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マリエッタ編
予選会のマリエッタ
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午後の部、魔術の予選は今からちょうど始まるところ。
良かった。間に合った! お昼も間に合わなかったから、リュークに出してもらったお茶菓子食べてて良かった。
マリエッタちゃんは二番目。輝く金色の髪が見えたから。ヒロインだから本当は競技に出て欲しく無いんだけど、個人的には応援してるし出るからには勝って欲しい。
珍しく緊張しているようだから、マリーと思われる人物に向かって手を振る。
あ、気づいてくれたみたい。手を振り返してくれたから、やっぱりマリーちゃんだった。そこでハタと気付く。しまった、今のってまるでお友達同士みたいじゃない!! いかんいかん、心を入れ替えて悪役にならなければ。
広場では三組同時に一対一で対戦する。それぞれが自由に自分の魔法を見せても良いし、攻撃魔法や防御魔法を使って直接対決しても良い。それぞれ事前の話し合いで決まっているらしく、滞り無く予選会は進んでいく。
でも、攻撃魔法の無いマリエッタちゃんはどうするつもりなんだろ? 癒しの魔法って何を見せれば良いの?
マリエッタの予選の相手は二年生の黒髪の女の子。『闇』の魔法の先輩だった。よりにもよって、『光と闇』って一番相性が悪いと思う。
ちょうど近くに立ったからって、マリーちゃんてばこっちに向かって嬉しそうに手を振っている場合では無いと思うの。ほら、先輩が怒って先に仕掛けてきたじゃない!!
みるみるうちにマリエッタの足元には『ドライアイス黒バージョン』ともいうべき黒いもやが発生する。かと思えば、それはボコッボコッとそれぞれ体長30センチ程のカマキリのような虫の形をとってきた。
ギャーー、イヤ~~!!
数が多過ぎて、私だったら耐えられない。ドキドキして変な汗も出てきた。もしそれがあの憎むべきカサカサする「G」の形をしていたら、即効気絶していたと思う。
でも腐っても? ヒロイン。マリエッタちゃんは黒いカマキリの大群を見ても動じる事無く、「うふふ」と優雅に笑うとおもむろに両手を頭上に持って行き、横に広げた。
「リュミエールシャワー!」って私が今、勝手に言ってるだけだけど。
キラキラした光の粒が大量にマリエッタを中心に地面に降り注ぎ、黒のカマキリもどきを浄化していく。ろうそくの煙が消えるように黒い煙が立ち昇っては消えていく。あんなに大量にいたものをマリーちゃんはあっという間に消し去った。
『闇』の先輩悔しそう……と思いきや、今度は黒い狼のようなものがその先輩の両肩に出てきて、二匹とも真っ直ぐマリーに向かう。
「マリーちゃん、危ないっっ!」
マリエッタは余裕で、片手をサッと一振りすると二匹の狼を一瞬で消し去った。ステッキ持っていないだけで、もしかしてマリーちゃんてば「マジカル少女?!」
でも、いくら強くても防戦一方ではダメよね? どうするつもりなのかしら?
マリエッタはすごーく良い笑顔をすると両手を前に突き出して、先輩のいる方に向かって光を発する。
「リュミエールビーム!」って、また勝手に盛り上がったんだけど、真っ直ぐで温かく柔らかい光は、軌道上にいた者全てをフニャフニャにして地べたにペタンと座らせてしまった。
「戦意喪失! そこまで!!」
審判役の先生の声がかかると、戦闘? 終了。
正直、マリエッタの魔法がここまで凄いとは思わなかった。治療一辺倒だと……。でも、さすがはヒロイン。もしかしたら、魔法部門で優勝してしまうかもしれない。
マリエッタちゃんのすごい魔法に圧倒されて、見ながらすごくドキドキしてしまった。さっきのリュークのしぐさを見た時よりももっとドキドキさせられたから、もしかして私ったらマリーちゃんの事が好きなのかしら? ……なんてね。
これからは、マリエッタを怒らせないようにしなくっちゃ。
良かった。間に合った! お昼も間に合わなかったから、リュークに出してもらったお茶菓子食べてて良かった。
マリエッタちゃんは二番目。輝く金色の髪が見えたから。ヒロインだから本当は競技に出て欲しく無いんだけど、個人的には応援してるし出るからには勝って欲しい。
珍しく緊張しているようだから、マリーと思われる人物に向かって手を振る。
あ、気づいてくれたみたい。手を振り返してくれたから、やっぱりマリーちゃんだった。そこでハタと気付く。しまった、今のってまるでお友達同士みたいじゃない!! いかんいかん、心を入れ替えて悪役にならなければ。
広場では三組同時に一対一で対戦する。それぞれが自由に自分の魔法を見せても良いし、攻撃魔法や防御魔法を使って直接対決しても良い。それぞれ事前の話し合いで決まっているらしく、滞り無く予選会は進んでいく。
でも、攻撃魔法の無いマリエッタちゃんはどうするつもりなんだろ? 癒しの魔法って何を見せれば良いの?
マリエッタの予選の相手は二年生の黒髪の女の子。『闇』の魔法の先輩だった。よりにもよって、『光と闇』って一番相性が悪いと思う。
ちょうど近くに立ったからって、マリーちゃんてばこっちに向かって嬉しそうに手を振っている場合では無いと思うの。ほら、先輩が怒って先に仕掛けてきたじゃない!!
みるみるうちにマリエッタの足元には『ドライアイス黒バージョン』ともいうべき黒いもやが発生する。かと思えば、それはボコッボコッとそれぞれ体長30センチ程のカマキリのような虫の形をとってきた。
ギャーー、イヤ~~!!
数が多過ぎて、私だったら耐えられない。ドキドキして変な汗も出てきた。もしそれがあの憎むべきカサカサする「G」の形をしていたら、即効気絶していたと思う。
でも腐っても? ヒロイン。マリエッタちゃんは黒いカマキリの大群を見ても動じる事無く、「うふふ」と優雅に笑うとおもむろに両手を頭上に持って行き、横に広げた。
「リュミエールシャワー!」って私が今、勝手に言ってるだけだけど。
キラキラした光の粒が大量にマリエッタを中心に地面に降り注ぎ、黒のカマキリもどきを浄化していく。ろうそくの煙が消えるように黒い煙が立ち昇っては消えていく。あんなに大量にいたものをマリーちゃんはあっという間に消し去った。
『闇』の先輩悔しそう……と思いきや、今度は黒い狼のようなものがその先輩の両肩に出てきて、二匹とも真っ直ぐマリーに向かう。
「マリーちゃん、危ないっっ!」
マリエッタは余裕で、片手をサッと一振りすると二匹の狼を一瞬で消し去った。ステッキ持っていないだけで、もしかしてマリーちゃんてば「マジカル少女?!」
でも、いくら強くても防戦一方ではダメよね? どうするつもりなのかしら?
マリエッタはすごーく良い笑顔をすると両手を前に突き出して、先輩のいる方に向かって光を発する。
「リュミエールビーム!」って、また勝手に盛り上がったんだけど、真っ直ぐで温かく柔らかい光は、軌道上にいた者全てをフニャフニャにして地べたにペタンと座らせてしまった。
「戦意喪失! そこまで!!」
審判役の先生の声がかかると、戦闘? 終了。
正直、マリエッタの魔法がここまで凄いとは思わなかった。治療一辺倒だと……。でも、さすがはヒロイン。もしかしたら、魔法部門で優勝してしまうかもしれない。
マリエッタちゃんのすごい魔法に圧倒されて、見ながらすごくドキドキしてしまった。さっきのリュークのしぐさを見た時よりももっとドキドキさせられたから、もしかして私ったらマリーちゃんの事が好きなのかしら? ……なんてね。
これからは、マリエッタを怒らせないようにしなくっちゃ。
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