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ギリシャ神話 サタン一族編
地下通路
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ラミア・マンドレアがインキュバスの洗脳に汚染されてしまった以上、インキュバスとベルゼブブはアクスム義勇軍のメンバーも義勇艦隊の場所も全て知っていると考えた方がいい。
ベルゼブブはその気になれば何時でもムスリム国軍隊を動かしアクスム義勇軍を壊滅させることができる。
クレオンはこの基地は放棄しアクスムに移らねばならないと考えていた。
それも、アクスム義勇軍の潜入部隊すべての人員をである。
『諜報員が捕まる方がまだ楽だな。インキュバスの能力が本当なら、一人でも正体を見破られてしまえば諜報組織としては全滅という事だものな。』
「アクスム潜入部隊は全員軍船レジガードに乗船し同行したい。」
「それは構わんが諜報部門はどうなるのだ?」
クレオンの申し出にバルハヌ一行はインキュバスに諜報員の一人が操られた以上、仕方のない事だとは思ったが、ムスリムに構築して来た情報網がどうなってしまうのか心配になった。
「構築し直しだ、人員も手段も場所もすべて俺たちとは異なる物たちが時間をかけて再構築する。」
ヤスリブからスエズに移動する人員はアクスム義勇艦隊100人、アクスム潜入部隊25名、バルハヌ達7名、の計132名となった。
その内レジガードと共に寝泊まりしているアクスム義勇艦隊の搭乗員100名を除く32名がヤスリブからレジガードの洞窟に移動する。
「2日後正午に出発する、全員それまでにここに集まってくれ。」
クレオンはレジガードの隠し場所へ出発するのに、この場所を集合場所に選んだ。」
「遠足じゃないんだぞ、32人がここからノコノコと出ていくのか?」
バルハヌが異議を唱えた。
「問題ない、2日後の正午までにここに来てくれ。」
バルハヌはそれ以上追求するのをやめた。
ーーーーーーーーーー
「先頭は俺とバルハヌ殿一行、しんがりはミハイルのグループが務めてくれ。」
32人を5~6人のグループに分けているらしい。
クレオンはドアを出て、そのまま廊下を真っ直ぐ歩いて行った。
廊下は暗闇に消えていたが、クレオンが用意した松明で歩を進めるごとに廊下が明かりで照らされていった。
しばらく歩くと廊下の突き当たりの床に大きな穴が穿かれているのが見えて来た。
「クレオン、ひょっとして地下通路があるのか?」
「ご名答、レジガードのドッグまで空洞が続いている。一日では付かないから途中キャンプする事になるからそのつもりでいてくれ。」
バルハヌの質問にそう答えた。
クレオンはペルセウスの妨害は無いと言う予想を手放しに信じる気にはならなかった。
それ故、32人を6グループに分け危機を分散できるようにしたのである。
廊下の突き当たりの穴は30度ほどの勾配でさらに下の方に伸びていた、一同は一列になってその穴を降りていく。
やがてトンネルの勾配もほぼ水平になり、より大きな空洞に出た。
不思議な事にその空洞は暗闇ではなかった。
洞窟は高さ50メートル幅100メートルはあろうか、その天井に青白く光るものが無数に露出しているのが見えた。
おそらく何らかの放射性物質であろう、人体に影響がない訳では無いがあの高さなら大丈夫だと思われる。
道は義勇軍が何度も行き来したのか比較的歩きやすくなっていた。
「途中脇道が何箇所かあるので逸れないようにしてくれ。」
クレオンが説明しながら歩いていった。
当時は放射性物質などと言う言葉はもちろん概念さえ知られていない。
「光る石が天井に敷き詰められていて明るいんだ。これは助かってる。」
そう言いながら、天井を見上げた。
地下通路に入ってからレジガードのドッグまではおよそ150キロあるとの事、これは紅海からヤスリブまでの陸路の距離とほぼ同じだ。
レジガードは紅海に面した所にあると言うことが容易に予想できた。
30キロを過ぎるころ第一回目のキャンプを張る事になった。
キャンプといってもテント類は無い、各自が背負っている毛布を思い思いの場所に広げそこに横になる。
「火を起こしてもいいか?」
「問題ない」
クレオンの答えに、バルハヌは数本の薪を解きやぐら状に地面に立てかけ周りを石で囲んで火を起こした。
保存食の干し肉を火であぶり口に運ぶ。
他もそれに習い簡単な食事を終えた頃、クレオンがロウソクを取り出して言う。
「ここは日の光が入らないので時間感覚が無くなる。このロウソクが燃え尽きたら出発する。」
そう言ってそそくさと寝てしまった。
ペルセウスは先頭グループの見張り番を自分から買って出ていた。
地下通路の旅は陸上に比べて緊張感に欠ける。
これまでレジガードの建設資材を運ぶため何度も往復したからだろう、全員が外敵の存在など念頭に無いように深い眠りについている。
ペルセウス自身もインキュバスとベルゼブブの目的がアクスムでの動乱助長であると確信していたため、今は襲っては来ないだろうと高を括って魔人探索は行なっていなかった。
しかし、インキュバスとベルゼブブにはもう一つの目的がある。
『あの男を早い段階で排除する事、その為にはアクスム義勇軍が壊滅しても構わない。必要なら洗脳した人間をレジガードに送れば良いだけである。』
インキュバスの眷属キュクロプス率いるペルセウス暗殺特殊部隊は地下通路から伸びる数々の支線の一つに潜んでいた。
キュクロプス隊の魔族はキュクロプスだけで残りは人間で構成されていた。
人間たちはキュクロプスが作り出すアーマで一人一人が強化され脳はインキュバスに完全に支配されていた。
単なる洗脳ではなく、支配はその人間の人格を破壊し目的を刷り込まれる為リンクを切断しても修復不可能である。
ロングソードを携行した接近戦を担当する者と、クロスポウを持つ遠方攻撃担当と分かれていた。
「ヒュン」僅かだが何かが風を切る音がした。
ペルセウスは突然背筋に冷たいものを感じ咄嗟にタイムインデックスを高速モードにしあたりを見回す。
通ってきた地下通路から何本かの矢がペルセウス目掛けて飛んで来た。
ペルセウスは先頭グループだけでなく全グループの周辺にシールドを張る。
矢はシールドに接触した途端爆発した。
爆発音が地下通路の壁に反射され轟音と化してグループ全体に響き渡った。
ペルセウスは左手にアキレスの盾を持ち、右手でケラウノスを抜き去り弓矢が向かって来た方向へ走り出した。
ロングソードを持った一団が向かってくる。
エーテルを視覚化し一団を走査する、エーテルリンクはなかった。
『リンクにより意思を操られていないのに攻撃してくる。インキュバスの洗脳の巧妙さから只者では無いとは思っていたが、人格を書き直してしまうとは。』
インキュバスの支配という概念をペルセウスはこの様に表現した。
飛翔してきた弓矢をアキレスの盾で迎える。
その矢が突然、高熱を発して爆発した。
「くっ」
すんでの所で後退し熱波を避けた。
体制を立て直す間も無くロングソードが襲ってくる。
ケラウノスで受ける、同時に敵の剣を切断しようとしたが、弾かれてしまった。
ケラウノスと組み合っても破壊される事なく受け止められた。
と言うことは敵のロングソードも何らかの強化がされていると言うことだ。
クロスボウも然り、攻撃力が通常の弓矢ではない。
人間の魂を利用してエーテル制御を行うのが魔人の魔法であるが、これは違う、生きた人間を利用しているのだ。
人格が支配されている為、一点の疑問も持つ事なくエーテル制御ができている。
エーテルマスターを目指す者が何年も掛かって獲得するエーテルビリーブをインキュバスの支配により難なく獲得してしまっているのだ。
『彼らをインキュバスから解放することは不可能だ。生きた人間であるため武器の強化に魂は必要ない。魔人流に言えば、彼らの魔力は無尽蔵だ。これは厄介だ、救えない。』
彼らの何人かは、アクスム潜入部隊に攻撃を加えている。
早くしないと、潜入部隊から犠牲者が出てしまう。
ペルセウスは覚悟を決めた。
ケラウノスに水刃を纏い彼らを水平になぎ払った。
何10という剛性を持った水の刃が敵に襲いかかる。
しかし、その刃はキュクロプスが彼らに与えたアーマーにより弾かれた。
それた刃が近くの岩を両断した。
ペルセウスの攻撃を目撃した潜入部隊はあまりの凄まじさに硬直し、その戦いに目を奪われていた。
『あれは、ミノタウロスの体躯と同じか?』
ペルセウスは今度はケラウノスに雷撃を纏い袈裟懸けに一閃する。
ケラウノスの通った軌跡に青白い亀裂が発生し、そこから雷の形をした光が水平に敵の集団に向かって走った。
至近距離で雷が落ちた様な轟音が周囲の全員を襲う。
アクスム潜入部隊は耳がしばらく使い物にならなくなり、耳を押さえてうずくまってしまった。
敵の何人かはその攻撃で昏倒したが、まだ数人が攻撃態勢を崩していない。
『しぶとい。さすがは人間のエーテルコントロールだ、私の攻撃に耐えた者が居る。』
ペルセウスがそう考えていた時である敵の一人がボウガンをペルセウスに向けた、弓矢が赤く輝いている。
放たれたその矢は灼熱色に変わりペルセウスを襲う。
ペルセウスはアキレスの盾をそれに向けた。
先ほどの経験から真っ向から受けるのではなく、魔力を遮断する。
その矢は盾に吸い込まれていく様に消えて行った。
ハデスの灼熱によく似た攻撃を見てペルセウスは
『こんな攻撃もできるのか? これは侮れない。』
『結局効果的な攻撃はミノタウロスを倒したあの方法か?』
ペルセウスは敵の適応時間を計り攻撃のタイミングを計算した。
最初は適当な強度で切りつける、その強度に適応する時間を置いて最初の一撃より高い強度で適応時間を遥かに凌駕する高速で切り抜く。
思惑通り、敵を難なく切り裂くことに成功した。
この攻撃を見ていた者はペルセウスが敵に斬り付けるその瞬間、姿が二重にブレた様に見えたことだろう。
ペルセウスはこの戦法で次々に敵を倒して行った。
『こいつらを送り込んだ首謀者はいない様だな。」
敵を一掃したペルセウスは首謀者を探したが見つからなかった。
ペルセウスは各グループのシールドを解きケラウノスを鞘に戻した。
全員がペルセウスの前に集まる。
「インキュバスとベルゼブブの妨害は無いと言ってなかったか?」
クレオンが咎める様にペルセウスに言う。
「すまんな、迷惑をかけた。あれは恐らく俺を狙っての事だ。被害はなかったか?」
「何人か敵が襲っては来たが俺たちの前で何かに弾かれた様に見えた。あれも、お前なのか?」
「まあな、恐らく奴らにとって俺が最も邪魔な存在なんだろうな。今後も攻撃があるかも知れんが、今度からはこんな奇襲はさせない。」
その後、レジガードのドッグまで時々偵察されていたが、特に襲ってくることはなかった。
キュクロプスの手駒が無くなったのだろう。
予定通りに3日後に到着した。
「レジガード船長、ヤニス・アルバだよろし頼む。」
それぞれ自己紹介が進行し、アンドロメダに対してはクレオンと同じ様に忠誠の挨拶が交わされた。
「スエズ湾がムスリム海軍によって封鎖されている。封鎖と言ってもアクスム船籍の船に対してだけだが。
スエズ湾に入りさえすれば、そこはもうエジプト領だムスリム海軍も無茶はできん。」
バルハヌが事情を説明した。
「では、準備でき次第出発する。」
4日後アスクム義勇艦隊はスエズ湾の入り口付近にまで来ていた。
レジガードと駆逐艦20隻と言う小規模な艦隊ではあるが隊列を組んで航行すればやはり目立つ。
スエズ湾の入り口に幅3km縦12km程度の島が有り、この島から監視されれば入り口に到着する前にムスリム海軍に侵入を阻まれるだろう。
この時、風は運悪く南風でムスリム海軍が風上になり、義勇艦隊はその側面を相手に見せてしまう可能性があった。
帆船による戦闘において相手が風上にある事は圧倒的不利なのだ。
そこを凌げばエジプト領に入れるので、戦いはほんの数キロメートルの攻防となるのである。
『もう、そろそろ現れる頃だ』
レジガード船長ヤニスはこの不利な風向きでどの様に戦うか必死で考えてはいたが、これと言った作戦は思い浮かばなかった。
『戦術はマヌエルに任しているからな。彼に期待しよう。』
マヌエル・ゲオルグはレジガード船長の補佐として乗り込んでいる戦術士官である。
今はバルハヌらと行動を共にしているはずだ。
「敵影接近!」
伝声管を通じてブリッジに敵襲を告げてきた。
艦内にも同時に伝達される。
マストトップに松明が点り、随行している駆逐船にも伝える。
予想通り敵船影は艦隊の左に見えた。
軍船5隻それを守る様に無数の駆逐船が追い風に吹かれて近づいてくる。
この時、ペルセウスは甲板に出て敵影を眺めていた。
バルハヌ、アンドロメダ達も同行している。
「船足が全然違うな」
バルハヌが誰ともなく話しかけた。
「この勢いで至近距離まで迫る事はないだろう。こちらの矢が届かない距離に留まり、火矢を放ってくるだろうな。」
クレオンが答える。
「レジガードは側面に巨大ボウガンを3機装備している。しかし、この風力だと射程距離は精々30メートル。逆に先方は通常の槍でさえ100メートルに届くかも知れん。恐らく攻撃開始距離はその辺りだろうな。」
レジガードの戦闘を指揮するマヌエルが彼我の戦力を分析する。
「お主はどう戦うつもりだ? 戦いに関してはお主が主導するんだろ?」
バルハヌがマヌエルに尋ねた。
「この戦いは、アクスム義勇艦隊が風上に抜け出る事が出来たら俺たちの勝ちだ。船足の不利が解消されるからな。」
とマヌエル。
「その風上に通り抜けるのが難しいんだろ。」
バルハヌが歯がゆそうに愚痴る。
「まぁ、見ていてくれ。」
そういってマヌエルはブリッジに向かった。
ーーーーーーーーーー
マヌエルの予想通り敵艦隊が100メートルほどに接近した時に大量の火矢が放たれた。
マヌエルはその数分前に帆を観音開きにする様に全船に支持していた。
矢が放たれた時には、アクスム艦隊はすでに風を受けて後退していた。
当然、敵の火矢はアクスム艦隊の数メートル前で海に落ちる。
その時点で帆をたたみ停止する。
マヌエルの攻撃タイミングの読みは抜群だった。
敵艦隊は距離が足りないと判断し帆を満開にし船足をあげる。
マヌエルは次の攻撃タイミングを読みその数分前にまた後退する。
この様なことが数回繰り返され、敵艦隊はスエズ湾入り口から紅海におびき出されていた。
マヌエルは頃合いと見て、
「面舵ヨーソロ、風を側面に受けろ。仕切り2分の1。」
と指示を出した。
アクスム艦隊は一斉に右方向に進路を変え、帆に受ける風を受け流しながら、船足をドンドン上げていった。
敵とて海の戦いに慣れた者たちである、敵艦隊は当然取舵をとり、アクスム艦隊と平行に走る。
状況は変わらない様に思えたが、徐々にその変化は現れた。
敵艦隊は徐々にアクスム艦隊の後方に移動し、風上の優位を失いつつあったのだ。
秘密は「仕切り2分の1」の言葉にあった。
風を横から受けて帆船が進むのは風を受けた帆に揚力が働き船を前に押しやるためである。
しかし同時に風に押されて船体は風下に移動していく。
仕切りとはその風下に押す力を仕切り板で遮ったのである。
レジガードは船体の中心に細長い隙間を設け海水が入ってこない様に船の吃水より高い位置まで囲いを設けていた。
仕切り板はその隙間から海に下ろす構造になっていた。
現代ヨットでは当たり前のセンターボードをこの時代に採用していたのは画期的な事であったのだ。
敵艦隊が完全に後方に見える様になったのを見計らって、マヌエルは進路を風上45度に取る様に指示を出した。
艦隊は風上に向かって少しづつ登っていった。
敵艦隊も当然風上に進路を取ったが仕切り板の効果によりアクスム義勇艦隊はドンドン差を開いていった。
「見事だ、敵艦隊はすでに風下にある。スエズ港に到着するまで追いつくことも出来ないだろう。」
とバルハヌ。
「こんな秘密兵器を隠し持っていたんだな。」
クレオンが感心してマヌエルを称えた。
ペルセウスは
『人間の叡智はどの世界でも同じだな。これが人間と魔人の違いなのかも知れない。』
そう考え自分の出番はなかったなと安堵した。
ベルゼブブはその気になれば何時でもムスリム国軍隊を動かしアクスム義勇軍を壊滅させることができる。
クレオンはこの基地は放棄しアクスムに移らねばならないと考えていた。
それも、アクスム義勇軍の潜入部隊すべての人員をである。
『諜報員が捕まる方がまだ楽だな。インキュバスの能力が本当なら、一人でも正体を見破られてしまえば諜報組織としては全滅という事だものな。』
「アクスム潜入部隊は全員軍船レジガードに乗船し同行したい。」
「それは構わんが諜報部門はどうなるのだ?」
クレオンの申し出にバルハヌ一行はインキュバスに諜報員の一人が操られた以上、仕方のない事だとは思ったが、ムスリムに構築して来た情報網がどうなってしまうのか心配になった。
「構築し直しだ、人員も手段も場所もすべて俺たちとは異なる物たちが時間をかけて再構築する。」
ヤスリブからスエズに移動する人員はアクスム義勇艦隊100人、アクスム潜入部隊25名、バルハヌ達7名、の計132名となった。
その内レジガードと共に寝泊まりしているアクスム義勇艦隊の搭乗員100名を除く32名がヤスリブからレジガードの洞窟に移動する。
「2日後正午に出発する、全員それまでにここに集まってくれ。」
クレオンはレジガードの隠し場所へ出発するのに、この場所を集合場所に選んだ。」
「遠足じゃないんだぞ、32人がここからノコノコと出ていくのか?」
バルハヌが異議を唱えた。
「問題ない、2日後の正午までにここに来てくれ。」
バルハヌはそれ以上追求するのをやめた。
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「先頭は俺とバルハヌ殿一行、しんがりはミハイルのグループが務めてくれ。」
32人を5~6人のグループに分けているらしい。
クレオンはドアを出て、そのまま廊下を真っ直ぐ歩いて行った。
廊下は暗闇に消えていたが、クレオンが用意した松明で歩を進めるごとに廊下が明かりで照らされていった。
しばらく歩くと廊下の突き当たりの床に大きな穴が穿かれているのが見えて来た。
「クレオン、ひょっとして地下通路があるのか?」
「ご名答、レジガードのドッグまで空洞が続いている。一日では付かないから途中キャンプする事になるからそのつもりでいてくれ。」
バルハヌの質問にそう答えた。
クレオンはペルセウスの妨害は無いと言う予想を手放しに信じる気にはならなかった。
それ故、32人を6グループに分け危機を分散できるようにしたのである。
廊下の突き当たりの穴は30度ほどの勾配でさらに下の方に伸びていた、一同は一列になってその穴を降りていく。
やがてトンネルの勾配もほぼ水平になり、より大きな空洞に出た。
不思議な事にその空洞は暗闇ではなかった。
洞窟は高さ50メートル幅100メートルはあろうか、その天井に青白く光るものが無数に露出しているのが見えた。
おそらく何らかの放射性物質であろう、人体に影響がない訳では無いがあの高さなら大丈夫だと思われる。
道は義勇軍が何度も行き来したのか比較的歩きやすくなっていた。
「途中脇道が何箇所かあるので逸れないようにしてくれ。」
クレオンが説明しながら歩いていった。
当時は放射性物質などと言う言葉はもちろん概念さえ知られていない。
「光る石が天井に敷き詰められていて明るいんだ。これは助かってる。」
そう言いながら、天井を見上げた。
地下通路に入ってからレジガードのドッグまではおよそ150キロあるとの事、これは紅海からヤスリブまでの陸路の距離とほぼ同じだ。
レジガードは紅海に面した所にあると言うことが容易に予想できた。
30キロを過ぎるころ第一回目のキャンプを張る事になった。
キャンプといってもテント類は無い、各自が背負っている毛布を思い思いの場所に広げそこに横になる。
「火を起こしてもいいか?」
「問題ない」
クレオンの答えに、バルハヌは数本の薪を解きやぐら状に地面に立てかけ周りを石で囲んで火を起こした。
保存食の干し肉を火であぶり口に運ぶ。
他もそれに習い簡単な食事を終えた頃、クレオンがロウソクを取り出して言う。
「ここは日の光が入らないので時間感覚が無くなる。このロウソクが燃え尽きたら出発する。」
そう言ってそそくさと寝てしまった。
ペルセウスは先頭グループの見張り番を自分から買って出ていた。
地下通路の旅は陸上に比べて緊張感に欠ける。
これまでレジガードの建設資材を運ぶため何度も往復したからだろう、全員が外敵の存在など念頭に無いように深い眠りについている。
ペルセウス自身もインキュバスとベルゼブブの目的がアクスムでの動乱助長であると確信していたため、今は襲っては来ないだろうと高を括って魔人探索は行なっていなかった。
しかし、インキュバスとベルゼブブにはもう一つの目的がある。
『あの男を早い段階で排除する事、その為にはアクスム義勇軍が壊滅しても構わない。必要なら洗脳した人間をレジガードに送れば良いだけである。』
インキュバスの眷属キュクロプス率いるペルセウス暗殺特殊部隊は地下通路から伸びる数々の支線の一つに潜んでいた。
キュクロプス隊の魔族はキュクロプスだけで残りは人間で構成されていた。
人間たちはキュクロプスが作り出すアーマで一人一人が強化され脳はインキュバスに完全に支配されていた。
単なる洗脳ではなく、支配はその人間の人格を破壊し目的を刷り込まれる為リンクを切断しても修復不可能である。
ロングソードを携行した接近戦を担当する者と、クロスポウを持つ遠方攻撃担当と分かれていた。
「ヒュン」僅かだが何かが風を切る音がした。
ペルセウスは突然背筋に冷たいものを感じ咄嗟にタイムインデックスを高速モードにしあたりを見回す。
通ってきた地下通路から何本かの矢がペルセウス目掛けて飛んで来た。
ペルセウスは先頭グループだけでなく全グループの周辺にシールドを張る。
矢はシールドに接触した途端爆発した。
爆発音が地下通路の壁に反射され轟音と化してグループ全体に響き渡った。
ペルセウスは左手にアキレスの盾を持ち、右手でケラウノスを抜き去り弓矢が向かって来た方向へ走り出した。
ロングソードを持った一団が向かってくる。
エーテルを視覚化し一団を走査する、エーテルリンクはなかった。
『リンクにより意思を操られていないのに攻撃してくる。インキュバスの洗脳の巧妙さから只者では無いとは思っていたが、人格を書き直してしまうとは。』
インキュバスの支配という概念をペルセウスはこの様に表現した。
飛翔してきた弓矢をアキレスの盾で迎える。
その矢が突然、高熱を発して爆発した。
「くっ」
すんでの所で後退し熱波を避けた。
体制を立て直す間も無くロングソードが襲ってくる。
ケラウノスで受ける、同時に敵の剣を切断しようとしたが、弾かれてしまった。
ケラウノスと組み合っても破壊される事なく受け止められた。
と言うことは敵のロングソードも何らかの強化がされていると言うことだ。
クロスボウも然り、攻撃力が通常の弓矢ではない。
人間の魂を利用してエーテル制御を行うのが魔人の魔法であるが、これは違う、生きた人間を利用しているのだ。
人格が支配されている為、一点の疑問も持つ事なくエーテル制御ができている。
エーテルマスターを目指す者が何年も掛かって獲得するエーテルビリーブをインキュバスの支配により難なく獲得してしまっているのだ。
『彼らをインキュバスから解放することは不可能だ。生きた人間であるため武器の強化に魂は必要ない。魔人流に言えば、彼らの魔力は無尽蔵だ。これは厄介だ、救えない。』
彼らの何人かは、アクスム潜入部隊に攻撃を加えている。
早くしないと、潜入部隊から犠牲者が出てしまう。
ペルセウスは覚悟を決めた。
ケラウノスに水刃を纏い彼らを水平になぎ払った。
何10という剛性を持った水の刃が敵に襲いかかる。
しかし、その刃はキュクロプスが彼らに与えたアーマーにより弾かれた。
それた刃が近くの岩を両断した。
ペルセウスの攻撃を目撃した潜入部隊はあまりの凄まじさに硬直し、その戦いに目を奪われていた。
『あれは、ミノタウロスの体躯と同じか?』
ペルセウスは今度はケラウノスに雷撃を纏い袈裟懸けに一閃する。
ケラウノスの通った軌跡に青白い亀裂が発生し、そこから雷の形をした光が水平に敵の集団に向かって走った。
至近距離で雷が落ちた様な轟音が周囲の全員を襲う。
アクスム潜入部隊は耳がしばらく使い物にならなくなり、耳を押さえてうずくまってしまった。
敵の何人かはその攻撃で昏倒したが、まだ数人が攻撃態勢を崩していない。
『しぶとい。さすがは人間のエーテルコントロールだ、私の攻撃に耐えた者が居る。』
ペルセウスがそう考えていた時である敵の一人がボウガンをペルセウスに向けた、弓矢が赤く輝いている。
放たれたその矢は灼熱色に変わりペルセウスを襲う。
ペルセウスはアキレスの盾をそれに向けた。
先ほどの経験から真っ向から受けるのではなく、魔力を遮断する。
その矢は盾に吸い込まれていく様に消えて行った。
ハデスの灼熱によく似た攻撃を見てペルセウスは
『こんな攻撃もできるのか? これは侮れない。』
『結局効果的な攻撃はミノタウロスを倒したあの方法か?』
ペルセウスは敵の適応時間を計り攻撃のタイミングを計算した。
最初は適当な強度で切りつける、その強度に適応する時間を置いて最初の一撃より高い強度で適応時間を遥かに凌駕する高速で切り抜く。
思惑通り、敵を難なく切り裂くことに成功した。
この攻撃を見ていた者はペルセウスが敵に斬り付けるその瞬間、姿が二重にブレた様に見えたことだろう。
ペルセウスはこの戦法で次々に敵を倒して行った。
『こいつらを送り込んだ首謀者はいない様だな。」
敵を一掃したペルセウスは首謀者を探したが見つからなかった。
ペルセウスは各グループのシールドを解きケラウノスを鞘に戻した。
全員がペルセウスの前に集まる。
「インキュバスとベルゼブブの妨害は無いと言ってなかったか?」
クレオンが咎める様にペルセウスに言う。
「すまんな、迷惑をかけた。あれは恐らく俺を狙っての事だ。被害はなかったか?」
「何人か敵が襲っては来たが俺たちの前で何かに弾かれた様に見えた。あれも、お前なのか?」
「まあな、恐らく奴らにとって俺が最も邪魔な存在なんだろうな。今後も攻撃があるかも知れんが、今度からはこんな奇襲はさせない。」
その後、レジガードのドッグまで時々偵察されていたが、特に襲ってくることはなかった。
キュクロプスの手駒が無くなったのだろう。
予定通りに3日後に到着した。
「レジガード船長、ヤニス・アルバだよろし頼む。」
それぞれ自己紹介が進行し、アンドロメダに対してはクレオンと同じ様に忠誠の挨拶が交わされた。
「スエズ湾がムスリム海軍によって封鎖されている。封鎖と言ってもアクスム船籍の船に対してだけだが。
スエズ湾に入りさえすれば、そこはもうエジプト領だムスリム海軍も無茶はできん。」
バルハヌが事情を説明した。
「では、準備でき次第出発する。」
4日後アスクム義勇艦隊はスエズ湾の入り口付近にまで来ていた。
レジガードと駆逐艦20隻と言う小規模な艦隊ではあるが隊列を組んで航行すればやはり目立つ。
スエズ湾の入り口に幅3km縦12km程度の島が有り、この島から監視されれば入り口に到着する前にムスリム海軍に侵入を阻まれるだろう。
この時、風は運悪く南風でムスリム海軍が風上になり、義勇艦隊はその側面を相手に見せてしまう可能性があった。
帆船による戦闘において相手が風上にある事は圧倒的不利なのだ。
そこを凌げばエジプト領に入れるので、戦いはほんの数キロメートルの攻防となるのである。
『もう、そろそろ現れる頃だ』
レジガード船長ヤニスはこの不利な風向きでどの様に戦うか必死で考えてはいたが、これと言った作戦は思い浮かばなかった。
『戦術はマヌエルに任しているからな。彼に期待しよう。』
マヌエル・ゲオルグはレジガード船長の補佐として乗り込んでいる戦術士官である。
今はバルハヌらと行動を共にしているはずだ。
「敵影接近!」
伝声管を通じてブリッジに敵襲を告げてきた。
艦内にも同時に伝達される。
マストトップに松明が点り、随行している駆逐船にも伝える。
予想通り敵船影は艦隊の左に見えた。
軍船5隻それを守る様に無数の駆逐船が追い風に吹かれて近づいてくる。
この時、ペルセウスは甲板に出て敵影を眺めていた。
バルハヌ、アンドロメダ達も同行している。
「船足が全然違うな」
バルハヌが誰ともなく話しかけた。
「この勢いで至近距離まで迫る事はないだろう。こちらの矢が届かない距離に留まり、火矢を放ってくるだろうな。」
クレオンが答える。
「レジガードは側面に巨大ボウガンを3機装備している。しかし、この風力だと射程距離は精々30メートル。逆に先方は通常の槍でさえ100メートルに届くかも知れん。恐らく攻撃開始距離はその辺りだろうな。」
レジガードの戦闘を指揮するマヌエルが彼我の戦力を分析する。
「お主はどう戦うつもりだ? 戦いに関してはお主が主導するんだろ?」
バルハヌがマヌエルに尋ねた。
「この戦いは、アクスム義勇艦隊が風上に抜け出る事が出来たら俺たちの勝ちだ。船足の不利が解消されるからな。」
とマヌエル。
「その風上に通り抜けるのが難しいんだろ。」
バルハヌが歯がゆそうに愚痴る。
「まぁ、見ていてくれ。」
そういってマヌエルはブリッジに向かった。
ーーーーーーーーーー
マヌエルの予想通り敵艦隊が100メートルほどに接近した時に大量の火矢が放たれた。
マヌエルはその数分前に帆を観音開きにする様に全船に支持していた。
矢が放たれた時には、アクスム艦隊はすでに風を受けて後退していた。
当然、敵の火矢はアクスム艦隊の数メートル前で海に落ちる。
その時点で帆をたたみ停止する。
マヌエルの攻撃タイミングの読みは抜群だった。
敵艦隊は距離が足りないと判断し帆を満開にし船足をあげる。
マヌエルは次の攻撃タイミングを読みその数分前にまた後退する。
この様なことが数回繰り返され、敵艦隊はスエズ湾入り口から紅海におびき出されていた。
マヌエルは頃合いと見て、
「面舵ヨーソロ、風を側面に受けろ。仕切り2分の1。」
と指示を出した。
アクスム艦隊は一斉に右方向に進路を変え、帆に受ける風を受け流しながら、船足をドンドン上げていった。
敵とて海の戦いに慣れた者たちである、敵艦隊は当然取舵をとり、アクスム艦隊と平行に走る。
状況は変わらない様に思えたが、徐々にその変化は現れた。
敵艦隊は徐々にアクスム艦隊の後方に移動し、風上の優位を失いつつあったのだ。
秘密は「仕切り2分の1」の言葉にあった。
風を横から受けて帆船が進むのは風を受けた帆に揚力が働き船を前に押しやるためである。
しかし同時に風に押されて船体は風下に移動していく。
仕切りとはその風下に押す力を仕切り板で遮ったのである。
レジガードは船体の中心に細長い隙間を設け海水が入ってこない様に船の吃水より高い位置まで囲いを設けていた。
仕切り板はその隙間から海に下ろす構造になっていた。
現代ヨットでは当たり前のセンターボードをこの時代に採用していたのは画期的な事であったのだ。
敵艦隊が完全に後方に見える様になったのを見計らって、マヌエルは進路を風上45度に取る様に指示を出した。
艦隊は風上に向かって少しづつ登っていった。
敵艦隊も当然風上に進路を取ったが仕切り板の効果によりアクスム義勇艦隊はドンドン差を開いていった。
「見事だ、敵艦隊はすでに風下にある。スエズ港に到着するまで追いつくことも出来ないだろう。」
とバルハヌ。
「こんな秘密兵器を隠し持っていたんだな。」
クレオンが感心してマヌエルを称えた。
ペルセウスは
『人間の叡智はどの世界でも同じだな。これが人間と魔人の違いなのかも知れない。』
そう考え自分の出番はなかったなと安堵した。
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