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「これで証明できた……アメーバはコアがつぶれれば消滅する」
 アニーは銃に弾を詰め込みながらにやりと笑う。
 これには思わず脱帽だ。まあ、僕は帽子なんてかぶっていないけど。

「って言ってる場合ですか!?」
 僕たちが馬鹿なやり取りをしている間にも、新しいアメーバたちが襲い掛かる。
 コボルトの巣はそれほど広くない。狭い空間でアメーバたちに詰められれば最悪死にかねない。ルーキーの僕でも何となくわかることだ。
 拳でコアを破壊できるかは若干不安があったが、何もしないよりかはマシだろうと思い、僕は体内の魔力を拳に集中させると同時に、アニーの言った通り大気中に溢れる魔力を吸収しないように努めた。なかなか難しいことではあったが、それが出来なければ冒険者として生きていくことも難しいだろうし、実戦の中でなれるとしよう。

「……冷たっ!?」
 触れてみてわかったが、アメーバの体温はかなり低い。暑い夏ならば氷枕みたいな使い方が出来るかもしれない……なんて、夏になると体温が上がると図鑑に記されていたし、そんな魔法みたいなことがあるはずがない。というか、普通に氷を買った方が安いだろう。
 どれだけアメーバを倒すことに対してのメリットを考えても何一つも浮かばない。
 ただ一つだけわかったことがある。僕の拳でもコアが破壊できるらしいということだ。そりゃ、素手で倒せるような魔物の討伐依頼をお金を払ってまで出す人はいない。
「素手でも倒せるね……でもスピードも遅いし、攻撃力が強いわけでもないから、倒しても何の経験にもならなそうだね。素手で触るとべたべたするし。しかも油断したら死ぬかもしれない……ああ、そうか、一時も休めないこと自体は訓練になるかもね」
 アニーが皮肉を言う。
 だが僕も全く同意見だ。アメーバたちは次々と現れるし、どれだけ倒しても減らない。かといってスピードがめちゃくちゃ速いというわけでもないわけで、まるでマラソンでもしているかのような気分だ。――若干持久力が上がりそうではあるが、それは命を懸けてまで必要なものではない。それこそ通常の訓練で何とでもなることだ。
 まあ緊張感がある中でのマラソンと考えればまだましだが……いや、たぶんそのうち緊張感がマヒして、作業に成り下がって、どれだけ楽に倒せるかとか考え出すことだろう。

「やっぱり、アメーバを倒すことなんて意味ないですね……」
 こんな人里離れたところにくるのは冒険者ぐらいだろうし、街で暮らす人たちには何の被害もない。冒険者は職業柄、いつだって命の危険があるってことを考えているだろうし、僕達だって同じ冒険者だ。自分の命に危険が及べば別だが、自分からアメーバと戦おうとする冒険者がいないってことぐらいわかる。お金にならないからな。
「でも、魔力水を探すためには、アメーバと戦わなければいけないでしょ?」
 アニーの言うとおりだ。どれだけやりたくないことでも、やらねばならない理由があるのだから今はひたすらやるしかない。
「魔力水を見つけるのに数か月かかりそうですね……」
 僕は愚痴をこぼしながらも、次々に流れ込んでくるアメーバを倒し続けた。
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