちゃんと報告。というか、済んでない事もあるし、相手側の代表にも伝えたい事もある

まあ、直線距離はそこまで遠くないので馬で移動して、半日後。夕方にはエルフ集落にも入った

そこでプリムと共に、エルフのじーさん長老と呼ばれる人に報告し、オーク側の状況も伝えた

「そういう訳で何れ向こうの長もこちらに訪問謝罪するそうだ。セイてオークロードの女性だが共通言語が通じるので、何にしろ交流を持った方がいい」
「なんと、そうでしたか‥」
「レオさん、交流とは??」
「ああ、お互いあまりに不干渉とか無視も後後困る。お互いのトップがある程度知己であれば今回の事件の様な事が仮にあっても両方で協力して対応出来る。セイはマトモな人物だし向こうは向こうでちゃんと決まりとかケジメがあるし、犯罪者を放置しないだろうし、同じ森の住民でもある」
「なるほど」
「わ、わたしもちゃんと確認しました‥見たく無かったですけど‥。オークで犯罪の当事者もきちんと罰を受けました今後この様な事はしないでしょう」
「よくわかりました、レオ殿の勧めに従います」
「そ、それと長老様、報酬なんですが‥」

そう、まだそれが片付いてない。レオは別にどうでもいいのだがこれもケジメだ、人の善意に頼って、そのままだと寧ろ反って有害でもある

「今は白銀はそれ程価値が無いのですか‥そうですなぁ‥」

とじーちゃんも一考した後
一旦奥に下がり、剣を携えてレオに渡した

「こんなモノしかありませんが、どうぞおそらく、現在でも価値があります」
「武器か、まあ、それでいいよ」
「これは‥?」
「大昔のモノですが、精霊武器ですな、ドワーフと交流があった頃作ってもらった名剣に我々が風を付与したモノです。レオ殿は剣士ですし、魔物と戦う事があれば有効なハズです」
「精霊武具か、これは確かに珍しいけど、いいのかい?」
「いえ、三本ある内の一本です構いませんよ。倉庫の肥やしでも勿体無い、私はもう使えませんから」
「分った、感謝する」
「それと、この時間ですから泊まっていかれるといい、急ぎとの事ですが、そのくらいはいいでしょう」
「そうだな、甘えさせてもらうよ」

そうして、エルフ集落に滞在し泊まるがやはりそれなりのもてなしは受けた、まあ、そんなに豪華なもてなしする程裕福でも村の規模デカイ訳でもないし、フツーだ、そもそも人口八十人くらいだし

それとプリムの言ってた

「エルフ集落の危機!救ったらモテモテですよ!」

はそうでもない、村の公共施設みたいな所を宿代わりに滞在して、飲み食いタダなだけで、エルフっ娘が世話してはくれたが別に元々人間に敬意を持って居る訳ではない、無論

「レオ様、有難う御座います」という言葉での謝意はあったが

それもまあ、種族的な事情がある、エルフが人間から見ると、偉そうとか、お高いとか見えるのも、当たり前の話だが、基本的にエルフから見れば人間なんて「ガキ」だから

何しろ「凄い年下」な訳だし生きてる年数が違う、当然向こうからすれば「なんやこのガキ」て対応とか態度になるのは仕方無いだろう、集落を救った勇者、だとしてもモテモテて事はない

ただ、まあ、レオはその「なんやこのガキ」ではあるが敬意は持たれた、これほどあっさり戦闘せずに全部解決したし、レオはエルフの女性からみても美的感覚的に「いい男ね」の範囲なんだから、まあ、向こうから見れば「可愛いわね」になる

そんで、性的にそういう趣向な人も居る「男らしい頼りになる」より「可愛い年下」が好きな人もいる所謂ショタ趣味

飲食のもてなしのついでに二人、凄いおっぱいの色っぽいお姉さん系と人間の感覚で言うと三十歳半ばくらいの母性系のエルフ娘に左右から耳打ちされた

「エルフの中も中々名器ですのよ、今夜試してみます?」
「大したおもてなしもお礼も出来ませんけど、私の夜伽で‥」と

そりゃ君らの趣味だろ、とは思ったが薄手で透けそうな白い衣装に、ぬける様な白い肌、二人のムチムチ美女に言われると、それはそれで嬉しい、勿論、アルに感付かれて二人の美女は追い出された

