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噛み合わせ
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夏前のNEO道場で
「対抗戦?」そう素っ頓狂な声を上げたのは若手陣である
「嫌な思い出が蘇るなぁ」
「別に嫌ならいいけどな、断るだけだし、こっちとしても負けてまた評価落ちても困るしよ」
「ま、紫藤の連続負けがな‥」
「すんません‥」
「相手が悪すぎたからしゃーないちゃしゃーないが」
「で?社長どうすんですか?」
「ああ、そこで今回は向こうの総合系の中位の連中からやるのはどうだ?と持ちかけられてな」
「連中、て事は大勢来るんすか?」
「そうだ、八陣との対抗戦と同じだ、なんだが‥」
「ウチ紫藤以外シューター系居ないっしょ」
「つーわけでだな、後二、三人どうにかしなきゃならん、んでお前、ファルコン出ろ」
「マジッスか‥無理ッスよ」
「オレ出てもいいんだけど、向こうも中堅選手なんだよなぁ」
「それ、社長やるのは問題っすね」
「なんだよな、だからこっちも中堅以下の年齢の奴でだな」
「ナルホド」
うーん、と一同考え込んだ
「そう、ッスね、とりあえず社長、奥さんに聞いてみたらどうですか?」
「ふむ、そうだな」
「んで、オレの意見だけ先に言わせて貰うと、八陣の連中引き込んだらどうッスかね?」
「ほう‥」とファルコンの言に織田も瞬時に理解した
「そりゃ面白そうだな」
「でしょ?、それに、事、総合となりゃ引っ張り込めなくても色々習えるかもしんねーし」
「そうだな、色々今の言葉で閃いたぜ」
そして当日の夕方にはアポを取って来訪した「八陣」に
八陣の一同も織田社長を迎えて居間で会合となった
「そういう訳でして」
「NEOに乗り込んでくるという流れですか」
「ええ、まあ、こういっちゃなんですが当人がやりたいって事で好きにやらせてるんですがね、紫藤ですが、八陣との対抗、総合での惨敗と、プロレスは弱いな、という声もですね」
「うーん、でも別に紫藤さんがどうこうて話でもないけど」
「デスね」
「ま、それはいいとして織田さんはどの様な形を希望されて?」
そうみやびが聞いたのも「あの」織田が態々ここに来るというのは策なりプランなりがもうあっての事だと思ったからだ、故に、織田も素直に隠す事なくプランを述べた
「そうッスね、前に対抗戦やったのもあるし、そちらの3人から誰か早めに参戦してもらって、そこで相手が殴りこみ、ウチと八陣が組んで撃退、て流れで考えてますね。そんで、こっちには総合系とやれる奴あんま居ないし、八陣の3人ならだれが来ても過去の因縁がありますだから逆にそれを解消するキッカケになるかと思いましてね」
「成るほどねぇ~過去の敵が今度は味方に、という事ですか」
「上手い考えだな」
「ええ、それといい機会なんで。ウチの連中にも八陣の手ほどきが受けられれば、と思いましてね。別ジャンルとやる際に役に立ちますし、紫藤にも勝ちを拾わせてやりたいんで」
「相手は何人なんでしょう?」
「来月、とりあえず五戦ですね、それの結果見て継続するかしないかですね」
「うーん、教える面、因縁、という意味では私か陣ですね」
「ッスね」
「と、いう訳なんだけど、陣」
「ん、まあ、いいけど、大学もそんな忙しくないし」
「それでとりあえず紫藤さん、陣で二人ね」
「ええ、んでファルコンでも出しとこうかと、相手が誰でもそれなりにやるでしょうし」
「それもムチャな気が‥」
「葉月ちゃんが代わりに出てもイイッスよ?」
「流石に総合とか喧嘩戦はちょっと‥」
「やれなくは無いだろうが、面白くはないだろう」
「うん、プロレスのが好きだわ、やっぱり」
そんな流れで八陣からは陣が出される事になる。ただ、あくまで八陣の者としての立場を明確にして胴着も長としての黒胴着で出る
そしてこの会談から二日後という速さ。それにはシナリオ有っての事だ
まず紫藤が過去の因縁から陣を名指し指名
それを受けてプロレスのリングでのシングル戦の実現。試合後、健闘を認め合い握手、合流という「外」に向けての見せだ。これで八陣が直接関わっても不自然な点は残らない
そして直ぐに「紫藤&陣」のコンビでのプロレス興行にも数試合参戦、これも当って通常とは違う盛り上がりを魅せた
その理由は単純だ本来どちらも総合系のスタイルで打撃戦が主流だが、葉月のプロレス参戦とは違い、陣が「最初からベテラン並みに上手い」という事である
敢えて、打撃を抑えて、投げや関節を使い、お客さんの反応見ながら力も緩急を付ける、更に紫藤を立てて、フォールやKOを連携して譲る等、配慮をする程の余裕があった為だ
何だかんだで試合を見に来てた二人も納得だった
「陣兄、て基本器用だし空気読めるよね」
「なんていうのかしらね?器用貧乏の上位互換?」
「それ、褒めてないんじゃ‥」
「そう?」
「でもまあ、よく分ってるよね」
「そうねぇ、結局お客さんあっての興行ですしね。打撃で一方的に倒しても誰も喜ばないし、葉月みたいなド派手スタイルなら兎も角」
「だね」
そしてNEO道場には陣とみやびが交互に訪れ、総合戦、特に打撃術や近接での攻防の指導をした、この時点で既に紫藤の方も陣らに遺恨はない
「今日もよろしくおねがいします!」とビシッと頭を下げて挨拶するほどだった
理由は単純、彼も過去の敗戦から「このままではいけない」と察し積極的に色んな人に頭を下げて教えを請う様になった
特に陣やみやびは自身が手を合わせて「圧倒的である」と認知した点、みやびに至っては総合日本大会での相手チャンプを瞬殺した程の人だ
本来なら土下座しても教えを請いたい相手であるという認識、しかも今回は向こうから来てくれているそういう事情があったからだ
「あの一拍子、て蹴りは難しいんですか?陣さん」
「人によるけど、ちょっとやそっとじゃ習得出来ないかな、ただ、3のアクションを縮めるのはそんなに苦労はしないで出来ると思う」
「ウッス!じゃあお願いします!」
「OK、とりあえずサンドバック打ちなんかの普段の練習からやっていこう」
と、こんな感じで既に弟子みたいになってた
通常の打撃練習、そこからの組みあい、所謂マウントでの攻防の基礎部分と、実際陣とのスパーリング半々だ
この手の実戦系技術の場合、より隙の無い相手と戦い、その中で指摘しあうか、修正箇所を探す方が早いそれ自体、八陣の乱取りと同じだ
「なんか上手く行ってるみたいっすね」
「そうですねぇ‥紫藤さんも自分を見つめ直したのが大きいです、陣も礼儀礼節を守る相手には寛容ですから」
「どうなんすかね?紫藤はみやびさんから見て」
「んー、体格もいいし、才能は勿論あります、よく練習しますし、問題なのは基本的な技術の差ですから、直ぐ総合・立ち技でも戦えるラインまで行くと思いますよ?元々打撃からの寝技系だし」
「そりゃ楽しみっすね」
「寧ろ問題なのはファルコンさんの方ですけどね‥」
「ご尤もです、オレは純粋にプロレスですから」
「そういう訳でビシビシいきます」
「はい‥」
ただ、ファルコンの場合基本的に投げも寝技も上手いし、相手によって変える起用さがある、実際指導に当ったみやびも打撃の防御に集中して教える事になる
問題はもう一人か二人は必要というのもあった、対抗戦のカード自体おそらく五戦、来月前半、一ヶ月はゆうに時間はある
そこでみやびも織田と相談したがJrから若手でキックが得意な選手を一人どうにか出した所で詰んだ
「んーやっぱり私が出た方がいいのかしら‥」と悩んでいた時救世主が現れる
「おう!やってるな」とNEO道場に顔を出したのが「オヤジ」である
「あ」「いた」
事情を説明して冬智も「面白そうだ」と二つ返事でOK、これでどうにか5人揃えた
そして当日を迎える
この手の対抗戦はやはり盛り上がる、中々の客入りだった。ただ、プロレス側は厳しいだろうという見解がファンにはあった、元々昔から対総合戦とか立ち技相手というとプロレス出身者は余り勝ってない
旧パンクラスの様な、そういう戦いを前提にした団体なら兎も角、NEOは王道のプロレスであるし、別ジャンル戦となると近年から勝ってない
「不利ではないか?」と関係者も思っていた
だが一方で八陣との共闘
更にめったに出てこない陣と御大でもある冬智の参加だ、期待も同じくらいあった
試合はシングルの戦の5回対抗戦
プロレスリングでプロレス試合、打撃メインな事も考えられオープンフィンガーグローブの着用の義務付け、ダウン10カウント、ギブアップ、エスケープ有りの試合
そして八陣との対抗戦と同じく、ノーカードとなった
そして一戦目
NEO側はキック主体の若手選手が出た、だがにも関わらず開始30秒右ハイで逆にKO負けする、当然「あー‥」と全員思った
二戦目、ここで
「しゃーない、とりあえずイーブンにしてくるか」と早々に冬智が出る
相手の立ち技系も冬智がデカイ事、八陣の「長」である事を考慮してヘビー級の外国人を出してくる
体格差は略無い
冬智も相手も180センチ後半で100キロ前後
が、開始10秒、冬智の正拳突きを相手が両手ブロックから、冬智の押し込み追い突きでガードを突き破って相手の顔面に突きを叩き込む
それで相手が半回転するほど後ろにひっくり返って失神KOという冗談みたいな勝ち方で勝利する、ホントにあっさり「イーブン」にしてきた
3戦目にファルコン
これは上手くもつれさせて三ラウンド凌ぎ引き分けに持ち込む、というのもファルコン自身が「プロレス以外さして興味が無い」という点
相手が葉月のような盛り上げられる相手なら兎も角総合戦となれば無理に自分を変える必要も無い事
更に自分の後ろには紫藤と陣が居るという点を計算して敢えてそういう戦いをした
4戦目
一勝一敗一引き分けの五分で最も重要な試合であるからに、ここで陣が出た
負けると後が苦しくなるのと向こうもそれは承知しているからだ、そして正真正銘のガチ戦と成った
静かな立ち上がりからお互い打撃の探り合い
無論「八陣」の強さは葉月やみやび、北条の活躍であまりにも有名だ、そして研究されている、故、ヘタな攻めは即、負けに繋がるという格闘界の共通認識に近い
「めんどくさい事になったなぁ‥」と陣も思った
丁度北条の年末格闘技祭りの決勝の様な戦いになる
相手がギリギリの距離からミドルやローを差し込んでコツコツ当ててくる
枝払いで一つ一つ潰しても良かったのだが相手はそれも警戒して引きも早い、いわば捨て打ちに近い打撃の連打だった
とは云え、何時までも付き合っても引き分けにされる
故に陣は餌撒きをした
手業でチクチクジャブを出しつつ、ローをブロッキングしながらジリジリ下がり自ら誘導する、押されて下がった様に
こうなると向こうも押しに来る左右の連打から陣をコーナーに追い詰め一気に攻めに来る、が、当然それは陣の罠だ
相手が逃げ場を塞いだ、と飛び込んで左右フックで
逃げ道を塞ぎつつ大振り連打を打つ、逆に陣はその左右フックのうち終わりに、軽くカウンターでジャブを返して止める
「う‥」と仰け反った瞬間みぞおちに鉄菱、所謂中指拳を突き立て行動不能にした
瞬間大外刈から相手を後ろに倒してマウントを取って耳近くに、平手打ちの打撃を一回だけで入れて相手の目を回させる
そのまま肩固め、丁度上から圧し掛かって抱きつく様に相手の首と腕を絞める格好だ、相手も逃れようと暴れるがビクともしなかった、どうにか耐えられたのは20秒、タップして終った
反撃の隙すら与えず勝った
「ロープが近いのにエスケープも取れなかったな‥」
「八陣の与命、という技だ、上から圧し掛かって全体重を倍化させた相手からすりゃ何で逃れられないかすら理解不能だろうよ」
「どういう事ですか冬智さん」
「ま~説明はし難いなぁ、ただ合気道の技に近い物がある、相手の振り解きその物を無効化させる」
「ふむ‥」
「力を入れる程逃れられなくなるんだな、アレは。ま、コッチの講釈は兎も角後は紫藤君の番だ」
「お、オス!」
ただ、この時点で二勝一敗一分 紫藤が仮に負けてもイーブンだ、ある意味気楽な立場を用意されたとも言える
だが、油断できる状況にも無い、相手からすればここを落とすと敗戦になる引き分けでもだ、故に、この最終戦は最初から荒れた
ゴングから相手は突撃し、兎に角近接での殴りあい打撃戦を仕掛けた理由は単純、紫藤は総合にも立ち技戦にも多く顔を出している、そしてまだ勝ちはない
相手からすれば打撃で上を取れば比較的に楽に押せると思った、実際、ここまでの紫藤の負けは打撃被弾からの寝技攻防での負けが殆どである
本来の彼なら応じて泥試合に成りがちだが、今日の彼は事情が違う、ガードを固めつつ、後ろで無く左右に回り込むように移動しつつ振り回しで無く、ストレートに近いジャブを返す
彼の欠点は被弾、押されると後ろに下がる事、無理に打ち返そうとする事
一月やそこらで欠点を改善するのは難しく陣とみやびは基本的な動きを変える事で改善を図った
一つに歩法、まず、ステップが大きいのでスリ足に近くし移動は踵だけ浮かすステップにし体重も後ろに掛け過ぎない
二つに下がるのは良いとして最低でも斜め後ろに下がる事を徹底させる、真っすぐさがって被弾すると体重が後ろに乗る為そのまま後ろにひっくり返りやすい
三つに、陣自身がやってみせる横移動の徹底、相手が前進、自分は左右への逃げなら、この時点で常に相手を中心に自分が左右どちらかのサイドポジションの位置取りになるこちらから打ちやすく、相手から避けにくいという形になる
四つ、打撃というのは早い程いい、これは雷光の思想と同じく早い程動いている相手の速度を相対的に0に近く出来るという事
故に、立ち技での打撃戦はボクシングとムエタイに近いスタイルと徹底した移動先の決まりごとを習慣化するまで教え込んだ
そしてこの試合ではきちんとそれを守った
突撃から大振りの打撃を斜め上から打ってくる相手の打撃を左右に回りながらかわし、隙に小さくストレートや早いローを返す
見えて無くても移動の決まりごとさえ守れば勝手に空振りになる確率が上がる、近代打撃格闘技の基本だ
これで一分近くコツコツ重ねる打撃で相手の動きを止めた、コツコツと云っても紫藤はレスラーでもある、体重も威力もある1ラウンド終る頃には相手の顔面は腫れて視界不良に陥った
これには幸運もある、相手選手が喧嘩戦上等のスタイルであった為だ、前に飛び込みながら頭を下げて遅れて上から打撃を大振りで入れるスタイル
バーリトゥードでよく見る打撃型だけに嵌ってこの様な結果になった
二ラウンド目には展開は変わる
相手が視界不良になった為前突撃の打撃から、即体に抱きついてタックルに来たのである
が、紫藤は冷静だった。タックルに来る相手の頭を柔らかく上から下にキャッチするように防いで下に落とし、小さく膝を入れてその場に倒し自身がマウントに取る
そしてヘタな打撃を打たず、相手のガードポジションの腕を小さく当てつつ退かし、手首等から極めに行く
そのもみ合いから更に一分後に一方的に上から殴りつける格好になった
ここで審判も止めて勝利
略完封という初勝利を飾ったのである
嘗て、クレパーと称した陣の様な勝ち方をして魅せた
「専門家に習うと、こうも違うもんかねぇ‥」
「元々体格も、才能もありますから、技術がマトモなら力押ししてくる相手なら苦労はしませんよ」
織田とみやびはそう交して締めくくった
そしてこの紫藤も陣やみやびらに教えを請う様になる、週1程度だがNEO道場に足を運び指導する形となった
特別八陣の技の伝授はしてないのだがそれであの結果だ、特別指導となっても十分だった
当人の資質と当人に必要な技術を与える
八陣は最初からそういう事を目指した其々の流派があるのだ
そして紫藤はプロレス全体の地位向上に貢献する事になる、外向きの戦い方さえ会得すれば後は肉体スペックの差になる
しかしレスラーは鍛えるという面に置いて他のジャンルの格闘家に負ける要素は無いのだ
この勝利から彼は外向きの戦いも勝利を重ねていくのであった
「対抗戦?」そう素っ頓狂な声を上げたのは若手陣である
「嫌な思い出が蘇るなぁ」
「別に嫌ならいいけどな、断るだけだし、こっちとしても負けてまた評価落ちても困るしよ」
「ま、紫藤の連続負けがな‥」
「すんません‥」
「相手が悪すぎたからしゃーないちゃしゃーないが」
「で?社長どうすんですか?」
「ああ、そこで今回は向こうの総合系の中位の連中からやるのはどうだ?と持ちかけられてな」
「連中、て事は大勢来るんすか?」
「そうだ、八陣との対抗戦と同じだ、なんだが‥」
「ウチ紫藤以外シューター系居ないっしょ」
「つーわけでだな、後二、三人どうにかしなきゃならん、んでお前、ファルコン出ろ」
「マジッスか‥無理ッスよ」
「オレ出てもいいんだけど、向こうも中堅選手なんだよなぁ」
「それ、社長やるのは問題っすね」
「なんだよな、だからこっちも中堅以下の年齢の奴でだな」
「ナルホド」
うーん、と一同考え込んだ
「そう、ッスね、とりあえず社長、奥さんに聞いてみたらどうですか?」
「ふむ、そうだな」
「んで、オレの意見だけ先に言わせて貰うと、八陣の連中引き込んだらどうッスかね?」
「ほう‥」とファルコンの言に織田も瞬時に理解した
「そりゃ面白そうだな」
「でしょ?、それに、事、総合となりゃ引っ張り込めなくても色々習えるかもしんねーし」
「そうだな、色々今の言葉で閃いたぜ」
そして当日の夕方にはアポを取って来訪した「八陣」に
八陣の一同も織田社長を迎えて居間で会合となった
「そういう訳でして」
「NEOに乗り込んでくるという流れですか」
「ええ、まあ、こういっちゃなんですが当人がやりたいって事で好きにやらせてるんですがね、紫藤ですが、八陣との対抗、総合での惨敗と、プロレスは弱いな、という声もですね」
「うーん、でも別に紫藤さんがどうこうて話でもないけど」
「デスね」
「ま、それはいいとして織田さんはどの様な形を希望されて?」
そうみやびが聞いたのも「あの」織田が態々ここに来るというのは策なりプランなりがもうあっての事だと思ったからだ、故に、織田も素直に隠す事なくプランを述べた
「そうッスね、前に対抗戦やったのもあるし、そちらの3人から誰か早めに参戦してもらって、そこで相手が殴りこみ、ウチと八陣が組んで撃退、て流れで考えてますね。そんで、こっちには総合系とやれる奴あんま居ないし、八陣の3人ならだれが来ても過去の因縁がありますだから逆にそれを解消するキッカケになるかと思いましてね」
「成るほどねぇ~過去の敵が今度は味方に、という事ですか」
「上手い考えだな」
「ええ、それといい機会なんで。ウチの連中にも八陣の手ほどきが受けられれば、と思いましてね。別ジャンルとやる際に役に立ちますし、紫藤にも勝ちを拾わせてやりたいんで」
「相手は何人なんでしょう?」
「来月、とりあえず五戦ですね、それの結果見て継続するかしないかですね」
「うーん、教える面、因縁、という意味では私か陣ですね」
「ッスね」
「と、いう訳なんだけど、陣」
「ん、まあ、いいけど、大学もそんな忙しくないし」
「それでとりあえず紫藤さん、陣で二人ね」
「ええ、んでファルコンでも出しとこうかと、相手が誰でもそれなりにやるでしょうし」
「それもムチャな気が‥」
「葉月ちゃんが代わりに出てもイイッスよ?」
「流石に総合とか喧嘩戦はちょっと‥」
「やれなくは無いだろうが、面白くはないだろう」
「うん、プロレスのが好きだわ、やっぱり」
そんな流れで八陣からは陣が出される事になる。ただ、あくまで八陣の者としての立場を明確にして胴着も長としての黒胴着で出る
そしてこの会談から二日後という速さ。それにはシナリオ有っての事だ
まず紫藤が過去の因縁から陣を名指し指名
それを受けてプロレスのリングでのシングル戦の実現。試合後、健闘を認め合い握手、合流という「外」に向けての見せだ。これで八陣が直接関わっても不自然な点は残らない
そして直ぐに「紫藤&陣」のコンビでのプロレス興行にも数試合参戦、これも当って通常とは違う盛り上がりを魅せた
その理由は単純だ本来どちらも総合系のスタイルで打撃戦が主流だが、葉月のプロレス参戦とは違い、陣が「最初からベテラン並みに上手い」という事である
敢えて、打撃を抑えて、投げや関節を使い、お客さんの反応見ながら力も緩急を付ける、更に紫藤を立てて、フォールやKOを連携して譲る等、配慮をする程の余裕があった為だ
何だかんだで試合を見に来てた二人も納得だった
「陣兄、て基本器用だし空気読めるよね」
「なんていうのかしらね?器用貧乏の上位互換?」
「それ、褒めてないんじゃ‥」
「そう?」
「でもまあ、よく分ってるよね」
「そうねぇ、結局お客さんあっての興行ですしね。打撃で一方的に倒しても誰も喜ばないし、葉月みたいなド派手スタイルなら兎も角」
「だね」
そしてNEO道場には陣とみやびが交互に訪れ、総合戦、特に打撃術や近接での攻防の指導をした、この時点で既に紫藤の方も陣らに遺恨はない
「今日もよろしくおねがいします!」とビシッと頭を下げて挨拶するほどだった
理由は単純、彼も過去の敗戦から「このままではいけない」と察し積極的に色んな人に頭を下げて教えを請う様になった
特に陣やみやびは自身が手を合わせて「圧倒的である」と認知した点、みやびに至っては総合日本大会での相手チャンプを瞬殺した程の人だ
本来なら土下座しても教えを請いたい相手であるという認識、しかも今回は向こうから来てくれているそういう事情があったからだ
「あの一拍子、て蹴りは難しいんですか?陣さん」
「人によるけど、ちょっとやそっとじゃ習得出来ないかな、ただ、3のアクションを縮めるのはそんなに苦労はしないで出来ると思う」
「ウッス!じゃあお願いします!」
「OK、とりあえずサンドバック打ちなんかの普段の練習からやっていこう」
と、こんな感じで既に弟子みたいになってた
通常の打撃練習、そこからの組みあい、所謂マウントでの攻防の基礎部分と、実際陣とのスパーリング半々だ
この手の実戦系技術の場合、より隙の無い相手と戦い、その中で指摘しあうか、修正箇所を探す方が早いそれ自体、八陣の乱取りと同じだ
「なんか上手く行ってるみたいっすね」
「そうですねぇ‥紫藤さんも自分を見つめ直したのが大きいです、陣も礼儀礼節を守る相手には寛容ですから」
「どうなんすかね?紫藤はみやびさんから見て」
「んー、体格もいいし、才能は勿論あります、よく練習しますし、問題なのは基本的な技術の差ですから、直ぐ総合・立ち技でも戦えるラインまで行くと思いますよ?元々打撃からの寝技系だし」
「そりゃ楽しみっすね」
「寧ろ問題なのはファルコンさんの方ですけどね‥」
「ご尤もです、オレは純粋にプロレスですから」
「そういう訳でビシビシいきます」
「はい‥」
ただ、ファルコンの場合基本的に投げも寝技も上手いし、相手によって変える起用さがある、実際指導に当ったみやびも打撃の防御に集中して教える事になる
問題はもう一人か二人は必要というのもあった、対抗戦のカード自体おそらく五戦、来月前半、一ヶ月はゆうに時間はある
そこでみやびも織田と相談したがJrから若手でキックが得意な選手を一人どうにか出した所で詰んだ
「んーやっぱり私が出た方がいいのかしら‥」と悩んでいた時救世主が現れる
「おう!やってるな」とNEO道場に顔を出したのが「オヤジ」である
「あ」「いた」
事情を説明して冬智も「面白そうだ」と二つ返事でOK、これでどうにか5人揃えた
そして当日を迎える
この手の対抗戦はやはり盛り上がる、中々の客入りだった。ただ、プロレス側は厳しいだろうという見解がファンにはあった、元々昔から対総合戦とか立ち技相手というとプロレス出身者は余り勝ってない
旧パンクラスの様な、そういう戦いを前提にした団体なら兎も角、NEOは王道のプロレスであるし、別ジャンル戦となると近年から勝ってない
「不利ではないか?」と関係者も思っていた
だが一方で八陣との共闘
更にめったに出てこない陣と御大でもある冬智の参加だ、期待も同じくらいあった
試合はシングルの戦の5回対抗戦
プロレスリングでプロレス試合、打撃メインな事も考えられオープンフィンガーグローブの着用の義務付け、ダウン10カウント、ギブアップ、エスケープ有りの試合
そして八陣との対抗戦と同じく、ノーカードとなった
そして一戦目
NEO側はキック主体の若手選手が出た、だがにも関わらず開始30秒右ハイで逆にKO負けする、当然「あー‥」と全員思った
二戦目、ここで
「しゃーない、とりあえずイーブンにしてくるか」と早々に冬智が出る
相手の立ち技系も冬智がデカイ事、八陣の「長」である事を考慮してヘビー級の外国人を出してくる
体格差は略無い
冬智も相手も180センチ後半で100キロ前後
が、開始10秒、冬智の正拳突きを相手が両手ブロックから、冬智の押し込み追い突きでガードを突き破って相手の顔面に突きを叩き込む
それで相手が半回転するほど後ろにひっくり返って失神KOという冗談みたいな勝ち方で勝利する、ホントにあっさり「イーブン」にしてきた
3戦目にファルコン
これは上手くもつれさせて三ラウンド凌ぎ引き分けに持ち込む、というのもファルコン自身が「プロレス以外さして興味が無い」という点
相手が葉月のような盛り上げられる相手なら兎も角総合戦となれば無理に自分を変える必要も無い事
更に自分の後ろには紫藤と陣が居るという点を計算して敢えてそういう戦いをした
4戦目
一勝一敗一引き分けの五分で最も重要な試合であるからに、ここで陣が出た
負けると後が苦しくなるのと向こうもそれは承知しているからだ、そして正真正銘のガチ戦と成った
静かな立ち上がりからお互い打撃の探り合い
無論「八陣」の強さは葉月やみやび、北条の活躍であまりにも有名だ、そして研究されている、故、ヘタな攻めは即、負けに繋がるという格闘界の共通認識に近い
「めんどくさい事になったなぁ‥」と陣も思った
丁度北条の年末格闘技祭りの決勝の様な戦いになる
相手がギリギリの距離からミドルやローを差し込んでコツコツ当ててくる
枝払いで一つ一つ潰しても良かったのだが相手はそれも警戒して引きも早い、いわば捨て打ちに近い打撃の連打だった
とは云え、何時までも付き合っても引き分けにされる
故に陣は餌撒きをした
手業でチクチクジャブを出しつつ、ローをブロッキングしながらジリジリ下がり自ら誘導する、押されて下がった様に
こうなると向こうも押しに来る左右の連打から陣をコーナーに追い詰め一気に攻めに来る、が、当然それは陣の罠だ
相手が逃げ場を塞いだ、と飛び込んで左右フックで
逃げ道を塞ぎつつ大振り連打を打つ、逆に陣はその左右フックのうち終わりに、軽くカウンターでジャブを返して止める
「う‥」と仰け反った瞬間みぞおちに鉄菱、所謂中指拳を突き立て行動不能にした
瞬間大外刈から相手を後ろに倒してマウントを取って耳近くに、平手打ちの打撃を一回だけで入れて相手の目を回させる
そのまま肩固め、丁度上から圧し掛かって抱きつく様に相手の首と腕を絞める格好だ、相手も逃れようと暴れるがビクともしなかった、どうにか耐えられたのは20秒、タップして終った
反撃の隙すら与えず勝った
「ロープが近いのにエスケープも取れなかったな‥」
「八陣の与命、という技だ、上から圧し掛かって全体重を倍化させた相手からすりゃ何で逃れられないかすら理解不能だろうよ」
「どういう事ですか冬智さん」
「ま~説明はし難いなぁ、ただ合気道の技に近い物がある、相手の振り解きその物を無効化させる」
「ふむ‥」
「力を入れる程逃れられなくなるんだな、アレは。ま、コッチの講釈は兎も角後は紫藤君の番だ」
「お、オス!」
ただ、この時点で二勝一敗一分 紫藤が仮に負けてもイーブンだ、ある意味気楽な立場を用意されたとも言える
