3 / 58
第一章 地味な私を放っといて
2
しおりを挟む
輝く銀糸の髪に新雪のような真っ白の肌。長いまつ毛に緑色の瞳、唇はふっくら桜色で顔全体のバランスも良く整っている。身体は細く華奢な割に、女性らしい優雅な丸みを帯びていた。何度も転生しているけれど、自分史上最高傑作だ!
小さな頃の私は可愛らしいとちやほやされて、まだ見ぬ未来に憧れを抱いていた――私はきっと、愛する人と幸せな結婚をする、と。
ところが十歳の時、誕生会のケーキを見るなりある映像が頭に浮かぶ。白いテーブルの前に座った私が、隣の男性に話しかけられて、答えている場面だ。
『引き出物は何がいい? ハートのケーキもいいけど、やっぱりバームクーヘンかな?』
『高い物は嫌だわ。ささやかでも私達が幸せであると、みんながわかればいいの』
『お色直しが一回だけ? 俺は三回は必要だと思うが』
『いいえ。それだと、貴方の隣にほとんどいられないじゃない』
どの口が言うか~! と、自分自身にツッコミを入れてしまったのが始まりだった。あれは、挙げるはずのない結婚式の打ち合わせ。そこからなし崩しに、数々の風景や人の姿が頭の中に流れ込む。
森や城、街中だったり戦場だったり。黒や金、赤や茶色の髪をした女性が、スーツやドレス、民族衣装や甲冑のようなものを着ていた。どの時代にいてどんな姿をしていても、それが自分だと直感的に理解したのだ。
「な、ななな……」
頭を抱えた私は、その場に倒れ込む。
家族は当然大慌て。
「どうした、ミレディア!」
「大変、どうしましょう」
もはや誕生会どころではなくなって、その夜から私は、三日三晩高熱を出した。心配した母や兄が付き添い、父は名医を探したらしい。後遺症も残らず治ったものの、それ以降の私は冷めた子供になってしまう。
「お父様、お母様。うちにはお兄様がいらっしゃるから、私は結婚しなくても大丈夫よね?」
「え? え、ええ」
「まあ、そうだな。お前にはまだ早い」
「治ったと思ったら結婚? 悪い夢でも見たのか?」
これが夢であったなら、どんなに良いことか。けれど私は知っていた。自分が何度も繰り返し生きていることを。そして自分のした酷い行いのため、誰かを愛することも愛されることも叶わないのだと。
まあ、考えようによっては十歳で転生の記憶が蘇って良かったわよね? そうでなければ理由もわからず、この世から消えていたかもしれないもの。
――結婚は諦めよう。
私はこの世界で恋をせず、できるだけ長く生きようと決意する。
それなら、醜くなればいいのではないかしら? 目を背けたくなるほど太ってガサガサの肌でいれば、年頃になっても縁談は持ち込まれないはずよね? 男の人を騙すため、見た目のみを磨いていた頃の逆をすればいいから簡単だ。
「スープ? いや、脂の中に肉が浮かんでいる……」
「ちょ、ちょっと、ミレディア。それでは食べ過ぎよ」
「クリームたっぷりの上にまだ砂糖をまぶす? 正気か?」
父や母、兄の驚く顔もなんのその。残念ながらこの世界に、フライドポテトやコーラ、ピザや唐揚げなどはない。なので、なるべく脂っこいものや甘いものを食べて太ろうと努力した。
けれどミレディアのこの身体は、いくらギトギトの脂っこいものを食べても、運動せずにゴロゴロしていても、ちっとも太らないのだ。というより、食が細くて入らない。
無理して限界まで食べた結果、翌日から一週間以上身体を壊し、余計に痩せてしまった。そのため『病弱』という印象が強まる。
ならば、と肌を焼くことに。この国では色白が尊ばれているから、黒くなれば嫌がられる。一日中外で過ごしたり、夏に薄着で過ごしたりもした。
「お嬢様! お肌が真っ赤です。中に入って下さい」
「嫌よ、あともう少し」
その度に、黒くなる前に赤くなって炎症を起こしてしまうことがわかった。皮が剥けるだけでちっとも日焼けせず、延々痛い思いをするのだ。
十代の肌をなめていた。炎症が治れば、肌の色もすっかり白く元通り。
外見がだめなら内面ね? ……アホになればいい! そうは言っても転生を繰り返しているため、私はいろんな知識が人並み以上にある。しかも、引きこもっていたせいで退屈に耐えきれなかったため、我が家の図書室に入り浸ってしまった。自分で言うのも何だけど、かなり知恵はついたと思う。
「葡萄の出来が悪いのは、気候だけじゃなく土の問題もあるわ。葉が大きいのは、逆に土地が痩せているから。植物も生きるために必死なのよ。堆肥を加えてみたらどう?」
「領民にも休息は必要よ。せっかくだから、お父様やお兄様の名前でパンや葡萄酒を振る舞ってみてはいかが?」
「お母様が民と同じ物を好むとわかれば、喜ばれるのでは? 村の女性からいただいたこのレースのストールは、どこに出しても恥ずかしくない出来だもの。王都でもきっと評判になるわ」
やってしまった。
アホになるどころか、助言をしてしまったのだ。
おかげで葡萄酒を特産とするわが伯爵領は順調で、生活は上向き。丁寧に編んだレースや美しい刺繍を施したタペストリーという手工芸品まで加わって、評判を呼んでいる。
『ワインをたくさん買えば、なんとレースのテーブルセンターがおまけで付いてくるから、さらにおトク!』との案を出したのは、私だ。
元村人だったので、彼らの気持ちもよくわかる。努力が報われきちんとした報酬が支払われるなら、追加の要求も何のその。レースを編むのは手間も時間もかかるけれど、手にした金額を見て、俄然やる気が出たみたい。
「実は妹の発案で……」
兄がぽろっと零した結果、私は表に出ないにも関わらず、村人達からレースで編んだ『付け袖』をプレゼントされてしまった。繊細で美しい袖を、私は気に入っている。
今では領地に問題が発生すると、父も母も兄も私の意見を聞きに来る。いい年をしても結婚を勧められずに、うちで養ってもらえているのは、そんな理由だ。
がさつに振る舞い、やさぐれることも考えた。でも、何の罪もない使用人に迷惑をかけるわけにはいかない。私は海の近くのお屋敷で、メイドだった記憶もあるから。
自分勝手な生き方をした最初の人生以降、他人を傷つけては良くないと考えを改めた。恋をせず真面目に生きてさえいれば、いつかこんな私にも、楽しい老後が訪れるかもしれない。
今はとりあえず、前髪を伸ばして顔を隠し、似合わない服ばかりを身に着けるというささやかな抵抗をしている。それと人前には出ず、絶賛引きこもり中。王都に行かないため、舞踏会にも出席したことがない。おかげで『病弱』だとの噂が広がり、見合いの釣り書きも来なかった。
いえ、正確には来ても兄が捻り潰してしまう。お兄様、グッジョブ!
小さな頃の私は可愛らしいとちやほやされて、まだ見ぬ未来に憧れを抱いていた――私はきっと、愛する人と幸せな結婚をする、と。
ところが十歳の時、誕生会のケーキを見るなりある映像が頭に浮かぶ。白いテーブルの前に座った私が、隣の男性に話しかけられて、答えている場面だ。
『引き出物は何がいい? ハートのケーキもいいけど、やっぱりバームクーヘンかな?』
『高い物は嫌だわ。ささやかでも私達が幸せであると、みんながわかればいいの』
『お色直しが一回だけ? 俺は三回は必要だと思うが』
『いいえ。それだと、貴方の隣にほとんどいられないじゃない』
どの口が言うか~! と、自分自身にツッコミを入れてしまったのが始まりだった。あれは、挙げるはずのない結婚式の打ち合わせ。そこからなし崩しに、数々の風景や人の姿が頭の中に流れ込む。
森や城、街中だったり戦場だったり。黒や金、赤や茶色の髪をした女性が、スーツやドレス、民族衣装や甲冑のようなものを着ていた。どの時代にいてどんな姿をしていても、それが自分だと直感的に理解したのだ。
「な、ななな……」
頭を抱えた私は、その場に倒れ込む。
家族は当然大慌て。
「どうした、ミレディア!」
「大変、どうしましょう」
もはや誕生会どころではなくなって、その夜から私は、三日三晩高熱を出した。心配した母や兄が付き添い、父は名医を探したらしい。後遺症も残らず治ったものの、それ以降の私は冷めた子供になってしまう。
「お父様、お母様。うちにはお兄様がいらっしゃるから、私は結婚しなくても大丈夫よね?」
「え? え、ええ」
「まあ、そうだな。お前にはまだ早い」
「治ったと思ったら結婚? 悪い夢でも見たのか?」
これが夢であったなら、どんなに良いことか。けれど私は知っていた。自分が何度も繰り返し生きていることを。そして自分のした酷い行いのため、誰かを愛することも愛されることも叶わないのだと。
まあ、考えようによっては十歳で転生の記憶が蘇って良かったわよね? そうでなければ理由もわからず、この世から消えていたかもしれないもの。
――結婚は諦めよう。
私はこの世界で恋をせず、できるだけ長く生きようと決意する。
それなら、醜くなればいいのではないかしら? 目を背けたくなるほど太ってガサガサの肌でいれば、年頃になっても縁談は持ち込まれないはずよね? 男の人を騙すため、見た目のみを磨いていた頃の逆をすればいいから簡単だ。
「スープ? いや、脂の中に肉が浮かんでいる……」
「ちょ、ちょっと、ミレディア。それでは食べ過ぎよ」
「クリームたっぷりの上にまだ砂糖をまぶす? 正気か?」
父や母、兄の驚く顔もなんのその。残念ながらこの世界に、フライドポテトやコーラ、ピザや唐揚げなどはない。なので、なるべく脂っこいものや甘いものを食べて太ろうと努力した。
けれどミレディアのこの身体は、いくらギトギトの脂っこいものを食べても、運動せずにゴロゴロしていても、ちっとも太らないのだ。というより、食が細くて入らない。
無理して限界まで食べた結果、翌日から一週間以上身体を壊し、余計に痩せてしまった。そのため『病弱』という印象が強まる。
ならば、と肌を焼くことに。この国では色白が尊ばれているから、黒くなれば嫌がられる。一日中外で過ごしたり、夏に薄着で過ごしたりもした。
「お嬢様! お肌が真っ赤です。中に入って下さい」
「嫌よ、あともう少し」
その度に、黒くなる前に赤くなって炎症を起こしてしまうことがわかった。皮が剥けるだけでちっとも日焼けせず、延々痛い思いをするのだ。
十代の肌をなめていた。炎症が治れば、肌の色もすっかり白く元通り。
外見がだめなら内面ね? ……アホになればいい! そうは言っても転生を繰り返しているため、私はいろんな知識が人並み以上にある。しかも、引きこもっていたせいで退屈に耐えきれなかったため、我が家の図書室に入り浸ってしまった。自分で言うのも何だけど、かなり知恵はついたと思う。
「葡萄の出来が悪いのは、気候だけじゃなく土の問題もあるわ。葉が大きいのは、逆に土地が痩せているから。植物も生きるために必死なのよ。堆肥を加えてみたらどう?」
「領民にも休息は必要よ。せっかくだから、お父様やお兄様の名前でパンや葡萄酒を振る舞ってみてはいかが?」
「お母様が民と同じ物を好むとわかれば、喜ばれるのでは? 村の女性からいただいたこのレースのストールは、どこに出しても恥ずかしくない出来だもの。王都でもきっと評判になるわ」
やってしまった。
アホになるどころか、助言をしてしまったのだ。
おかげで葡萄酒を特産とするわが伯爵領は順調で、生活は上向き。丁寧に編んだレースや美しい刺繍を施したタペストリーという手工芸品まで加わって、評判を呼んでいる。
『ワインをたくさん買えば、なんとレースのテーブルセンターがおまけで付いてくるから、さらにおトク!』との案を出したのは、私だ。
元村人だったので、彼らの気持ちもよくわかる。努力が報われきちんとした報酬が支払われるなら、追加の要求も何のその。レースを編むのは手間も時間もかかるけれど、手にした金額を見て、俄然やる気が出たみたい。
「実は妹の発案で……」
兄がぽろっと零した結果、私は表に出ないにも関わらず、村人達からレースで編んだ『付け袖』をプレゼントされてしまった。繊細で美しい袖を、私は気に入っている。
今では領地に問題が発生すると、父も母も兄も私の意見を聞きに来る。いい年をしても結婚を勧められずに、うちで養ってもらえているのは、そんな理由だ。
がさつに振る舞い、やさぐれることも考えた。でも、何の罪もない使用人に迷惑をかけるわけにはいかない。私は海の近くのお屋敷で、メイドだった記憶もあるから。
自分勝手な生き方をした最初の人生以降、他人を傷つけては良くないと考えを改めた。恋をせず真面目に生きてさえいれば、いつかこんな私にも、楽しい老後が訪れるかもしれない。
今はとりあえず、前髪を伸ばして顔を隠し、似合わない服ばかりを身に着けるというささやかな抵抗をしている。それと人前には出ず、絶賛引きこもり中。王都に行かないため、舞踏会にも出席したことがない。おかげで『病弱』だとの噂が広がり、見合いの釣り書きも来なかった。
いえ、正確には来ても兄が捻り潰してしまう。お兄様、グッジョブ!
14
『お妃選びは正直しんどい』(*´꒳`*)アルファポリス発行レジーナブックス。5月末刊行予定です。
お気に入りに追加
2,785
あなたにおすすめの小説
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
踏み台令嬢はへこたれない
IchikoMiyagi
恋愛
「婚約破棄してくれ!」
公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。
春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。
そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?
これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。
「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」
ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。
なろうでも投稿しています。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

【完結】魔女令嬢はただ静かに生きていたいだけ
こな
恋愛
公爵家の令嬢として傲慢に育った十歳の少女、エマ・ルソーネは、ちょっとした事故により前世の記憶を思い出し、今世が乙女ゲームの世界であることに気付く。しかも自分は、魔女の血を引く最低最悪の悪役令嬢だった。
待っているのはオールデスエンド。回避すべく動くも、何故だが攻略対象たちとの接点は増えるばかりで、あれよあれよという間に物語の筋書き通り、魔法研究機関に入所することになってしまう。
ひたすら静かに過ごすことに努めるエマを、研究所に集った癖のある者たちの脅威が襲う。日々の苦悩に、エマの胃痛はとどまる所を知らない……
隣国が戦を仕掛けてきたので返り討ちにし、人質として三国の王女を貰い受けました
しろねこ。
恋愛
三国から攻め入られ、四面楚歌の絶体絶命の危機だったけど、何とか戦を終わらせられました。
つきましては和平の為の政略結婚に移ります。
冷酷と呼ばれる第一王子。
脳筋マッチョの第二王子。
要領良しな腹黒第三王子。
選ぶのは三人の難ありな王子様方。
宝石と貴金属が有名なパルス国。
騎士と聖女がいるシェスタ国。
緑が多く農業盛んなセラフィム国。
それぞれの国から王女を貰い受けたいと思います。
戦を仕掛けた事を後悔してもらいましょう。
ご都合主義、ハピエン、両片想い大好きな作者による作品です。
現在10万字以上となっています、私の作品で一番長いです。
基本甘々です。
同名キャラにて、様々な作品を書いています。
作品によりキャラの性格、立場が違いますので、それぞれの差分をお楽しみ下さい。
全員ではないですが、イメージイラストあります。
皆様の心に残るような、そして自分の好みを詰め込んだ甘々な作品を書いていきますので、よろしくお願い致します(*´ω`*)
カクヨムさんでも投稿中で、そちらでコンテスト参加している作品となりますm(_ _)m
小説家になろうさん、ネオページさんでも掲載中。

純白の牢獄
ゆる
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

婚約破棄を望む伯爵令嬢と逃がしたくない宰相閣下との攻防戦~最短で破棄したいので、悪役令嬢乗っ取ります~
甘寧
恋愛
この世界が前世で読んだ事のある小説『恋の花紡』だと気付いたリリー・エーヴェルト。
その瞬間から婚約破棄を望んでいるが、宰相を務める美麗秀麗な婚約者ルーファス・クライナートはそれを受け入れてくれない。
そんな折、気がついた。
「悪役令嬢になればいいじゃない?」
悪役令嬢になれば断罪は必然だが、幸運な事に原作では処刑されない事になってる。
貴族社会に思い残すことも無いし、断罪後は僻地でのんびり暮らすのもよかろう。
よしっ、悪役令嬢乗っ取ろう。
これで万事解決。
……て思ってたのに、あれ?何で貴方が断罪されてるの?
※全12話で完結です。

《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?
桐生桜月姫
恋愛
公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。
だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。
「もう!どうしてなのよ!!」
クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!?
天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる