72 / 85
虹の世界
雲の向こう側
しおりを挟む
「紫、俺に対する同情なら要らない。だけど、俺を好きだと言うならドレスを着てきて」
「……え?」
私が驚いたのは、その一言だった。
一瞬頭が真っ白になる。
紅はいったい何を言ってるの?
「贈ったドレスを寮に持って来ている、と言ってただろう? 後夜祭には、それを着て出て欲しい」
「でもそれって……」
そんなことを急に言われても、どうしていいのかわからない。男の子の紫記が急に女装したら、変態扱いされてしまう。それに、実は女の子だとわかれば、みんなを騙していたと責められてしまう。
少し考えればわかることなのに……。でも紅は、考えた上で私を試しているような気がする。
「もちろん無理に、とは言わない。この話はなかったことにしよう。信用されずに残念だけど、仕方がない」
「そんな!」
彼の想いを疑った私に、これ以上の罰はない。けれど、思い直してみる。紅は私を傷つけない。知らない所でもいつも私を守ってくれていた。だったら、今回のことにもきっと理由があるのだろう。
ゲームにこだわり過ぎて、紅の想いを信じられなかった私。ドレスを着ることで彼の信頼を得られるなら、別に構わないんじゃない?
腹を括った私は、紅に向き直った。
「わかった。じゃあ戻って着替えてくるから。蒼と黄が部屋に入らないようにしていてね」
女の子は女子寮で着替える。もしくは講堂の中の女子更衣室を使う。だけど突然私が入って行ったら、彼女達を怯えさせてしまうだろう。痴漢だと間違われて捕まってしまうかもしれない。いつものように保健室でもいいけれど、ドレスを持って歩くのはかなり目立つ。着替えるための人払いくらいは、紅に頼んでもいいわよね?
「そのままここを使えばいい。ドレスは部屋から持ってこよう。人手が必要なら手配する」
「でも、ここって理事長室……」
おじ様に迷惑をかけるわけにはいかない。それでなくてもさっきから、長時間無断で使用しているのだ。いくら紅が理事長の息子でも、占有し続けるわけにはいかないと思う。
「大丈夫だ。理事長の許可は取っている。後で話したいこともあるんだ」
「いつの間に!」
櫻井のおじ様が『彩虹学園祭』にいらしていたとは気づかなかった。いえ、お忙しい方だから電話で済ませたのかな? でも、紅は朝から劇の準備でバタバタしていたはず。いつ電話で話したんだろう?
「じゃあ、持ってくる。準備が出来次第講堂に来てくれ。ずっと待っているから」
理事長室を出て行った紅が、私のドレスを持って戻って来た。かと思えば、邪魔になると思ったのかすぐに扉を開けて出て行く。
「後はよろしく頼む」
扉の外に誰かいるのだろうか?
紅が誰かに声をかけたと思ったら、入れ違いに女性が入って来た。櫻井家の使用人である橘さんだ。彼女と会うのは随分久しぶりだけれど、学園祭を見に来ていたとは知らなかった。紅が招待したのだろう。
それにしても、彼女は気が利く。靴や髪飾り、長い黒髪のウィッグをどこかから持って来てくれたようだ。
「お久しぶりです、紫お嬢様。大事なパーティーのお手伝いができる日が来るとは思いませんでした。感無量です」
「お手伝い? 紅が無理を言ったようで、急にすみません。でも、大げさです。ただの後夜祭なのに……」
「いいえ、坊ちゃんから聞いていますよ? ファーストダンスは、好きな人と踊るのが学園の伝統なのだとか」
紅が未だに坊ちゃん扱いされているのは面白い。だけど、学園の伝統を嬉しそうに伝えていたとは思わなかった。
でも、待って。彼はこの日をずっと楽しみにしていた。「人気投票で一位になって好きな子と踊りたい」とも話していた。今なら紅が好きなのは、桃華でないとわかっている。それじゃあ彼はもしかして、最初から私と踊るつもりで……?
