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能ある鷹
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5月一日
早朝の学校昇降口、HR30分前にはキッチリ 陣は学校に到着した、今日は一人である
「おはー、陣兄」
と後ろから声を掛けられた、まだ葉月は体操着のままである
「よう、朝練か?」
「うん」
「掛け持ちは大変だな」
「そんなでもないけど、そんなでもあるかな」
「なんだそりゃ?‥」
「きついとは思わないけど、毎日あるのと、一日置きに違う種目だし」
「成る程な、結局何やる事になったんだ」
「個人競技はたまにやればいいって、チームスポーツは日替わりで、他の人との連携とかチームワークがあるし」
「ふむ」
「個人競技は結局、陸上全般と水泳、テニス」
「んで、チームスポーツ系はサッカー、ソフト」
「メジャー所で押えたか」
「押えられた、というか‥格闘技系もやりたったけど流石にねぇ」
「ま、いんじゃないか?。記録出せば色々有利だろ、進学とか学費優遇とか」
「そだね」
話しながら流れ作業で下駄箱を開けて上履きを出すが
そこから封筒等が2,3枚落ちた
「あ」
「お?」
葉月は目敏く それをパパッとキャッチして見た
「これは所謂、ラブレターというやつではないですかお兄様」
「なんで敬語‥。ま、偶に来るな」
「ほほう、ボクにはまだありませんが?」
「そのうち来るんじゃね」
「どうするの?」
「どう‥て、読んで返事を書いて送るが」
「なんか、それ違う様な‥」
「そうかね?」
「うん」
「どっちにしろ、今のところはそういう気はないからなぁ‥丁寧にお断りするしかないだろう」
「ふーん」
「そもそも名前すら書いてないのもあるしな、全部に返送を出来んが」
「いや、仕事の事務じゃないんだから‥」
「いいから、さっさと返せ」
「はい」
「お前も早く着替えて来い、あんま時間ないぞ?」
「あ、そうだった」
葉月は手紙を返して、ダッシュしていった
昼食、何時ものメンバーが何時もの溜り場に集合した
「九重のとこは休みなんか予定は?」
「なんだいきなり」
「もうすぐGWだからさー」
「俺、バイト、何故か昼からフルで入れられた」
「ボク部活、同じくフルで入れられた、午後は少し空けたけど」
「なんか青春の時間の使い方間違ってるだろ」
「そうか?」
「普通遊ぶと思うけど」
「そういう悟は?」
「もちろんフルで休みにするッスよ」
「長行は?」
「家で寝てる」
「予定無しもどうかと思うが」
「叶ちゃんは?」
「え、両親とあちこち」
「なんか結構バラバラなんだな」
「学生の本分は勉強だろ」
「なんか‥陣さん、じじむさい‥」
「いや、陣兄は何時もこんなんだけどね、スケジュールマンだし」
「そうなんか‥」
「ちなみに普段はどんな生活なんだ?」
「んー、起床、学校、下校、バイト、家で練習、勉強」
「マジデ‥」
「割とマジデ」
「いや、空けろと云われれば空けるがな」
「ただ、基本的にやる事が詰まってるから、そういう流れに成るだけで」
「成る程」
「それにバイトも俺空けるとなぁ‥なんか凄く困った顔されるし」
「あー‥」
「つまり身代わりが必要な訳だな」
「この無駄な責任感」
「無いよりいいけどね」
「しかし、それだと、皆でどっか行こう!て訳にもいかないッスね」
「え?どっか行きたいの?悟君」
「え?いや‥特にどこってのは‥ただ、連休だからーてだけで」
「そんだけか」
「いや、暇なんで‥」
「けどまあ、そういうのも悪くないな」
「そうね、今回は間に合わないけど、調整とかしてもいいんじゃない」
とは成ったが、結局の所、言うのが遅い、連休は明後日から、という事もあり「何れの事」と成ったのであった
「午後の体育は何だ?」
「男子は柔道だってよ」
「なんだかなぁ‥」
「結構多いらしいぜ、格闘系授業?」
「そうなのか」
「なんか学校の方針で運動系は力入れてるらしいしぜ」
そう聞き巨大体育館の武道場、つまり畳ありの二階に行くと、なるほど、と思えるモノが揃っている
まず、広さが体育館その物と同じ広さ。剣道の防具や、胴着の類が多い、部活専門でなく、予備、新品の類、相当な数が元から用意されている
別にトレーニング施設、つまりウェイト器具等も最新の物が小規模ながらあり、更衣室にはシャワー完備とかなりの優遇ぷりだ
「ほー、こんな物まであるのか」と陣も驚いた
所謂スーパーセーフと呼ばれる空手等で使う防具、サンドバック、ミット等もある、そこで物品を物色する陣の肩に手を置かれる
「揃ってる割にあんま結果出てないらしいがな」
「そーなんか?」
「ああ、一応結果それなり出てるのは剣道部くらいだな」
「なんか、投資してる割には‥て、感じか」
「だからこそ、とも云えるがな」
柔道授業、と言っても陣が今更やるような事でもない。柔軟、受身、初歩的技の型、打ち込み程度である、どこでもやるような事だ
「また、微妙な授業だな」
「まあ、あれだろ、興味を持ってもらって入って貰おう、て事じゃろ」
「だろうなぁ」
「実際成功はしてるだろ」
「勝てないのにか?」
「いや、部員の人数」
「ああ、それなりに増えてるのか」
「そういうこっちゃな」
「こら!そこの二人無駄話してるんじゃない!」
と先生に怒鳴られた。まあ、そりゃそうだとしか言いようがない、一応の事、として、乱取りの類はある、終了の十分前だけだが
「よーし、九重!河上!、お前らは俺とだ!」
どうやらさっきの無駄話のお仕置きのつもりらしい
「いいのか?これ」
「まあ、体罰の類でもないしな。こういうのは任せるよ」
さっさと長行は下がってボソッと忠告した
「あれ、一応経験者で柔道部の顧問だ、気をつけろよ」と
陣は頭を掻いて呆れ顔
「気をつけろ、たってな‥何をどう気をつけるのか」
正直、長行も他の生徒も、ここに居る全員が陣が投げまくられるは分っていた。相手は段持ちの経験者、しかも顧問の先生である、しかし結果は逆だった
先生は陣の襟を取った瞬間、逆に一回転する程華麗に投げ飛ばされて畳に叩きつけられた
「な?!!」と全員一斉に驚いた
しかも「投げ」所か、陣は相手と組もせずに。ほぼ直立不動のままである
掴まれた襟を持たせたまま、自身が体ごと四分の一回転、手首の裏側に捻らせるように捌き。同時に崩れた相手の足元の軸足を軽く引っ掛ける
手首関節を逆に取られている為、力や体格に関係なく倒せるという技を見せた
所謂、合気道の小手返しに近い技だが違う点は、掴まれた相手の手を固定したり、掴み返したりせず体捌きのみでそれを行う、それだけにかなりの速度とタイミングが同時に必要である
八陣拳 第五拳「芙蓉」
つるべ落としという技。必ず相手を崩す、事を目的とした基礎技である、ちなみに転校初日の対悟戦で地面に投げ落とした技でもある
投げられた先生も何が起きたのか分らない状態だった。だが、即座に立って再び陣に組掛かる
そもそも乱取りであるから、終わり自体無い、同時に向こうにしてみれば、経験者の意地がある故である
相手は陣の袖と奥襟を取りにくる、陣は今度は掴まれた右手を巻き取る様にクルリと回し取り返し、半歩後ろに下がりながら相手の手首を下に上から圧し掛かる様に押し膝から崩れさせた、瞬間横から足を払って
今度は横倒しに畳に落とした、ボーゼンとして先生は見上げながらハッとした
「これは‥合気道‥いや、柔術か‥?」
「実家で習ってるやつですよ」
陣は手を差し出した、先生は立ち上がるなり、陣の両肩を掴んだ
「九重!お前柔道部入らんか?!」
「いや、多分、無理ッス‥」
というのも理由は単純、そもそも陣の八陣拳の技。投げ「だけ」に限っても「柔道技」として認められない可能性が高い間接を取って投げるのは基本反則技になる。それが分る先生も唸って考え込んだ
ただ、授業が終った後、職員室まで連れて行かれて他の顧問の先生と小会議になった、早い話、葉月と同じ流れである
格闘技系の部活を一通りやらせてみて、どこかに入ってはどうか?という事だ
当然「俺バイトと家でも練習あるんで」と言ったが
「空いた時間だけでもいいから!」とかなり強引に引き止められる
基本的に断り難い状況もあって放課後、再び武道館で顧問の先生達が集まって一つずつの部活で部員と試合させられる事になった
噂を聞きつけた、溜り場メンバーもいつの間にか野次馬観戦に来ていた
「俺、時間無いんだけどなぁ‥」当然思ったが
こうなると逃げる事も露骨に手抜きする事も出来ない、渋々受ける事に成った
ただ、柔道は論外なのと、4段の先生を投げ飛ばした事で既にそこはパス、ボクシングは部員でもある悟が志願して1Rだけやった
「ストリートじゃ陣さんには敵わないがリングなら!」という理由で
だが、開始、30秒。悟の放ったワンツーの右に陣がカウンターを合わせてダウンを取ってそのままストップを掛けられて終った
「ぐぐぐ‥信じらんねぇ‥」ガチで悔しがった
「ハッキリ云って陣兄ぃは技術系だと無双なんだよね」と葉月に軽く云われて悟はダブルKOだった
担当の指導員も「既に完成されているな、打ち終わりを確実に狙ってたな」と云う事なしな評価だった
次に空手、と言ってもフルコン打撃で試合する訳にもいかないので、スーパーセーフの防具を着て、防具のある所への打撃のみという実戦系試合をした
学生がやるのも、それでも危険なので顧問の経験者の段もち先生が相手した
しかし、そこでも開始10秒。陣はフェイスの横に上段蹴りを軽く当て、一本取って終った
正直周りで見ていた一同も何が起きたか分らない程の一撃だった
見えていたのが悟と葉月だけだったのでやむなく代わりに解説した
「ウチの拳法の技で一拍子って技だよ、それの上段蹴り」
「めちゃくちゃ早い蹴りだな、外から見てる俺ですらギリギリ分るくらい早い。多分食らった方は何食らった分らないだろう」
と其々云った後、陣の相手をした先生もヘルメットを脱いで、頷いた
「打撃食らったのは分るが何の技か分らん、蹴りなのか?」という程だった
そこで、時間切れ、5時半を回ろうとしていたので終了と成った
「じゃあ、俺はバイトあるんで」とそのまま帰った
しかしこの時点で、ほぼ決定と言っていい
柔道は論外、習えば出来るかも知れないが、そこまで集中してやる時間もない
ボクシングは元々そこまで弱くない部活であるし、有望な一年が居る(一応)
剣道は既に大会で幾つか結果を出している部であるから、それほど必要ない
空手は毎度、個人でも団体でも一回戦負け、地方どまりが多い
しかも、陣の元々家で習ってる八陣拳の技がそのまま転用が利く、と一番有用である、と決定付けられた
尤も当の悟は少しガッカリしてたが
「あー‥陣さん来てくれたら色々教われるのになぁ」だった
「んー、頼めば稽古ぐらいつけてくれると思うよ?」
「マジッスか?!?」
「いや、みやび姉のが指導は上手いか‥」
「マジ?」
「一応ウチの師範代って事に成ってるし、多分陣兄ぃより強いよ?」
「お前ら一家は全員人外か‥」と云わざる得なかった
ただ、陣の場合、葉月と違って「スポーツの方でがんばる」必要も無く。元々勉強の成績が良いだけに、部活に集中する理由もあまり無いと云えば無いが
学園の方針として「武道系に力を入れる」というのがあるだけに、この一件は陣も断れなかった
実際それだけの「設備投資」をしている
結局これも渋々受け入れ、空手部に幽霊ぽく所属。個人戦大会だけでいいから、と頼まれ所属だけする事と成った
「まあ、いいんじゃない?学校、バイト、家の往復も飽きるでしょ」
とみやび姉は夕食の場で言った
「何事も経験、決してマイナスにはならないわよ」
「結構配慮してもらったしな」
「そうね、そういう心がある相手なら受けて役に立つのも人って事よ」
「ところでさ。悟君の件なんだけど‥」
「んー‥別にいいんだけど、もう少し後にしてくれないかしら」
「なんで?」
「まだリフォーム業者来てないのよ」
「あー‥」
「今道場で暴れると床抜けるわよ?」
「だよね」
「そもそも、姉貴も忙しいからなぁ‥」
「片付けはどうにか終ったけど、家事と私もパートあるのよね‥その上道場運営とか」
「じーちゃんに頼んだんでしょ?」
「考えとく。だけでまだ何にも進展が無いんだけどね」
「忘れてるんじゃないの?‥」
「何をどう「考えとく」なのかも謎だしな」
「陣も葉月もいっぱいいっぱいだからねぇ」
「いやまあ、俺は多少余裕あるから手伝いは出来るが」
「ボクは無理かも‥」
「そうね、葉月は勉強も追いつけてないし」
「うーん」
「けど、二人には自分の事だけやって欲しいわね、今の時間は2度無いのだから」
「そういうものなのかね」
「そうよ、さ、葉月は教科書出しなさい」
「グハ‥」
「超優秀家庭教師が居るから便利だな」
「出来れば陣に代わって欲しいんだけど?」
「ま、学校同じだし、一個上だから、その方が効率的ではあるな」
と、陣は食器の片付けを始めた
「ただ、みやび姉のが頭いいしなぁ」
「飛び級の人だしね」
翌日。陣はさっそく早朝、部活へ
それほど時間がある訳でもないが、連休前の顔合わせも必要であるという点
もう一つは早朝練習の類なら陣が早く出ればいいだけであるという点、放課後の時間は少ないが前なら早める事は出来る事である
簡単な紹介と挨拶、軽い基礎練習だったが、それが終った途端、陣は拉致された、無論他の部活にである
何故かボクシング部に引っ張られ、グローブ、ヘッドギアを着けられリングでスパーリングをやらされる
「お前、ボクシングも強いんだって?ちょっと俺にも指導してくれよ」
と3年にニヤニヤしながら言われた。どうやら陣の今の立場が気に入らないらしい「ま、そりゃそうか」と陣も思った
そもそも経験者でもないし、練習は免除、如何に学校側の意向とは言え、大会だけ出てくれよと成れば、よく思わない者も多いだろう
尤も、それ自体陣に責任がある訳でもないし、文句があるなら学校側に言えとしか言いようが無いし、ボクシング部はあまり関係ないだろうとも思う
と同時に陣はこの手の輩とそういう思考回路の奴が嫌いである、だから思いっきりそいつに言い返して受けた
「俺の指導とやらは甘くないぜ、どうなっても恨むなよ?」と
相手はゴングと同時に突進、だが、大振りのKO狙いでも無い、小さく左右の連打を集める。
伊達にボクシングではないなぁと感じたが陣にしてみれば、まだまだのレベルだ
ウィービングとスウェーバック、左右のパリィングで払い落とす
そもそもハンドスピード自体、悟より遅い。まして日ごろから相手している姉、みやびと比べたら怖さも無い
相手がワンツーを繰り出す1のジャブに陣はジャブでカウンターを軽く合わせ
相手の2、右ストレートに同じく鏡に映すように右を返し連続で二発「パパンッ」とカウンター
まさかのワンツーに自体にワンツーのカウンターを合わせ返すという有り得ない技で3年をその場に昏倒させた
1R開始30秒の事である
勿論、思いっきり打ってない、意識を切っただけだ。しかしその結果を見ていた他の部員もボーゼンである
悟は「ざまぁ」とニヤニヤしてたが
着替えて校舎に戻った後、廊下で悟に有り難がれた
「いやー、流石陣さんッス。これでちっとは静かになるっしょ」
「と、言うからにはお前にもなんかやったんか?あの三年」
「ハァ、せこい嫌がらせとか、まあ、俺だけじゃないッスけどね」
「しょーもな‥」
「スカッとしたッスよ」
「んな事する暇あったら練習しろとしか言いようが無いな」
「ですねー」
「だから悟にも追い抜かれるんだよ」
「へ?俺のが強いッスか?」
「お前のが確実に早い」
「マジッスか?」
「ああ、お前とやったスパーリングでのカウンターと今日やったカウンター同じに見えるが、今日のあいつのパンチに合わせるのは正直「確実に見えた」からやった、悟にやったのは軌道予測でやった。全然お前のがやり難い」
「へぇ~」
「あいつとやった事ないのか?」
「いや、あいつ三年だし、階級も違いすぎますから、スパーとかやらないッスよ」
「成る程な」
そこで予鈴が鳴って悟は教室に戻った
「じゃ、陣さん、また後で」と走っていった
ただ、今回の事で分ったが、ボクシング部ではあの流れだったが、所属する空手部では比較的歓迎ムードだった。元が弱いだけに陣に対して「助っ人」意識が強いのと
最初に有段者の先生との試合も圧倒的だった点である、尊敬や羨望あってライバル意識も無く、それだけに陣に対して負の感情が少ない、そもそもそれでも朝練にはキッチリ出る故でもある
「で、結局、それで更に時間が無くなったと」
溜り場メンバーのお昼の場での事である
「いやね、みやび姉も忙しいし、ボクも予定詰まってるのよね、陣兄もだけど」
「マジかよ‥」
「とりあえず連休明けも家の方がリフォームあるからなぁ」
「つまり、再来週?な感じ」
「ま、しゃーないな、別に直ぐに!て訳じゃねーし、いいッスよ」
「ごめんね~悟君」
「しかし、また休みの予定がな‥」
「長行と遊んだらどうだ?暇なんだろ」
「何故俺が悟とデートしなきゃならんのだ」
紙パックジュースを啜っていた叶が噴出して咳き込んでいた
「こんな美少女でもそんな事あるんだなぁ」とのん気に葉月が呟いてポケットティッシュを渡した
「ま、あれだな、ウチの掃除の手伝いでもしてくれてもいいが‥」
「なぜ折角の休みに九重の家の掃除をしなければ成らないのか‥」
「だよね」
「あの~なら家の別荘にでも来ます?」
「いや‥それはちょっと‥叶ちゃんは兎も角、学長と一緒だろ」
「ええ、まあ‥家族旅行ですし」
「断固拒否する」
「結構気さくでいい親父さんだと思うけどな、会った感じ」
「俺らが緊張するんだよ、全然羽伸ばせないだろーが」
「そりゃそうだな」
「彼女でもいれば違うんだろうけどな」
「そうだ、なら叶ちゃん」
と悟が言いかけた所で葉月に先制の一撃を返される
「調子に乗るな」
「まだ何も言ってねーだろ!」
「みえみえなんだよねぇ‥君」
「く‥」
「なんだかんだで良いコンビだなあいつら‥」同時に長行と陣は呟いた
早朝の学校昇降口、HR30分前にはキッチリ 陣は学校に到着した、今日は一人である
「おはー、陣兄」
と後ろから声を掛けられた、まだ葉月は体操着のままである
「よう、朝練か?」
「うん」
「掛け持ちは大変だな」
「そんなでもないけど、そんなでもあるかな」
「なんだそりゃ?‥」
「きついとは思わないけど、毎日あるのと、一日置きに違う種目だし」
「成る程な、結局何やる事になったんだ」
「個人競技はたまにやればいいって、チームスポーツは日替わりで、他の人との連携とかチームワークがあるし」
「ふむ」
「個人競技は結局、陸上全般と水泳、テニス」
「んで、チームスポーツ系はサッカー、ソフト」
「メジャー所で押えたか」
「押えられた、というか‥格闘技系もやりたったけど流石にねぇ」
「ま、いんじゃないか?。記録出せば色々有利だろ、進学とか学費優遇とか」
「そだね」
話しながら流れ作業で下駄箱を開けて上履きを出すが
そこから封筒等が2,3枚落ちた
「あ」
「お?」
葉月は目敏く それをパパッとキャッチして見た
「これは所謂、ラブレターというやつではないですかお兄様」
「なんで敬語‥。ま、偶に来るな」
「ほほう、ボクにはまだありませんが?」
「そのうち来るんじゃね」
「どうするの?」
「どう‥て、読んで返事を書いて送るが」
「なんか、それ違う様な‥」
「そうかね?」
「うん」
「どっちにしろ、今のところはそういう気はないからなぁ‥丁寧にお断りするしかないだろう」
「ふーん」
「そもそも名前すら書いてないのもあるしな、全部に返送を出来んが」
「いや、仕事の事務じゃないんだから‥」
「いいから、さっさと返せ」
「はい」
「お前も早く着替えて来い、あんま時間ないぞ?」
「あ、そうだった」
葉月は手紙を返して、ダッシュしていった
昼食、何時ものメンバーが何時もの溜り場に集合した
「九重のとこは休みなんか予定は?」
「なんだいきなり」
「もうすぐGWだからさー」
「俺、バイト、何故か昼からフルで入れられた」
「ボク部活、同じくフルで入れられた、午後は少し空けたけど」
「なんか青春の時間の使い方間違ってるだろ」
「そうか?」
「普通遊ぶと思うけど」
「そういう悟は?」
「もちろんフルで休みにするッスよ」
「長行は?」
「家で寝てる」
「予定無しもどうかと思うが」
「叶ちゃんは?」
「え、両親とあちこち」
「なんか結構バラバラなんだな」
「学生の本分は勉強だろ」
「なんか‥陣さん、じじむさい‥」
「いや、陣兄は何時もこんなんだけどね、スケジュールマンだし」
「そうなんか‥」
「ちなみに普段はどんな生活なんだ?」
「んー、起床、学校、下校、バイト、家で練習、勉強」
「マジデ‥」
「割とマジデ」
「いや、空けろと云われれば空けるがな」
「ただ、基本的にやる事が詰まってるから、そういう流れに成るだけで」
「成る程」
「それにバイトも俺空けるとなぁ‥なんか凄く困った顔されるし」
「あー‥」
「つまり身代わりが必要な訳だな」
「この無駄な責任感」
「無いよりいいけどね」
「しかし、それだと、皆でどっか行こう!て訳にもいかないッスね」
「え?どっか行きたいの?悟君」
「え?いや‥特にどこってのは‥ただ、連休だからーてだけで」
「そんだけか」
「いや、暇なんで‥」
「けどまあ、そういうのも悪くないな」
「そうね、今回は間に合わないけど、調整とかしてもいいんじゃない」
とは成ったが、結局の所、言うのが遅い、連休は明後日から、という事もあり「何れの事」と成ったのであった
「午後の体育は何だ?」
「男子は柔道だってよ」
「なんだかなぁ‥」
「結構多いらしいぜ、格闘系授業?」
「そうなのか」
「なんか学校の方針で運動系は力入れてるらしいしぜ」
そう聞き巨大体育館の武道場、つまり畳ありの二階に行くと、なるほど、と思えるモノが揃っている
まず、広さが体育館その物と同じ広さ。剣道の防具や、胴着の類が多い、部活専門でなく、予備、新品の類、相当な数が元から用意されている
別にトレーニング施設、つまりウェイト器具等も最新の物が小規模ながらあり、更衣室にはシャワー完備とかなりの優遇ぷりだ
「ほー、こんな物まであるのか」と陣も驚いた
所謂スーパーセーフと呼ばれる空手等で使う防具、サンドバック、ミット等もある、そこで物品を物色する陣の肩に手を置かれる
「揃ってる割にあんま結果出てないらしいがな」
「そーなんか?」
「ああ、一応結果それなり出てるのは剣道部くらいだな」
「なんか、投資してる割には‥て、感じか」
「だからこそ、とも云えるがな」
柔道授業、と言っても陣が今更やるような事でもない。柔軟、受身、初歩的技の型、打ち込み程度である、どこでもやるような事だ
「また、微妙な授業だな」
「まあ、あれだろ、興味を持ってもらって入って貰おう、て事じゃろ」
「だろうなぁ」
「実際成功はしてるだろ」
「勝てないのにか?」
「いや、部員の人数」
「ああ、それなりに増えてるのか」
「そういうこっちゃな」
「こら!そこの二人無駄話してるんじゃない!」
と先生に怒鳴られた。まあ、そりゃそうだとしか言いようがない、一応の事、として、乱取りの類はある、終了の十分前だけだが
「よーし、九重!河上!、お前らは俺とだ!」
どうやらさっきの無駄話のお仕置きのつもりらしい
「いいのか?これ」
「まあ、体罰の類でもないしな。こういうのは任せるよ」
さっさと長行は下がってボソッと忠告した
「あれ、一応経験者で柔道部の顧問だ、気をつけろよ」と
陣は頭を掻いて呆れ顔
「気をつけろ、たってな‥何をどう気をつけるのか」
正直、長行も他の生徒も、ここに居る全員が陣が投げまくられるは分っていた。相手は段持ちの経験者、しかも顧問の先生である、しかし結果は逆だった
先生は陣の襟を取った瞬間、逆に一回転する程華麗に投げ飛ばされて畳に叩きつけられた
「な?!!」と全員一斉に驚いた
しかも「投げ」所か、陣は相手と組もせずに。ほぼ直立不動のままである
掴まれた襟を持たせたまま、自身が体ごと四分の一回転、手首の裏側に捻らせるように捌き。同時に崩れた相手の足元の軸足を軽く引っ掛ける
手首関節を逆に取られている為、力や体格に関係なく倒せるという技を見せた
所謂、合気道の小手返しに近い技だが違う点は、掴まれた相手の手を固定したり、掴み返したりせず体捌きのみでそれを行う、それだけにかなりの速度とタイミングが同時に必要である
八陣拳 第五拳「芙蓉」
つるべ落としという技。必ず相手を崩す、事を目的とした基礎技である、ちなみに転校初日の対悟戦で地面に投げ落とした技でもある
投げられた先生も何が起きたのか分らない状態だった。だが、即座に立って再び陣に組掛かる
そもそも乱取りであるから、終わり自体無い、同時に向こうにしてみれば、経験者の意地がある故である
相手は陣の袖と奥襟を取りにくる、陣は今度は掴まれた右手を巻き取る様にクルリと回し取り返し、半歩後ろに下がりながら相手の手首を下に上から圧し掛かる様に押し膝から崩れさせた、瞬間横から足を払って
今度は横倒しに畳に落とした、ボーゼンとして先生は見上げながらハッとした
「これは‥合気道‥いや、柔術か‥?」
「実家で習ってるやつですよ」
陣は手を差し出した、先生は立ち上がるなり、陣の両肩を掴んだ
「九重!お前柔道部入らんか?!」
「いや、多分、無理ッス‥」
というのも理由は単純、そもそも陣の八陣拳の技。投げ「だけ」に限っても「柔道技」として認められない可能性が高い間接を取って投げるのは基本反則技になる。それが分る先生も唸って考え込んだ
ただ、授業が終った後、職員室まで連れて行かれて他の顧問の先生と小会議になった、早い話、葉月と同じ流れである
格闘技系の部活を一通りやらせてみて、どこかに入ってはどうか?という事だ
当然「俺バイトと家でも練習あるんで」と言ったが
「空いた時間だけでもいいから!」とかなり強引に引き止められる
基本的に断り難い状況もあって放課後、再び武道館で顧問の先生達が集まって一つずつの部活で部員と試合させられる事になった
噂を聞きつけた、溜り場メンバーもいつの間にか野次馬観戦に来ていた
「俺、時間無いんだけどなぁ‥」当然思ったが
こうなると逃げる事も露骨に手抜きする事も出来ない、渋々受ける事に成った
ただ、柔道は論外なのと、4段の先生を投げ飛ばした事で既にそこはパス、ボクシングは部員でもある悟が志願して1Rだけやった
「ストリートじゃ陣さんには敵わないがリングなら!」という理由で
だが、開始、30秒。悟の放ったワンツーの右に陣がカウンターを合わせてダウンを取ってそのままストップを掛けられて終った
「ぐぐぐ‥信じらんねぇ‥」ガチで悔しがった
「ハッキリ云って陣兄ぃは技術系だと無双なんだよね」と葉月に軽く云われて悟はダブルKOだった
担当の指導員も「既に完成されているな、打ち終わりを確実に狙ってたな」と云う事なしな評価だった
次に空手、と言ってもフルコン打撃で試合する訳にもいかないので、スーパーセーフの防具を着て、防具のある所への打撃のみという実戦系試合をした
学生がやるのも、それでも危険なので顧問の経験者の段もち先生が相手した
しかし、そこでも開始10秒。陣はフェイスの横に上段蹴りを軽く当て、一本取って終った
正直周りで見ていた一同も何が起きたか分らない程の一撃だった
見えていたのが悟と葉月だけだったのでやむなく代わりに解説した
「ウチの拳法の技で一拍子って技だよ、それの上段蹴り」
「めちゃくちゃ早い蹴りだな、外から見てる俺ですらギリギリ分るくらい早い。多分食らった方は何食らった分らないだろう」
と其々云った後、陣の相手をした先生もヘルメットを脱いで、頷いた
「打撃食らったのは分るが何の技か分らん、蹴りなのか?」という程だった
そこで、時間切れ、5時半を回ろうとしていたので終了と成った
「じゃあ、俺はバイトあるんで」とそのまま帰った
しかしこの時点で、ほぼ決定と言っていい
柔道は論外、習えば出来るかも知れないが、そこまで集中してやる時間もない
ボクシングは元々そこまで弱くない部活であるし、有望な一年が居る(一応)
剣道は既に大会で幾つか結果を出している部であるから、それほど必要ない
空手は毎度、個人でも団体でも一回戦負け、地方どまりが多い
しかも、陣の元々家で習ってる八陣拳の技がそのまま転用が利く、と一番有用である、と決定付けられた
尤も当の悟は少しガッカリしてたが
「あー‥陣さん来てくれたら色々教われるのになぁ」だった
「んー、頼めば稽古ぐらいつけてくれると思うよ?」
「マジッスか?!?」
「いや、みやび姉のが指導は上手いか‥」
「マジ?」
「一応ウチの師範代って事に成ってるし、多分陣兄ぃより強いよ?」
「お前ら一家は全員人外か‥」と云わざる得なかった
ただ、陣の場合、葉月と違って「スポーツの方でがんばる」必要も無く。元々勉強の成績が良いだけに、部活に集中する理由もあまり無いと云えば無いが
学園の方針として「武道系に力を入れる」というのがあるだけに、この一件は陣も断れなかった
実際それだけの「設備投資」をしている
結局これも渋々受け入れ、空手部に幽霊ぽく所属。個人戦大会だけでいいから、と頼まれ所属だけする事と成った
「まあ、いいんじゃない?学校、バイト、家の往復も飽きるでしょ」
とみやび姉は夕食の場で言った
「何事も経験、決してマイナスにはならないわよ」
「結構配慮してもらったしな」
「そうね、そういう心がある相手なら受けて役に立つのも人って事よ」
「ところでさ。悟君の件なんだけど‥」
「んー‥別にいいんだけど、もう少し後にしてくれないかしら」
「なんで?」
「まだリフォーム業者来てないのよ」
「あー‥」
「今道場で暴れると床抜けるわよ?」
「だよね」
「そもそも、姉貴も忙しいからなぁ‥」
「片付けはどうにか終ったけど、家事と私もパートあるのよね‥その上道場運営とか」
「じーちゃんに頼んだんでしょ?」
「考えとく。だけでまだ何にも進展が無いんだけどね」
「忘れてるんじゃないの?‥」
「何をどう「考えとく」なのかも謎だしな」
「陣も葉月もいっぱいいっぱいだからねぇ」
「いやまあ、俺は多少余裕あるから手伝いは出来るが」
「ボクは無理かも‥」
「そうね、葉月は勉強も追いつけてないし」
「うーん」
「けど、二人には自分の事だけやって欲しいわね、今の時間は2度無いのだから」
「そういうものなのかね」
「そうよ、さ、葉月は教科書出しなさい」
「グハ‥」
「超優秀家庭教師が居るから便利だな」
「出来れば陣に代わって欲しいんだけど?」
「ま、学校同じだし、一個上だから、その方が効率的ではあるな」
と、陣は食器の片付けを始めた
「ただ、みやび姉のが頭いいしなぁ」
「飛び級の人だしね」
翌日。陣はさっそく早朝、部活へ
それほど時間がある訳でもないが、連休前の顔合わせも必要であるという点
もう一つは早朝練習の類なら陣が早く出ればいいだけであるという点、放課後の時間は少ないが前なら早める事は出来る事である
簡単な紹介と挨拶、軽い基礎練習だったが、それが終った途端、陣は拉致された、無論他の部活にである
何故かボクシング部に引っ張られ、グローブ、ヘッドギアを着けられリングでスパーリングをやらされる
「お前、ボクシングも強いんだって?ちょっと俺にも指導してくれよ」
と3年にニヤニヤしながら言われた。どうやら陣の今の立場が気に入らないらしい「ま、そりゃそうか」と陣も思った
