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ギリシャ神話 サタン一族編
ハニッシュ諸島の巨人
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ローレンスの言葉通り艦隊は一週間後にハニッシュ諸島に到着した。アクスムは紅海を挟んで現在のアフリカ大陸とアラビア半島の両方に領土を持っている。ハニッシュ諸島はアクスル領海の中心に位置している列島である、北からジャバルズカル、リトルアーンシュ、グレートアーンシュ、と呼ばれる3島が居住可能な島である。艦隊はハニッシュ諸島最大の島ジャバルズカルに係留された。予定通り客船に乗せてきた義勇兵たちを上陸させる、彼らは噂を聞きつけてスエズに駆けつけたアクスム王国を脱出した支持者たちである。アンドロメダがヤスリブに義勇艦隊を引き取りに行っていた間にその数を増やし、客船は4台に増え、運んだ人員は600名を数えるまでになっていた。島は森林も多く中央部には岩山もあり淡水も豊富である。600名はここで新た都を作る基盤づくりをしてもらう事になった。
ジャバルズカルへは南の浅瀬から上陸した。リトルアーンシュと海底で繋がっているらしく、岩礁がなくなだらかな丘陵状の海底となっている。レジガードの様な大型の船舶も係留可能な港を作るには最適な立地となっていた。
上陸した工兵が仮設住居を建設するまでは、係留した船舶で寝泊まりする事になった。それに客船以外は近日中に東アクスム上陸作戦を敢行する事になっているので、どの道、船を離れる事はない。
・・・・・
レジガードの会議室、ローレンスが壮行会の開催を提案していた。
「私たちはこの島に残って拠点建設に注力しますが、東アクスム上陸班はここからが勝負の時です、あなた方の勝利を祈願して壮行会を開きたいと思うのですがいかがでしょうか?」
「まだまだ気を抜けない状況だ、壮行会など不要だと思うんだが。」
バルハヌらしい意見だが、多くのメンバーが半ば賛成していた。ここまで、長い道のりを何とか乗り越えてきた。ここで、少しくらい気を緩めてもバチは当たらないだろう。スライマンでさえそう考えていた。
「では開催する方向で、私の船は残念ながら地中海に置いてきた。スエズから同行してきた客船カシオペアのパーティ会場を利用します。」
・・・・・
ペルセウスは壮行会の主賓の一人であるため、開催の三時間前にカシオペアの一室に呼び出されていた。驚いた事にその部屋に以前ペルセウスとヘシオドスの普段着を手直しするためにアンドロメダが呼んでいたテーラーのニーノ・カボットが待っていた。
「お久しぶりでございます、ペルセウス様、その後その衣装は如何でしたでしょうか、何か不具合は御座いませんでしたか?」
「何も問題はないよ、ありがとう」ペルセウスは短く答えた。
「ペルセウス様、本日は主賓の一人ですので衣装を新調して頂こうとローレンス様が仰っておりました。服のサイズはカボット様が把握しているとの事でしたので、適当と思えるものを数着用意しております。お気に召したものをお召しになってください。」ジタン商会の従業員だったピーターが説明した。
ペルセウスは言われた通り、気に入ったキトンとチェニックを選んで身につけた、鎖帷子のコットは今着ている物ををそのまま利用した。アキレスの防具とゼウスのケラウノスをその上から装着しようとする。
「ペルセウス様、今回の壮行会ではその様な不粋な物はお着けになれません。申し訳ございませんが、差し支えなければ此方で預からして戴けますでしょうか?」
「それは構わんが私以外は重くて持てないぞ?」
「存じております、信頼出来る者にしか手にする事が出来ないとか。ローレンス様から聞いております。それで、申し訳ないのですが、此方の箱にお入れ下さいませんでしょうか?」ピーターは宝箱の様な形をした中型サイズの箱を指差した。ペルセウスは言われた通り防具と剣をその箱に投じた。
「ありがとうございます、あと30分ほどで壮行会が始まりますので、宜しければ待合室でお寛ぎ下さい。」
そう言って、ドアを開き掌を上に向けドアの外を指した。案内すると言っているのだろう。ペルセウスは素直に付いて行き待合室でアンドロメダ一行と出会った。
ピーターはペルセウスを待合室に案内してから衣装室に戻って懐から鍵を出した。その鍵をペルセウスの防具の入っている箱の鍵穴に差し込み回した。
「ガチャ」
鍵のそれとは異なる音がしたかと思うと、ピーターは徐にその箱を両手で持ち上げた。部屋から出て甲板に行き海に投げ捨てた。
・・・・・・
「うまく行ったよ、もう奴は丸裸も同然だ。あとはキュクロプスとインキュバスの使い魔に任せよう。」
とサキュバスが得意げに宣言した。
「壮行会を正装でねぇ。うまく考えたものだ、お前の考えか?」
ベルゼブブがサキュバスに聞く。
「いいえ、ローレンス自身のアイデアよ、私は彼に『ペルセウスが島を発つ前に防具と剣を手放すようにして』と頼んだだけ、あとは彼がどうすれば疑われずに彼を丸裸にできるかを考えて実行したのよ。もっとも自分が何をしたいのかの自覚もなくね。」
サキュバスは自分の得意技の’魅惑’がどれほどの物かをとくとくと説明した。
「ピーターはそれを海に捨てる役か? それにしても、確かペルセウスの装備は本人が信頼した者しか持ち上げることも出来なかったはずだが。」
今度はインキュバスがサキュバスに問いかける。
「カラクリは簡単よ、あんたが使ったリンドバーグ・ケージがあの箱の中に仕込んであったのさ。鍵を回すとケージが起動する様になっていたの。」
「これは、賭けだったわ。ペルセウスから防具と剣に’縛り’がないかもしれなかったからね。でもしっかり繋がってたわ。だからそれを遮断すればただの鉄くずよ。ピーターでも楽々運べたわけ。」
インキュバスとサキュバスは会話するごとにその姿が変わった。側で見ていると滑稽でもあるが、単なる二重人格ではなくその姿まで変わるのは流石は魔人と言えるだろう。
インキュバスが支配した人間が数十名キュクロプスの配下に追加されていた。洞窟で戦った、あの人間兵器である。
「島に600人、船に600人全部で1200人が獲物だ。アクスムやムスリムに戦争を仕掛ける程じゃないけど、取り敢えず前菜といこうじゃないか。あぁ、アンドロメダは殺しちゃだめだよ、アクスムの民を糾合するカリスマが必要だからね。」
・・・・・
「ようやくここ迄来る事が出来ました。これも同胞たちの弛まぬ努力と神のご加護があったからだと感謝いたします。まだまだ、過酷な試練が残っておりますが、この島で一旦羽を休める事ができた事は大変幸運な事です。」
ローレンスが開会の挨拶をしていた。
ペルセウスとアンドロメダ、スライマン、バルハヌらがテーブルの前に立ち談笑していた。ローレンスの挨拶が終わりまわりから拍手が起こった。その後ローレンスはアンドロメダらに合流すべく壇上から降りてきた。
「あなたは、残った人たちを纏めて拠点を築くのね?」とアンドロメダがローレンスに聞く。
「そうです、私の船を地中海に残してきたので出番がないのですよ。」ローレンスは同行出来ないのが残念だと言わんばかりに理由を説明した。
「将来アクスムの首都機能を持って来れる程の拠点にして見せますよ。」
そんな事を話していた時の事である、何かが落下してきた様な音とともに船体が僅かに振動した。
「なんだ?」バルハヌが天井を見て口にする。
何処からか「敵襲だぁ、みんな逃げろ!」、そんな声が聞こえてきた。
「装備はどこだ?」スライマンがピーターに問う。
「みんな衣装室に整理して置いております。!」ピーターは即座に答えた。
衣装室と一言で言ってもこの人数である、客室を何室か利用して全て衣装室と呼んでいる。バルハヌ達はそれぞれ自分が着替えた衣装室へ走った。
ペルセウスも自分の衣装室に戻り例の宝箱をさがした。
無い。
ペルセウスの中のキルケゴールの知性は瞬時にその意図する所を悟った。
「成る程、そう言う事か」と彼は独り言ちて、ヘラを呼んだ。
『ヘラ、頼みたい事がある。私の代わりに戦ってくれ、私は捕虜になる。』
『私の出番ね? カッコ良いトコ見せないと。」
ペルセウスはそのまま甲板に出た。アンドロメダを守ってバルハヌ、ムルカン、アディスとマスカラム、ガネット、クリスが例の陣形で戦っていた。
ペルセウスは近くで倒れていた兵士の剣をもぎ取り彼らの所へ駆けつける。
「アキレスの防具とゼウスのケラウノスを奪われてしまった、通常の戦いしかできない。」そうみんなに告げた。
使い魔の一人がペウセウスに襲いかかる、ペルセウスはそれを紙一重で避け、伸びきった敵の腕をめがけて剣を振り下ろした。ペルセウスの剣が折れ、使い魔には傷一つ付いていない。使い魔の剣が再びペルセウスを襲う。
その時、何処からか銀色の矢が飛んできてその使い魔を人形の様に撃ち抜いた。
「ヘラ様!!」
そこに居た全員がヘラの顕現を視認した。
「かわいい、ペルセウスに何て事するの。」ヘラはおイタをした子供を諭す様な口調で、もう息絶えている使い魔に言った。
弓を放った場所からつかつかと歩いて来る。その間何人かの使い魔がヘラに襲い掛かったが、邪魔よ、と言う様に手を振るだけでその者達は吹っ飛んでいった。
『流石に硬いわね。ゴーシュが手こずるはずだわ、でも対策を教えて貰ってるから敵では無いわ。さて、どうやってペルセウスを攫われようかしら。』
ヘラがアンドロメダ達の所に立ち、
「武器を取られてしまったのね? 取り返して上げるから相手は何者なのか教えなさい。」
その時、船を真っ二つに出来るほどの巨大なソードが天から振り下ろされた。
巨大ソードはヘラを狙っていた。
戦況を伺っていたキュクロプスは変な女が矢の一発で彼の使い魔を屠ってしまったのをみて、ある女を思い出した。その女は前の世界で彼を手玉に取った、屈辱感で一杯だったがその女はあろう事か彼を見逃したのである。屈辱感が限界を超えた。それで、ハデス軍に参加したのだ、あの女が一緒にいると聞いて。
カシオペアはヘラが居た場所で真っ二つに切り裂かれた。船首と船尾から徐々に沈んでいくだろう。ヘラとアンドロメダ一行は隣の客船オリオンの甲板に移動していた。ペルセウスの姿が無い。
「危なかったわね、でも、ペルセウスがあの剣と一緒に海に沈んでしまったわ。」
ヘラが悔しそうに言った。
「あの大きな剣はキュクロプスだわ。」ヘラであるアビゲイルには見覚えがあった。
「キュクロプス?」アンドロメダが聞き返す。
「そう、一つ目の巨人よ。でもあれは人に害をなす魔物じゃなかった。だから私は彼を見逃してやったのよ。」
「見逃してやった?」
「あらら、言っちゃった。以前悪い魔人を退治して回った事があるのよ。人を殺して魂を奪う魔人よ。でも彼は違った、多分ハデスと同じ能力を持ってるのよ。冥界へ行って、不要になった魂を拾って来ると言う。でもそれも人の転生を妨げている可能性があるので私は良い事だとは思ってないの。」
「ヘラ様は魂を必要としないのですか?」
「私たちには魂は不要よ、だって直接力を使う事ができるから。」ヘラはエーテルの事は黙っていた。
・・・・・
「あれはゼウス一族のヘラに間違いない。しかし、なんで彼女が人間の味方をするんだ? 彼女はある意味俺たちよりたちが悪い魔人だったはずだ。」
ゼウス一族の中でも10指に入る魔力を操ったが、嫉妬深くてゼウスに色目を使う女を片っぱしから片付けて行った。ヘラは多くの魔人からそんな風に思われていた。
「まあいい、それは後で考えるとして、さっきあの男が海に落ちて行ったのを見たか?」
ベルゼブブがインキュバスに確認した。
「あいつを誑かせないか? 見た所、奴は人間だ。その上であの防具と剣をもたせたら、役に立つぞ。」
「あいつは男だから何ならサキュバスの’魅惑’を使ってもいい。」
「誑かすには麻薬が必要だ。奴は私の事を知っている、何をするかも。そう言う人間は麻薬で意思を麻痺させないと掛からない術なんだ」
「なら、私の’魅惑’を使うよ。上手くすれば最強の兵器になるよ。」
意見が一致し彼らはペルセウスを海底から救いあげる事にした。
・・・・・
ペルセウスは海底で新陳代謝を最低にして自分のエーテルマトリクスをバッファリングした。以前ヒュドラに石にされた時は自身を復元するために賢者の石をつかったが、キルケゴールはもっと高度な技術エーテルバッファリングを持っていた。これは自身のエーテルマトリクスを丸々コピーして必要に応じてそこから復元する技術である。ヒュドラの場合は全身が石にされてしまうので使えなかった。今回は体の殆どが残っているので何をトリガとして復元するかを決めておけば被害を無効にできる。
彼は洗脳される事も視野に入れていたのである。
・・・・・
ヘラはオリオンの甲板からキュクロプスを見上げていた、矢筒を背負い弓を片手にしている。キュクロプスが巨大ソードを再びヘラ目掛けて振り下ろした。ヘラはそれを弓で受ける仕草をした。しかし、キュクロプスの巨大ソードは一振りでカシオペアを真っ二つにしたのである、刃渡り50mはある。一方ヘラの弓は全長3m程度の普通の弓である、そんなもので受けられるわけがない。ヘラから少し離れたところで見ていたアンドロメダ一行は硬直して危険を告げる事も出来なかった。
しかし、キュクロプスの剣がまさに振り下ろされたその時、その前に片側だけで敵の剣に劣らないサイズの弓がヘラとキュクロプスの間に現れ、その剣を受けた。受けたその弓を返して袈裟懸けに剣を薙ぐ。キュクロプスの剣はその勢いに押されて海に叩きつけられた。
「すっ、すごい。あれが神の戦い方か?』バルハヌが叫んだ。
ヘラは次に背中の矢を一本抜き取りその弓に番えてキュクロプスを狙った。普通サイズの矢がヘラの弓から放たれたかと思うとその矢が距離を取るに従い大きくなって行きキュプロプスの肩に突き刺さった。キュプロプスは堪らず剣を落とす。
さらに、もう一本背中の矢筒から矢を取り出しキュプロプスの頭上をねらて放った。今度の矢は飛翔しながらその形状を変えて行った、下から見ると楕円形の光の塊にみえたが、実際は真円の円盤であった。
その円盤はキュプロプスの頭上で何かを切り裂いた。
キュプロプスは糸が切れたマリオネットの様に海に倒れ伏した。
「あの倒れ方、あの時と同じだわ!」クレアが叫んだ。
ペルセウスが父ウィリアム・ホーンを切り裂いたと勘違いし思わず顔を覆ったあの時、父は糸の切れた操り人形の様にその場にうずくまり、暫くして気がついた時には正気に戻っていた。
「あの巨人も操られていたんだわ! きっとそうよ!」
・・・・・
「キュプロプスの縛りを切られた!」
インキュバスが狼狽えた様に叫んだ。
「狼狽えるんじゃないよ。使い魔達はまだ残っているんだろ? 時間はまだある。ペルセウスを回収するよ。」
・・・・・
キュプロプスは仰向けになって海に浮かんでいる様に見えた。その巨体はレジガードをも凌駕する大きさだ、浮いているんではなく浅瀬に寝ているのだろう。
彼の正気が戻ったせいか、使い魔達の鉄壁のアーマーがアクスム兵士達の剣を通すようになった。こうなれば、剣術に長けた旧近衛兵や正規軍兵士にとって使い魔など敵ではない。次々と使い魔を斬り伏せて行った。混乱は収束に向かっていた。
ヘラはキュプロプスの前の虚空に浮かんで彼が目を覚ますのを待っていた。
暫くしてキュプロプスは目を覚ました、両手で体を押し上げ、島の山腹に背中を預ける。
「お前が解放してくれたのか?」
「インキュパスに誑かされていたわ。あなたが何故この世界にいるの?」
「儂はこの世界に来る前にハデスの軍に参加していた。儂に哀れみを掛け誇りを傷つけたあの女も居ると言う事だったのでな。」
「・・・・・」
「あの女とはアビゲイル・リンドバーグの事ね。」
「知っているのか?」
「当然よ、私だもの。」ヘラはキュプロプスしか聞いていない事を知った上で自分の正体を晒した。
「あなたに哀れみなど掛けたつもりはサラサラ無いわ。なんでそんな風に考えるのよ」
「我は誇り高き半神の一人、その私が人間に負けてしまったのだ。傷つけられた誇りは死を持って拭い去るしかない。それをお前は殺す事を躊躇い見逃したのだ。この様な屈辱は耐えられん。」
「誇り高き半神だか何だか知らないけど、今だって私に手も足も出なかったじゃ無いの。実力差は明白よ。見逃してもらったぐらいで傷つく誇りなんて、随分安っぽい誇りじゃ無いの?」
「お前の物言いは確かにあの女と同じだな。賢者の秘法が成功したのか?」
「知ってるのね?・・・半分成功、半分失敗ね。目的の時代から随分遠い所に運ばれちゃったわ。」
「ところで、半神と言うのは何なの? 魔人と何処が違うの?」
「大賢者の弟子のくせにそんな事も知らないのか?」
「大きなお世話よ、よかったら教えてくれない?」
「我々は神と人間の間に生まれた。汚れた魔人達は人の魂がなければ力を使えないが、我らは違う。我ら半神は人の信仰を糧としている。奴らとは違うのだ。」
「ひょっとしてあなたの力って闘う事じゃなくて何か他の事なんじゃ無い?」
「戦いなどに興味はない、我が父から与えられた本来の力は物を作り出す力だ。大地の恵みを人の道具に変える。」
「それじゃ、なおさら私に負けた事を屈辱に感じることなど無いじゃないの。」
「何を言う、例え戦いを知らぬとも、半神が人間に負けるなどあってはならない事なのだ。」
「あーもう、面倒くさいわね。貴方に誇りを取り戻させてあげるわ。だから、取り敢えず死を持って拭い去るのはもうちょっと待ってちょうだい。」
・・・・・
ジャバルズカルへは南の浅瀬から上陸した。リトルアーンシュと海底で繋がっているらしく、岩礁がなくなだらかな丘陵状の海底となっている。レジガードの様な大型の船舶も係留可能な港を作るには最適な立地となっていた。
上陸した工兵が仮設住居を建設するまでは、係留した船舶で寝泊まりする事になった。それに客船以外は近日中に東アクスム上陸作戦を敢行する事になっているので、どの道、船を離れる事はない。
・・・・・
レジガードの会議室、ローレンスが壮行会の開催を提案していた。
「私たちはこの島に残って拠点建設に注力しますが、東アクスム上陸班はここからが勝負の時です、あなた方の勝利を祈願して壮行会を開きたいと思うのですがいかがでしょうか?」
「まだまだ気を抜けない状況だ、壮行会など不要だと思うんだが。」
バルハヌらしい意見だが、多くのメンバーが半ば賛成していた。ここまで、長い道のりを何とか乗り越えてきた。ここで、少しくらい気を緩めてもバチは当たらないだろう。スライマンでさえそう考えていた。
「では開催する方向で、私の船は残念ながら地中海に置いてきた。スエズから同行してきた客船カシオペアのパーティ会場を利用します。」
・・・・・
ペルセウスは壮行会の主賓の一人であるため、開催の三時間前にカシオペアの一室に呼び出されていた。驚いた事にその部屋に以前ペルセウスとヘシオドスの普段着を手直しするためにアンドロメダが呼んでいたテーラーのニーノ・カボットが待っていた。
「お久しぶりでございます、ペルセウス様、その後その衣装は如何でしたでしょうか、何か不具合は御座いませんでしたか?」
「何も問題はないよ、ありがとう」ペルセウスは短く答えた。
「ペルセウス様、本日は主賓の一人ですので衣装を新調して頂こうとローレンス様が仰っておりました。服のサイズはカボット様が把握しているとの事でしたので、適当と思えるものを数着用意しております。お気に召したものをお召しになってください。」ジタン商会の従業員だったピーターが説明した。
ペルセウスは言われた通り、気に入ったキトンとチェニックを選んで身につけた、鎖帷子のコットは今着ている物ををそのまま利用した。アキレスの防具とゼウスのケラウノスをその上から装着しようとする。
「ペルセウス様、今回の壮行会ではその様な不粋な物はお着けになれません。申し訳ございませんが、差し支えなければ此方で預からして戴けますでしょうか?」
「それは構わんが私以外は重くて持てないぞ?」
「存じております、信頼出来る者にしか手にする事が出来ないとか。ローレンス様から聞いております。それで、申し訳ないのですが、此方の箱にお入れ下さいませんでしょうか?」ピーターは宝箱の様な形をした中型サイズの箱を指差した。ペルセウスは言われた通り防具と剣をその箱に投じた。
「ありがとうございます、あと30分ほどで壮行会が始まりますので、宜しければ待合室でお寛ぎ下さい。」
そう言って、ドアを開き掌を上に向けドアの外を指した。案内すると言っているのだろう。ペルセウスは素直に付いて行き待合室でアンドロメダ一行と出会った。
ピーターはペルセウスを待合室に案内してから衣装室に戻って懐から鍵を出した。その鍵をペルセウスの防具の入っている箱の鍵穴に差し込み回した。
「ガチャ」
鍵のそれとは異なる音がしたかと思うと、ピーターは徐にその箱を両手で持ち上げた。部屋から出て甲板に行き海に投げ捨てた。
・・・・・・
「うまく行ったよ、もう奴は丸裸も同然だ。あとはキュクロプスとインキュバスの使い魔に任せよう。」
とサキュバスが得意げに宣言した。
「壮行会を正装でねぇ。うまく考えたものだ、お前の考えか?」
ベルゼブブがサキュバスに聞く。
「いいえ、ローレンス自身のアイデアよ、私は彼に『ペルセウスが島を発つ前に防具と剣を手放すようにして』と頼んだだけ、あとは彼がどうすれば疑われずに彼を丸裸にできるかを考えて実行したのよ。もっとも自分が何をしたいのかの自覚もなくね。」
サキュバスは自分の得意技の’魅惑’がどれほどの物かをとくとくと説明した。
「ピーターはそれを海に捨てる役か? それにしても、確かペルセウスの装備は本人が信頼した者しか持ち上げることも出来なかったはずだが。」
今度はインキュバスがサキュバスに問いかける。
「カラクリは簡単よ、あんたが使ったリンドバーグ・ケージがあの箱の中に仕込んであったのさ。鍵を回すとケージが起動する様になっていたの。」
「これは、賭けだったわ。ペルセウスから防具と剣に’縛り’がないかもしれなかったからね。でもしっかり繋がってたわ。だからそれを遮断すればただの鉄くずよ。ピーターでも楽々運べたわけ。」
インキュバスとサキュバスは会話するごとにその姿が変わった。側で見ていると滑稽でもあるが、単なる二重人格ではなくその姿まで変わるのは流石は魔人と言えるだろう。
インキュバスが支配した人間が数十名キュクロプスの配下に追加されていた。洞窟で戦った、あの人間兵器である。
「島に600人、船に600人全部で1200人が獲物だ。アクスムやムスリムに戦争を仕掛ける程じゃないけど、取り敢えず前菜といこうじゃないか。あぁ、アンドロメダは殺しちゃだめだよ、アクスムの民を糾合するカリスマが必要だからね。」
・・・・・
「ようやくここ迄来る事が出来ました。これも同胞たちの弛まぬ努力と神のご加護があったからだと感謝いたします。まだまだ、過酷な試練が残っておりますが、この島で一旦羽を休める事ができた事は大変幸運な事です。」
ローレンスが開会の挨拶をしていた。
ペルセウスとアンドロメダ、スライマン、バルハヌらがテーブルの前に立ち談笑していた。ローレンスの挨拶が終わりまわりから拍手が起こった。その後ローレンスはアンドロメダらに合流すべく壇上から降りてきた。
「あなたは、残った人たちを纏めて拠点を築くのね?」とアンドロメダがローレンスに聞く。
「そうです、私の船を地中海に残してきたので出番がないのですよ。」ローレンスは同行出来ないのが残念だと言わんばかりに理由を説明した。
「将来アクスムの首都機能を持って来れる程の拠点にして見せますよ。」
そんな事を話していた時の事である、何かが落下してきた様な音とともに船体が僅かに振動した。
「なんだ?」バルハヌが天井を見て口にする。
何処からか「敵襲だぁ、みんな逃げろ!」、そんな声が聞こえてきた。
「装備はどこだ?」スライマンがピーターに問う。
「みんな衣装室に整理して置いております。!」ピーターは即座に答えた。
衣装室と一言で言ってもこの人数である、客室を何室か利用して全て衣装室と呼んでいる。バルハヌ達はそれぞれ自分が着替えた衣装室へ走った。
ペルセウスも自分の衣装室に戻り例の宝箱をさがした。
無い。
ペルセウスの中のキルケゴールの知性は瞬時にその意図する所を悟った。
「成る程、そう言う事か」と彼は独り言ちて、ヘラを呼んだ。
『ヘラ、頼みたい事がある。私の代わりに戦ってくれ、私は捕虜になる。』
『私の出番ね? カッコ良いトコ見せないと。」
ペルセウスはそのまま甲板に出た。アンドロメダを守ってバルハヌ、ムルカン、アディスとマスカラム、ガネット、クリスが例の陣形で戦っていた。
ペルセウスは近くで倒れていた兵士の剣をもぎ取り彼らの所へ駆けつける。
「アキレスの防具とゼウスのケラウノスを奪われてしまった、通常の戦いしかできない。」そうみんなに告げた。
使い魔の一人がペウセウスに襲いかかる、ペルセウスはそれを紙一重で避け、伸びきった敵の腕をめがけて剣を振り下ろした。ペルセウスの剣が折れ、使い魔には傷一つ付いていない。使い魔の剣が再びペルセウスを襲う。
その時、何処からか銀色の矢が飛んできてその使い魔を人形の様に撃ち抜いた。
「ヘラ様!!」
そこに居た全員がヘラの顕現を視認した。
「かわいい、ペルセウスに何て事するの。」ヘラはおイタをした子供を諭す様な口調で、もう息絶えている使い魔に言った。
弓を放った場所からつかつかと歩いて来る。その間何人かの使い魔がヘラに襲い掛かったが、邪魔よ、と言う様に手を振るだけでその者達は吹っ飛んでいった。
『流石に硬いわね。ゴーシュが手こずるはずだわ、でも対策を教えて貰ってるから敵では無いわ。さて、どうやってペルセウスを攫われようかしら。』
ヘラがアンドロメダ達の所に立ち、
「武器を取られてしまったのね? 取り返して上げるから相手は何者なのか教えなさい。」
その時、船を真っ二つに出来るほどの巨大なソードが天から振り下ろされた。
巨大ソードはヘラを狙っていた。
戦況を伺っていたキュクロプスは変な女が矢の一発で彼の使い魔を屠ってしまったのをみて、ある女を思い出した。その女は前の世界で彼を手玉に取った、屈辱感で一杯だったがその女はあろう事か彼を見逃したのである。屈辱感が限界を超えた。それで、ハデス軍に参加したのだ、あの女が一緒にいると聞いて。
カシオペアはヘラが居た場所で真っ二つに切り裂かれた。船首と船尾から徐々に沈んでいくだろう。ヘラとアンドロメダ一行は隣の客船オリオンの甲板に移動していた。ペルセウスの姿が無い。
「危なかったわね、でも、ペルセウスがあの剣と一緒に海に沈んでしまったわ。」
ヘラが悔しそうに言った。
「あの大きな剣はキュクロプスだわ。」ヘラであるアビゲイルには見覚えがあった。
「キュクロプス?」アンドロメダが聞き返す。
「そう、一つ目の巨人よ。でもあれは人に害をなす魔物じゃなかった。だから私は彼を見逃してやったのよ。」
「見逃してやった?」
「あらら、言っちゃった。以前悪い魔人を退治して回った事があるのよ。人を殺して魂を奪う魔人よ。でも彼は違った、多分ハデスと同じ能力を持ってるのよ。冥界へ行って、不要になった魂を拾って来ると言う。でもそれも人の転生を妨げている可能性があるので私は良い事だとは思ってないの。」
「ヘラ様は魂を必要としないのですか?」
「私たちには魂は不要よ、だって直接力を使う事ができるから。」ヘラはエーテルの事は黙っていた。
・・・・・
「あれはゼウス一族のヘラに間違いない。しかし、なんで彼女が人間の味方をするんだ? 彼女はある意味俺たちよりたちが悪い魔人だったはずだ。」
ゼウス一族の中でも10指に入る魔力を操ったが、嫉妬深くてゼウスに色目を使う女を片っぱしから片付けて行った。ヘラは多くの魔人からそんな風に思われていた。
「まあいい、それは後で考えるとして、さっきあの男が海に落ちて行ったのを見たか?」
ベルゼブブがインキュバスに確認した。
「あいつを誑かせないか? 見た所、奴は人間だ。その上であの防具と剣をもたせたら、役に立つぞ。」
「あいつは男だから何ならサキュバスの’魅惑’を使ってもいい。」
「誑かすには麻薬が必要だ。奴は私の事を知っている、何をするかも。そう言う人間は麻薬で意思を麻痺させないと掛からない術なんだ」
「なら、私の’魅惑’を使うよ。上手くすれば最強の兵器になるよ。」
意見が一致し彼らはペルセウスを海底から救いあげる事にした。
・・・・・
ペルセウスは海底で新陳代謝を最低にして自分のエーテルマトリクスをバッファリングした。以前ヒュドラに石にされた時は自身を復元するために賢者の石をつかったが、キルケゴールはもっと高度な技術エーテルバッファリングを持っていた。これは自身のエーテルマトリクスを丸々コピーして必要に応じてそこから復元する技術である。ヒュドラの場合は全身が石にされてしまうので使えなかった。今回は体の殆どが残っているので何をトリガとして復元するかを決めておけば被害を無効にできる。
彼は洗脳される事も視野に入れていたのである。
・・・・・
ヘラはオリオンの甲板からキュクロプスを見上げていた、矢筒を背負い弓を片手にしている。キュクロプスが巨大ソードを再びヘラ目掛けて振り下ろした。ヘラはそれを弓で受ける仕草をした。しかし、キュクロプスの巨大ソードは一振りでカシオペアを真っ二つにしたのである、刃渡り50mはある。一方ヘラの弓は全長3m程度の普通の弓である、そんなもので受けられるわけがない。ヘラから少し離れたところで見ていたアンドロメダ一行は硬直して危険を告げる事も出来なかった。
しかし、キュクロプスの剣がまさに振り下ろされたその時、その前に片側だけで敵の剣に劣らないサイズの弓がヘラとキュクロプスの間に現れ、その剣を受けた。受けたその弓を返して袈裟懸けに剣を薙ぐ。キュクロプスの剣はその勢いに押されて海に叩きつけられた。
「すっ、すごい。あれが神の戦い方か?』バルハヌが叫んだ。
ヘラは次に背中の矢を一本抜き取りその弓に番えてキュクロプスを狙った。普通サイズの矢がヘラの弓から放たれたかと思うとその矢が距離を取るに従い大きくなって行きキュプロプスの肩に突き刺さった。キュプロプスは堪らず剣を落とす。
さらに、もう一本背中の矢筒から矢を取り出しキュプロプスの頭上をねらて放った。今度の矢は飛翔しながらその形状を変えて行った、下から見ると楕円形の光の塊にみえたが、実際は真円の円盤であった。
その円盤はキュプロプスの頭上で何かを切り裂いた。
キュプロプスは糸が切れたマリオネットの様に海に倒れ伏した。
「あの倒れ方、あの時と同じだわ!」クレアが叫んだ。
ペルセウスが父ウィリアム・ホーンを切り裂いたと勘違いし思わず顔を覆ったあの時、父は糸の切れた操り人形の様にその場にうずくまり、暫くして気がついた時には正気に戻っていた。
「あの巨人も操られていたんだわ! きっとそうよ!」
・・・・・
「キュプロプスの縛りを切られた!」
インキュバスが狼狽えた様に叫んだ。
「狼狽えるんじゃないよ。使い魔達はまだ残っているんだろ? 時間はまだある。ペルセウスを回収するよ。」
・・・・・
キュプロプスは仰向けになって海に浮かんでいる様に見えた。その巨体はレジガードをも凌駕する大きさだ、浮いているんではなく浅瀬に寝ているのだろう。
彼の正気が戻ったせいか、使い魔達の鉄壁のアーマーがアクスム兵士達の剣を通すようになった。こうなれば、剣術に長けた旧近衛兵や正規軍兵士にとって使い魔など敵ではない。次々と使い魔を斬り伏せて行った。混乱は収束に向かっていた。
ヘラはキュプロプスの前の虚空に浮かんで彼が目を覚ますのを待っていた。
暫くしてキュプロプスは目を覚ました、両手で体を押し上げ、島の山腹に背中を預ける。
「お前が解放してくれたのか?」
「インキュパスに誑かされていたわ。あなたが何故この世界にいるの?」
「儂はこの世界に来る前にハデスの軍に参加していた。儂に哀れみを掛け誇りを傷つけたあの女も居ると言う事だったのでな。」
「・・・・・」
「あの女とはアビゲイル・リンドバーグの事ね。」
「知っているのか?」
「当然よ、私だもの。」ヘラはキュプロプスしか聞いていない事を知った上で自分の正体を晒した。
「あなたに哀れみなど掛けたつもりはサラサラ無いわ。なんでそんな風に考えるのよ」
「我は誇り高き半神の一人、その私が人間に負けてしまったのだ。傷つけられた誇りは死を持って拭い去るしかない。それをお前は殺す事を躊躇い見逃したのだ。この様な屈辱は耐えられん。」
「誇り高き半神だか何だか知らないけど、今だって私に手も足も出なかったじゃ無いの。実力差は明白よ。見逃してもらったぐらいで傷つく誇りなんて、随分安っぽい誇りじゃ無いの?」
「お前の物言いは確かにあの女と同じだな。賢者の秘法が成功したのか?」
「知ってるのね?・・・半分成功、半分失敗ね。目的の時代から随分遠い所に運ばれちゃったわ。」
「ところで、半神と言うのは何なの? 魔人と何処が違うの?」
「大賢者の弟子のくせにそんな事も知らないのか?」
「大きなお世話よ、よかったら教えてくれない?」
「我々は神と人間の間に生まれた。汚れた魔人達は人の魂がなければ力を使えないが、我らは違う。我ら半神は人の信仰を糧としている。奴らとは違うのだ。」
「ひょっとしてあなたの力って闘う事じゃなくて何か他の事なんじゃ無い?」
「戦いなどに興味はない、我が父から与えられた本来の力は物を作り出す力だ。大地の恵みを人の道具に変える。」
「それじゃ、なおさら私に負けた事を屈辱に感じることなど無いじゃないの。」
「何を言う、例え戦いを知らぬとも、半神が人間に負けるなどあってはならない事なのだ。」
「あーもう、面倒くさいわね。貴方に誇りを取り戻させてあげるわ。だから、取り敢えず死を持って拭い去るのはもうちょっと待ってちょうだい。」
・・・・・
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