「あの、橘さん。今日いらしたのは、学園祭に招待されたからですか?」
「いいえ? 紅輝坊ちゃんが大切な人をみんなに紹介したいと言うので、喜んで参りました。でも、良かったわ。紫お嬢様でなければ、亡くなった奥様に代わってお説教するところでした」
ウィンクした橘さんが、オートクチュールのドレスの包みを開いた。水色の華麗なドレスは届いた日に着て以来、袖を通したことはない。
「別のドレスもお持ちしたんですけどね。でも、せっかくですからこちらの方がよろしいかと」
「持ってきたって……」
「紅輝坊ちゃんも良かったですね。晴れて想いが伝わったようで。小さな頃からずっと『紫ちゃんをお嫁さんにするんだ』って張り切っていましたもの。蒼士坊ちゃんと黄司坊ちゃんは悔しがるでしょうけれど」
有能な彼女は、話している間も手を止めない。レナさんが元気でいた頃からずっとお屋敷にいた人だ。女性の支度も慣れている。蒼や黄のことはまあ、幼なじみを取られて悔しがる、といった意味だろうけれど。
後夜祭で紅が私と踊ろうと計画していたのなら、全てのつじつまが合う。橘さんがここにいる意味も、ヒールのサイズがピッタリなのも、わざわざ黒髪のウィッグを用意していることも。紅が忙しかったのはこのためか、と私は妙に納得してしまった。
「でも、いっつも一言足りないんだよね」
もちろん私の方にも問題はある。「ずっと好きだ」と言われても、素直に信じられなかった。一度は告白を断ったし、今日も疑って悪いことをしてしまった。レナさんや橘さんは、紅の想いをとっくにわかっていた。気づかなかったのは私だけ。曇っていた私の目には、雲の向こうにある虹がずっと見えていなかった。
「はい、できましたよ。惚れ惚れするほどお綺麗です」
「ありがとうございます。自分では、こんなに素敵にできませんでした」
仕度を終えた私は、橘さんにお礼を言う。ウィッグを結って髪飾りをつけ、薄くお化粧もしてもらった。理事長室の鏡の中から見返す姿は、まるで別人みたいだ。紅の選んでくれた水色のドレスは、しなやかに身体にフィットしている。ちょうど良かった胸周りが、今は少しだけきつい。だけどそこは喜ぶところなので、思わず口元が緩んでしまった。
でもあと一つだけ、変えるべき箇所がある。紅は「ありのままの姿で」と私に言った。それなら全てをさらけ出し、彼に応えなければいけない。
周りからどう見られようと構わない。お化けだと言われようと、騙していたと罵られようと。
紅が私を『綺麗だ』と思ってくれるのなら――
私は目に手を当てると、黒のカラーコンタクトを外した。
「まあぁ、お嬢様。久々に見ましたが何て美しい瞳なんでしょう! 坊ちゃんが焦るのもわかる気が致します」
私の瞳を見た橘さんが褒めてくれた。
励ましの言葉に勇気をもらえる。
「焦るだなんてそんな。お世辞でも嬉しいです。ありがとうございます」
「あらあら」
彼女のお陰で少しだけ自信がついた。
櫻井兄弟と橘さんは、私の目を綺麗だと言ってくれる。決してお化けとは言わない。
紫記が女の子だとわかったら、告白してくれた女子達はがっかりするだろう。裏切られたと怒るかもしれない。仲良くしてくれた男子達からは軽蔑されるだろうし、紫色の瞳を見たほとんどの人から、気持ち悪いと遠ざけられてしまうかも。
それでも、仕方がないと思う。
紅に言われるまでもなく、このままでいいのかという思いは、常に心の底にあった。本当の私は、男子だという特待生の基準を満たしていない。男装が板についてきたとはいえ、この頃毎日が苦しかった。女の子に戻りたいと、心の中で思っていた。
騙して悪かったと、みんなに謝ろう。
許されるとは思っていないけれど、嘘の自分でい続けるよりは気が楽だ。
これは自分で選んだこと。世話役が必要ないというのなら、『紫記』でいるより今日を限りに学園を去る方が私には合っている。
「紫お嬢様、そろそろ会場に向かいませんと。紅輝坊ちゃんが待ちくたびれて、探しに来てしまうかもしれませんよ?」
「それも面白そうですね」
慌てる紅を思い浮かべただけで、唇に自然と笑みが浮かんだ。偉そうに見えて、彼はいつも言葉が足りない。だけど優しくて、私の一番大好きな人。後悔なんてしない。雲の向こうにある虹を自分の力で掴みに行こう。
覚悟を決めた私は、扉の外へ新たな一歩を踏み出した。
「……え?」
私が驚いたのは、その一言だった。
一瞬頭が真っ白になる。
紅はいったい何を言ってるの?
「贈ったドレスを寮に持って来ている、と言ってただろう? 後夜祭には、それを着て出て欲しい」
「でもそれって……」
そんなことを急に言われても、どうしていいのかわからない。男の子の紫記が急に女装したら、変態扱いされてしまう。それに、実は女の子だとわかれば、みんなを騙していたと責められてしまう。
少し考えればわかることなのに……。でも紅は、考えた上で私を試しているような気がする。
「もちろん無理に、とは言わない。この話はなかったことにしよう。信用されずに残念だけど、仕方がない」
「そんな!」
彼の想いを疑った私に、これ以上の罰はない。けれど、思い直してみる。紅は私を傷つけない。知らない所でもいつも私を守ってくれていた。だったら、今回のことにもきっと理由があるのだろう。
ゲームにこだわり過ぎて、紅の想いを信じられなかった私。ドレスを着ることで彼の信頼を得られるなら、別に構わないんじゃない?
腹を括った私は、紅に向き直った。
「わかった。じゃあ戻って着替えてくるから。蒼と黄が部屋に入らないようにしていてね」
女の子は女子寮で着替える。もしくは講堂の中の女子更衣室を使う。だけど突然私が入って行ったら、彼女達を怯えさせてしまうだろう。痴漢だと間違われて捕まってしまうかもしれない。いつものように保健室でもいいけれど、ドレスを持って歩くのはかなり目立つ。着替えるための人払いくらいは、紅に頼んでもいいわよね?
「そのままここを使えばいい。ドレスは部屋から持ってこよう。人手が必要なら手配する」
「でも、ここって理事長室……」
おじ様に迷惑をかけるわけにはいかない。それでなくてもさっきから、長時間無断で使用しているのだ。いくら紅が理事長の息子でも、占有し続けるわけにはいかないと思う。
「大丈夫だ。理事長の許可は取っている。後で話したいこともあるんだ」
「いつの間に!」
櫻井のおじ様が『彩虹学園祭』にいらしていたとは気づかなかった。いえ、お忙しい方だから電話で済ませたのかな? でも、紅は朝から劇の準備でバタバタしていたはず。いつ電話で話したんだろう?
「じゃあ、持ってくる。準備が出来次第講堂に来てくれ。ずっと待っているから」
理事長室を出て行った紅が、私のドレスを持って戻って来た。かと思えば、邪魔になると思ったのかすぐに扉を開けて出て行く。
「後はよろしく頼む」
扉の外に誰かいるのだろうか?
紅が誰かに声をかけたと思ったら、入れ違いに女性が入って来た。櫻井家の使用人である橘さんだ。彼女と会うのは随分久しぶりだけれど、学園祭を見に来ていたとは知らなかった。紅が招待したのだろう。
それにしても、彼女は気が利く。靴や髪飾り、長い黒髪のウィッグをどこかから持って来てくれたようだ。
「お久しぶりです、紫お嬢様。大事なパーティーのお手伝いができる日が来るとは思いませんでした。感無量です」
「お手伝い? 紅が無理を言ったようで、急にすみません。でも、大げさです。ただの後夜祭なのに……」
「いいえ、坊ちゃんから聞いていますよ? ファーストダンスは、好きな人と踊るのが学園の伝統なのだとか」
紅が未だに坊ちゃん扱いされているのは面白い。だけど、学園の伝統を嬉しそうに伝えていたとは思わなかった。
でも、待って。彼はこの日をずっと楽しみにしていた。「人気投票で一位になって好きな子と踊りたい」とも話していた。今なら紅が好きなのは、桃華でないとわかっている。それじゃあ彼はもしかして、最初から私と踊るつもりで……?
