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第四章 告白の行方
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「ディア……」
私を呼ぶ声に彼を見ると、彼も私を見つめていた。クラウス王子は服を脱ぎ、引き締まった身体を惜しげもなく晒している。厚い胸板に鍛えられた腹筋、腕もたくましくしっかりしていて、まるで彫刻みたい。
「綺麗だわ」
男の人に言うのは変かもしれないけれど、正直な感想だ。
「綺麗? いや、それは君だよ、ディア」
想いのこもった声を聞き、私の胸は彼への愛しさでいっぱいに。遠慮がちに手を伸ばした私は、彼の肩に触れてみた。温かい彼の身体が、私達は今を生きているのだと教えてくれる。そんな当たり前のことが尊く感じられ、私は微笑む。
クラウス王子は私の頬に手を添えると端整な顔を近づけ、唇を重ねた。角度を変えたキスが、徐々に深まっていく。私は頭の芯がボーっとして、毛布を取り払われたことにも気づかなかった。髪を撫でる優しい手、吸い込まれそうな青い瞳にいつしか溺れていて。
「ディア、なんて美しいんだ」
「クラウス様……」
容姿に多少の自信はあるけれど、今は傷だらけ。でも、好きな人から褒められるのは格別で、私はたまらず彼の名を呼ぶ。クラウス王子は愛しそうに目を細めると、私にこう告げた。
「クラウスだ。敬称は要らないと、前にも言っただろう?」
「でも……」
「ディア、大事な人には名前を呼んでほしい。そう願うのはいけないことかな?」
彼の言葉が嬉しい。一夜の恋とは知りながら、心の奥がじんとして泣いてしまいそうだ。迫る別れの時を思い、彼を想う。このまま生きて本当に、貴方の大事な人になれたなら!
切ない想いが溢れた私は、大切な人の名を呼んだ。
「クラウス様……クラウス!」
私の声に応えるかのように、彼の手と唇が苦しいほどの情熱を私の身体に刻み付けていく。腕の傷や頬の傷、火傷の一つ一つに労わるように唇を這わせたかと思えば、首筋や顔中にもキスの雨を降らせる。
長い指もいろんなところに触れるから、変な声が出ないようにするので精一杯。両手で口を塞いで必死に堪える私に、彼が囁く。
「ディア、我慢しないで。俺は君の可愛い声が聞きたい」
「んっ……クラ、ウス……」
色香漂う掠れた声に、私はあっさり陥落した。彼の重みと温もりが、私の胸を締め付ける。その優しさと力強さ、甘い痛みさえ永遠に覚えておきたくて――
私はなぜ、初めて会った日に貴方の手を取ったのだろう? どうして貴方だけに、こんなに心が震えるの? 私達は、過去にきっとどこかで会っている。そうでなければこの特別な感情を、説明することはできない。
一つになった瞬間は、感動で涙が出た。身体だけでなく心まで、貴方に抱き締められているみたい。
クラウス王子――クラウスに愛された自分が誇らしく、こうして彼と出会うため、生まれ変わりを続けてきたのだとさえ思えてくる。
私は以前、本気の愛情を投げ返すような真似をして、いろんな人を傷つけた。始めの生では男性に恨みをぶつけて弄び、その後の世界でも自分から人を好きになる努力をしたことがない。もちろん後悔し反省しているけれど、今世でも愛されたら迷惑だとばかりに男の人を避けていて。
そんな私に彼が教えてくれたのだ。想いが通じることは幸せで、心も身体も満たされる、と。おかげで私の胸の奥にあった黒い塊が、溶けて流れていくような気がした。男性への恨みやわだかまり、前世のしこりが――
クラウスには感謝している。
だから私も、想いの全てを伝えておきたい。
「愛しているわ、クラウス。永遠に……」
「俺もディアを愛している。これから先もずっと」
私達に未来などない。でも、貴方が私を忘れても、私はずっと覚えているから。命を懸けた恋は一度で十分だ。これからは生まれ変わる度、私は貴方のことを思い出すだろう。
本当は、このまま愛する人と生きていきたい。転生なんてしたくないのに。だって貴方のいない世界など、私にとって意味はない。愛のない世界など、もうたくさんだ!
共にいられないのなら。
私は愛する人の腕の中で、今度こそ全てを終わりにしたいの――
*****
夜中、隣で苦しそうに寝返りを打つディアを見て、俺――クラウスは無理をさせ過ぎたかな? と一瞬不安になる。森で迷う彼女を救い出してからあまり時間は経っていないのに、俺は彼女に告白し、愛を交わした。思いを返してもらえたことが嬉しくて、つい舞い上がってしまったのだ。
うなされる彼女を後ろから抱き、俺は囁く。
「大丈夫、もう怖い思いはさせないから。俺がずっと側にいる」
銀色の髪を撫でながら、約束するようにキスを落とす。安心したようなため息が可愛らしい。ディアは可憐で美しく、穢れを知らないように見える。
先ほどまでの濃密な時を思い出し、俺は一人微笑む。まさか、ディアの方から求められるとは思ってもみなかった。どうして今? と驚いたのが正直なところだ。擦り傷や火傷、頬の切り傷は痛々しいし、食事もろくにとっていない。それなのに必死な彼女を見ると、どうしても断りきれなかった。捕まっている間に汚されたのかと恐怖を感じたが、幸いなことに彼女は無垢のまま。アウロスにも手を出されなかったと知り、喜びが弾けた。ディアは俺だけのもの――俺にとって一番大事な女性だ。
始めは純粋な興味。初めて会った彼女は取り立てて目を引くわけでもなく、飾り気もない。けれど俺は、たまたま声をかけた彼女のことが気になった。
商談にかこつけて、ディアを城に呼ぶ。彼女の素顔を初めて見た時は、その美しさに圧倒された。銀色の髪に白磁のような肌、緑の瞳が印象的で、まつ毛は長く、唇は桃色で小さく愛らしい。繊細で芸術的なバランスに、美しい名画を見慣れているはずのアウロスでさえ驚いていた。
容姿だけでなくディアはその心根も美しく、近しい者はみな彼女に惹かれる。もちろん俺やアウロスも、美しく賢く優しいディアに心を奪われた。だからこそ公爵親子の策略で危険な目に遭わないよう、一旦城から遠ざけたのだ。
戻って来た彼女の口から「アウロスが好き」と告げられる度、俺の心は軋んだ。状況判断が甘く楽天的な弟よりも俺を選んでくれ、と何度も考えた。それでも君がアウロスを好きなら……と諦めようとした最中、ディアが攫われてしまう。
焼け落ちた小屋でディアの痕跡を見つけた俺は、目の前が真っ暗になった。愛する人を永遠に失ったのかと、絶望だけが心を占めて。到底受け入れられず、信じられずに今朝も森を探す。君を目にした時は一瞬動きが止まったが、すぐに駆け寄り抱き締めた。
『ディア、生きていると信じていた。会えて嬉しい』
思わず言葉が零れた。弱っている君を見て、俺がこの手で守ろうと心に誓う。
想いを伝えて良かった。そのおかげで君はこうして、俺の隣で眠っている。様子を覗きに来た部下は、もちろん立ち入り禁止だ。未来の王太子妃のあられもない姿を、俺が他の男に見せるはずがない。
デリウス公爵の脅威が去った今、アウロスを推す者は総崩れで、俺が王太子になることがほぼ確定した。もちろんアウロス本人も賛成している。その時にはディア、君に隣にいて欲しい。君と一緒に治める国は、より良く住みやすくなるはずだ。
婚姻など頭になかった俺が、彼女に夢中でそれだけを考えている。君が目を覚ましたら、結婚を申し込もう。ベルツは伯爵家でも古くからある家柄だから、家格的には問題ない。
妹に執着する兄が問題だが、そこは国外での優先的な取引を持ち掛ければいいか。飄々としているようで野心家の彼なら、断らないはずだ。彼にとっても世界を広く知るいい機会だろう。
「朝まであと少しか」
ピクリとも動かないディアは、相当疲れていたらしい。昨夜は素晴らしかったが、彼女の怪我が治るまで、無理をさせてはいけないな。
可愛らしい寝顔を見て癒された俺は、彼女を抱き寄せてもうひと眠りすることにした。
私を呼ぶ声に彼を見ると、彼も私を見つめていた。クラウス王子は服を脱ぎ、引き締まった身体を惜しげもなく晒している。厚い胸板に鍛えられた腹筋、腕もたくましくしっかりしていて、まるで彫刻みたい。
「綺麗だわ」
男の人に言うのは変かもしれないけれど、正直な感想だ。
「綺麗? いや、それは君だよ、ディア」
想いのこもった声を聞き、私の胸は彼への愛しさでいっぱいに。遠慮がちに手を伸ばした私は、彼の肩に触れてみた。温かい彼の身体が、私達は今を生きているのだと教えてくれる。そんな当たり前のことが尊く感じられ、私は微笑む。
クラウス王子は私の頬に手を添えると端整な顔を近づけ、唇を重ねた。角度を変えたキスが、徐々に深まっていく。私は頭の芯がボーっとして、毛布を取り払われたことにも気づかなかった。髪を撫でる優しい手、吸い込まれそうな青い瞳にいつしか溺れていて。
「ディア、なんて美しいんだ」
「クラウス様……」
容姿に多少の自信はあるけれど、今は傷だらけ。でも、好きな人から褒められるのは格別で、私はたまらず彼の名を呼ぶ。クラウス王子は愛しそうに目を細めると、私にこう告げた。
「クラウスだ。敬称は要らないと、前にも言っただろう?」
「でも……」
「ディア、大事な人には名前を呼んでほしい。そう願うのはいけないことかな?」
彼の言葉が嬉しい。一夜の恋とは知りながら、心の奥がじんとして泣いてしまいそうだ。迫る別れの時を思い、彼を想う。このまま生きて本当に、貴方の大事な人になれたなら!
切ない想いが溢れた私は、大切な人の名を呼んだ。
「クラウス様……クラウス!」
私の声に応えるかのように、彼の手と唇が苦しいほどの情熱を私の身体に刻み付けていく。腕の傷や頬の傷、火傷の一つ一つに労わるように唇を這わせたかと思えば、首筋や顔中にもキスの雨を降らせる。
長い指もいろんなところに触れるから、変な声が出ないようにするので精一杯。両手で口を塞いで必死に堪える私に、彼が囁く。
「ディア、我慢しないで。俺は君の可愛い声が聞きたい」
「んっ……クラ、ウス……」
色香漂う掠れた声に、私はあっさり陥落した。彼の重みと温もりが、私の胸を締め付ける。その優しさと力強さ、甘い痛みさえ永遠に覚えておきたくて――
私はなぜ、初めて会った日に貴方の手を取ったのだろう? どうして貴方だけに、こんなに心が震えるの? 私達は、過去にきっとどこかで会っている。そうでなければこの特別な感情を、説明することはできない。
一つになった瞬間は、感動で涙が出た。身体だけでなく心まで、貴方に抱き締められているみたい。
クラウス王子――クラウスに愛された自分が誇らしく、こうして彼と出会うため、生まれ変わりを続けてきたのだとさえ思えてくる。
私は以前、本気の愛情を投げ返すような真似をして、いろんな人を傷つけた。始めの生では男性に恨みをぶつけて弄び、その後の世界でも自分から人を好きになる努力をしたことがない。もちろん後悔し反省しているけれど、今世でも愛されたら迷惑だとばかりに男の人を避けていて。
そんな私に彼が教えてくれたのだ。想いが通じることは幸せで、心も身体も満たされる、と。おかげで私の胸の奥にあった黒い塊が、溶けて流れていくような気がした。男性への恨みやわだかまり、前世のしこりが――
クラウスには感謝している。
だから私も、想いの全てを伝えておきたい。
「愛しているわ、クラウス。永遠に……」
「俺もディアを愛している。これから先もずっと」
私達に未来などない。でも、貴方が私を忘れても、私はずっと覚えているから。命を懸けた恋は一度で十分だ。これからは生まれ変わる度、私は貴方のことを思い出すだろう。
本当は、このまま愛する人と生きていきたい。転生なんてしたくないのに。だって貴方のいない世界など、私にとって意味はない。愛のない世界など、もうたくさんだ!
共にいられないのなら。
私は愛する人の腕の中で、今度こそ全てを終わりにしたいの――
*****
夜中、隣で苦しそうに寝返りを打つディアを見て、俺――クラウスは無理をさせ過ぎたかな? と一瞬不安になる。森で迷う彼女を救い出してからあまり時間は経っていないのに、俺は彼女に告白し、愛を交わした。思いを返してもらえたことが嬉しくて、つい舞い上がってしまったのだ。
うなされる彼女を後ろから抱き、俺は囁く。
「大丈夫、もう怖い思いはさせないから。俺がずっと側にいる」
銀色の髪を撫でながら、約束するようにキスを落とす。安心したようなため息が可愛らしい。ディアは可憐で美しく、穢れを知らないように見える。
先ほどまでの濃密な時を思い出し、俺は一人微笑む。まさか、ディアの方から求められるとは思ってもみなかった。どうして今? と驚いたのが正直なところだ。擦り傷や火傷、頬の切り傷は痛々しいし、食事もろくにとっていない。それなのに必死な彼女を見ると、どうしても断りきれなかった。捕まっている間に汚されたのかと恐怖を感じたが、幸いなことに彼女は無垢のまま。アウロスにも手を出されなかったと知り、喜びが弾けた。ディアは俺だけのもの――俺にとって一番大事な女性だ。
始めは純粋な興味。初めて会った彼女は取り立てて目を引くわけでもなく、飾り気もない。けれど俺は、たまたま声をかけた彼女のことが気になった。
商談にかこつけて、ディアを城に呼ぶ。彼女の素顔を初めて見た時は、その美しさに圧倒された。銀色の髪に白磁のような肌、緑の瞳が印象的で、まつ毛は長く、唇は桃色で小さく愛らしい。繊細で芸術的なバランスに、美しい名画を見慣れているはずのアウロスでさえ驚いていた。
容姿だけでなくディアはその心根も美しく、近しい者はみな彼女に惹かれる。もちろん俺やアウロスも、美しく賢く優しいディアに心を奪われた。だからこそ公爵親子の策略で危険な目に遭わないよう、一旦城から遠ざけたのだ。
戻って来た彼女の口から「アウロスが好き」と告げられる度、俺の心は軋んだ。状況判断が甘く楽天的な弟よりも俺を選んでくれ、と何度も考えた。それでも君がアウロスを好きなら……と諦めようとした最中、ディアが攫われてしまう。
焼け落ちた小屋でディアの痕跡を見つけた俺は、目の前が真っ暗になった。愛する人を永遠に失ったのかと、絶望だけが心を占めて。到底受け入れられず、信じられずに今朝も森を探す。君を目にした時は一瞬動きが止まったが、すぐに駆け寄り抱き締めた。
『ディア、生きていると信じていた。会えて嬉しい』
思わず言葉が零れた。弱っている君を見て、俺がこの手で守ろうと心に誓う。
想いを伝えて良かった。そのおかげで君はこうして、俺の隣で眠っている。様子を覗きに来た部下は、もちろん立ち入り禁止だ。未来の王太子妃のあられもない姿を、俺が他の男に見せるはずがない。
デリウス公爵の脅威が去った今、アウロスを推す者は総崩れで、俺が王太子になることがほぼ確定した。もちろんアウロス本人も賛成している。その時にはディア、君に隣にいて欲しい。君と一緒に治める国は、より良く住みやすくなるはずだ。
婚姻など頭になかった俺が、彼女に夢中でそれだけを考えている。君が目を覚ましたら、結婚を申し込もう。ベルツは伯爵家でも古くからある家柄だから、家格的には問題ない。
妹に執着する兄が問題だが、そこは国外での優先的な取引を持ち掛ければいいか。飄々としているようで野心家の彼なら、断らないはずだ。彼にとっても世界を広く知るいい機会だろう。
「朝まであと少しか」
ピクリとも動かないディアは、相当疲れていたらしい。昨夜は素晴らしかったが、彼女の怪我が治るまで、無理をさせてはいけないな。
可愛らしい寝顔を見て癒された俺は、彼女を抱き寄せてもうひと眠りすることにした。
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『お妃選びは正直しんどい』(*´꒳`*)アルファポリス発行レジーナブックス。5月末刊行予定です。
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