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私の人生地味じゃない!
もう戻れない
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レオンが成人を待たずに正騎士となった。
義兄のヴォルフの記録を抜かして歴代最年少だという。
「優秀な息子たちを持って、私も鼻が高いわ!」
母のマリアンヌは大喜び。
私としては、ちょっと複雑な気分だ。
叙任式後の騎士や護衛の家族らが招待されたパーティーに参加している今も、心中穏やかではない。
でも、今日ならレオンと話す時間があるかもしれない。こんなに多いとは知らなかった、彼の取り巻きをかき分ける勇気があれば……だけど。
「さ、レオンにお祝いを言いに行かなくっちゃ」
お母様はいつもより迫力が違う。
ラベンダーに金色が入った豪奢なドレスで着替えにも時間をかけたし、凝った髪型とメイクで誰よりも目立っている。元々すごく美人だから、みんなが驚いて道を譲ってくれる。
母に比べて私は、すごく地味だったかもしれない。成人してから初めての社交場となるので、本当は派手にしなくてはいけなかったんだろうけれど。
でもまあ、今日の主役はレオンだから。
白の上下に水色と金色が入ったデザインの近衛騎士の制服は、それはそれは彼によく似合っている。
ちなみに私はセルリアンブルーのプリンセスラインの控えめなドレスにしてもらった。これなら、レオンにもらった白薔薇と水色の羽の髪飾りがよく映える。侍女の太鼓持ちーズはもっと飾りのついたど派手なドレスを薦めてきた。でも、控えめとはいえこのドレスも、前が胸の上ギリギリまで開いている。いつもより大人っぽく大胆なデザインだから、私はこのくらいで十分だ。
空いた首周りには、誕生日にリオネル王子からいただいたネックレスを合わせている。
「可愛らしいですわ」
「妖精のようですわ」
「食べてしまいたいですわ」
相変わらず褒めちぎるので、侍女達の意見は参考にならない。
迫力ある美貌の母に連れられて、人波をかいくぐった。ちょうどお父様と談笑しているレオンの側に行く。にこやかにお祝いを述べる母。私も何か……何でもいいから言わなくちゃ。
私に気が付き、笑顔を消すレオン。
ガラスのような青い瞳がこちらを見つめている。無表情の彼を目にすると、あの日のことが思い出される。唇が震えて、上手く言葉にならない。目の前にいるのは可愛い弟だとわかっているのに。お祝いしなくちゃいけないのに、怖くて声が出せない。
「あらあら~。アリィちゃんたらどうしちゃったの? 照れちゃってー。制服を着たレオンは確かにかっこいいものね? せっかくだから、二人で踊っていらっしゃいな」
母は、私がレオンと直接対戦したことを知らない。その時私が、彼に恐怖を抱いてしまったことも。
私はどうしていいのかわからずに、義弟の肩を見ながら立ち尽くした。会場では楽団が次の曲の演奏を始めている。
レオンが母に背中を押され、私に向かって渋々手を差し出した。レースの手袋に包まれた手をレオンの白い手袋を嵌めた手に重ねる。良かった、そんなに震えていないようだ。
フロアの中央に進み出る間も緊張してしまう。
義弟と一緒にいるのは、いつだって楽しかった――今までは。
レオンと踊るのは、この前の仮装パーティーの時以来。あの日のうきうきした気分が嘘のようだ。あれからそんなに月日が経っていないのに、今はこんなにも彼が遠い。
「何を考えている?」
踊りながら低い声でレオンが問いかけてくる。彼の声を聞くだけで、まだ胸が痛い。どうして私は今まで、彼に何とも思われていないことに全く気づかなかったのだろうか?
考えごとをしていたせいで、さっきと違って言葉がすんなり口からこぼれた。
「特に何も。それより、望み通り正騎士になれたのね。おめでとう! 歴代最年少ですって? 私でも少しはお役に立てたのかしら」
いけない、語尾が震えて嫌味のようになってしまった。
「ああ、なりたくてたまらなかったからね。何を犠牲にしてもいいと思っていた」
「そうなの……」
仲の良い姉弟としての関係さえも?
そう聞きたいのに、なぜか言葉が続かない。
私のことを好きでなくても構わない。姉としてでも彼を助け、近くにいたかった。それなのに、犠牲にしても良かったとはっきり言われるなんて……
私を映さない青い瞳を見るのが怖くて、視線を下に向けた。そんな私に気づいているのに、レオンは何も言わない。
曲が終わり、パートナー交代のタイミングとなった。早く解放してあげよう。レオンに声をかけられるのを待っている令嬢が、この場にはたくさんいるはずだから。
無理に微笑み、手を離す。
「アリィ……」
離れていく指先と心。
私達はもう、元には戻れない。
「レオン、おめでとう。でも、パートナーは交代してもらうよ?」
いつの間にか後ろに来ていたリオネル王子が、優しく私の手を取った。
「ええ。今は頼みます」
王子に騎士の礼をした後で、去って行く義弟。頼もしく思えるはずのその背中が、なぜか泣いているように見えたのは、私の願望だろうか。
「アレク、この僕に美姫と踊る栄誉を与えてくれますか?」
おどけて申し込む幼なじみの王子様。彼はいつでも優しい。
「ええ、リオネル様。私で良ければ喜んで」
歯の浮くようなセリフに、苦笑して彼の手を取る。レオンの方を見てみると、彼はさっさと次の女性をエスコートしていた。
私は義弟に甘え過ぎていた。
彼はもう、この国の立派な騎士様だから。
自分の力で自分の未来を切り拓こうとしている。
私も前に進まなくちゃ。
いつまでも不毛な恋をしてはいけない。
決意を新たにした私は、幼なじみの優雅なリードに身を任せた。
「アレク、その首飾りとても良く似合っているよ。君のために選んだ僕も嬉しいよ」
踊りながら王子様がおっしゃった。
つけてきた黄色い首飾りに気が付いて下さったようだ。彼は相変わらず優しくて褒め上手。沈んでいた心が、ほんの少しだけ浮上する。
「立太子の式典はまだですが、こんなに立派なものをしまっておくのはもったいない気が致しまして」
「美辞麗句を並び立てても、君の美しさには敵わないよ。それとも朝まで君の隣で褒めちぎろうか?」
「な……」
急激に顔が熱くなるのがわかる。
最近リオネル様は口説き文句が大げさになってきた。叔父のレイモンド様の影響だろうか?
リオネル様の告白に、私はまだ返事をしていない。あの時は、秀麗な美貌が接近してきて形の良い唇が優しく私に触れて………
って、こんな所で思い出している場合ではない!
激しく動揺した私は、思わずステップを踏み間違えてしまった。でも、そこはさすがの王子様。何事も無かったかのように上手くターンしながら、私を持ち上げた。
「見て!リオネル様の嬉しそうなこと」
「なかなかお似合いの二人だ。王太子になる日も近いから、もしや同時に嬉しい発表でも?」
「あれは、グリエール家の……。確かアレキサンドラ様かと」
「あら? お小さい時の印象とは随分違うようだわ」
リオネル様とは昔からの知り合いで互いに気心が知れているから、踊っていても確かに楽しい。それにしては今まで噂にならなかったのは、やっぱり私が地味だったから?
容姿がすっかり変わってしまったから、もう地味とは言われない。社交界に出ても失敗しないくらいは、母のスパルタにも耐え抜いた。一緒にいても幼なじみに恥をかかせない程度には、マシになったと自分でも思う。
ニコニコと嬉しそうな顔をされているリオネル様。
その表情を見ていると、未だに告白の返事をしていないことが心苦しく思えてくる。
本当は、返事は既に決まっている。
父の捜索に加わりたいし、その間ずっと彼には会えない。それに、心が離れてしまったとはいえ、レオンのことが気になる。「考えてみて」と言った幼なじみ。いけないとは思いつつ、私は今日も彼に甘えてしまっている。
義兄のヴォルフの記録を抜かして歴代最年少だという。
「優秀な息子たちを持って、私も鼻が高いわ!」
母のマリアンヌは大喜び。
私としては、ちょっと複雑な気分だ。
叙任式後の騎士や護衛の家族らが招待されたパーティーに参加している今も、心中穏やかではない。
でも、今日ならレオンと話す時間があるかもしれない。こんなに多いとは知らなかった、彼の取り巻きをかき分ける勇気があれば……だけど。
「さ、レオンにお祝いを言いに行かなくっちゃ」
お母様はいつもより迫力が違う。
ラベンダーに金色が入った豪奢なドレスで着替えにも時間をかけたし、凝った髪型とメイクで誰よりも目立っている。元々すごく美人だから、みんなが驚いて道を譲ってくれる。
母に比べて私は、すごく地味だったかもしれない。成人してから初めての社交場となるので、本当は派手にしなくてはいけなかったんだろうけれど。
でもまあ、今日の主役はレオンだから。
白の上下に水色と金色が入ったデザインの近衛騎士の制服は、それはそれは彼によく似合っている。
ちなみに私はセルリアンブルーのプリンセスラインの控えめなドレスにしてもらった。これなら、レオンにもらった白薔薇と水色の羽の髪飾りがよく映える。侍女の太鼓持ちーズはもっと飾りのついたど派手なドレスを薦めてきた。でも、控えめとはいえこのドレスも、前が胸の上ギリギリまで開いている。いつもより大人っぽく大胆なデザインだから、私はこのくらいで十分だ。
空いた首周りには、誕生日にリオネル王子からいただいたネックレスを合わせている。
「可愛らしいですわ」
「妖精のようですわ」
「食べてしまいたいですわ」
相変わらず褒めちぎるので、侍女達の意見は参考にならない。
迫力ある美貌の母に連れられて、人波をかいくぐった。ちょうどお父様と談笑しているレオンの側に行く。にこやかにお祝いを述べる母。私も何か……何でもいいから言わなくちゃ。
私に気が付き、笑顔を消すレオン。
ガラスのような青い瞳がこちらを見つめている。無表情の彼を目にすると、あの日のことが思い出される。唇が震えて、上手く言葉にならない。目の前にいるのは可愛い弟だとわかっているのに。お祝いしなくちゃいけないのに、怖くて声が出せない。
「あらあら~。アリィちゃんたらどうしちゃったの? 照れちゃってー。制服を着たレオンは確かにかっこいいものね? せっかくだから、二人で踊っていらっしゃいな」
母は、私がレオンと直接対戦したことを知らない。その時私が、彼に恐怖を抱いてしまったことも。
私はどうしていいのかわからずに、義弟の肩を見ながら立ち尽くした。会場では楽団が次の曲の演奏を始めている。
レオンが母に背中を押され、私に向かって渋々手を差し出した。レースの手袋に包まれた手をレオンの白い手袋を嵌めた手に重ねる。良かった、そんなに震えていないようだ。
フロアの中央に進み出る間も緊張してしまう。
義弟と一緒にいるのは、いつだって楽しかった――今までは。
レオンと踊るのは、この前の仮装パーティーの時以来。あの日のうきうきした気分が嘘のようだ。あれからそんなに月日が経っていないのに、今はこんなにも彼が遠い。
「何を考えている?」
踊りながら低い声でレオンが問いかけてくる。彼の声を聞くだけで、まだ胸が痛い。どうして私は今まで、彼に何とも思われていないことに全く気づかなかったのだろうか?
考えごとをしていたせいで、さっきと違って言葉がすんなり口からこぼれた。
「特に何も。それより、望み通り正騎士になれたのね。おめでとう! 歴代最年少ですって? 私でも少しはお役に立てたのかしら」
いけない、語尾が震えて嫌味のようになってしまった。
「ああ、なりたくてたまらなかったからね。何を犠牲にしてもいいと思っていた」
「そうなの……」
仲の良い姉弟としての関係さえも?
そう聞きたいのに、なぜか言葉が続かない。
私のことを好きでなくても構わない。姉としてでも彼を助け、近くにいたかった。それなのに、犠牲にしても良かったとはっきり言われるなんて……
私を映さない青い瞳を見るのが怖くて、視線を下に向けた。そんな私に気づいているのに、レオンは何も言わない。
曲が終わり、パートナー交代のタイミングとなった。早く解放してあげよう。レオンに声をかけられるのを待っている令嬢が、この場にはたくさんいるはずだから。
無理に微笑み、手を離す。
「アリィ……」
離れていく指先と心。
私達はもう、元には戻れない。
「レオン、おめでとう。でも、パートナーは交代してもらうよ?」
いつの間にか後ろに来ていたリオネル王子が、優しく私の手を取った。
「ええ。今は頼みます」
王子に騎士の礼をした後で、去って行く義弟。頼もしく思えるはずのその背中が、なぜか泣いているように見えたのは、私の願望だろうか。
「アレク、この僕に美姫と踊る栄誉を与えてくれますか?」
おどけて申し込む幼なじみの王子様。彼はいつでも優しい。
「ええ、リオネル様。私で良ければ喜んで」
歯の浮くようなセリフに、苦笑して彼の手を取る。レオンの方を見てみると、彼はさっさと次の女性をエスコートしていた。
私は義弟に甘え過ぎていた。
彼はもう、この国の立派な騎士様だから。
自分の力で自分の未来を切り拓こうとしている。
私も前に進まなくちゃ。
いつまでも不毛な恋をしてはいけない。
決意を新たにした私は、幼なじみの優雅なリードに身を任せた。
「アレク、その首飾りとても良く似合っているよ。君のために選んだ僕も嬉しいよ」
踊りながら王子様がおっしゃった。
つけてきた黄色い首飾りに気が付いて下さったようだ。彼は相変わらず優しくて褒め上手。沈んでいた心が、ほんの少しだけ浮上する。
「立太子の式典はまだですが、こんなに立派なものをしまっておくのはもったいない気が致しまして」
「美辞麗句を並び立てても、君の美しさには敵わないよ。それとも朝まで君の隣で褒めちぎろうか?」
「な……」
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最近リオネル様は口説き文句が大げさになってきた。叔父のレイモンド様の影響だろうか?
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って、こんな所で思い出している場合ではない!
激しく動揺した私は、思わずステップを踏み間違えてしまった。でも、そこはさすがの王子様。何事も無かったかのように上手くターンしながら、私を持ち上げた。
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「なかなかお似合いの二人だ。王太子になる日も近いから、もしや同時に嬉しい発表でも?」
「あれは、グリエール家の……。確かアレキサンドラ様かと」
「あら? お小さい時の印象とは随分違うようだわ」
リオネル様とは昔からの知り合いで互いに気心が知れているから、踊っていても確かに楽しい。それにしては今まで噂にならなかったのは、やっぱり私が地味だったから?
容姿がすっかり変わってしまったから、もう地味とは言われない。社交界に出ても失敗しないくらいは、母のスパルタにも耐え抜いた。一緒にいても幼なじみに恥をかかせない程度には、マシになったと自分でも思う。
ニコニコと嬉しそうな顔をされているリオネル様。
その表情を見ていると、未だに告白の返事をしていないことが心苦しく思えてくる。
本当は、返事は既に決まっている。
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