そもそも経験者でもないし、練習は免除、如何に学校側の意向とは言え、大会だけ出てくれよと成れば、よく思わない者も多いだろう
尤も、それ自体陣に責任がある訳でもないし、文句があるなら学校側に言えとしか言いようが無いし、ボクシング部はあまり関係ないだろうとも思う
と同時に陣はこの手の輩とそういう思考回路の奴が嫌いである、だから思いっきりそいつに言い返して受けた
「俺の指導とやらは甘くないぜ、どうなっても恨むなよ?」と
相手はゴングと同時に突進、だが、大振りのKO狙いでも無い、小さく左右の連打を集める。
伊達にボクシングではないなぁと感じたが陣にしてみれば、まだまだのレベルだ
ウィービングとスウェーバック、左右のパリィングで払い落とす
そもそもハンドスピード自体、悟より遅い。まして日ごろから相手している姉、みやびと比べたら怖さも無い
相手がワンツーを繰り出す1のジャブに陣はジャブでカウンターを軽く合わせ
相手の2、右ストレートに同じく鏡に映すように右を返し連続で二発「パパンッ」とカウンター
まさかのワンツーに自体にワンツーのカウンターを合わせ返すという有り得ない技で3年をその場に昏倒させた
1R開始30秒の事である
勿論、思いっきり打ってない、意識を切っただけだ。しかしその結果を見ていた他の部員もボーゼンである
悟は「ざまぁ」とニヤニヤしてたが
着替えて校舎に戻った後、廊下で悟に有り難がれた
「いやー、流石陣さんッス。これでちっとは静かになるっしょ」
「と、言うからにはお前にもなんかやったんか?あの三年」
「ハァ、せこい嫌がらせとか、まあ、俺だけじゃないッスけどね」
「しょーもな‥」
「スカッとしたッスよ」
「んな事する暇あったら練習しろとしか言いようが無いな」
「ですねー」
「だから悟にも追い抜かれるんだよ」
「へ?俺のが強いッスか?」
「お前のが確実に早い」
「マジッスか?」
「ああ、お前とやったスパーリングでのカウンターと今日やったカウンター同じに見えるが、今日のあいつのパンチに合わせるのは正直「確実に見えた」からやった、悟にやったのは軌道予測でやった。全然お前のがやり難い」
「へぇ~」
「あいつとやった事ないのか?」
「いや、あいつ三年だし、階級も違いすぎますから、スパーとかやらないッスよ」
「成る程な」
そこで予鈴が鳴って悟は教室に戻った
「じゃ、陣さん、また後で」と走っていった
ただ、今回の事で分ったが、ボクシング部ではあの流れだったが、所属する空手部では比較的歓迎ムードだった。元が弱いだけに陣に対して「助っ人」意識が強いのと
最初に有段者の先生との試合も圧倒的だった点である、尊敬や羨望あってライバル意識も無く、それだけに陣に対して負の感情が少ない、そもそもそれでも朝練にはキッチリ出る故でもある
「で、結局、それで更に時間が無くなったと」
溜り場メンバーのお昼の場での事である
「いやね、みやび姉も忙しいし、ボクも予定詰まってるのよね、陣兄もだけど」
「マジかよ‥」
「とりあえず連休明けも家の方がリフォームあるからなぁ」
「つまり、再来週?な感じ」
「ま、しゃーないな、別に直ぐに!て訳じゃねーし、いいッスよ」
「ごめんね~悟君」
「しかし、また休みの予定がな‥」
「長行と遊んだらどうだ?暇なんだろ」
「何故俺が悟とデートしなきゃならんのだ」
紙パックジュースを啜っていた叶が噴出して咳き込んでいた
「こんな美少女でもそんな事あるんだなぁ」とのん気に葉月が呟いてポケットティッシュを渡した
「ま、あれだな、ウチの掃除の手伝いでもしてくれてもいいが‥」
「なぜ折角の休みに九重の家の掃除をしなければ成らないのか‥」
「だよね」
「あの~なら家の別荘にでも来ます?」
「いや‥それはちょっと‥叶ちゃんは兎も角、学長と一緒だろ」
「ええ、まあ‥家族旅行ですし」
「断固拒否する」
「結構気さくでいい親父さんだと思うけどな、会った感じ」
「俺らが緊張するんだよ、全然羽伸ばせないだろーが」
「そりゃそうだな」
「彼女でもいれば違うんだろうけどな」
「そうだ、なら叶ちゃん」
と悟が言いかけた所で葉月に先制の一撃を返される
「調子に乗るな」
「まだ何も言ってねーだろ!」
「みえみえなんだよねぇ‥君」
「く‥」
「なんだかんだで良いコンビだなあいつら‥」同時に長行と陣は呟いた
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