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王都を離れて
王都の外れにて
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目的地に到着したのは、宵をとうに回った刻だった。パレードが盛り上がって、出発が予定より遅くなったことが原因の一つ。もう一つは、護衛についた侯爵家の令嬢方が王都を出てからも「近衛騎士達と一緒にいたい」となかなか離してくれなかったせいだ。
領地に鉱山を有する侯爵の頼みは断り辛いのか。それとも三人いる侯爵令嬢がいずれも愛らしかったためなのか。予定を大幅に変更して今に至る。
いえ、別に張り合ってはいませんよ? 文句を言っているわけでもありません。
馬車での旅はそれなりに良かった。けれど、目立たないように言われていたので、私はずっと馬車の中にいた。そのせいで退屈だったし、身体のあちこちが痛い。パレードを観るために急に走ったから、筋肉痛のせいかもしれない。
……って、やっぱり文句が出てた。
いかん、いかん。
最初の目的地であるここ、王都郊外の宿に替えの馬車は用意されていた。本来ならここで着替えて、もう少し先まで行く予定だったのだ。でも夜になったので、急遽泊まる事にしたらしい。
そういえば、何だかお腹も空いてきた。酒場も兼ねる宿からは、肉の焼ける良い匂いがしてくる。
「交代で着替えてくるから、アリィちゃんは弟君とここで待ってて」
笑顔でレイモンド様が言う。
酒場の隅の席で待つ私とレオン。
「近衛の制服は嫌でも目立つから。着替えないと噂になってしまう」
そう言うレオンはいつの間に着替えたのか。木綿のシャツに茶色いパンツで庶民のような服装だ。確か最後まで、侯爵家の末娘に絡まれていたはずなのに。
あ、いや。
だから別に張り合ってないってば。私は義弟にとっくに嫌われているし。
話題を変えねば。
16歳になって酒場初体験の私としては、貴族の食卓とは違う町の酒場の食事が待ち遠しい。料理長のジャン、ごめんなさい。決して贅を尽くしたうちの料理が苦手なわけではないけれど……
レオンの近くは緊張してしまう。早くみんな戻って来ないかな。
「で、どう? アリィは初めての旅だろ。馬にも乗れないし」
「だって、うちの馬噛むんだもん。昔ちょこっと馬刺し発言しただけなのに」
「ダメだろ」
以前の私達に戻ったようで、少しだけ安心する。決して会話が弾んでいるわけではないのに。レオンが気にしてくれたことが嬉しい。「それも仕事だから」と言われればそれまでだけど、そうではないと思いたい。
「人数分エールを頼んで来たよ。レオンはまだ未成年だけど、ま、バレなきゃいいだろ」
爽やかに何をおっしゃってるんですか? ガイウス様。ダメでしょ、それ。未成年にアルコール、日本なら捕まります。
ちなみにエールとビールって違うのかな? 私はお酒を飲んだことがないから、取り敢えずウーロン茶で。ってさすがに無いよね。後でこっそりお水を貰おう。
ヴォルフとレイモンド様が戻って来た。これで全員揃ったことになる。
で、なぜか乾杯!
よく冷えたエールはレモンを加えているのか、ほのかに柑橘系の香りがする。ジンジャエールみたいで、思ったよりも飲み易い。
今日は王太子の任命式典だったから、今頃お城の宴席も盛り上がっているのだろうか? 王弟のレイモンド様や次期公爵のお兄様、欠席しても良かったのかな?
目の前に運ばれて来た料理を見て、そんな考えは全て吹き飛んでしまった。だって、サラダと香ばしい鳥の丸焼き、串焼きや魚の塩焼きなど、馴染み深い料理ばかりが並んでいるから!
あ、今、お腹が鳴った。
聞こえていないといいけれど。
右隣のレイモンド様に小突かれて、左隣のお兄様に髪をくしゃっと撫でられたから、バレてしまったんだとわかる。ま、いいけど。少しずつ皿によそって食べてみよう。
レオン、正面からそんなに冷めた目で観察しないで。お姉さん悲しくなるから。ガイウス様、爽やかにガッツかないで下さい。肉汁が口からはみ出てますよ。レイモンド様、エールもうおかわりってペースが早くないですか? ヴォルフは優雅に食べている……けど、お義兄様ったら意外と量食べるのね。
旅に出る事にして良かったと思う。まだ一日も経っていないけれど。王都に残っていたなら、気軽な食事も彼らのこんなくだけた様子も見られなかっただろうから。
この先に続く道は平坦ではなく、立ち塞がる壁は大きい。だけど、頼もしい彼らがいれば乗り越えていける気がする。私もできるだけ、みんなの足を引っ張らないよう気をつけなくちゃ。
そう考えていたはずなのに、眠気に負けてしまいそう。もうダメだ、お休みなさい……
*****
「あー寝ちゃった。お酒に弱いんだねぇ。レオンの方がよっぽど強いよ」
レイモンド様が楽しそうに言う。
普段家にいないから、俺――レオンもよく知らなかった。見たところそんなに飲んでいないので、アリィはかなり弱いんだと思う。
騎士団の寮にいる俺は、時々仲間と共に街に飲みに出掛ける。だから酒は、今日が初めてというわけではない。もちろんいつも本当の年齢は隠しているけれど。
酒は多分、かなり強い方だと思う。飲み慣れているこの人達に比べると、どうだかわからないが。
でも、エール一杯も空にせず寝てしまうアリィには、その辺の子どもでも勝てそうな気がする。俺の護衛対象に『酒が弱い』という項目も付け加えておくことにする。
俺自身は、夜でも明るい酒場の雰囲気は好きだ。飲むと人は饒舌になるし、年上の人達も気さくに接してくれる。レイモンド様はニコニコしているし、兄とガイウス様は楽しそうな話で盛り上がっている。肩を組み、かなり仲が良さそうだ。
「盛り上がっているところ悪いんだけど。今日の部屋割どうする? 急だったから、一人部屋と三人部屋が一つずつって言われたんだよねー」
レイモンド様はなぜか楽しそうだ。
俺達は五人で用意できたベッドは四つ。要するに、誰が椅子で寝るかと聞いているんだろう。まあ、間違いなく俺だろうが。
「そうか、アリィちゃんは女性だから一人部屋だね? でも、一人にしておくのは危ないし。どう思う?」
確かに。こんな所に若い女性が一人で泊まるのは心配だ。特にここ最近、ずっとバタバタしていたアリィ。疲れているだろうから、何をされても起きない可能性だってある。
一週間ほど前、俺はアリィと王城の廊下ですれ違った。その時彼女は、涙をボロボロこぼして泣いていた。きっと大事な幼なじみと最後のお別れをしてきたのだろう。リオネル王子――今では王太子だが、彼は昔からいけ好かない。けれど、アリィを大切にしていたことだけは認めてもいい。
出発前に別れた二人。
アリィが王子を好きだと知っていたから、可哀想だなとは思う。でも俺は、どこかでそれを喜んでいた。
好きなのに一緒になれない気持ちは、苦しいほどわかるのに。自分の方は取り返しがつかないくらい、彼女に怖がられているにも関わらず。
考え事をしていたら、レイモンド様の言葉を聞き逃してしまった。
「だからね、一番年下で弟のレオンがアリィちゃんにとっても一番安全だと思うんだよね。私達はこれから大人の話があるし……」
ニヤリと笑うレイモンド様。
やはり俺がアリィと一人部屋行きだったか。それとも俺を、試してる?
ガイウス様は何も言わず、兄は表情を消している。納得はしていないけれど、レイモンド様に逆らうつもりはない、といった感じだ。
「別に構いません。では、先に失礼します。姉を運ばないといけませんので」
アリィは気付いているだろうか。本人の聞いていないところでは、きちんと『姉』と呼んでいることを。
「落っことさないでね」
「気をつけて」
仏頂面のヴォルフ以外から声をかけられた。驚くほど軽い彼女を抱えて階段を上る。
部屋の場所は先ほど聞いたから、間違っていないはずだ。
清潔だが質素な部屋は、薄いマットの木製のベッドと椅子が1つだけ。街路に面した窓からは、星の瞬く夜空と家々の灯りが見える。
まったく、人の気も知らないで――
ぐっすり眠るアリィを奥のベッドに優しく横たえ上掛けをかける。
俺は椅子の背もたれを前にして跨ると、顎を乗せて窓から外を眺めた。
家の灯り一つ一つに人が住んでいて、そこには家庭がある。あの日、公爵に助けられなければ、俺は今頃ここにはいない。アリィがいなかったら、家族の温かさもきっとわからないままだった。
アリィには感謝している。
彼女を想うだけで浮かぶ温かい気持ちは、昔も今も変わっていない。
正式な騎士となった今こそ俺は、君を守りたい。これ以上君を傷つけるような真似は、決してしたくない。
最終試験で見られたのは、俺の覚悟。生半可な正義や甘い感情は捨てろということだったのだろう。だけど俺は、どんなことをしてでも、騎士になりたかった。騎士になって君と一緒に旅がしたかったんだ。
「結局、怖がらせてばかりだけどな」
自嘲気味の笑みがこぼれた。
幸せそうに眠るアリィの寝顔を見ながら、更に自分に問いかける。椅子で寝るのは構わない。だが俺は、君の近くで眠ることができるのだろうか?
長い夜になりそうだ……
外に目を向けた俺は、夜が更けるまで町の灯りをずっと見ていた。
領地に鉱山を有する侯爵の頼みは断り辛いのか。それとも三人いる侯爵令嬢がいずれも愛らしかったためなのか。予定を大幅に変更して今に至る。
いえ、別に張り合ってはいませんよ? 文句を言っているわけでもありません。
馬車での旅はそれなりに良かった。けれど、目立たないように言われていたので、私はずっと馬車の中にいた。そのせいで退屈だったし、身体のあちこちが痛い。パレードを観るために急に走ったから、筋肉痛のせいかもしれない。
……って、やっぱり文句が出てた。
いかん、いかん。
最初の目的地であるここ、王都郊外の宿に替えの馬車は用意されていた。本来ならここで着替えて、もう少し先まで行く予定だったのだ。でも夜になったので、急遽泊まる事にしたらしい。
そういえば、何だかお腹も空いてきた。酒場も兼ねる宿からは、肉の焼ける良い匂いがしてくる。
「交代で着替えてくるから、アリィちゃんは弟君とここで待ってて」
笑顔でレイモンド様が言う。
酒場の隅の席で待つ私とレオン。
「近衛の制服は嫌でも目立つから。着替えないと噂になってしまう」
そう言うレオンはいつの間に着替えたのか。木綿のシャツに茶色いパンツで庶民のような服装だ。確か最後まで、侯爵家の末娘に絡まれていたはずなのに。
あ、いや。
だから別に張り合ってないってば。私は義弟にとっくに嫌われているし。
話題を変えねば。
16歳になって酒場初体験の私としては、貴族の食卓とは違う町の酒場の食事が待ち遠しい。料理長のジャン、ごめんなさい。決して贅を尽くしたうちの料理が苦手なわけではないけれど……
レオンの近くは緊張してしまう。早くみんな戻って来ないかな。
「で、どう? アリィは初めての旅だろ。馬にも乗れないし」
「だって、うちの馬噛むんだもん。昔ちょこっと馬刺し発言しただけなのに」
「ダメだろ」
以前の私達に戻ったようで、少しだけ安心する。決して会話が弾んでいるわけではないのに。レオンが気にしてくれたことが嬉しい。「それも仕事だから」と言われればそれまでだけど、そうではないと思いたい。
「人数分エールを頼んで来たよ。レオンはまだ未成年だけど、ま、バレなきゃいいだろ」
爽やかに何をおっしゃってるんですか? ガイウス様。ダメでしょ、それ。未成年にアルコール、日本なら捕まります。
ちなみにエールとビールって違うのかな? 私はお酒を飲んだことがないから、取り敢えずウーロン茶で。ってさすがに無いよね。後でこっそりお水を貰おう。
ヴォルフとレイモンド様が戻って来た。これで全員揃ったことになる。
で、なぜか乾杯!
よく冷えたエールはレモンを加えているのか、ほのかに柑橘系の香りがする。ジンジャエールみたいで、思ったよりも飲み易い。
今日は王太子の任命式典だったから、今頃お城の宴席も盛り上がっているのだろうか? 王弟のレイモンド様や次期公爵のお兄様、欠席しても良かったのかな?
目の前に運ばれて来た料理を見て、そんな考えは全て吹き飛んでしまった。だって、サラダと香ばしい鳥の丸焼き、串焼きや魚の塩焼きなど、馴染み深い料理ばかりが並んでいるから!
あ、今、お腹が鳴った。
聞こえていないといいけれど。
右隣のレイモンド様に小突かれて、左隣のお兄様に髪をくしゃっと撫でられたから、バレてしまったんだとわかる。ま、いいけど。少しずつ皿によそって食べてみよう。
レオン、正面からそんなに冷めた目で観察しないで。お姉さん悲しくなるから。ガイウス様、爽やかにガッツかないで下さい。肉汁が口からはみ出てますよ。レイモンド様、エールもうおかわりってペースが早くないですか? ヴォルフは優雅に食べている……けど、お義兄様ったら意外と量食べるのね。
旅に出る事にして良かったと思う。まだ一日も経っていないけれど。王都に残っていたなら、気軽な食事も彼らのこんなくだけた様子も見られなかっただろうから。
この先に続く道は平坦ではなく、立ち塞がる壁は大きい。だけど、頼もしい彼らがいれば乗り越えていける気がする。私もできるだけ、みんなの足を引っ張らないよう気をつけなくちゃ。
そう考えていたはずなのに、眠気に負けてしまいそう。もうダメだ、お休みなさい……
*****
「あー寝ちゃった。お酒に弱いんだねぇ。レオンの方がよっぽど強いよ」
レイモンド様が楽しそうに言う。
普段家にいないから、俺――レオンもよく知らなかった。見たところそんなに飲んでいないので、アリィはかなり弱いんだと思う。
騎士団の寮にいる俺は、時々仲間と共に街に飲みに出掛ける。だから酒は、今日が初めてというわけではない。もちろんいつも本当の年齢は隠しているけれど。
酒は多分、かなり強い方だと思う。飲み慣れているこの人達に比べると、どうだかわからないが。
でも、エール一杯も空にせず寝てしまうアリィには、その辺の子どもでも勝てそうな気がする。俺の護衛対象に『酒が弱い』という項目も付け加えておくことにする。
俺自身は、夜でも明るい酒場の雰囲気は好きだ。飲むと人は饒舌になるし、年上の人達も気さくに接してくれる。レイモンド様はニコニコしているし、兄とガイウス様は楽しそうな話で盛り上がっている。肩を組み、かなり仲が良さそうだ。
「盛り上がっているところ悪いんだけど。今日の部屋割どうする? 急だったから、一人部屋と三人部屋が一つずつって言われたんだよねー」
レイモンド様はなぜか楽しそうだ。
俺達は五人で用意できたベッドは四つ。要するに、誰が椅子で寝るかと聞いているんだろう。まあ、間違いなく俺だろうが。
「そうか、アリィちゃんは女性だから一人部屋だね? でも、一人にしておくのは危ないし。どう思う?」
確かに。こんな所に若い女性が一人で泊まるのは心配だ。特にここ最近、ずっとバタバタしていたアリィ。疲れているだろうから、何をされても起きない可能性だってある。
一週間ほど前、俺はアリィと王城の廊下ですれ違った。その時彼女は、涙をボロボロこぼして泣いていた。きっと大事な幼なじみと最後のお別れをしてきたのだろう。リオネル王子――今では王太子だが、彼は昔からいけ好かない。けれど、アリィを大切にしていたことだけは認めてもいい。
出発前に別れた二人。
アリィが王子を好きだと知っていたから、可哀想だなとは思う。でも俺は、どこかでそれを喜んでいた。
好きなのに一緒になれない気持ちは、苦しいほどわかるのに。自分の方は取り返しがつかないくらい、彼女に怖がられているにも関わらず。
考え事をしていたら、レイモンド様の言葉を聞き逃してしまった。
「だからね、一番年下で弟のレオンがアリィちゃんにとっても一番安全だと思うんだよね。私達はこれから大人の話があるし……」
ニヤリと笑うレイモンド様。
やはり俺がアリィと一人部屋行きだったか。それとも俺を、試してる?
ガイウス様は何も言わず、兄は表情を消している。納得はしていないけれど、レイモンド様に逆らうつもりはない、といった感じだ。
「別に構いません。では、先に失礼します。姉を運ばないといけませんので」
アリィは気付いているだろうか。本人の聞いていないところでは、きちんと『姉』と呼んでいることを。
「落っことさないでね」
「気をつけて」
仏頂面のヴォルフ以外から声をかけられた。驚くほど軽い彼女を抱えて階段を上る。
部屋の場所は先ほど聞いたから、間違っていないはずだ。
清潔だが質素な部屋は、薄いマットの木製のベッドと椅子が1つだけ。街路に面した窓からは、星の瞬く夜空と家々の灯りが見える。
まったく、人の気も知らないで――
ぐっすり眠るアリィを奥のベッドに優しく横たえ上掛けをかける。
俺は椅子の背もたれを前にして跨ると、顎を乗せて窓から外を眺めた。
家の灯り一つ一つに人が住んでいて、そこには家庭がある。あの日、公爵に助けられなければ、俺は今頃ここにはいない。アリィがいなかったら、家族の温かさもきっとわからないままだった。
アリィには感謝している。
彼女を想うだけで浮かぶ温かい気持ちは、昔も今も変わっていない。
正式な騎士となった今こそ俺は、君を守りたい。これ以上君を傷つけるような真似は、決してしたくない。
最終試験で見られたのは、俺の覚悟。生半可な正義や甘い感情は捨てろということだったのだろう。だけど俺は、どんなことをしてでも、騎士になりたかった。騎士になって君と一緒に旅がしたかったんだ。
「結局、怖がらせてばかりだけどな」
自嘲気味の笑みがこぼれた。
幸せそうに眠るアリィの寝顔を見ながら、更に自分に問いかける。椅子で寝るのは構わない。だが俺は、君の近くで眠ることができるのだろうか?
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『お妃選びは正直しんどい』発売中です♪(*´꒳`*)アルファポリス発行レジーナブックスより。
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