47 / 56
星祭りの夜に1
しおりを挟む
それからというもの、ウィルはほぼ毎日仕事が終わる私を迎えに来て、色々なご飯屋さんやケーキ屋さんに連れていきご馳走してくれた。
私も私で、連れていかれた先では遠慮なく食べるので、最近太ったような気がする。
騎士としての仕事はどうしたのかと聞いたら、長期の休暇を貰ったとの事。
そのうえ最近は夜も私の家周辺を警備しているらしく、とにかく私はウィルに至れり尽くせり状態だった。
ウィルが仕事が終わる私を待っているのはナターナ夫妻もすでに承知済みで、ウィルがお店に来るとナターナ夫人がにこにこし、
「ほら、恋人が来たよ!」
何て言って、早く上がるようせかしてくるようになった。
そんな日々がすっかり日常になりつつあった頃。
いつものように仕事が終わる私を待っていたウィルに「お待たせ!」と言って声を掛けると、ウィルがこちらを振り返った。
「お疲れ、ユキナ。」
そしてウィルと並んで歩きだした私に、ウィルがふと思い出したかのように言った。
「あのさ、今夜予定あったりする?」
ウィルのその言葉に思わずドキッとする。
ナターナ夫人に恋人と呼ばれるようなウィルだけど、実際に付き合っているわけではないし、ご飯に一緒に行くだけで恋人らしいこともしていない。
だから、ウィルと私の関係性は友達・・・が一番近いのだろうがしっくりは来ない。
そんな曖昧な関係の私たちだけど、こんな風に改めて予定を、しかも今日の夜の予定を聞いてくるって事はもしかして・・・ついに告白されちゃったり!?
「特にないですよ。」
ドキドキしながらウィルの目を見て答えた。
「じゃあ、今夜の星祭り一緒に参加できそうだな。」
「ほ、星祭り・・・?」
聞きなれない名前に首を傾げる。
「毎年やっている祭りだよ。
ユキナは令嬢時代、城下町にはほとんど顔出さなかったから知らないのかな?」
本当は異世界から来たから知らないんだけど、とりあえずウィルに合わせておくことにしよう。
「そうですね。あの頃はずっと城と家の行き来ばっかりだっから。
そんなお祭りがあるんですね。」
「ああ、ちょうど今日がその日なんだ。あれを見て。」
ウィルが指さす方向を見ると、街の至る所に生えている木に、星をかたどった綺麗な色の飾りがたくさん付けられていた。
いやこれ・・・どう見ても・・・・
クリスマス・・・!クリスマスだどう見ても!
木に付けられた飾り付けは全て星で統一されているが、全体的な雰囲気はクリスマスで間違いなかった。
この小説を書いた作者はクリスマスが好きだったのかな?
「俺と一緒に行かない?ユキナが好きそうな食べ物のお店もたくさん出ると思うよ。」
その言葉に、さっきまで告白されるのかななんて考えていたのがすっかりどこかへ吹き飛んでしまった。
「行きます!楽しみです。」
二つ返事で了承した私は、昼ご飯も食べていないのに、夜ご飯の事で頭が埋め尽くされてしまった。
私も私で、連れていかれた先では遠慮なく食べるので、最近太ったような気がする。
騎士としての仕事はどうしたのかと聞いたら、長期の休暇を貰ったとの事。
そのうえ最近は夜も私の家周辺を警備しているらしく、とにかく私はウィルに至れり尽くせり状態だった。
ウィルが仕事が終わる私を待っているのはナターナ夫妻もすでに承知済みで、ウィルがお店に来るとナターナ夫人がにこにこし、
「ほら、恋人が来たよ!」
何て言って、早く上がるようせかしてくるようになった。
そんな日々がすっかり日常になりつつあった頃。
いつものように仕事が終わる私を待っていたウィルに「お待たせ!」と言って声を掛けると、ウィルがこちらを振り返った。
「お疲れ、ユキナ。」
そしてウィルと並んで歩きだした私に、ウィルがふと思い出したかのように言った。
「あのさ、今夜予定あったりする?」
ウィルのその言葉に思わずドキッとする。
ナターナ夫人に恋人と呼ばれるようなウィルだけど、実際に付き合っているわけではないし、ご飯に一緒に行くだけで恋人らしいこともしていない。
だから、ウィルと私の関係性は友達・・・が一番近いのだろうがしっくりは来ない。
そんな曖昧な関係の私たちだけど、こんな風に改めて予定を、しかも今日の夜の予定を聞いてくるって事はもしかして・・・ついに告白されちゃったり!?
「特にないですよ。」
ドキドキしながらウィルの目を見て答えた。
「じゃあ、今夜の星祭り一緒に参加できそうだな。」
「ほ、星祭り・・・?」
聞きなれない名前に首を傾げる。
「毎年やっている祭りだよ。
ユキナは令嬢時代、城下町にはほとんど顔出さなかったから知らないのかな?」
本当は異世界から来たから知らないんだけど、とりあえずウィルに合わせておくことにしよう。
「そうですね。あの頃はずっと城と家の行き来ばっかりだっから。
そんなお祭りがあるんですね。」
「ああ、ちょうど今日がその日なんだ。あれを見て。」
ウィルが指さす方向を見ると、街の至る所に生えている木に、星をかたどった綺麗な色の飾りがたくさん付けられていた。
いやこれ・・・どう見ても・・・・
クリスマス・・・!クリスマスだどう見ても!
木に付けられた飾り付けは全て星で統一されているが、全体的な雰囲気はクリスマスで間違いなかった。
この小説を書いた作者はクリスマスが好きだったのかな?
「俺と一緒に行かない?ユキナが好きそうな食べ物のお店もたくさん出ると思うよ。」
その言葉に、さっきまで告白されるのかななんて考えていたのがすっかりどこかへ吹き飛んでしまった。
「行きます!楽しみです。」
二つ返事で了承した私は、昼ご飯も食べていないのに、夜ご飯の事で頭が埋め尽くされてしまった。
0
お気に入りに追加
145
あなたにおすすめの小説
この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~
柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。
家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。
そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。
というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。
けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。
そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。
ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。
それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。
そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。
一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。
これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。
他サイトでも掲載中。
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています
窓辺ミナミ
ファンタジー
悪役令嬢の リディア・メイトランド に転生した私。
シナリオ通りなら、死ぬ運命。
だけど、ヒロインと騎士のストーリーが神エピソード! そのスチルを生で見たい!
騎士エンドを見学するべく、ヒロインの恋を応援します!
というわけで、私、悪役やりません!
来たるその日の為に、シナリオを改変し努力を重ねる日々。
あれれ、婚約者が何故か甘く見つめてきます……!
気付けば婚約者の王太子から溺愛されて……。
悪役令嬢だったはずのリディアと、彼女を愛してやまない執着系王子クリストファーの甘い恋物語。はじまりはじまり!
【完結】人々に魔女と呼ばれていた私が実は聖女でした。聖女様治療して下さい?誰がんな事すっかバーカ!
隣のカキ
ファンタジー
私は魔法が使える。そのせいで故郷の村では魔女と迫害され、悲しい思いをたくさんした。でも、村を出てからは聖女となり活躍しています。私の唯一の味方であったお母さん。またすぐに会いに行きますからね。あと村人、テメぇらはブッ叩く。
※三章からバトル多めです。
遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!
天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。
魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。
でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。
一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。
トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。
互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。
。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.
他サイトにも連載中
2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。
よろしくお願いいたします。m(_ _)m
デブだからといって婚約破棄された伯爵令嬢、前世の記憶を駆使してダイエットする~自立しようと思っているのに気がついたら溺愛されてました~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
デブだからといって婚約破棄された伯爵令嬢エヴァンジェリンは、その直後に前世の記憶を思い出す。
かつてダイエットオタクだった記憶を頼りに伯爵領でダイエット。
ついでに魔法を極めて自立しちゃいます!
師匠の変人魔導師とケンカしたりイチャイチャしたりしながらのスローライフの筈がいろんなゴタゴタに巻き込まれたり。
痩せたからってよりを戻そうとする元婚約者から逃げるために偽装婚約してみたり。
波乱万丈な転生ライフです。
エブリスタにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる