地味に転生できました♪~少女は世界の危機を救う!

きゃる

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地味顔に転生しました

天使現る

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「アレキサンドラ、ちょっとこちらへおいで」

 王子様との決別宣言から半月後のある日、突然父に呼ばれた 。
 リオネル様とお別れしたこと、お父様には内緒にしていたけれどもしやバレた? でも婚約者でも何でもないし、そもそもお父様は子どもの付き合いに口を出す人ではないし。
 不思議に思って近づくと、お父様の背中に隠れていたのは、サラサラの金髪に青い瞳の小さな男の子。おどおどしている事を除けばまるで天使のよう。
『お父様にまたしても隠し子疑惑か……?』   
   そう思ったけれど、隣にいらっしゃるお母様はとても嬉しそう。

「紹介しよう。わけあってうちで預かる事になったレオンだ。アリィの1つ下だな。レオン、娘のアレキサンドラだ。上の兄のヴォルフは今、城にいる」

 え?
 小柄なのでもう少し下かと。
 9歳ってもっとヤンチャで態度がでかいのでは?

「救済院の前に置き去りだったそうよ。保護されていたのを聞いたお父様が連れて帰って下さったの。ヴォルフは家にいないし、アリィは最近甘えてくれないし。あんまり可愛いからうちでしばらく預かろうと思って」

 お母様! せっかくお父様が『わけあって』とおっしゃっているのに全てぶちこわしです!   それに、本人の前で辛い事を思い出させるのもどうかと思いますが。
 ちなみに救済院とは、郊外にある我が国の児童養護施設のようなもの。親と死に別れた子供や育てるのが難しい環境の子、捨てられた子が多くいる。町民や平民の子どもしかいなかったと記憶している。

 でも金髪ってことは、この世界ではほぼ貴族確定よね?   貴族にも育児放棄ってあるのかしら?
 お父様は「しばらく」って言っていたけどいつまで?   このまま親が見つからなければ、うちの子になってくれるのかしら? 前世ではひとりっ子だったし兄様は相手にしてくれないから、弟って憧れていたのよね~。
「お姉様」と呼ばれてどこへ行くにも付いて来たがったらどーしよう? 甘えられて放してくれなくなったら?
 思わずグフフと変な笑みが浮かんでしまう。

「アリィったら、お顔が面白い事になっているわよ?」

 お母様、そんなはっきりと。
 肝心のエンジェル……弟(勝手に認定)のレオン君もキレイな瞳を見開いてこちらをじーっと見ている。
 あれ? もしかして私、怪しまれてる?
 見た目地味だし茶髪だし両親のどちらにも似ていないから、何だこいつと思われてる?   そういえば、どちらかというとレオン君の方がうちの親に似ているかも。
 だからお父様もお母様も放っておけなかったのかしら? 

 私はこちらでも10年分の記憶、正確に言えば3歳ごろからの記憶がある。可愛がってもらったから、今まで親の愛情を疑った事は無い。けれどやっぱり自分に似た子の方が可愛いく感じるのかな、なんて年甲斐もなくちょっと拗ねてみたりなんかして……


「アリィ、レオン君をイジメちゃだめよ~」

 うふふ、と嬉しそうに笑うお母様。

「マリアンヌ、アリィがそんな事をするわけないだろう? だがアリィの方がお姉さんなんだからレオンを頼むな」

「お姉さん」いただきました~。
「ハイ、喜んで~」
 そう言いたいけれど。
 当のレオン君、今度はキョロキョロと私達や辺りを見回して落ち着かないようであります。

「お父様、天使……レオン君は疲れているのでは?   私がお部屋に案内してもよろしいかしら。私の隣でよろしくて?」

 張り切って聞くとお父様が頷いて下さった。お母様、チッて聞こえた気がしましたが。あからさまに残念そうなお顔はやめて下さい。美人が顔を歪めると迫力倍増でレオン君が怖がっちゃいますから。

「行こう!」と手を繋ごうとしたけれど、ビクッと引っ込められてしまった。まあ初日から上手くいくとは思っていないけどね。



「レオン君、ここが貴方のお部屋よ!」

「………」

 私は小さな天使を連れて二階へ上がり、部屋へ案内した。結局、天使は手を繋ぐどころか目も合わせてくれなかった。ずっとビクビク怯えていた。突然我が家に連れて来られたから戸惑っていたのかな?
 私は地味だけど、怖くはないよね?   まさか知らないうちにお母様と同じ能天気オーラとかお父様と同じどす黒オーラが出ていたとか?   そんな事無いと思うんだけどなぁ~。
 私より一つ下だというレオン君はずっと無言のまま。

 彼を案内した部屋は、青と白を基調とした少し先には海も見える眺めの良い部屋。ふかふかのベッドや高価なクローゼット、猫脚ソファ、繊細な作りのデスクや椅子、バスルームまで完備。
 海ビューのリゾートホテルみたいなもんかな?   冷蔵庫無いけど。
 だからレオン君、相変わらず周囲を警戒するのはやめて下さい。気に入らなかったら他の部屋でもいいから。ビクビクされたままだとお姉ちゃんは悲しいゾ!

 侍女を呼んで伝える。

「エルゼ、ここはお願いできるかしら? レオン君、夕食の時にまたお会いしましょうね」
 できるだけ優しくにっこり笑う。小さいとはいえレオン君は男の子。地味だけど女の子の私と一緒では恥ずかしいかもしれない。
 そう思って一旦退室することにした。
 はちべぇ、じゃなかったリリーちゃんだと心配だし、メリーちゃんだと子供の扱いがわからないかもしれない。けれど、ベテランのエルゼさんなら任せても大丈夫!
 その間に私は、お父様かお母様からレオン君の情報聞き出して来なくっちゃ。


 緊張しているのか、ちょっと涙目になってる可愛いレオン君。その姿に後ろ髪をひかれつつ、パタンと部屋の扉を閉めてパタパタと廊下をかけていく。
 お父様、まだ家にいらっしゃればいいけれど……
 書斎の扉をノックする。

   コン、コン

「入りなさい」

 良かった! 
   お父様まだ家にいらした!

「お仕事中申し訳ありません。お聞きしたいことがあってまいりました」

 書類から顔を上げるお父様。
 お仕事モードの厳しい目つきは、見慣れているとはいえちょっと緊張する。
 何かを察したお父様は、牽制するように先に私にこう言った。

「答えられる範囲のことしか答えない」

 私は頷き、可愛い弟(になる予定)のレオン君について詳しく聞いてみることにした。
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