79 / 85
虹の世界
後夜祭7
しおりを挟む
鈍い……鈍すぎる!
気づかない藍人には困ったもんだ。
それに、人を胸の大きさで判断するってどういうこと? 小さかったのはさらしを巻いていたからだし。本来は標準並みなんだけど――たぶん。
「あのね、藍人。私が紫記なんだけど。今まで男子として振るまっていて、その……ごめん」
頭を下げた後で藍人の様子を窺う。
見つめ合うこと30秒。
ようやく理解したのか、藍人が目を見開く。彼は上から下まで私を見ると、声を発した。
「え? ええぇーー!?」
大きな声に近くの人が何ごとかと振り返る。驚いた私は、思わずよろけてしまった。
伸びてきた藍人の手が私の腕を咄嗟に掴む。それってさっき肉を持っていた手だよね? あ、いや、別にいいんだけど。
「そんな、まさか! でもそういえば、面影がある。本当にお前が……紫記なのか?」
首を縦に動かす。
目を丸くした藍人が呆然と見ている。
「うん。僕って言えばわかる? それとも、藍人が最近貸してくれた雑誌が『百発百中、モテるプロテイン特集』だってバラせば……」
「うわ、やめてくれ! それ内緒だから」
「まあ、まだ中は見てないんだけど」
女子にモテてもしょうがないので、借りっぱなしでまだ読んでいない。文化祭前にたまたま食堂で会った時、「読み終わったから貸してやる」と強制的に渡されたのだ。藍人にしてみれば、頼りない私は弟分みたいなものだったんだろう。何かと目をかけてくれたことには、感謝している。
友人だと思っていた紫記が実は女子だとわかったせいか、藍人が急にシュンとなった。私を見ながらボソッと呟く。
「そうか……本物の紫記なんだな。ってことは、お前が紅輝の彼女か!?」
彼女と言われるのは、まだ恥ずかしいんだけど。私は熱くなった自分の頬に両手を当てた。
「うああーーっ、それなら俺はさっき、何てことを言ったんだ」
いきなりガシガシ頭をかく藍人。
どうしたんだろ。
突然わめき出すなんて。
「何てことって?」
「紅輝の相手を認める発言なんかして……っていうか、いつの間にそんな仲に! くそ、紅輝め。最初からわかってたんなら言ってくれよ。お前もだ! 紫記。どんだけ人を惑わせ……ああもうっ」
そうか。藍人には隠さず、最初から打ち明ければ良かったのか。私はまだ、さっきのお礼も言ってなかった。
「藍人、味方してくれてありがとう。すごく嬉しかったよ」
「だからそれは! ……なあ紫記、考え直さないか? 別に今すぐ紅輝とくっつかなくてもいいんじゃないか? 男は他にもいっぱいいるし」
「ふふっ、ありがとう。ようやく女の子として見てくれたんだね?」
「ようやくって……でもそうか。考えてみれば始めから女子だったのか。俺は特殊じゃなかったんだ」
「特殊って?」
首を傾げながら聞き返す。
驚いたり焦ったり、考え込んだり。
藍人の表情が目まぐるしく変わるので、何だか目が離せない。
「こっちの話だ。なあ、だったら胸は? どうやっていきなり大きくしたんだ。それともやっぱり、大量に詰め物でもして……」
「藍人のばかぁ!」
思いきり怒鳴り、彼に背を向けた。
まったくもう!
バカにするにも程がある。
ちなみに胸パッドは使っていない。
今日のは自前だ。
憤慨して歩いていると、誰かとぶつかった。碧先生だ! 先生は白衣を着たまま会場に来ている。どうしたんだろう。病人かけが人でも出たのかな?
「やあ、紫ちゃん。ちょうどいい場面を見逃してしまったようだ。気絶した紅輝ファンの女の子達を保健室に連れて行くよ。ショックが治まるまで僕が面倒を見るから。今日は保健室に近付かないようにね?」
そうだ、紅は学園で一番の人気者だった。みんなの前で突然交際宣言なんてしたから、彼を好きな女の子達が倒れてしまったんだろう。私は自分のことばかりで、周りの人の気持ちを考えていなかった。
だからといって、紅は譲れない。
女の子らしくない私でも、紅を好きな気持ちは誰にも負けない。小さな頃から近くにいたのに、なかなか気づけなかった想い。ようやく自覚した今、後戻りなんてしたくない。
雲の向こうにあった私の虹。
見つけた以上、手放すことなどできないから。
とはいえ、私達のせいで碧先生にまで迷惑をかけてしまった。忠告に来てくれた優しい先生に、後を頼むため頭を下げる。
「お手数をおかけしてすみません。よろしくお願いします」
「いいんだよ、他ならぬ君のためだし。でも欲を言えば僕も、その姿の君と踊りたかったな」
ウィンクをした先生は、私の気持ちを軽くするため、お世辞を言っ下さった。その心遣いが嬉しくて、ほんのり心が温かくなる。でも、私と踊らなくても碧先生がまともに参加すれば、踊ってほしい女子の行列がすぐにできると思う。
「ねえ、紫ちゃん。もし僕が……」
「そこまでだ、碧。そろそろ紫を返してくれ」
この声は紅だ!
碧先生の言葉を遮った紅が、背中側から私の腰に腕を回してくる。いや、でもちょっとこの体勢は、結構照れるんだけど。
「おお、怖。相変わらずだね。強引な男は嫌われるよ?」
「勝手に言ってろ。それよりいいのか? 保健室に行かなくて」
「誰のせいだと思う?」
「それについては謝る。だが、俺にも譲れないものはある」
「ふー。若いっていいね。羨ましいよ」
先生だって十分若いのに。
そう言った碧先生は、ほんの少し寂しそうな表情をのぞかせた。でも、次の瞬間いつもの柔らかい笑みを浮かべると、私に向かって手を振った。
「じゃあね。紅に振り回されるのが嫌だったら、いつでもおいで。大人の男性もいいものだよ?」
よくわからないけど、カウンセリングをしてくれるってことなのかな? さすがはお医者さんだ。それともこれが大人の余裕? 何にせよありがたいから、困ったことがあればすぐに相談に行くことにしよう。
私も手を振り返し、碧先生を見送った。
「碧をじっと見て、何を考えている?」
「どわっっ」
後ろから唇を寄せ、いきなり耳元で囁くのはやめてほしい。危うく腰が抜けそうになったじゃない。慌てて振り向くと、密着しているせいか紅と唇がぶつかりそうになってしまった。
「うわっ。紅、お願いだからもう少し離れて!」
正面に向き直った私は、思わず紅を押しやった。
一旦は離れたものの、両手で私の腰を掴んでいる紅が再び近づいてくる。
「どうして? ようやく捕まえたんだ。他のやつと踊るのを許してやっただろう?」
「え? でもそれって、当たり前というか何というか……」
「いいや。俺は全部断っているのに、お前は次から次へと」
「だって、みんなこの姿の私が珍しいみたいだし。ああ、そういえば」
先ほどの会話を思い出し、思わず笑ってしまった。
「藍人ったら、おかしいんだよ。私の瞳の色を知っているし、目の前で喋ったのに。この姿のせいか全然わからなか……わぶっ」
紅ってば、私の顔をいきなり自分の胸に押し付けるって何ごと?
「他の男の名前は聞きたくない。紫、今度ここで誰かの名前を出したらキスするからな」
「はい?」
何だ、それは。
当然冗談だよね?
みんなも見てるし、まさかそんなことはしないはず。だけど、私の好きな紅は意外と嫉妬深いらしい。
もしかして私……早まった!?
気づかない藍人には困ったもんだ。
それに、人を胸の大きさで判断するってどういうこと? 小さかったのはさらしを巻いていたからだし。本来は標準並みなんだけど――たぶん。
「あのね、藍人。私が紫記なんだけど。今まで男子として振るまっていて、その……ごめん」
頭を下げた後で藍人の様子を窺う。
見つめ合うこと30秒。
ようやく理解したのか、藍人が目を見開く。彼は上から下まで私を見ると、声を発した。
「え? ええぇーー!?」
大きな声に近くの人が何ごとかと振り返る。驚いた私は、思わずよろけてしまった。
伸びてきた藍人の手が私の腕を咄嗟に掴む。それってさっき肉を持っていた手だよね? あ、いや、別にいいんだけど。
「そんな、まさか! でもそういえば、面影がある。本当にお前が……紫記なのか?」
首を縦に動かす。
目を丸くした藍人が呆然と見ている。
「うん。僕って言えばわかる? それとも、藍人が最近貸してくれた雑誌が『百発百中、モテるプロテイン特集』だってバラせば……」
「うわ、やめてくれ! それ内緒だから」
「まあ、まだ中は見てないんだけど」
女子にモテてもしょうがないので、借りっぱなしでまだ読んでいない。文化祭前にたまたま食堂で会った時、「読み終わったから貸してやる」と強制的に渡されたのだ。藍人にしてみれば、頼りない私は弟分みたいなものだったんだろう。何かと目をかけてくれたことには、感謝している。
友人だと思っていた紫記が実は女子だとわかったせいか、藍人が急にシュンとなった。私を見ながらボソッと呟く。
「そうか……本物の紫記なんだな。ってことは、お前が紅輝の彼女か!?」
彼女と言われるのは、まだ恥ずかしいんだけど。私は熱くなった自分の頬に両手を当てた。
「うああーーっ、それなら俺はさっき、何てことを言ったんだ」
いきなりガシガシ頭をかく藍人。
どうしたんだろ。
突然わめき出すなんて。
「何てことって?」
「紅輝の相手を認める発言なんかして……っていうか、いつの間にそんな仲に! くそ、紅輝め。最初からわかってたんなら言ってくれよ。お前もだ! 紫記。どんだけ人を惑わせ……ああもうっ」
そうか。藍人には隠さず、最初から打ち明ければ良かったのか。私はまだ、さっきのお礼も言ってなかった。
「藍人、味方してくれてありがとう。すごく嬉しかったよ」
「だからそれは! ……なあ紫記、考え直さないか? 別に今すぐ紅輝とくっつかなくてもいいんじゃないか? 男は他にもいっぱいいるし」
「ふふっ、ありがとう。ようやく女の子として見てくれたんだね?」
「ようやくって……でもそうか。考えてみれば始めから女子だったのか。俺は特殊じゃなかったんだ」
「特殊って?」
首を傾げながら聞き返す。
驚いたり焦ったり、考え込んだり。
藍人の表情が目まぐるしく変わるので、何だか目が離せない。
「こっちの話だ。なあ、だったら胸は? どうやっていきなり大きくしたんだ。それともやっぱり、大量に詰め物でもして……」
「藍人のばかぁ!」
思いきり怒鳴り、彼に背を向けた。
まったくもう!
バカにするにも程がある。
ちなみに胸パッドは使っていない。
今日のは自前だ。
憤慨して歩いていると、誰かとぶつかった。碧先生だ! 先生は白衣を着たまま会場に来ている。どうしたんだろう。病人かけが人でも出たのかな?
「やあ、紫ちゃん。ちょうどいい場面を見逃してしまったようだ。気絶した紅輝ファンの女の子達を保健室に連れて行くよ。ショックが治まるまで僕が面倒を見るから。今日は保健室に近付かないようにね?」
そうだ、紅は学園で一番の人気者だった。みんなの前で突然交際宣言なんてしたから、彼を好きな女の子達が倒れてしまったんだろう。私は自分のことばかりで、周りの人の気持ちを考えていなかった。
だからといって、紅は譲れない。
女の子らしくない私でも、紅を好きな気持ちは誰にも負けない。小さな頃から近くにいたのに、なかなか気づけなかった想い。ようやく自覚した今、後戻りなんてしたくない。
雲の向こうにあった私の虹。
見つけた以上、手放すことなどできないから。
とはいえ、私達のせいで碧先生にまで迷惑をかけてしまった。忠告に来てくれた優しい先生に、後を頼むため頭を下げる。
「お手数をおかけしてすみません。よろしくお願いします」
「いいんだよ、他ならぬ君のためだし。でも欲を言えば僕も、その姿の君と踊りたかったな」
ウィンクをした先生は、私の気持ちを軽くするため、お世辞を言っ下さった。その心遣いが嬉しくて、ほんのり心が温かくなる。でも、私と踊らなくても碧先生がまともに参加すれば、踊ってほしい女子の行列がすぐにできると思う。
「ねえ、紫ちゃん。もし僕が……」
「そこまでだ、碧。そろそろ紫を返してくれ」
この声は紅だ!
碧先生の言葉を遮った紅が、背中側から私の腰に腕を回してくる。いや、でもちょっとこの体勢は、結構照れるんだけど。
「おお、怖。相変わらずだね。強引な男は嫌われるよ?」
「勝手に言ってろ。それよりいいのか? 保健室に行かなくて」
「誰のせいだと思う?」
「それについては謝る。だが、俺にも譲れないものはある」
「ふー。若いっていいね。羨ましいよ」
先生だって十分若いのに。
そう言った碧先生は、ほんの少し寂しそうな表情をのぞかせた。でも、次の瞬間いつもの柔らかい笑みを浮かべると、私に向かって手を振った。
「じゃあね。紅に振り回されるのが嫌だったら、いつでもおいで。大人の男性もいいものだよ?」
よくわからないけど、カウンセリングをしてくれるってことなのかな? さすがはお医者さんだ。それともこれが大人の余裕? 何にせよありがたいから、困ったことがあればすぐに相談に行くことにしよう。
私も手を振り返し、碧先生を見送った。
「碧をじっと見て、何を考えている?」
「どわっっ」
後ろから唇を寄せ、いきなり耳元で囁くのはやめてほしい。危うく腰が抜けそうになったじゃない。慌てて振り向くと、密着しているせいか紅と唇がぶつかりそうになってしまった。
「うわっ。紅、お願いだからもう少し離れて!」
正面に向き直った私は、思わず紅を押しやった。
一旦は離れたものの、両手で私の腰を掴んでいる紅が再び近づいてくる。
「どうして? ようやく捕まえたんだ。他のやつと踊るのを許してやっただろう?」
「え? でもそれって、当たり前というか何というか……」
「いいや。俺は全部断っているのに、お前は次から次へと」
「だって、みんなこの姿の私が珍しいみたいだし。ああ、そういえば」
先ほどの会話を思い出し、思わず笑ってしまった。
「藍人ったら、おかしいんだよ。私の瞳の色を知っているし、目の前で喋ったのに。この姿のせいか全然わからなか……わぶっ」
紅ってば、私の顔をいきなり自分の胸に押し付けるって何ごと?
「他の男の名前は聞きたくない。紫、今度ここで誰かの名前を出したらキスするからな」
「はい?」
何だ、それは。
当然冗談だよね?
みんなも見てるし、まさかそんなことはしないはず。だけど、私の好きな紅は意外と嫉妬深いらしい。
もしかして私……早まった!?
0
『綺麗になるから見てなさいっ!』(*´꒳`*)アルファポリス発行レジーナブックス。書店、通販にて好評発売中です。
お気に入りに追加
1,845
あなたにおすすめの小説


〖完結〗では、婚約解消いたしましょう。
藍川みいな
恋愛
三年婚約しているオリバー殿下は、最近別の女性とばかり一緒にいる。
学園で行われる年に一度のダンスパーティーにも、私ではなくセシリー様を誘っていた。まるで二人が婚約者同士のように思える。
そのダンスパーティーで、オリバー殿下は私を責め、婚約を考え直すと言い出した。
それなら、婚約を解消いたしましょう。
そしてすぐに、婚約者に立候補したいという人が現れて……!?
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話しです。
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。

裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

婚約破棄されなかった者たち
ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。
令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。
第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。
公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。
一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。
その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。
ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる