八法の拳

篠崎流

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桜花

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全女のプロレス興行、今日のメインは。葉月&中村VSアニタ&ヴェロニカであった、いわゆる若手軍身内対抗戦4強対戦で凄まじい客入りだった

が,「チョ!ナニシテルデス!ロニー!パスパス!」
「パスチガウ‥」アニタの要請に答えて、ロニーが答えず

千里に捕まってスタンディングの羽折を極められる、そこにロープワークを使った葉月の正面からのニールキック炸裂、千里のドラゴンスープレックスの黄金連携が決まる

なにしてんの?!とアニタが自陣からカットに飛び出すがそのカットを葉月が妨害

アニタの足元に滑り込んでスライディングキック、前にうつ伏せに倒れ込む所をそのまま仰向けで迎え入れフロントネックロックに捕らえる

そのまま蓄積ダメージの大きさからロニーはカウントを取られて敗北

中村千里 (ドラゴンスープレック勝利 試合時間20分)という結果でアニタ&ヴェロニカの敗戦となった

単純に実力を足せばアニタ&ロニーのが優勢だが、葉月&千里は後半から優位を取るとそのまま流れを保ち、耐久力の低いロニーを攻め立て勝った

理由は明白である
試合後アチラサイドで言い合いに成った

「何で直ぐ代わらないデスか!」
「お前のカットがヘタ」

プライベートは兎も角この二人はタッグ戦がヘタクソだった、ロニーもアニタは自分が中心、これで上手く試合が運べたら奇跡だろう

葉月、千里の連携、役割分担、オリジナル合体技の上手さ、これが単純に女子プロで最も上手いタッグと呼ばれるゆえんであり、そのコンビネーションの差でこういう結果になった

八陣の家に戻っても同じだった

「何でウケのヘタなアタナがメインで回すんデス!」
「オマエの方がヘタだろデカチチ」
「なんですって!このテッカメン」
「単純にオマエがヘタなんだ、葉月と組んだ時はカイテキだったぞ」

そこでアレ?と思った、お互い

「で?どうしたのあの二人」
「うん、今日の試合でね‥」とみやびと陣に葉月が説明する

そしてみやびも陣も分った

「んー、葉月も相手に合わせるのが上手い訳じゃないんだけどねぇ」
「だな、ただ、どう動いたら邪魔になるか、ならないかを知ってる、てだけだろ」

そう返されアニタもロニーも「?」だった

「上手いわけジャナイのにウマイ?」
「確かにロニーの云うように葉月と組むとカイテキです、ナンデスカ?」

だった、興味がソッチに移って二人の喧嘩も止まった

「そうですねぇ、相性はあるんですけど、どっちかが合わせれば上手く行くんですよね、コンビネーション、て」
「どゆことですか?」
「まあ、とりあえずゴハンにしましょう、今日は遅いですし、明後日の日曜に指導します」
「り、了解ッ!ボス!」

と二人も答えて静かになった

そして日曜日、各々用事を済ませて午後3時には道場に集合である

「えー、それでは八陣拳、第二拳「舞」の「桜花陣」の基礎を指導します」
「ヨロシクオネガイシマス!」

無論当のアニタ、ロニー以外も全員集合である。どうせ教えるならいっぺんに、という事だ

そしてみやびと、葉月自身も何時もの胴着で無く着物と扇子持ちである

「二拳の「舞」は元々隠密の使った技で、表舞台、つまり芸子等に化けて潜入し対象の相手を、守る、暗殺する、どちらかに使ったものです、従って1拳の「影」と表裏一体な技です、故にこの二つは「影舞」と呼ばれても居ます」
「何故キモノなんですか?」
「お分かりとは思いますが公式な場での衣装、で潜入や護衛をします、故に大昔の正装を前提にして決して転ばない事を追求した、また、細かい歩法の運足中心です」
「まあ、術理は兎も角、実際に私と葉月でやって見せます」

そして陣がスーパーセーフの防具着用でみやびらに対峙

「?つまり二対一戦闘?」
「まあ、本来は必要無いんですが、なるべくちゃんとした形で見せておきたいので。一回だけ人間相手にやりますから、目を離さないように」
「ほほう」

と北条も興味深そうに注目した
みやびが前に出て陣と対峙、葉月はみやびの後ろのポジションに付く

「どうぞ」とみやびが声を掛け

陣が前に踏み込む、そこから直突き、みやびがそれを両手で受けると同時左そとに僅かに運足移動、前に道が開いた途端、葉月は右の前に駆けながらのサイドキック

陣はこれを左腕でブロックして防ぐ、瞬間掴んでいたみやびが手を捻って陣に小手投げ転がすように前に投げる

ゴロンと転がって体勢を整えるが中腰姿勢の陣に葉月が真正面から首を抱える

所謂何時ものフロントスリーパーの格好、そこにみやびがスッと寄って陣の左肩に腕を差込同時に葉月が首を離して後ろに飛んで離れ、みやびがまたそのまま前に投げる

陣はそのままもう一度ゴロンと受身を取って立つがそこに待ってましたと葉月が陣の右腕を後ろ手に、そのまま上に引っ張り立たせながら、今度はみやびが捕縛した相手、陣に正面からセーフ防具の上から扇子で額をパンと叩く

と、そこで止まり、3人離れて軽く礼をした

「大体こんな感じです」
「な、ナルホド」とアニタもロニーも言ったが分ってない
「大人数で一人の相手に対して連携して動く練習か」

ヘルメットを脱いで陣も答えた

「いや、これは人数は関係ない。2対10でも20でも使う」
「ムズカシソウ‥」
「基礎は二人組みから始めますからそうでもないと思いますよ、そしてこれが葉月が「上手い」理由です」
「成るほどな、元々示し合わせの技の練習をしている、という訳か」
「はい、野戦武術ですから、一対一というのも限定されていません、一人で大人数相手にすることもあります、そして「桜花陣」は集団戦法でなおかつ、味方に被害を出さない事を考えらて作られています」
「面白いな‥どこでも習った事が無い、というか見た事ない練習だ」
「ですね、そして葉月のプロレスでやっているのは本当に「基礎」です、これはそう難しくありません」
「ふむふむ」

「ただ、今の乱取りですが、実際は示し合わせで無く、全てアドリブです」
「マジで?」
「うん、ただ、難しくはないよ、二対一なら交互に攻めればいいだけ」
「ええ、ですが、1の人の動き終るのを待っていては2の人の技の入る率が下がります、従って1,2の間を極力縮める、相手が回避し難い業を入れて2・3の次の人を補助する意味と必要があります」
「その場の判断が難しいな」

「即興合わせだとそうかも知れませんね、ただ、基礎は一定の決まりごとがあるので普通に出来ると思います」
「兎に角やってみる事だね」
「ハーイ」

基礎は難しくない、と言ったとおり、初期練習は非常に単純である、二人一組で交互に的を叩くだけだ、左右に分かれて交互に布団たたきをすればいい、慣れれば1,2のタイミングを1に近づけていく

そしてそれが問題なく出来れば、お互い的の前に交互に入れ替わり、スライドして横移動しながら、また交互に打撃するだけ、その後対人で1の業を入れ、2の攻撃をする人、相互に続き易い業を交互に入れていく

例えば葉月と千里がやってるように、後ろから相手に羽根折り固め→次の人がラリアット→前から殴られて後ろに倒れる反動で1の人がドラゴンスープレックス。など、敵が回避できないように組み立てていくと連続・連携として繋がり易い

しかし、この時点で既にアニタもロニーもミス半々である
思いっきりロニーとアニタが交錯して畳に落ちた

「ハヤイデス!ロニー!」
「ゆっくりやってたらアイテによけられだろ」
「あのなお前ら、練習なんだから全力でやらんでいい、これは味方を見ながらタイミングを合わせる練習だから」
「す、すみません」

「それと途中でミスったら打撃にしろ投げにしろ、途中中断できる力配分でいい、8割くらいのつもりでやれ、じゃないと2の奴が1の奴を殴りつけて同士討ちになるぞ、その時点で集団戦は負けだ」
「リョーカイです」

「しゃーないなぁ」と陣はキックミットをアニタに渡して構えさせる「ほれロニー打て、1~、2~」とボスボス叩く

そしてアニタとロニーを交換、そしてまた同じ事をやる

「どうだ?こっちはゆっくりだけど間断ない攻撃に見えるだろ?」
「ハ、ハイ」
「これはヤラレル方はたまったもんじゃアリマセーンね」
「そういう事だ、連携攻撃、てのはある意味こっちが楽になる、それを頭にいれて技を繰り出せばいい焦る必要もない」
「なるほどなー」

「しかし、逆に受ける方はどう防ぐのだ?」
「1を受けずに2をどう崩すか、だろうな、1の攻撃を防いで投げるか捌くかして2にぶつける、とかか?」
「後は捌きで1を壁にするポジョンに移動させるか、だな」
「そうそう」
「自分も一対多数てのはやった事ないからな‥考えてみると難しい」

「そうだなぁ、特にちゃんとした試合でしか戦った事が無い人間には不慣れ、というか経験がないからな、そもそも純粋な格闘技で有るほど型から外れる要素に対処してない」
「ふむ‥」
「んー‥無いこともないかしらねぇ」
「と言うと?」
「そうですねぇ、合気道はどちらかと言えば一対多数前提も多いかしら」
「それは?」

「一つに歩法、二つに移動投げが多い、かしら?」
「ああ、そうだな、捌きも投げも、立ったまま、尚且つ掴んだ相手の左右に移動しながらが多いからな」
「確かに、所謂乱取りや演舞の類も一対多数とかあるな、何度か見た事がある」
「ま、その意味空手や拳法はまだマシだがな」
「寝技だと悲惨だな」
「だからこその八陣、なんですけどね」

「そうだな、八陣には「立ち」状態からかける投げや関節も結構あるし」
「伊達に野戦武術ではないな」

開始から一時間程経った為、そこで一旦休憩。以降は自主錬など自由に、と解散となった

ただあまり上手く行ってないのでアニタとロニーは葉月と共に残って続けた。実際示されて体験した事により、言い合いも無く「配慮」が上手く行く様に次第に成っていくのである

「連携、はワカリマシタけどカットのタイミングはナンなんでしょう?」
「えー?‥なんだろ?んー、例えばボクが千里ちゃんだったら、ここで入ってくれたら助かるなーと考えるだろうとか、この技はこの時間帯に決まったら痛いなぁ~とか」
「ウーンイマイチわからない」
「察しろ、てのは実際難しいからね、ボクはその辺千里ちゃんとハンドサインとか決めてあるよ?」
「ああ、ナルホド」
「そういえばワタシ達は一切やってませんでしたね‥」
「プロレスにはそういうのあるのか?」
「ええ、元々アリマスね、関節のキツイときは味方を呼ぶ招きとか」
「フーン」
「どっちも本来はシングルプレイヤーだしね‥特にロニちゃんは」
「ウン」

アニタもロニーも負けん気は強い、故にこの練習やタッグ、6人タッグに合わせたやり方も研究する事となる

実際この「桜花陣」の練習は役に立った、プロレスでの連携攻撃や合体技というのは早い話「相手が可能な限り避ける」ではなく

それが難しい場合「あえて受ける」余裕が食らう側にもある、そして打撃戦で無く投げ中心である為、そこまで精密な連携はいらない。1の終わりを待って2を打つが簡単という訳である

そこからのアニタやロニーはチーム戦もそこそこ回すようになる

二週間程経ったある日

「え?今度の武道館メイン6人なの?」と葉月も驚く
「うむ、来週WWLからヒールの大型選手のコンビが来るんだけど、いい機会だから、葉月ちゃんとアニタ、ロニーでやってもらったら面白いかと思ってね」
「て、ゆっかもう一人も外人選手じゃん」
「ああ、葉月ちゃん、アニタ、ロニーとなると相手に付ける選手がな」
「確かに戦力バランスが‥」
「そういうこっちゃな、んで、この場合相手もヒール専門だからウチで付けるのがあんま居ないんだよね」
「ま、しゃーないか」

