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私の人生地味じゃない!
前世の記憶
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プカプカと何も無い白い空間を漂っている。
何も考えずにいれば、安らかな心でいられるような気がして思考を止める。周りには静寂だけが広がっている。何者でもない自分。こんな感覚が、以前にもあったような気がした。考えることを止めてしまえば、白い静寂はむしろ心地良い。
私は一体、何を頑張っていたんだろう?
私の存在理由なんて、最初からこれっぽっちも無かったのかもしれない。何も見えず、何も聞こえないこの空間にいれば、心を乱されることもない。
このまま朽ち果てるのも悪くないかも――
ただぼんやりとそんなことを考えていた。
何もかも、もうどうでもいいような気がしたから。
しばらくすると、一筋の光が射して来た。
この光を辿れば、今度こそ昇天するのかな?
現実は私にとってつら過ぎる。
もうこれ以上傷つきたくない。
生きるより楽な方法があるのなら、いっそのことそっちに流れてしまいたい。
私は光を捕まえた。
光に縋ればこのまま空に昇って行けそうな、そんな気がして。
けれど、光の行きつく先は過去の記憶だった。
遠い昔、小学生の頃の姿が見えてくる。
やめて! 高倉 愛梨がイジメられていたところなんて見たくないの! ようやく克服できたと思っていたのに。過酷な現実からは、目を背けたい。これ以上、苦しくなるのは、嫌!
光はあっさりその場面を通り過ぎると、更に時間を遡っていった。
ようやく辿り着いた先――
そこにはもっと以前の、全く覚えていない私たちがいた。
*****
「ほら、エミコ。どうだ? ボクたちの子どもは、2人ともなんて愛らしいんだろう」
金色の髪の整った顔の男性が嬉しそうに笑う。
「ふふ、あなた。毎日はしゃぎ過ぎよ? 病院中に聞こえて恥ずかしいわ」
この顔には見覚えがある。
もしかして、若い頃の……お母さん?
淡いピンクの壁紙の病室。
ベッドの上に身体を起こして笑う母。
寝衣を着て化粧気のない顔は、幸せそうに輝いている。
その脇には、透明なプラスチックの小さなベビーベッドが二つ並べられていた。中には赤みがかった金色の髪と、茶色い髪の見るからに双子の赤ん坊が寝ている。ネームプレートには『タカクラベビー』とだけ。名前はまだついていないみたい。
金髪で背の高い男性は、可愛くてたまらないというように赤ん坊の頬をそれぞれつつきながらこう言った。
「金色の髪の子は僕にソックリだ。茶色の髪の子は瞳がキミに似ているよ。でも、君の髪は真っ黒だよね?」
「あら、小さい頃は私も茶色い髪だったのよ? 年をとってだんだん黒くなったんだけど」
「キミは若くてキレイだよ。黒い髪もとても魅力的だ。でもこれからは、黒も茶も金もみんな好きになりそうだ」
眩しそうに目を細めた男性が、愛しくてたまらないといった表情で母を見る。若い頃の母は頬を染め、感激したように「トーマ」と小さく呟いた。
不意に場面が切り替わる。
それは、私が母と二人で暮らしていた小さなアパートの部屋の中だった。
「また大泣きしている。アイリは妹だから、甘えん坊さんなのかな? 夜遅いし、ちょっと抱っこしてその辺を散歩してくるよ」
「あらあなた、また呼び間違えて。その子の名前はカイリよ? 髪の色でわかるでしょ?」
「ゴメンゴメン。日本の名前は発音が難しくて。でもこの子もキミに似て可愛いよ」
「まったくもう!」
そう言いながら、母は嬉しそうにしている。
幸せでたまらないといった表情だ。
「アイリちゃん、しょーがないパパでちゅね? 夜だしママとお留守番してまちょうね~」
見覚えのあるドアを開け、赤子を抱えて外に出る男性。見送る母は、眠そうだけど満ち足りた表情をしている。こんなに幸せそうな母の顔を私は知らない。ここまでの笑顔を私は見たことがなかった。
けれど、光は見たくもない場面を私に突きつける。
それこそが真実で、私がこの世界に来た理由?
「カイリちゃん、パパは君だけでなくママもアイリもみんなを愛しているんだよ~」
赤ん坊をあやしながら、外灯のそばを通りかかる男性。闇にうごめく【黒い陰】。近付くまで、彼は陰に気がつかない。
(危ない!)
咄嗟に私は叫んだ。
けれど今の私の声は、もちろん届かない。
バチバチとスゴイ音を立てて空間が捻じ曲がる。突如現れたブラックホールのようなものが勢いよく渦を巻き2人を飲み込もうとしている。
「くっっ、こんな時に! 戻りたくはないんだ。せめて、キミだけでも……」
抱きかかえていた赤ん坊を手から離そうとした男性。
しかし、強力な磁場のせいで離れない!
どんどん大きくなった渦が当然のように彼らを包む。
必死の抵抗も虚しく、彼と赤ん坊は闇に呑み込まれて消えて行った。
辺りは静寂――外灯の周りを飛び回る羽虫の音だけが響いている。
私は理解した。
彼こそがトーマス=リンデル。
またの名を高倉 トーマと言い、私、高倉 愛梨と双子の妹、海梨のお父さん。『トーマ』という名前に聞き覚えは無いけれど、『カイリ』と言う名前なら聞いた事がある。時々、母が私を呼び間違えていたから。
「私は愛梨だけど……」
不思議に思って聞くと、いつもごまかしていた母。
「ごめんごめん。海という字を充てて海梨っていう名前もいいかなって思っていたから」
今思えばあれは、双子の妹のことだったのだろう。私に父の記憶が無いのも当然だった。だって、父は元々異世界の住人。不慮の事故とはいえ、物心がつく前に双子の妹と一緒に自分の世界に帰ってしまったのだから……
いくら待っても父は帰って来ない。
そんな事情を知らずに再婚もせず、あのアパートで父を待ち続けた母。父のことを私に話せなかったのも仕方がない。だってそれは、思い出すだけでつらい記憶。
一番幸せな時を共に過ごしてしまった二人。父以上の存在に母は出会えなかったのだろう。母は、父にそっくりな私――愛梨を見る度に父の面影を重ね、消えた妹の海梨を思って悩んでいたに違いない。
「愛梨は私の宝物」
その言葉は、決して嘘では無かった。
でも心の中では『トーマと海梨も宝物』と、続けていたはずだ。
前世で私は、他人と違う容姿にずっと悩んでいた。いじめられる原因になった派手な顔と白い肌が嫌いだった。
今ならわかる。赤みがかった金髪と白い肌は、父のトーマス譲り。私は外人ではなく、異世界人とのダブルだった!
だけど、それなら海梨は?
異世界に私がいるのなら、妹の海梨はどこへ行ってしまったの?
光に導かれ、更に場面が変わった。
そこは、見慣れた公爵家の寝室。
茶色い髪の幼い子どもがベッドに寝かされている。
2~3歳くらいの彼女は、高熱のためか途切れ途切れの荒い呼吸をしていた。今より若いこちらの世界の両親と兄が懸命に看病し、医師が必死に処置をしている。
しばらくすると、彼女の呼吸が止まった。
小さな身体は動かずに二度と目覚める気配も無い。
トーマスに預けられ、娘として公爵家で育てられていたのは、妹の海梨の方だ! 父と一緒に時空を超えた妹の小さな身体は、転移の衝撃に耐えられなかったのだろう。その時の負担が徐々に身体を蝕んで、幼くして亡くなってしまったんだ!
絶句する若い頃の父――公爵。
泣き叫ぶ若くて綺麗な母――公爵夫人。
見たことのないほど青ざめた顔の兄――小さなヴォルフ。
悲痛な場面にも関わらず、一筋の光の塊がフヨフヨと彼らの頭上を漂う。その光はベッドに近づくと、急に動きを速めた。飛び込んだ先は、亡くなったばかりの妹の身体。瞬間、父の公爵だけが顔を上げて目を見張る。
それを見た途端、私は悟った。
亡くなった妹の代わりに光となって飛び込んだのは、交通事故で亡くなった私の魂。それだけは、なぜかすぐに理解ができた。車に轢かれて抜け出た私の魂は、父の元いた世界に呼ばれた。それとも私を導いたのは、海梨、あなたなの?
この世界の私に、3歳くらいまでの記憶がないのも当然だ。だって、時空を超えてこの世界に来たのは私の魂だけ。事故で滅びた肉体は、きっともうどこにもない。ちょうど空いた小さな妹の身体に、私は運良く入り込んだのだ。
どうして、自分は転生したと思ったんだろう?
なぜ、生まれ変わったと信じていたの?
本当の私は妹の身体を依代にして、亡くなったアリィとしてこの世界で生きていたに過ぎないのに――
「何て普通の良いお顔」
「地味で良かった」
そんなことを言って喜んでいてゴメンなさい。
茶色い髪のたった一人の私の妹。
幼いあなたは時空を超えて、誰よりも懸命にここで必死に生きていたのに!
涙が溢れて止まらない。
失われた過去と失われた幸せなはずの未来。
二度と会えない双子の妹海梨を想って私は泣いた。
何も考えずにいれば、安らかな心でいられるような気がして思考を止める。周りには静寂だけが広がっている。何者でもない自分。こんな感覚が、以前にもあったような気がした。考えることを止めてしまえば、白い静寂はむしろ心地良い。
私は一体、何を頑張っていたんだろう?
私の存在理由なんて、最初からこれっぽっちも無かったのかもしれない。何も見えず、何も聞こえないこの空間にいれば、心を乱されることもない。
このまま朽ち果てるのも悪くないかも――
ただぼんやりとそんなことを考えていた。
何もかも、もうどうでもいいような気がしたから。
しばらくすると、一筋の光が射して来た。
この光を辿れば、今度こそ昇天するのかな?
現実は私にとってつら過ぎる。
もうこれ以上傷つきたくない。
生きるより楽な方法があるのなら、いっそのことそっちに流れてしまいたい。
私は光を捕まえた。
光に縋ればこのまま空に昇って行けそうな、そんな気がして。
けれど、光の行きつく先は過去の記憶だった。
遠い昔、小学生の頃の姿が見えてくる。
やめて! 高倉 愛梨がイジメられていたところなんて見たくないの! ようやく克服できたと思っていたのに。過酷な現実からは、目を背けたい。これ以上、苦しくなるのは、嫌!
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ようやく辿り着いた先――
そこにはもっと以前の、全く覚えていない私たちがいた。
*****
「ほら、エミコ。どうだ? ボクたちの子どもは、2人ともなんて愛らしいんだろう」
金色の髪の整った顔の男性が嬉しそうに笑う。
「ふふ、あなた。毎日はしゃぎ過ぎよ? 病院中に聞こえて恥ずかしいわ」
この顔には見覚えがある。
もしかして、若い頃の……お母さん?
淡いピンクの壁紙の病室。
ベッドの上に身体を起こして笑う母。
寝衣を着て化粧気のない顔は、幸せそうに輝いている。
その脇には、透明なプラスチックの小さなベビーベッドが二つ並べられていた。中には赤みがかった金色の髪と、茶色い髪の見るからに双子の赤ん坊が寝ている。ネームプレートには『タカクラベビー』とだけ。名前はまだついていないみたい。
金髪で背の高い男性は、可愛くてたまらないというように赤ん坊の頬をそれぞれつつきながらこう言った。
「金色の髪の子は僕にソックリだ。茶色の髪の子は瞳がキミに似ているよ。でも、君の髪は真っ黒だよね?」
「あら、小さい頃は私も茶色い髪だったのよ? 年をとってだんだん黒くなったんだけど」
「キミは若くてキレイだよ。黒い髪もとても魅力的だ。でもこれからは、黒も茶も金もみんな好きになりそうだ」
眩しそうに目を細めた男性が、愛しくてたまらないといった表情で母を見る。若い頃の母は頬を染め、感激したように「トーマ」と小さく呟いた。
不意に場面が切り替わる。
それは、私が母と二人で暮らしていた小さなアパートの部屋の中だった。
「また大泣きしている。アイリは妹だから、甘えん坊さんなのかな? 夜遅いし、ちょっと抱っこしてその辺を散歩してくるよ」
「あらあなた、また呼び間違えて。その子の名前はカイリよ? 髪の色でわかるでしょ?」
「ゴメンゴメン。日本の名前は発音が難しくて。でもこの子もキミに似て可愛いよ」
「まったくもう!」
そう言いながら、母は嬉しそうにしている。
幸せでたまらないといった表情だ。
「アイリちゃん、しょーがないパパでちゅね? 夜だしママとお留守番してまちょうね~」
見覚えのあるドアを開け、赤子を抱えて外に出る男性。見送る母は、眠そうだけど満ち足りた表情をしている。こんなに幸せそうな母の顔を私は知らない。ここまでの笑顔を私は見たことがなかった。
けれど、光は見たくもない場面を私に突きつける。
それこそが真実で、私がこの世界に来た理由?
「カイリちゃん、パパは君だけでなくママもアイリもみんなを愛しているんだよ~」
赤ん坊をあやしながら、外灯のそばを通りかかる男性。闇にうごめく【黒い陰】。近付くまで、彼は陰に気がつかない。
(危ない!)
咄嗟に私は叫んだ。
けれど今の私の声は、もちろん届かない。
バチバチとスゴイ音を立てて空間が捻じ曲がる。突如現れたブラックホールのようなものが勢いよく渦を巻き2人を飲み込もうとしている。
「くっっ、こんな時に! 戻りたくはないんだ。せめて、キミだけでも……」
抱きかかえていた赤ん坊を手から離そうとした男性。
しかし、強力な磁場のせいで離れない!
どんどん大きくなった渦が当然のように彼らを包む。
必死の抵抗も虚しく、彼と赤ん坊は闇に呑み込まれて消えて行った。
辺りは静寂――外灯の周りを飛び回る羽虫の音だけが響いている。
私は理解した。
彼こそがトーマス=リンデル。
またの名を高倉 トーマと言い、私、高倉 愛梨と双子の妹、海梨のお父さん。『トーマ』という名前に聞き覚えは無いけれど、『カイリ』と言う名前なら聞いた事がある。時々、母が私を呼び間違えていたから。
「私は愛梨だけど……」
不思議に思って聞くと、いつもごまかしていた母。
「ごめんごめん。海という字を充てて海梨っていう名前もいいかなって思っていたから」
今思えばあれは、双子の妹のことだったのだろう。私に父の記憶が無いのも当然だった。だって、父は元々異世界の住人。不慮の事故とはいえ、物心がつく前に双子の妹と一緒に自分の世界に帰ってしまったのだから……
いくら待っても父は帰って来ない。
そんな事情を知らずに再婚もせず、あのアパートで父を待ち続けた母。父のことを私に話せなかったのも仕方がない。だってそれは、思い出すだけでつらい記憶。
一番幸せな時を共に過ごしてしまった二人。父以上の存在に母は出会えなかったのだろう。母は、父にそっくりな私――愛梨を見る度に父の面影を重ね、消えた妹の海梨を思って悩んでいたに違いない。
「愛梨は私の宝物」
その言葉は、決して嘘では無かった。
でも心の中では『トーマと海梨も宝物』と、続けていたはずだ。
前世で私は、他人と違う容姿にずっと悩んでいた。いじめられる原因になった派手な顔と白い肌が嫌いだった。
今ならわかる。赤みがかった金髪と白い肌は、父のトーマス譲り。私は外人ではなく、異世界人とのダブルだった!
だけど、それなら海梨は?
異世界に私がいるのなら、妹の海梨はどこへ行ってしまったの?
光に導かれ、更に場面が変わった。
そこは、見慣れた公爵家の寝室。
茶色い髪の幼い子どもがベッドに寝かされている。
2~3歳くらいの彼女は、高熱のためか途切れ途切れの荒い呼吸をしていた。今より若いこちらの世界の両親と兄が懸命に看病し、医師が必死に処置をしている。
しばらくすると、彼女の呼吸が止まった。
小さな身体は動かずに二度と目覚める気配も無い。
トーマスに預けられ、娘として公爵家で育てられていたのは、妹の海梨の方だ! 父と一緒に時空を超えた妹の小さな身体は、転移の衝撃に耐えられなかったのだろう。その時の負担が徐々に身体を蝕んで、幼くして亡くなってしまったんだ!
絶句する若い頃の父――公爵。
泣き叫ぶ若くて綺麗な母――公爵夫人。
見たことのないほど青ざめた顔の兄――小さなヴォルフ。
悲痛な場面にも関わらず、一筋の光の塊がフヨフヨと彼らの頭上を漂う。その光はベッドに近づくと、急に動きを速めた。飛び込んだ先は、亡くなったばかりの妹の身体。瞬間、父の公爵だけが顔を上げて目を見張る。
それを見た途端、私は悟った。
亡くなった妹の代わりに光となって飛び込んだのは、交通事故で亡くなった私の魂。それだけは、なぜかすぐに理解ができた。車に轢かれて抜け出た私の魂は、父の元いた世界に呼ばれた。それとも私を導いたのは、海梨、あなたなの?
この世界の私に、3歳くらいまでの記憶がないのも当然だ。だって、時空を超えてこの世界に来たのは私の魂だけ。事故で滅びた肉体は、きっともうどこにもない。ちょうど空いた小さな妹の身体に、私は運良く入り込んだのだ。
どうして、自分は転生したと思ったんだろう?
なぜ、生まれ変わったと信じていたの?
本当の私は妹の身体を依代にして、亡くなったアリィとしてこの世界で生きていたに過ぎないのに――
「何て普通の良いお顔」
「地味で良かった」
そんなことを言って喜んでいてゴメンなさい。
茶色い髪のたった一人の私の妹。
幼いあなたは時空を超えて、誰よりも懸命にここで必死に生きていたのに!
涙が溢れて止まらない。
失われた過去と失われた幸せなはずの未来。
二度と会えない双子の妹海梨を想って私は泣いた。
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『お妃選びは正直しんどい』発売中です♪(*´꒳`*)アルファポリス発行レジーナブックスより。
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