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絵を描くと妖精が集まってきました2
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「ねえ!それじゃあこれからはずっと一緒にいるね。」
そう妖精に言われ、その言葉通り妖精の何人かが森を出たあとも私についてきた。
妖精達はそれぞれ異なる姿をしていて、なんとなくだが、司る力が違うような気がする。
そういえば、みんなそれぞれ名前はあるのかな?
「あなた達、名前はあるの?自己紹介してくれない?」
妖精達は目を合わせ、一人ずつ答え始めた。
「私はエリザ、花の妖精でお花をたくさん咲かせられるよ!一番好きなお花は薔薇よ。」
「僕は光の妖精で、名前はルクス。暗いところを照らせるよ!」
「俺は火の妖精!名前はイグニスだよ。火が必要な時は言って!」
「そう。エリザ、ルクス、イグニス。私に付いてきてくれてありがとうね。」
妖精にお礼を言いつつ、見事にばらばらの属性を持つ妖精たちを眺める。
魔力がない私だけど、妖精の力を借りれたらこれから先役に立ちそうなんて少し思っていると、先ほど火の妖精と答えた妖精が力を見せたいのか、体から火を出し燃え盛った。
体が小さいので、まるで小さな炎が空中を浮いているように見える。
凄い、でももしこれを屋敷でやられて部屋が燃えたら大変なことになるな。
部屋に常に水を常備しておいた方がいいかな。
そこまで考えたとき、ふとあることに気が付いた。
「そういえば、火の妖精がいるのに、水の妖精はここにいないのね?」
もし水の妖精がいてくれたら、火の妖精が火事を起こすかも、なんて心配しなくて済むのだが。
「それが・・・、僕たち妖精はみんなあの森に棲んでて水の妖精もいたんだけど、ある日突然いなくなったんだ。」
妖精達は少し気まずそうにしながら教えてくれた。
「そうなんだ。どうしていなくなったの?」
妖精たちにそう聞くと、困ったように顔を見合わせた。
「僕達も分からないんだ。 彼女は、元々少し悪い子で・・・。よく人間にいたずらしてて、だから僕達の間でもあまり仲がいい者がいなくて.......。」
「いたずら?」
妖精達の言葉につい聞き返してしまう。
元の世界でも妖精は人にいたずらすることがあるなんてお話を聞いたことがあるけど、妖精とはそういうものなのかな?
もう少し詳しく聞きたかったが、妖精たちも言いにくそうにしていたので話題を変えることにした。
無理に話させるほどの事じゃないしね。
妖精達と他愛ない会話を続けながら長い道のりを歩き、なんとか自分の屋敷の前まで来た時、ふと自分の周りをきらきら輝く妖精が飛び回っているのをあの面倒な妹に見られたらどうしようと不安になった。
「貴方たちの姿は私以外にも見えるの?」
妖精たちにそう聞くと自由に周りを飛んでいた動きを止めて私の傍に来てくれた。
「心が綺麗な人にしか見えないよ。」
ああ、ならローラは妖精を見ることは出来ないわね。
良かった。
見られて困ることは無いけど、絡まれると面倒だし、妖精達のことは秘密にしておきたかったのだ。
妖精の言葉に安堵したので、そのまま屋敷に足を踏み入れた。
帰ってきても「おかえりなさいませ」の一言をかけられることは無い。
まるで誰もいないかのように扱われてしまう。
話し相手が誰もいない毎日だったけど、これからは妖精達がいる。
いつもだって、無視されることにそこまで傷付いていたわけじゃないけど、今日はいつも以上に気にならないしむしろ気分がいい。
早く妖精たちと話したい私は、急いで自室に戻った。
そう妖精に言われ、その言葉通り妖精の何人かが森を出たあとも私についてきた。
妖精達はそれぞれ異なる姿をしていて、なんとなくだが、司る力が違うような気がする。
そういえば、みんなそれぞれ名前はあるのかな?
「あなた達、名前はあるの?自己紹介してくれない?」
妖精達は目を合わせ、一人ずつ答え始めた。
「私はエリザ、花の妖精でお花をたくさん咲かせられるよ!一番好きなお花は薔薇よ。」
「僕は光の妖精で、名前はルクス。暗いところを照らせるよ!」
「俺は火の妖精!名前はイグニスだよ。火が必要な時は言って!」
「そう。エリザ、ルクス、イグニス。私に付いてきてくれてありがとうね。」
妖精にお礼を言いつつ、見事にばらばらの属性を持つ妖精たちを眺める。
魔力がない私だけど、妖精の力を借りれたらこれから先役に立ちそうなんて少し思っていると、先ほど火の妖精と答えた妖精が力を見せたいのか、体から火を出し燃え盛った。
体が小さいので、まるで小さな炎が空中を浮いているように見える。
凄い、でももしこれを屋敷でやられて部屋が燃えたら大変なことになるな。
部屋に常に水を常備しておいた方がいいかな。
そこまで考えたとき、ふとあることに気が付いた。
「そういえば、火の妖精がいるのに、水の妖精はここにいないのね?」
もし水の妖精がいてくれたら、火の妖精が火事を起こすかも、なんて心配しなくて済むのだが。
「それが・・・、僕たち妖精はみんなあの森に棲んでて水の妖精もいたんだけど、ある日突然いなくなったんだ。」
妖精達は少し気まずそうにしながら教えてくれた。
「そうなんだ。どうしていなくなったの?」
妖精たちにそう聞くと、困ったように顔を見合わせた。
「僕達も分からないんだ。 彼女は、元々少し悪い子で・・・。よく人間にいたずらしてて、だから僕達の間でもあまり仲がいい者がいなくて.......。」
「いたずら?」
妖精達の言葉につい聞き返してしまう。
元の世界でも妖精は人にいたずらすることがあるなんてお話を聞いたことがあるけど、妖精とはそういうものなのかな?
もう少し詳しく聞きたかったが、妖精たちも言いにくそうにしていたので話題を変えることにした。
無理に話させるほどの事じゃないしね。
妖精達と他愛ない会話を続けながら長い道のりを歩き、なんとか自分の屋敷の前まで来た時、ふと自分の周りをきらきら輝く妖精が飛び回っているのをあの面倒な妹に見られたらどうしようと不安になった。
「貴方たちの姿は私以外にも見えるの?」
妖精たちにそう聞くと自由に周りを飛んでいた動きを止めて私の傍に来てくれた。
「心が綺麗な人にしか見えないよ。」
ああ、ならローラは妖精を見ることは出来ないわね。
良かった。
見られて困ることは無いけど、絡まれると面倒だし、妖精達のことは秘密にしておきたかったのだ。
妖精の言葉に安堵したので、そのまま屋敷に足を踏み入れた。
帰ってきても「おかえりなさいませ」の一言をかけられることは無い。
まるで誰もいないかのように扱われてしまう。
話し相手が誰もいない毎日だったけど、これからは妖精達がいる。
いつもだって、無視されることにそこまで傷付いていたわけじゃないけど、今日はいつも以上に気にならないしむしろ気分がいい。
早く妖精たちと話したい私は、急いで自室に戻った。
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