地味に転生できました♪~少女は世界の危機を救う!

きゃる

文字の大きさ
上 下
32 / 72
私の人生地味じゃない!

お見舞い

しおりを挟む
 二日後、見舞い客が来ていると執事が告げに来た。お父様は昨日から領地の見回りに行っていて不在。現在この家は兄が取り仕切っている。だけど今の過保護な兄に任せていたら、訪問客どころか国王だって断りかねない。

「どなた?」

 聞いてみると、何と私の友達が揃って来てくれたのだという。

「妹は目覚めたばかりだから、ダメに決まっ……」

「嬉しい! 是非お会いしたかったの。もちろんすぐ、こちらにご案内して!」

 予想通り断ろうとしていた兄を一刀両断。
 執事のセドリックも心得たもので、にこやかに微笑むと彼女達を案内してきた。兄やレオンは微妙な顔をしているけれど、そんなの知った事ではない。

「アレキサンドラ様、お久しぶり。まあ、髪の毛染めたの? 一層お美しくなられて」

「アリィちゃん、こんにちは。元気だった?」

「お加減はいかが? 治ったばかりなのに大勢でお邪魔しちゃってゴメンなさいね」

「あら、ヴォルフ様と……レオン様? ご無沙汰している間にすっかり見違えて」

 4年前と変わらず、賑やかな彼女達に会えて嬉しい。

 ジュリア様、貴女の方がおキレイですわよ。髪の色は寝ている間に抜けましたので、染めていません。ローザちゃん、元気というより最近まで意識飛ばしてました。ダイアン様、お気遣いなく。さすが姉さんです。イボンヌ様、私に対するコメントは? 思わず脳内で突っ込んで、おかしくなる。
 来てくれてありがたいけれど、何度見てもアイリス様がいらっしゃらない。

「あの、アイリス様は……」

「ああ、あの子。お誘いしたんだけどね。周りからもいろいろ言われていたみたいだし、やっぱりアリィ様には顔を合わせにくいんじゃないかしら」と、ダイアン様。

「そんな! アイリス様の責任ではないのに」

「グリエール家がそうおっしゃっても、他家はそう思わなかったようですわ。事件のせいで夜間の外出は禁止、護衛なしの女性の外出は自粛となりましたもの」と、ジュリア様。

「それにね、事件のせいで夜会が無いのは仕方が無いけれど、昼間の舞踏会まで主な貴公子が次々とご欠席されたんですもの。事件の当事者としてきっと恨まれたのでしょうね」

「へ?」

 それは知らない、初耳だ。

「貴公子の欠席って?」

「あら、やだウフフ。私の口から言ってもよろしいのかしら?」

 扇子を口にあて、意味深に笑うイボンヌ様。
 そこまでおっしゃったのなら、どうぞ最後まで続けて下さい。

「事件でアリィ様がお倒れになったでしょう? だから王家のリオネル王子やレイモンド様、公爵家のヴォルフ様、近衛騎士のガイウス様もみーんなご欠席を表明されて。ほとんどの方がパーティーにいらっしゃらなかったので華が無かったんですの、華が」

 ふんふん、と頷きながら聞き返す。

「で、それで?」

「ですから、条件の良いイケメンが軒並みご欠席で、婚活中の令嬢達に大打撃! おかげで大層恨まれたそうですわ、アイリス様が」

 なんじゃ、そりゃ。
 でも、事件の当事者といえば私もだ。

「でしたら、もしかして私も?」

「そんなわけないじゃなーい。だって、寝っぱなしって聞いてたし。ヴォルフ様とレオン様のご家族のアリィちゃんのこと悪く言ったら、お2人に嫌われちゃうじゃない。アリィちゃんの名前を出しただけで、王子様もレイモンド様もガイウス様も困った顔をされるから、名前出すのも禁止だったの~」

 ローザ様は相変わらず可愛く喋ります。

「禁止ではなく、暗黙の了解ね」

 ダイアン様、細かい訂正ありがとうございます。

「婚活といえば、イボンヌ様は平気だったの? 貴女確かイケメン狙いだったでしょ?」

「あ~ら、ダイアン様こそ完全な行き遅れ……失礼、婚活中じゃあございませんこと?」

「まあ、私の事を言うなら貴女の方こそ。1つしか違いませんし」

 お姉様方、ここでバトルをするのは止めて下さい。過保護なヴォルフもレオンもいるから、何だかとってもいたたまれないです。

「でもね、私はもういいのよ~」

 イボンヌ様の発言。
 ニッコリ笑って一体どうなさったの?

「だって私、もう婚約しちゃったんだもの」



「「「「えぇぇぇ~~~~!」」」」

 私だけでなく、みんなが初耳だったようだ。

「どーしたの? あんなにイケメンにこだわっていた貴女が。まさか、みんなが知らないだけで、掘り出し物のイケメンいらっしゃった?」

 ジュリア様、予想以上の食いつきっぷり。

「まさか。でもね、もういい年だし社交界にも飽きてきたから、そろそろ落ち着いても良いかなぁって。ギルバートとは領地が隣同士で幼なじみなの。久しぶりにパーティーで会って、近況を話すうちにどんどん仲良くなって」

 嬉しそうに話すイボンヌ様からはいつものセクシーさが抜けていて、とっても可愛らしい。

「ギルは穏やかな人だけど、ゴーダ侯爵家の跡継ぎで家柄的にも申し分無いし、それに何より………」

「何より?」

 私たちはイボンヌ様にズズッと身を寄せた。

「何よりわたくしの事を一番に考えて愛してくれますの」


「キャー」
「うわ~~」
「イヤ~~」

 みんな口々に勝手な事を叫んで盛り上がっている。もちろん、私も。ヴォルフ兄様、心底興味無さそうにため息つきながら横向くのは止めて下さい。レオン、呆れた顔はいけません。ガールズトークはどこでもこんなもんです、たぶん。

「私もね、イケメンと燃えるような恋がしたいって以前は考えていたわよ? でもね、お互いに気を遣わない空気のような穏やかな愛を育んでいくのも悪くないかなって。女はやっぱり愛されてこそ、ですものね?」


「うわー」
「出たー」

 大人の余裕発言が出ました。
 そういえば先ほどから扇をひらひらさせていらっしゃいますが。イボンヌ様、もしやその手に光る指輪に注目を集めたいのでは?! 凝視していたら恥ずかしそうに言われた。

「あらイヤだ、アリィ様。やっぱりお気付きになりまして? うふふふふ」

 仕方がない、最後までお付き合いしましょう。

「素敵ですわ」
「キラキラしていますわ」 
「よく見せて下さる?」

 ダイアン様、悔しいからって無言はよくありませんわ。

「私の誕生色の黄色と、彼の誕生色の緑を組み合わせた指輪なの。彼ったら、自分の誕生色が君の瞳の色と一緒で嬉しい、ですって」

 白金の台座の上に2つの色を組み合わせたデザインの指輪は、確かにキラキラしていて美しい。頬を染めて笑うイボンヌ様も、もちろん美しい。
 今日はお見舞いに来て下さったというよりも、婚約した事をみんなに自慢……知らせに来て下さったのだろう。幸せな報告に、私まで胸が温かくなってしまった。
 20歳になったイボンヌ様だから、婚約が早すぎるということはないけれど。普段からは想像もつかないお相手だったし、正直このメンバーで一番早く婚約するのが彼女だとは、思っていなかった。
 でも、今の幸せそうな仕草を見ていたら、彼女の幸せを心から願わずにはいられない。

 口々に指輪の感想とお祝いの言葉を述べて、「女の幸せは……」と再度ノロケようとするイボンヌ様をからかった。ご結婚の日取りはまだ決まっていないみたい。だけど式には友人として招待してくれるというから、みんなで仲良く参列したい。もちろん、アイリス様もご一緒に。私も早く身体を治さなくっちゃね?



「そろそろおいとましませんと」

 ダイアン様が場を促して、イボンヌ様の婚約発表記者会見? は終了となった。私の体調を考慮して下さったようで申し訳ない。気の利く優しいダイアン様にも、早くお相手が見つかるといいのにな。
 イボンヌ様が羨ましくないといえば嘘になる。
 私にも、いつかきっとステキな人が現れますように。
 まあ過保護な兄弟が許してくれれば、だけど。

 女友達と過ごすのは楽しくて、あっという間だった。離れていた時間など無かったかのようにみんなが自然に接してくれたから、私も気が楽だった。ここにアイリス様がいれば、もっと楽しかっただろう。
 やっぱり友達っていいな。
 この世界に戻ってくることができて、本当に良かった!
しおりを挟む
『お妃選びは正直しんどい』発売中です♪(*´꒳`*)アルファポリス発行レジーナブックスより。
感想 12

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

【完】お義母様そんなに嫁がお嫌いですか?でも安心してください、もう会う事はありませんから

咲貴
恋愛
見初められ伯爵夫人となった元子爵令嬢のアニカは、夫のフィリベルトの義母に嫌われており、嫌がらせを受ける日々。 そんな中、義父の誕生日を祝うため、とびきりのプレゼントを用意する。 しかし、義母と二人きりになった時、事件は起こった……。

【短編】復讐すればいいのに〜婚約破棄のその後のお話〜

真辺わ人
恋愛
平民の女性との間に真実の愛を見つけた王太子は、公爵令嬢に婚約破棄を告げる。 しかし、公爵家と国王の不興を買い、彼は廃太子とされてしまった。 これはその後の彼(元王太子)と彼女(平民少女)のお話です。 数年後に彼女が語る真実とは……? 前中後編の三部構成です。 ❇︎ざまぁはありません。 ❇︎設定は緩いですので、頭のネジを緩めながらお読みください。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

妻を蔑ろにしていた結果。

下菊みこと
恋愛
愚かな夫が自業自得で後悔するだけ。妻は結果に満足しています。 主人公は愛人を囲っていた。愛人曰く妻は彼女に嫌がらせをしているらしい。そんな性悪な妻が、屋敷の最上階から身投げしようとしていると報告されて急いで妻のもとへ行く。 小説家になろう様でも投稿しています。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

私は貴方を許さない

白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。 前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。

深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~

白金ひよこ
恋愛
 熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!  しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!  物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?

処理中です...