地味に転生できました♪~少女は世界の危機を救う!

きゃる

文字の大きさ
上 下
65 / 72
私の人生地味じゃない!

旅立ちの時

しおりを挟む
「そうですねえ…次は結界かバフ、デバフが良いと思っていましたけど、新たに加わった【上級開放スキル】が良いですね」
「これはどう言ったものなのですか?」
「単体ですと、雷や氷魔法が使える様になります。
時空魔法などの一部の魔法では、このスキルが無いと習得できないものも出てきます。
勿論このスキルが有っても、熟練度が足りないと意味はありませんが」

成る程です。
熟練度を上げて、尚且つこのスキルが有れば、難しい魔法も使える、と言うことですね。
「なら今回はこのスキルと交換して、次は結界かバフ、デバフと言うものと交換すれば良いですかねえ」
確認をすると、アインは頷きました。

アインについつい聞いてしまいますけど、自分で調べるのも大切ですよね。
バフ、デバフとは何なのかは、後ほどタブレットで調べましょう。
今回は【上級開放スキル】を交換……、よし、完了ですね。

雷魔法など、ちょっと惹かれますよね。
それに時空魔法の上級編も気になります。
まずは熟練度を上げるため、マジックバックをどんどん使いましょう。


昼からもどんどん進みます。
若返ったからなのか、なかなか疲れることもなく、歩いていけますねえ。
「我が強化魔法をかけてやっておるからだ」
ブルースに言われました。

確か【身体強化魔法】で、これがいわゆる【バフ魔法】の一つなんですよね。
魔法強化や、スピードアップなど、タブレットで調べたら色々ありました。
アインが勧める理由もわかります。

魔法やタブレットの熟練度を上げて、色々な場所を旅して、家族も増やして、幸せになって…やる事が沢山ありますねえ。
時間はたっぷりあるのですから、焦らずいきましょう。


体感的に、昼食から3時間ほど経った頃、空を飛んでいたチャックが降りて来ました。

「少し進んだところに太尾犬が居るけど、多分魔化してる」
魔化した犬?魔獣と言うやつですね。

「群ですか?」
「いや、一匹しか見当たらないよ」
アインが尋ねると、チャックが答えます。
その答えを聞いてシナトラが、
「じゃあ僕がやっつけていい?」
と申し出てきました。

「太尾ならシナトラでも大丈夫だろう。
腕試しの実践だ、やってみるが良い。
いざとなれば我が助太刀してやるからな」
「太尾はすばしっこいですから、スピードアップのバフをかけておきましょう」
剣を構えるシナトラに、アインがバフ魔法をかけると、チャックが犬の居る位置へ誘導します。

「その木の後ろ、5歩程行ったところで獲物を食べているよ」
「ん、血の匂いがするから、そこに居るんだね」
流石獣人ですね、血の匂いなんて私にはわかりませんよ。

足音を消し、犬の居ると言われた場所に近づくと、一気に駆け出し剣を振り下ろしました。
どうやら一太刀で仕留めた様で、体を起こしたシナトラが手招きしています。
「ほら、一撃で仕留めたよ!
僕凄い?」

近寄ると流石に私にも血の匂いは分かりました。
覗いて見ると、首を刎ねられた【太尾犬】とは狐の様です。
どうやらネズミを食べていた様で、刎ねられ転がった首の口元は血に濡れています。
見開かれた目は、口元の血の様に真っ赤です。
赤い目…魔獣の証ですよね。
確か魔獣って………。

私は狐…太尾を鑑定してみました。


【魔獣・太尾犬の死骸
魔獣化した太尾犬、食べられます。
血抜きをする事で、過剰分な魔素が薄れるが、食べ過ぎると魔化する事があるのでご注意を。
心臓内に魔石有り 】


血抜きをするのですか…逆さに吊るせば良いですかねえ。
食べ過ぎに注意しないと怖い事になるのですね。
肝に銘じておきましょう。

血抜きや解体はブルース達にお任せして、気になった事をタブレットで調べましょう。


【魔石
魔化した生き物の心臓の中にできる、魔素の結晶の事だよ。

何で心臓の中に出来るかはわかんないんだけど、純粋な魔素の固まりだから、色んな動力に使ったり出来るんだ。
必要としている人に売る事ができるよ。 

ただ、個人的な取引だと、騙されたりぼったぐられたりするから、ギルドで売り買いするのが一番安心かなあ。

性質や大きさ、希少値で値段は変わるけど、牙や角や毛皮より高値は付くから、魔物を倒したら忘れずに回収しょうね 】


心臓の中に、と言うのは若干引きますけど、換金アイテムなら回収すべきですね。
まあ私に言われるまでもなく、解体していたブルースが取り出してくれましたけど。

「まだ若い魔獣だった様だな、魔石も小さい。
ほらシナトラ、これはお前の物だ」
血塗れの小石の様な物をブルースが投げて渡します。
それを受け取ったシナトラが小走りで近づいて来ました。

「ジョニー父ちゃん、これ貰ったよ、これ何?」
「魔石って言う換金アイテム…お金に変えられる物だよ」
「お金って何?」
亜人化して数日、生まれてまだ一年ですから、人の暮らしについては知らない事が多いのでしょう。

「人の住む町や村では、欲しい物があったらお金と交換するんだよ。
町に着いたら一緒に買い物しようね」
「うん、よくわかんないけどわかった。
じゃあこれ父ちゃんに預けとく」
ひょいと手渡されましたけど……血塗れのままマジックバッグに入れるのは気が引けます。
水遣りで血を洗い流してから、マジックバックにしまいました。

他の素材(毛皮とシッポ)と肉をブルースから手渡され、マジックバックの中にしまいます。
そのまま入れるのは気が引けたので、大きな葉をチャックに取ってきてもらい、それに包んでバッグへ。
毛皮などは、クリーンの魔法をかけてもらってから入れました。

「町に着いたら調理を頼もう」
魔物の肉は売れるそうなのですが、どうやらこれは私達の夕食になる様です。
狐…太尾一匹分の肉ですと、ブルースとシナトラでペロリと平らげてしまいそうな量しか無いですからね。

その後も魔化したウサギ、ネズミ、トンビなど、数匹の魔物に遭遇しました。
勿論全て瞬殺です。
その素材や肉はマジックバッグ行きです。

何とはなくなのですけど、生物(なまもの)と他の物が同じポーチの中に有ると言うのは微妙ですね。
異次元空間ですからくっついているわけでは無いと分かっていても、何となく嫌な感じがしてしまいます。
町に着いたら素材や肉を入れる、それぞれ専用の鞄を買いましょうかね。




しおりを挟む
『お妃選びは正直しんどい』発売中です♪(*´꒳`*)アルファポリス発行レジーナブックスより。
感想 12

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

妻を蔑ろにしていた結果。

下菊みこと
恋愛
愚かな夫が自業自得で後悔するだけ。妻は結果に満足しています。 主人公は愛人を囲っていた。愛人曰く妻は彼女に嫌がらせをしているらしい。そんな性悪な妻が、屋敷の最上階から身投げしようとしていると報告されて急いで妻のもとへ行く。 小説家になろう様でも投稿しています。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

私は貴方を許さない

白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。 前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。

深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~

白金ひよこ
恋愛
 熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!  しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!  物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?

転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?

rita
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、 飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、 気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、 まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、 推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、 思ってたらなぜか主人公を押し退け、 攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・ ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

処理中です...