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マリエッタ編
マリエッタ
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「ねえ、アル。今日はとーっても楽しかったわ!」
私、マリエッタはブランカ様とリューク様が帰られた後、自分の部屋でアルフォンスと名付けたクマのぬいぐるみに向かって話しかけていた。
突然いらしてピクニックに誘われた時にはビックリしたけれど。今日はブランカ様のいろんな表情が見られて楽しかったの。先日のお茶会で意地悪されたのが、ウソのようだ。
「ブランカ様は、相変わらずよくわからない言動をするけれど。まあ少なくとも、私の事が嫌いなわけでは無いみたい」
嫌いな人をわざわざピクニックには誘わないだろうし、誰が好きかとしつこく聞いてくる事も無いだろう。最初は、幼なじみのリューク様を私にとられたく無いからだと思ったけれど、それだとわざわざ彼を連れて来た意味がわからない。ならばガールズトークで盛り上がりたいのかと思ったけれど、ブランカ様はご自分の好きな方のことは教えて下さらなかった。
「まだ出会って間もない方々の事を、好きかどうかと聞かれても……」
ただでさえ身分の低い私が、高貴な方々を好きになって何になるというのだろう? 爺やは公爵子息のリューク様が我が家にいらっしゃったことで、大変張り切っていたけれど。リューク様が好きな人は、もう既に彼の目の前にいるから、私が入り込む余地なんて無い。だって彼はブランカ様に冷たくされて、彼女の方ばかり見ていらしたもの――
でも、私だってブランカ様の事が大好き。
だから、このままリューク様に持って行かれるのはちよっと悔しい。
「だからね? アル。ふふ、私、良い事思いついちゃった!」
リューク様の相談相手になってあげるの。
そうすれば、ブランカ様だって私のことが無視できなくなるでしょう? だって、ブランカ様はご自分ではわかっていらっしゃらないようだけど、私とリューク様が仲良く話していると気になるみたいだもの。
今日も彼の魔法を見た後で私が先にリューク様の所に駆け寄ると、ブランカ様は近づくのを遠慮していた。わざわざリューク様を連れていらしたから、始めは私と彼とをくっつけようとしているのかと思った。けれど、その割には紫色の瞳は辛そうで、私たちから離れた彼女は少しも笑っていなかった。それなのに、私とリューク様が親しく話していても、何も言わない。
リューク様の方はブランカ様のことが気になっていたようで、心配そうにチラチラ見ていらしたけれど……
ブランカ様は一体、何がしたかったのかしら?
私はといえば、初めてできたお友達――侯爵令嬢のブランカ様と今日は久々にゆっくりお話ができて嬉しかった。そのほとんどは、意味不明の言い合いだったけれど。でも、本当は彼女はとても優しく、私の事をいつも気にかけて下さっている。
「お下がりで悪いんだけど……」
そう言われて父が最近よくもらってくるのは、目の覚めるような色合いや純白の新しいドレス。お下がりといいながら、ほとんど袖を通していないものや新品の数々には、『B』とイニシャルが入れてあったことも。そもそも身長がほとんど同じだから、お下がりにはなり得ないのにね!
今日も彼女からいただいたばかりの白いドレスを着てみた。ブランカ様は私に似合うと思って下さったかしら?
憐れみとか同情だったら、私は受け取らない。
だけど一番最初にお会いした時、みすぼらしい流行遅れのドレスを着た私を見ながら、彼女は私にはっきり言って下さった。
「主役の貴女が……」
「貴女と私はライバルなんだから、もっと堂々としてらして!」
だから、私は彼女の言葉を信じてる。
私は本物の貴女のライバルに……いいえ、親友になりたいの。そしていつか彼女にも、一番好きなのはマリエッタだと言ってもらうの!
誰が好きかと聞かれたら「異性だけでなく同性も含めていいよ」と言われたら、私は間違いなくブランカ様って答えるのに。
「応援する」って言ったけど、本当は嘘。リューク様には悪いけれど、私もブランカ様の一番になれるよう、これから一生懸命お側に張りつきますからね!
私、マリエッタはブランカ様とリューク様が帰られた後、自分の部屋でアルフォンスと名付けたクマのぬいぐるみに向かって話しかけていた。
突然いらしてピクニックに誘われた時にはビックリしたけれど。今日はブランカ様のいろんな表情が見られて楽しかったの。先日のお茶会で意地悪されたのが、ウソのようだ。
「ブランカ様は、相変わらずよくわからない言動をするけれど。まあ少なくとも、私の事が嫌いなわけでは無いみたい」
嫌いな人をわざわざピクニックには誘わないだろうし、誰が好きかとしつこく聞いてくる事も無いだろう。最初は、幼なじみのリューク様を私にとられたく無いからだと思ったけれど、それだとわざわざ彼を連れて来た意味がわからない。ならばガールズトークで盛り上がりたいのかと思ったけれど、ブランカ様はご自分の好きな方のことは教えて下さらなかった。
「まだ出会って間もない方々の事を、好きかどうかと聞かれても……」
ただでさえ身分の低い私が、高貴な方々を好きになって何になるというのだろう? 爺やは公爵子息のリューク様が我が家にいらっしゃったことで、大変張り切っていたけれど。リューク様が好きな人は、もう既に彼の目の前にいるから、私が入り込む余地なんて無い。だって彼はブランカ様に冷たくされて、彼女の方ばかり見ていらしたもの――
でも、私だってブランカ様の事が大好き。
だから、このままリューク様に持って行かれるのはちよっと悔しい。
「だからね? アル。ふふ、私、良い事思いついちゃった!」
リューク様の相談相手になってあげるの。
そうすれば、ブランカ様だって私のことが無視できなくなるでしょう? だって、ブランカ様はご自分ではわかっていらっしゃらないようだけど、私とリューク様が仲良く話していると気になるみたいだもの。
今日も彼の魔法を見た後で私が先にリューク様の所に駆け寄ると、ブランカ様は近づくのを遠慮していた。わざわざリューク様を連れていらしたから、始めは私と彼とをくっつけようとしているのかと思った。けれど、その割には紫色の瞳は辛そうで、私たちから離れた彼女は少しも笑っていなかった。それなのに、私とリューク様が親しく話していても、何も言わない。
リューク様の方はブランカ様のことが気になっていたようで、心配そうにチラチラ見ていらしたけれど……
ブランカ様は一体、何がしたかったのかしら?
私はといえば、初めてできたお友達――侯爵令嬢のブランカ様と今日は久々にゆっくりお話ができて嬉しかった。そのほとんどは、意味不明の言い合いだったけれど。でも、本当は彼女はとても優しく、私の事をいつも気にかけて下さっている。
「お下がりで悪いんだけど……」
そう言われて父が最近よくもらってくるのは、目の覚めるような色合いや純白の新しいドレス。お下がりといいながら、ほとんど袖を通していないものや新品の数々には、『B』とイニシャルが入れてあったことも。そもそも身長がほとんど同じだから、お下がりにはなり得ないのにね!
今日も彼女からいただいたばかりの白いドレスを着てみた。ブランカ様は私に似合うと思って下さったかしら?
憐れみとか同情だったら、私は受け取らない。
だけど一番最初にお会いした時、みすぼらしい流行遅れのドレスを着た私を見ながら、彼女は私にはっきり言って下さった。
「主役の貴女が……」
「貴女と私はライバルなんだから、もっと堂々としてらして!」
だから、私は彼女の言葉を信じてる。
私は本物の貴女のライバルに……いいえ、親友になりたいの。そしていつか彼女にも、一番好きなのはマリエッタだと言ってもらうの!
誰が好きかと聞かれたら「異性だけでなく同性も含めていいよ」と言われたら、私は間違いなくブランカ様って答えるのに。
「応援する」って言ったけど、本当は嘘。リューク様には悪いけれど、私もブランカ様の一番になれるよう、これから一生懸命お側に張りつきますからね!
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