「何しとんじゃコラー!」とかいって、凄く勿体無いがまあ、仕方無い。

「ところで、被害者のエルフ女性は?」
「ええ‥、幸いと言ってはなんですが、実被害は二人ですし負傷した訳ではありませんので、私達には精神的傷はある程度治せますので、時間は掛かりますが大丈夫でしょう」
「それは?」
「薬や術で誘拐されてた前後記憶を飛ばすという方法があります、既に行っていますので、何れ戻ります」
「そうか、完璧とはいかなかったが、一先ずよかった」
「ええ」

レオらは当日エルフ集落に泊まり、翌、正午近くに村を出立するのだが

「え?プリムも来る??」
「迷惑で無ければ‥」
「何で?」とは思ったがそれは二つの理由である

一つは「エルフは一定の年齢には社会に出る事」があるそう、どうしてもこういう場所で小集団でえらく長命となると引き篭もり気味になるので、一度は人間社会に入って様々なモノに触れる事、道を選ぶ事

二つに長老様から指示である、長老はレオを占い、こう言った

「彼はこの地に住む者にとって恒星と成りうる」と
「恒星?太陽ですか」
「左様、お主は彼に付いて行った方が良い、特別何かする必要も無い。彼は傍に居る者を軽視はしない、ただ、同行するだけで良い」
「ハァ、確かに優れた人物ではありますがエルフ族にとっても有益なんでしょうか?いえ、もうそうなってますね‥」
「そういう事だ」
「分りました、長老様がそう仰るなら」

と言った遣り取りがあっての事だ

「知学と術が使えます!お邪魔にはなりません」
「まあ、いいんじゃないか?そういう事なら」
「そーだね」とレオもアルも迎え入れ

そうして、エルフ集落から出立した

更に二日掛けて、傭兵国のクライブに到着、再び宿を借りて滞在した、三人という事で、比較的大きな宿、リビングみたいの一つと、其々別々に寝室、小部屋が付いた所を借りる

アルとレオは一緒でもいいが、プリムはそういう訳にもいかんだろうという事でそうなった、元々此処に来た目的でもある闘技場を観戦、実際に本場の闘技を「客側」と観戦する、先に見ておかないと後々問題もある

レオ自身は闘技に参加するつもりはあまりなく、アルに任せようと思ったからだ、勿論、経験と訓練もあるがレオが出ても基本的に練習とか修行にはならないなと思った

そもそも一般の人間剣士程度だと実力差が有り過ぎてあんまり面白く無いし、鍛えられるとも思えないし、今は金はたんまりある

レオの目から見た限り、アレハンドロの闘技場よりはやはり平均のレベルは高いだろう、これくらいならアルゼンタもそこそこ良い勝負になる

そこで早速当日から翌日も闘技を任せるが、結果は二勝一敗で普通に勝ち越した

ただ、それで欠点というか間違いも分った、レオもアルにそこを伝えて、戦法というか武器自体を変える元々普段に渡して保持させていた片手剣だったが街で違う武器を買い与えた

「シールドバトン」という武器

これは片手に籠手の様な盾、片手にトンファーに近い武器、現在で言うトンファーとは違い、トの外側にちゃんと刃が付いて、切るとか、突くとかが可能な武器である

レオとアル、持って居る才能とか技術とかは同じに見える、どちらも速度と反射神経に優れ、体格と腕力に劣るので、レオは自分の技とか手法とかを教えて同じスタイルになっているが、実際は戦い方の特徴が全く異なる

レオはあくまで後の先。
自分からは不動の構えで相手が動いたのを見て、その攻撃にカウンターとか小手打ち、隙に打ち込む、それが可能な程、技と動体視力に優れている、職業で言えば「フェンサー」現在の武芸で言えば「古武術」で、正確無比で高い技術が土台の正統派の達人の技

一方でアルゼンタはリズム、フットワークを使い速度を活かして常に相手を中心に左右どちらに移動しながらグルグル周りつつ、移動と攻撃を連動したすれ違いざまの、カット、切り裂き。

だからレオ程、見て避けている訳ではないしパワー差の出来難い近接での距離を活かしている、いわば「嫌らしい」相手、職業で言えば「アサシン」現代武芸では「ボクサー」に近い

であれば、中型より短い片手剣を持たせる必要も無い、もう一つが、レオは見て避けているが、アルゼンタは予測と常時移動で避けると空振りさせているのでそこまで回避に優れて居る訳ではない、だから棍と盾、で両方補った方がよくその方が強いと考えた

実際、それに近い武器と盾に変更させ、自身との立会いで慣らした後、闘技に出したが抜群に安定感が出、更に三日間の闘技で五連勝した

「驚いた‥アルゼンタさんは強いんですね見た目とは大違いです‥」と、プリムスも驚きつつもチケットを握り締めて、半笑いだった

「お前賭けてたのか‥」

半笑いの理由はそこである、身内だからアルゼンタさんに賭けとこ、とか軽い気持ちで手持ちの金で賭けたのだが全部勝ってしまった

しかも見た目、年齢からあんまりオッズは良くない、つまり「比較的穴」だったので、よく分らずアルに賭けたが偉い儲かってしまった

換金して配当を貰ったが金二枚に化けて「どどどどうしましょう~!」とか言ってたが

「まあ、程ほどにな、アルもまだまだ達人じゃない必ず勝てる、負けないとは言い難い」
「そ、そうですね‥ていうか怖い‥こんなあっさり儲かっちゃって」
「そうだな、逆もあるからな、あんまり嵌ると困るぞ」
「ええ。けどアルゼンタさんは闘士なんですか?」
「いや、そういう訳じゃない、対外的には俺の護衛て事になってる、あくまで今はアルに実戦経験を積ませてるだけだ、専属闘士の類でもない。まだ伸び白はかなりあるし、大体、俺が出てもつまらんからな」
「つまらん??」
「にーちゃんは強すぎるからね半分くらいに手加減してもらって、僕と同じくらいかも?」
「ええ!?‥そうなんですか?そんな風に見えない‥」
「そういう訳で俺は闘技にはあんま出ない。まあ、コレという相手が居れば出てもいいがな」
「あれ?でも護衛要るんですか?それ?護衛対象が護衛より強い、て‥」

とプリムも言ったのでレオとアルの関係も説明した、ただ、言われてみると「あ~」とプリムも納得はした

短い期間しかまだ一緒に行動してないが、アルゼンタはレオに対して敬意と愛情が見える

専属護衛とか、師弟という感じでもない、レオが呼ぶと尻尾振って喜んでるし、どこでも彼に体を寄せている「犬系の獣人だからかな?」とは思ったがそれを越えた「好き」が見えてはいた

少なくとも、主従、護衛、性の相手という、獣人の雌を従えている他の人間との関係ではないだろう、プリムは二人のとき、その事も率直に聞いてみたが改めて聞かれるとアルもよく分ってないないらしい

「どうなんだろう?恋人か?て聞かれると分んない、僕が一方的に好きなだけかも知れないし、そういう事情あって「してもらった」感はあるし」
「その後もエッチしてるんですよね?」
「あ~‥うん、してるというか襲ってるというか‥」
「襲う?!、女性が自分から襲うとかあるんですか?」
「ま、まあ、実際そのパターンが殆どだし‥」
「そんなに良いものなんでしょうか?」
「え?まあ‥僕は、だけど」

その後質問攻めにあって、根掘り葉掘り聞かれるが、まあ、プリムも興味はあるんだろう、実際問題結構な年齢ではあるし今まで相手が居なかったし興味津々ではある

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