だが、油断できる状況にも無い、相手からすればここを落とすと敗戦になる引き分けでもだ、故に、この最終戦は最初から荒れた
ゴングから相手は突撃し、兎に角近接での殴りあい打撃戦を仕掛けた理由は単純、紫藤は総合にも立ち技戦にも多く顔を出している、そしてまだ勝ちはない
相手からすれば打撃で上を取れば比較的に楽に押せると思った、実際、ここまでの紫藤の負けは打撃被弾からの寝技攻防での負けが殆どである
本来の彼なら応じて泥試合に成りがちだが、今日の彼は事情が違う、ガードを固めつつ、後ろで無く左右に回り込むように移動しつつ振り回しで無く、ストレートに近いジャブを返す
彼の欠点は被弾、押されると後ろに下がる事、無理に打ち返そうとする事
一月やそこらで欠点を改善するのは難しく陣とみやびは基本的な動きを変える事で改善を図った
一つに歩法、まず、ステップが大きいのでスリ足に近くし移動は踵だけ浮かすステップにし体重も後ろに掛け過ぎない
二つに下がるのは良いとして最低でも斜め後ろに下がる事を徹底させる、真っすぐさがって被弾すると体重が後ろに乗る為そのまま後ろにひっくり返りやすい
三つに、陣自身がやってみせる横移動の徹底、相手が前進、自分は左右への逃げなら、この時点で常に相手を中心に自分が左右どちらかのサイドポジションの位置取りになるこちらから打ちやすく、相手から避けにくいという形になる
四つ、打撃というのは早い程いい、これは雷光の思想と同じく早い程動いている相手の速度を相対的に0に近く出来るという事
故に、立ち技での打撃戦はボクシングとムエタイに近いスタイルと徹底した移動先の決まりごとを習慣化するまで教え込んだ
そしてこの試合ではきちんとそれを守った
突撃から大振りの打撃を斜め上から打ってくる相手の打撃を左右に回りながらかわし、隙に小さくストレートや早いローを返す
見えて無くても移動の決まりごとさえ守れば勝手に空振りになる確率が上がる、近代打撃格闘技の基本だ
これで一分近くコツコツ重ねる打撃で相手の動きを止めた、コツコツと云っても紫藤はレスラーでもある、体重も威力もある1ラウンド終る頃には相手の顔面は腫れて視界不良に陥った
これには幸運もある、相手選手が喧嘩戦上等のスタイルであった為だ、前に飛び込みながら頭を下げて遅れて上から打撃を大振りで入れるスタイル
バーリトゥードでよく見る打撃型だけに嵌ってこの様な結果になった
二ラウンド目には展開は変わる
相手が視界不良になった為前突撃の打撃から、即体に抱きついてタックルに来たのである
が、紫藤は冷静だった。タックルに来る相手の頭を柔らかく上から下にキャッチするように防いで下に落とし、小さく膝を入れてその場に倒し自身がマウントに取る
そしてヘタな打撃を打たず、相手のガードポジションの腕を小さく当てつつ退かし、手首等から極めに行く
そのもみ合いから更に一分後に一方的に上から殴りつける格好になった
ここで審判も止めて勝利
略完封という初勝利を飾ったのである
嘗て、クレパーと称した陣の様な勝ち方をして魅せた
「専門家に習うと、こうも違うもんかねぇ‥」
「元々体格も、才能もありますから、技術がマトモなら力押ししてくる相手なら苦労はしませんよ」
織田とみやびはそう交して締めくくった
そしてこの紫藤も陣やみやびらに教えを請う様になる、週1程度だがNEO道場に足を運び指導する形となった
特別八陣の技の伝授はしてないのだがそれであの結果だ、特別指導となっても十分だった
当人の資質と当人に必要な技術を与える
八陣は最初からそういう事を目指した其々の流派があるのだ
そして紫藤はプロレス全体の地位向上に貢献する事になる、外向きの戦い方さえ会得すれば後は肉体スペックの差になる
しかしレスラーは鍛えるという面に置いて他のジャンルの格闘家に負ける要素は無いのだ
この勝利から彼は外向きの戦いも勝利を重ねていくのであった
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