そう決定されたが、この派遣されてくる選手にアニタは難色を示した

「デストラクションズですか‥」
「なんか問題あんの?」
「ふつーにデカイです、体格が、それとヒール専門ですが、よくブックをぶち壊しにするので有名です」
「どゆこと?」

「ホントに狂犬ですよ、キレたら何でもしてきます、非常にやりにくい、彼女らの戦績の3割は反則負けです」
「ええ?!」
「ヒール専門、ですが、わざとやってるんじゃなくて当人達が望んでやってます」
「うわ‥」

そして当日。

そのメイン試合となったが。当初は普通の試合だった、相手のデストラクションズの二人もオーソドックスなレスリングを展開して比較的いい試合だった

こちらは多少連携も改善していたのと間に葉月はいったのが大きく、メインにアニタ中心で回して、ロニーとタッチワークさせて葉月は完全に補佐に回った、順調な試合運びだった、が15分過ぎ、その葉月が狙われる

相手選手との組みあいの中コーナーに控えていたディストラクションズの1人がいきなりノータッチで乱入、しかも味方が危険な場面ですらない、そして2人がかりでリング外に投げ落とした

「ちょ!?」と思った途端もう一人が葉月を背後からどこから持ち出したか木刀で一撃、そのまま倒れた所へ乱打である、この間僅か5秒で止めに行く隙すら作らせなかった

無理矢理リングに押し上げられ、そのまま終了を回避したが、戻されたリング内でフォールを取らずにそのままぶっ倒れている葉月に追い討ちストンピングの連打

アニタとロニーも救出に出て相手を退けて葉月を引っ張ってどうにかタッチだけは成立させたが、負ったダメージが大きいのか、葉月は転がってリング外にエスケープしたまま動けなくなった

相手は確実に勝ちに来た。
そしてこのチームの生命線が葉月だと見切って潰したのである

「どこかで何かしてくるのでは?」とアニタの頭にはあったがまさかのやり口だった、完全に三対二の状況にされる

アニタが出て自分の耐久力とスタミナを使い試合を回すアニタなら千里程化け物タフネスは無いが、かなり防御力と耐久力がある、それで凌いで葉月の復帰に時間を稼ぐしかない、と思った

が向こうにまともにやる気がない、この状況を作ったら一人づつ潰せばいい、まして数の優位が自分らにある

実際タッグマッチ、向こうはヒール系であるからに大技が入れば、直ぐにカットに出てきて潰す。特にロニーはサブミッションメインだけにタッグマッチで人数負けしてるともうどうしょうもない

寝技が入った途端敵のノータッチ乱入が繰り返されすぐ外される

場慣れしてるアニタとは違い、ロニーはこういう事態その物が始めてである、そして逆に冷静ではなかった正直ムチャクチャ腹が立った。相手と組み合ったままロニーはいきなり大声でアニタに言った

「アニタ!オウカジンやります!カモン!」

云われてコーナーで休んでいたアニタも「!?」な事態である

アニタが「え?え?!」と慌ててリング内に出るが準備も何も整わない内にロニーが相手に組みあい状態からスタンディングのアームロックから相手の背後に回りながら背中から突き飛ばすように自軍コーナー側に投げ押した

「ちょ!?」

とアニタも咄嗟に前からつんのめりながら飛んで来る相手にラリアット、相手選手が交通事故でぶつかった途端ロニーが背後から腰に手を回してロック、そのままジャーマン、しかも投げ捨てで投げ飛ばした

レフトハンドアニタキャノンから高速ベリートゥーバック
即、KOでも可笑しくない、二人の必殺技連続攻撃だった。だが、驚いたのはその後だ

ロニーはフォールにいかず、うつ伏せで倒れた相手の頭を掴んで無理矢理立たせて敵陣に引っ張っていく、そして向こうのコーナーに投げつけて人差し指で残り二人に手招きした

「I crush out to Come beating(出て来い、叩き潰してやる」だった

これに怒った相手もタッチから出てくるが、今のロニーはプロレスする気等微塵も無い

相手が組みに飛び掛って来た所をカウンターで高速タックルして相手だけその場に倒す

仁王立ちから相手の左足を取って中央に引っ張ってからスタンディングで足首を締め上げる

相手がロープに逃れようと動いた途端、足を取ったまま相手をひっくり返して、逆片えび固めハーフボストンクラブ

レフェリーが相手にギブアップか?を聞く前に今度は足を極めたまま相手の上で頭側に回転してうつ伏せにのしかかり

首と腕を抱える様に取り、チキンウイングフェイスロック気味の変形STFに極める

当然パートナーもカットに入ろうとするが、その瞬間技を解いて立ち上がりつつそれを止める。同時サインを送りつつ、うつ伏せの相手を立たせ

ボディーに膝を一発入れた後、掌底を綺麗に一発スパンと入れて後ろに突き飛ばした

無論待っているのはアニタだ背後から必殺の「ハイゲートブリッジジャーマン」を叩き込んだ

余りの連続攻撃と連携に会場も「おおお!!」と声が出る

ディストラクションズの相方も、もうなりふり構っていられない、木刀を持って素早くリングに駆け込みロニーに殴りかかる。が、待っていたのは「螺旋の掌底」だった

カウンターで思いっきりアゴに叩き込み相手をその場に棒立ちにさせた。狙った訳ではないがかなり綺麗に入って脳が揺れた

フラフラと力なく膝から崩れそうになるが、ダウンさせてもらえない。ロニーは相手の腕を取って叫んで投げる「アニタ!」と、一本背負いの形で

投げられた相手の背中に待っているのはマットではないアニタのローリングソバットの「足」だった

背負いの投げの頂点の高さで合わせてアニタがソバットを放って、その場に蹴り落とした。丁度飛んできたボールをソバットで蹴り返す様に

加減はしたのだが投げの反動の勢い逆方向からカウンター気味に蹴りが入って相手もその場に昏倒である、リング上は死屍累々状態だった

レフェリーも試合の権利のある相手に向けてダウンカウントを取る、無論その必要すらない、もう相手側全員KOと言っていい

かなり早めにカウント10をとってKOを宣言してゴングを鳴らした。試合時間25分(ヴェロニカ 掌底→ハイゲートブリッジジャーマン KO勝ち)と一応記録される

終盤のスパートから一方的な勝ちでプロレスらしくない決着だったが盛り上がった、兎に角ロニーとアニタの連携が見事であった

そして試合の流れ、特にシナリオの類も無いのだが、葉月軍の司令塔でもある葉月が相手の反則攻撃の連打からやられる

怒ったロニーとアニタがほぼ3対2の状態から大反撃、厳しくも美しい連携でハイスパートな試合を作り逆転して相手=ヒールをぐうの音も出ない程完璧に叩き潰すという書いた様な展開で大いに盛り上がった

少なくともお客さんからはそう見える完結であった

幸い、大きなケガ人も出てない、ただ、ロニーを怒らせて途中食らった、アンクルホールド→ハーフボストンクラブ→変形STFの鬼コンボを食らった相手は左足を痛めた

単に連続で足関節を取られた、というだけでなく、関節を極められながらの技の移行だ

左右上下に捻られながらである、強烈に痛い上に1→2→3と技の難易度と脱出難易度が上がるという凄まじく厳しい攻めである

勿論この即興連続関節も後ファン投票で
「ソードデモンズアンクル」と勝手に名づけられる「それ文法マチガッテルぞ?」と思ったが折角ファンが付けたので云わずに感受した

試合後葉月もまだ頭がフラフラしていたのでそのままアニタらに抱えられて退場

相手側も足を痛めた選手だけタンカで10分程して他の二人も起きて戻った

「ロニーてキレると怖いんだなぁ」
「元々セメント側の選手デスからねマジになるとツヨイでしょうね」
「普段が大人しい人程キレると怖い‥」

一方当のロニーは控え室で何時もの置物に戻って野菜ジュースを啜っていた

「‥‥おいしい」
「それにしても桜花陣が役に立ちましたネ」
「ウン、プロレスでヤルノはそんなに難しくない」
「交互に技入れればいいだけだからね」
「こうなるとカエシ技も練習シタイデスね」
「ドウカンダ‥ラスボスに頼もう」

そんな具合でタダでさえ業界敵無しなトリオがドンドンパワーアップしていくのであった

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