23 / 85
友人と言う名のお世話役
私の瞳
しおりを挟む
「待って、紅。自分で歩けるから」
「顔を隠してどうやって? 隠さなくても構わないが、嫌なんだろう?」
私は頷いた。
できれば瞳は誰にも見られたくなかった。幼い頃から私を知っている櫻井三兄弟と校医の碧先生以外、学園の中で私の瞳の色を知る者はいない。
「ほら、着いた。碧、いるのか? 部屋借りるぞ」
運ばれた先は保健室だった。
碧先生は不在で、今は誰もいないようだ。
思わず苦笑してしまった。
常連にもほどがある。
おかげで私は、保健室のどこに何があるのかを全て把握しているような気がする。その中には、いざという時のために置いてある私のコンタクトの予備もある。付け替えるだけでいいので、それほど時間はかからない。
「ごめんね、紅。ありがとう」
彼の胸を手で押し、下ろしてもらった。頭の上から被せてくれた上着を畳んで彼に返す。体育の後で私を運んだというのに、紅は相変わらず息も切れていない。結構体力あるんだね。
「礼を言われるほどではない。それより、その目は久しぶりだな。お前はいつもすぐに隠そうとするから」
「だって……」
夜は眼鏡をかけるし、朝も一番に起きてコンタクトを入れる。目が悪いというわけではないけれど、それがすっかり癖になってしまった。
「紫、少しだけでいい。見せてくれないか?」
紅は私の瞳の色を知っている。
見せても怖がられないとわかっている。ちょっとだけならいいかな?
首を縦に振ると、紅はすぐに私の顎を持ち上げて自分の端整な顔を近づけてきた。薄茶の瞳が私の瞳を捉える。
「そんなに綺麗な紫色なのに、どうして隠そうとするんだ?」
唇を噛んで思わず目を逸らす。
幼い頃、私には『男女』の他に『お化け』の称号まで与えられていた。瞳の色は非常に珍しい紫色。両親や先祖が外国人だという話は聞いたことがなく、この世界でもほとんどいないのに。小さな頃は園で気持ち悪がられていた。櫻井三兄弟を『信号兄弟』とからかっていた悪ガキ達を追い払えたのはそのためだ。
小学校に入ると厚いメガネで隠せるから、『お化け』とは言われなくなったけど。そんな私を三兄弟は、「可愛いよ」「綺麗だよ」と褒めていい気分にしてくれたのだった。
「絶対に隠すな、とは言わないが。菫色の瞳だと、女子や橙也なんかが喜びそうだしな」
今なら紫の瞳は、この世界が乙女ゲームだったせいなんだとわかる。『虹カプ』の中で名前に色を持つ登場人物は、由来の色を身体のどこかに必ず持っているから。
紅輝は赤茶けた髪、蒼士は青い瞳、黄司は金色の髪、藍人は黒に近い藍色の髪、橙也は茶色い髪にオレンジのハイライトを入れているように見えるけれど、あれは逆だ。彼の地毛は橙色で茶色の方が染めている。碧先生は緑色の瞳。そして桃華は、太ももにハート形で桃色のあざがある。
だけど小さい頃は知らなかったから、それなりに傷ついていた。
「前ほどは気にしてないけど。でも、今更って感じがするし、できれば目立ちたくないの」
「そうだな。男子生徒として過ごしている以上、あまり綺麗だと疑われるし」
「綺麗? この色が? そう言ってくれるのは紅だけだよ」
「……だと、いいんだけどな」
私を見つめる紅の表情は真剣だ。
彼の瞳の方が、澄んだ茶色で綺麗だと思う。
「ま、今まで通りでいいんじゃないか? 男女問わず襲われても困るし」
言いながら、紅が私の頭の上に自分の顎を乗せて、ため息をつく。
「襲われるって? 怖いこと言わないでよ」
「紫は何もわかっていない」
っていうか、近い!
どさくさに紛れて抱き着いてくるけれど、この体勢かなり近いんですけど。今の私達は男同士だ。目撃されたら完璧に勘違いをされてしまう。
でも紅、いったいどうしたの?
こんなに甘えてくるなんて。
何か心配事でもあった?
そうか、だからついでにここまで運んでくれたのね? 私に話を聞いて欲しいんでしょう。
「紅、甘えてくるってことは何かあった? もしかして好きな子でもできたの?」
「なっっ」
途端に私から離れ、後ずさる紅。
手で口元を押さえて狼狽えている。顔も赤いし、いきなり図星? でも、前にも彼女がいたんだし、そんなに動揺しなくても――
大丈夫、ちゃんとわかっているし。
紅が好きなのはヒロインの桃華。
さっきのチアガール姿にクラッときたのだろう。
「いいよ、隠さなくてもわかっているから。でも、ライバルも多いし大変だよ?」
「……気づいていたのか。ライバルが多いのはわかっている。だが、本人の気持ち次第だろう?」
「そうだね、攻略対しょ……彼女を好きな人は多いけど、紅が頑張ればいけると思う」
なんだ、やっぱりヒロインに惹かれていたのか。私が気がつかなかっただけで、ときめきイベントは済んだのかな? 言いながら少しだけ胸が痛いような気がしたので、私はその場を離れた。何気ないフリをしてコンタクトのケースを取りに行く。
「……彼女?」
急に恥ずかしくなったのか、紅がとぼけた声を出す。
「もう! 私にまでごまかさなくてもいいのに。まあ、恥ずかしいなら名前は言わなくていいから。でも、さっきも可愛かったよねー。私も思わず見惚れちゃったよ」
鏡を見てカラーコンタクトを入れながら、わざと明るい声を出す。ばっちり黒目に戻った。これでもう瞳の色は目立たないはずだ。
振り向いて紅を見る。
あれ、どうしたんだろう?
険しい顔つきは、恋する顔には程遠いんだけど。
「紫、俺の好きな人を誰だと?」
「え? うちのクラスに転校してきた花澤さんでしょう? 可愛いし優しいし、お似合いだと思うけどな」
いくら難易度が高いとはいえ、攻略対象の紅がヒロイン以外を好きになるとは思えない。それに、桃華もまんざらでもなさそうだった。何たって先日は、紅と一緒に私のことを追いかけて来たくらいだし。
「はあぁぁ」
額に手を当て大きなため息をつく紅。
恋に悩む姿はちょっと辛そうだ。
特に紅と桃華のイベントは、みんなから遅れて後の方で起こる。だから今、彼に協力してあげられることは何もないけれど――
「力にはなれないけど、友人として話くらいなら聞くよ?」
世話役は恋愛の世話までは焼かなくていい。でも私は、レナさんと約束したのだ。紅と蒼と黄を幸せにするんだって。
だから、頑張ろう。そんなに好きなら、桃華との恋を応援してあげるから。
――胸が苦しいのは、きっと気のせいだ。
「顔を隠してどうやって? 隠さなくても構わないが、嫌なんだろう?」
私は頷いた。
できれば瞳は誰にも見られたくなかった。幼い頃から私を知っている櫻井三兄弟と校医の碧先生以外、学園の中で私の瞳の色を知る者はいない。
「ほら、着いた。碧、いるのか? 部屋借りるぞ」
運ばれた先は保健室だった。
碧先生は不在で、今は誰もいないようだ。
思わず苦笑してしまった。
常連にもほどがある。
おかげで私は、保健室のどこに何があるのかを全て把握しているような気がする。その中には、いざという時のために置いてある私のコンタクトの予備もある。付け替えるだけでいいので、それほど時間はかからない。
「ごめんね、紅。ありがとう」
彼の胸を手で押し、下ろしてもらった。頭の上から被せてくれた上着を畳んで彼に返す。体育の後で私を運んだというのに、紅は相変わらず息も切れていない。結構体力あるんだね。
「礼を言われるほどではない。それより、その目は久しぶりだな。お前はいつもすぐに隠そうとするから」
「だって……」
夜は眼鏡をかけるし、朝も一番に起きてコンタクトを入れる。目が悪いというわけではないけれど、それがすっかり癖になってしまった。
「紫、少しだけでいい。見せてくれないか?」
紅は私の瞳の色を知っている。
見せても怖がられないとわかっている。ちょっとだけならいいかな?
首を縦に振ると、紅はすぐに私の顎を持ち上げて自分の端整な顔を近づけてきた。薄茶の瞳が私の瞳を捉える。
「そんなに綺麗な紫色なのに、どうして隠そうとするんだ?」
唇を噛んで思わず目を逸らす。
幼い頃、私には『男女』の他に『お化け』の称号まで与えられていた。瞳の色は非常に珍しい紫色。両親や先祖が外国人だという話は聞いたことがなく、この世界でもほとんどいないのに。小さな頃は園で気持ち悪がられていた。櫻井三兄弟を『信号兄弟』とからかっていた悪ガキ達を追い払えたのはそのためだ。
小学校に入ると厚いメガネで隠せるから、『お化け』とは言われなくなったけど。そんな私を三兄弟は、「可愛いよ」「綺麗だよ」と褒めていい気分にしてくれたのだった。
「絶対に隠すな、とは言わないが。菫色の瞳だと、女子や橙也なんかが喜びそうだしな」
今なら紫の瞳は、この世界が乙女ゲームだったせいなんだとわかる。『虹カプ』の中で名前に色を持つ登場人物は、由来の色を身体のどこかに必ず持っているから。
紅輝は赤茶けた髪、蒼士は青い瞳、黄司は金色の髪、藍人は黒に近い藍色の髪、橙也は茶色い髪にオレンジのハイライトを入れているように見えるけれど、あれは逆だ。彼の地毛は橙色で茶色の方が染めている。碧先生は緑色の瞳。そして桃華は、太ももにハート形で桃色のあざがある。
だけど小さい頃は知らなかったから、それなりに傷ついていた。
「前ほどは気にしてないけど。でも、今更って感じがするし、できれば目立ちたくないの」
「そうだな。男子生徒として過ごしている以上、あまり綺麗だと疑われるし」
「綺麗? この色が? そう言ってくれるのは紅だけだよ」
「……だと、いいんだけどな」
私を見つめる紅の表情は真剣だ。
彼の瞳の方が、澄んだ茶色で綺麗だと思う。
「ま、今まで通りでいいんじゃないか? 男女問わず襲われても困るし」
言いながら、紅が私の頭の上に自分の顎を乗せて、ため息をつく。
「襲われるって? 怖いこと言わないでよ」
「紫は何もわかっていない」
っていうか、近い!
どさくさに紛れて抱き着いてくるけれど、この体勢かなり近いんですけど。今の私達は男同士だ。目撃されたら完璧に勘違いをされてしまう。
でも紅、いったいどうしたの?
こんなに甘えてくるなんて。
何か心配事でもあった?
そうか、だからついでにここまで運んでくれたのね? 私に話を聞いて欲しいんでしょう。
「紅、甘えてくるってことは何かあった? もしかして好きな子でもできたの?」
「なっっ」
途端に私から離れ、後ずさる紅。
手で口元を押さえて狼狽えている。顔も赤いし、いきなり図星? でも、前にも彼女がいたんだし、そんなに動揺しなくても――
大丈夫、ちゃんとわかっているし。
紅が好きなのはヒロインの桃華。
さっきのチアガール姿にクラッときたのだろう。
「いいよ、隠さなくてもわかっているから。でも、ライバルも多いし大変だよ?」
「……気づいていたのか。ライバルが多いのはわかっている。だが、本人の気持ち次第だろう?」
「そうだね、攻略対しょ……彼女を好きな人は多いけど、紅が頑張ればいけると思う」
なんだ、やっぱりヒロインに惹かれていたのか。私が気がつかなかっただけで、ときめきイベントは済んだのかな? 言いながら少しだけ胸が痛いような気がしたので、私はその場を離れた。何気ないフリをしてコンタクトのケースを取りに行く。
「……彼女?」
急に恥ずかしくなったのか、紅がとぼけた声を出す。
「もう! 私にまでごまかさなくてもいいのに。まあ、恥ずかしいなら名前は言わなくていいから。でも、さっきも可愛かったよねー。私も思わず見惚れちゃったよ」
鏡を見てカラーコンタクトを入れながら、わざと明るい声を出す。ばっちり黒目に戻った。これでもう瞳の色は目立たないはずだ。
振り向いて紅を見る。
あれ、どうしたんだろう?
険しい顔つきは、恋する顔には程遠いんだけど。
「紫、俺の好きな人を誰だと?」
「え? うちのクラスに転校してきた花澤さんでしょう? 可愛いし優しいし、お似合いだと思うけどな」
いくら難易度が高いとはいえ、攻略対象の紅がヒロイン以外を好きになるとは思えない。それに、桃華もまんざらでもなさそうだった。何たって先日は、紅と一緒に私のことを追いかけて来たくらいだし。
「はあぁぁ」
額に手を当て大きなため息をつく紅。
恋に悩む姿はちょっと辛そうだ。
特に紅と桃華のイベントは、みんなから遅れて後の方で起こる。だから今、彼に協力してあげられることは何もないけれど――
「力にはなれないけど、友人として話くらいなら聞くよ?」
世話役は恋愛の世話までは焼かなくていい。でも私は、レナさんと約束したのだ。紅と蒼と黄を幸せにするんだって。
だから、頑張ろう。そんなに好きなら、桃華との恋を応援してあげるから。
――胸が苦しいのは、きっと気のせいだ。
0
『綺麗になるから見てなさいっ!』(*´꒳`*)アルファポリス発行レジーナブックス。書店、通販にて好評発売中です。
お気に入りに追加
1,845
あなたにおすすめの小説

もう尽くして耐えるのは辞めます!!
月居 結深
恋愛
国のために決められた婚約者。私は彼のことが好きだったけど、彼が恋したのは第二皇女殿下。振り向いて欲しくて努力したけど、無駄だったみたい。
婚約者に蔑ろにされて、それを令嬢達に蔑まれて。もう耐えられない。私は我慢してきた。国のため、身を粉にしてきた。
こんなにも報われないのなら、自由になってもいいでしょう?
小説家になろうの方でも公開しています。
2024/08/27
なろうと合わせるために、ちょこちょこいじりました。大筋は変わっていません。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

婚約破棄されなかった者たち
ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。
令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。
第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。
公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。
一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。
その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。
ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる