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教師の仕事
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「人生における答え合わせは人にしてもらうものじゃない。『結果としてどうなった』かという事でしかわからないんだよ。私が君の選択を間違っていないと思っていたとしても、それが正解かどうかは私にも分からない」
教頭は母の言葉を借りることを好んだが、彼自身の言葉であってもそれはまさに名言級の言葉だ。私にとってはだが。
「そうですね。まさにそのとおりなのかもしれません」
感心する私に、彼は大きく首を振って見せた。
「いいや、それだって教師生活の中で導き出した単なる個人の見解にすぎない。まあ、そんなことはどうでもいいだろう……とにかく、もし仮に『君答えが間違っていた』としたら、私の知恵を貸すことは出来るだろう。君の父上にも、先輩……いいや母上に聞いてみるのもいいかもしれないな。だがそれはあくまで手段の一つであって、答えじゃない。答えは生徒が教えてくれるのを待つしかない」
生徒と教師の関係だったころからそうだが、彼はたまに要領を得ない言葉を口にした。
「『生徒が答えを教えてくれる』……どういうことですか?」
「経過をしっかりと確認しろってことだ。実験のように目を見張るような変化があるとは限らないが、変化は観察しなければ見つけることが出来ないからな」
なるほど、私の教師としての仕事はまだ終わっていないということか。
教頭は母の言葉を借りることを好んだが、彼自身の言葉であってもそれはまさに名言級の言葉だ。私にとってはだが。
「そうですね。まさにそのとおりなのかもしれません」
感心する私に、彼は大きく首を振って見せた。
「いいや、それだって教師生活の中で導き出した単なる個人の見解にすぎない。まあ、そんなことはどうでもいいだろう……とにかく、もし仮に『君答えが間違っていた』としたら、私の知恵を貸すことは出来るだろう。君の父上にも、先輩……いいや母上に聞いてみるのもいいかもしれないな。だがそれはあくまで手段の一つであって、答えじゃない。答えは生徒が教えてくれるのを待つしかない」
生徒と教師の関係だったころからそうだが、彼はたまに要領を得ない言葉を口にした。
「『生徒が答えを教えてくれる』……どういうことですか?」
「経過をしっかりと確認しろってことだ。実験のように目を見張るような変化があるとは限らないが、変化は観察しなければ見つけることが出来ないからな」
なるほど、私の教師としての仕事はまだ終わっていないということか。
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