先生と僕

１２

陰口

　部内緊急会議も終わり、僕たちはそれぞれの教室に戻る。
　教室に戻った僕は、すぐに部員集めを始めようとした。――クラスの誰も僕と目を合わせようとしない。
　登校してからずっと、休んでる間のことを考えてから全く気がつかなかったけど、以前にもましてクラスメートたちから避けられている感が否めない。

「うそ……だろ……？」
　このままじゃ、何とかなると思っていた部員集めも、予想よりはるかに難航しそうだ。
　まあ、そんなことはわかってはいた。わかってはいたが、内心穏やかではない。
　僕は頭を抱えて両肘を机につく。

「なあ……あいつ……」
「ああ、部員に襲いかかったやつだろ……名前は……」
「確か、なんとか恋太郎……みたいな名前じゃなかったか……？」

　背後から、男子生徒がひそひそと僕のことを話している声が聞こえてきた。
　僕の名前は恋太郎じゃない！　恋次れんじだ！　そんなに好きな名前でもないけど、間違われるのは許せない。
　彼らの言葉を訂正するため僕は振り向く。

「お前たち、人の陰口を言えるほど優秀な生徒なのか？」
　僕が口を開くより先に、誰かがその生徒たちをしかる。
　なんだ、一応このクラスにも僕の見方をしてくれる生徒がいるらしい。これなら、部員集めも何とかなるかもしれない。
　そう思って、声の主を見る。それは丁度教室の入り口の方角だ。
　そこから顔をのぞかせていたのは教頭だった。――いや、教頭かよ!?