「あの、橘さん。今日いらしたのは、学園祭に招待されたからですか?」
「いいえ? 紅輝坊ちゃんが大切な人をみんなに紹介したいと言うので、喜んで参りました。でも、良かったわ。紫お嬢様でなければ、亡くなった奥様に代わってお説教するところでした」
ウィンクした橘さんが、オートクチュールのドレスの包みを開いた。水色の華麗なドレスは届いた日に着て以来、袖を通したことはない。
「別のドレスもお持ちしたんですけどね。でも、せっかくですからこちらの方がよろしいかと」
「持ってきたって……」
「紅輝坊ちゃんも良かったですね。晴れて想いが伝わったようで。小さな頃からずっと『紫ちゃんをお嫁さんにするんだ』って張り切っていましたもの。蒼士坊ちゃんと黄司坊ちゃんは悔しがるでしょうけれど」
有能な彼女は、話している間も手を止めない。レナさんが元気でいた頃からずっとお屋敷にいた人だ。女性の支度も慣れている。蒼や黄のことはまあ、幼なじみを取られて悔しがる、といった意味だろうけれど。
後夜祭で紅が私と踊ろうと計画していたのなら、全てのつじつまが合う。橘さんがここにいる意味も、ヒールのサイズがピッタリなのも、わざわざ黒髪のウィッグを用意していることも。紅が忙しかったのはこのためか、と私は妙に納得してしまった。
「でも、いっつも一言足りないんだよね」
もちろん私の方にも問題はある。「ずっと好きだ」と言われても、素直に信じられなかった。一度は告白を断ったし、今日も疑って悪いことをしてしまった。レナさんや橘さんは、紅の想いをとっくにわかっていた。気づかなかったのは私だけ。曇っていた私の目には、雲の向こうにある虹がずっと見えていなかった。
「はい、できましたよ。惚れ惚れするほどお綺麗です」
「ありがとうございます。自分では、こんなに素敵にできませんでした」
仕度を終えた私は、橘さんにお礼を言う。ウィッグを結って髪飾りをつけ、薄くお化粧もしてもらった。理事長室の鏡の中から見返す姿は、まるで別人みたいだ。紅の選んでくれた水色のドレスは、しなやかに身体にフィットしている。ちょうど良かった胸周りが、今は少しだけきつい。だけどそこは喜ぶところなので、思わず口元が緩んでしまった。
でもあと一つだけ、変えるべき箇所がある。紅は「ありのままの姿で」と私に言った。それなら全てをさらけ出し、彼に応えなければいけない。
周りからどう見られようと構わない。お化けだと言われようと、騙していたと罵られようと。
紅が私を『綺麗だ』と思ってくれるのなら――
私は目に手を当てると、黒のカラーコンタクトを外した。
「まあぁ、お嬢様。久々に見ましたが何て美しい瞳なんでしょう! 坊ちゃんが焦るのもわかる気が致します」
私の瞳を見た橘さんが褒めてくれた。
励ましの言葉に勇気をもらえる。
「焦るだなんてそんな。お世辞でも嬉しいです。ありがとうございます」
「あらあら」
彼女のお陰で少しだけ自信がついた。
櫻井兄弟と橘さんは、私の目を綺麗だと言ってくれる。決してお化けとは言わない。
紫記が女の子だとわかったら、告白してくれた女子達はがっかりするだろう。裏切られたと怒るかもしれない。仲良くしてくれた男子達からは軽蔑されるだろうし、紫色の瞳を見たほとんどの人から、気持ち悪いと遠ざけられてしまうかも。
それでも、仕方がないと思う。
紅に言われるまでもなく、このままでいいのかという思いは、常に心の底にあった。本当の私は、男子だという特待生の基準を満たしていない。男装が板についてきたとはいえ、この頃毎日が苦しかった。女の子に戻りたいと、心の中で思っていた。
騙して悪かったと、みんなに謝ろう。
許されるとは思っていないけれど、嘘の自分でい続けるよりは気が楽だ。
これは自分で選んだこと。世話役が必要ないというのなら、『紫記』でいるより今日を限りに学園を去る方が私には合っている。
「紫お嬢様、そろそろ会場に向かいませんと。紅輝坊ちゃんが待ちくたびれて、探しに来てしまうかもしれませんよ?」
「それも面白そうですね」
慌てる紅を思い浮かべただけで、唇に自然と笑みが浮かんだ。偉そうに見えて、彼はいつも言葉が足りない。だけど優しくて、私の一番大好きな人。後悔なんてしない。雲の向こうにある虹を自分の力で掴みに行こう。
覚悟を決めた私は、扉の外へ新たな一歩を踏み出した。
0
『綺麗になるから見てなさいっ!』(*´꒳`*)アルファポリス発行レジーナブックス。書店、通販にて好評発売中です。
お気に入りに追加
1,845
あなたにおすすめの小説

もう尽くして耐えるのは辞めます!!
月居 結深
恋愛
国のために決められた婚約者。私は彼のことが好きだったけど、彼が恋したのは第二皇女殿下。振り向いて欲しくて努力したけど、無駄だったみたい。
婚約者に蔑ろにされて、それを令嬢達に蔑まれて。もう耐えられない。私は我慢してきた。国のため、身を粉にしてきた。
こんなにも報われないのなら、自由になってもいいでしょう?
小説家になろうの方でも公開しています。
2024/08/27
なろうと合わせるために、ちょこちょこいじりました。大筋は変わっていません。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

婚約破棄されなかった者たち
ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。
令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。
第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。
公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。
一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。
その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。
ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる